アップグレード定義ファイル

サイトのアップグレード定義は、以前のバージョンの Windows SharePoint Services でカスタマイズしたサイトを、新しいバージョンの機能を利用できるように変換する方法を提供します。アップグレード定義ファイルは、特定のビルドやバージョンのファイルやリスト データを以降のビルドやバージョンにマップすると共に、アップグレードされた Web サイトに配置する追加のアイテムを指定します。

サイト定義のアップグレード定義を登録するには、通常、サイト定義の名前で始まる一意のファイル名を付けて、セットアップ ディレクトリの \Config\Upgrade フォルダに配置します。サイトのアップグレード定義はサイト定義ごとに登録されますが、同じサイト定義に対して複数のアップグレード定義が存在している可能性があります。サイトのアップグレード定義にはリストのアップグレード テンプレートも含まれます。このテンプレートには、リストの特定の列を、新しいバージョンの Windows SharePoint Services のコンテンツ タイプにマップする方法が記述されています。

アップグレード定義を理解するには、Windows SharePoint Services のインストールに含まれるアップグレード定義ファイルを参考にしてください。このファイルは、C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\Web Server Extensions\12\Config\Upgrade ディレクトリにあります。このディレクトリには 2 つのアップグレード テンプレートが含まれています。Version 2 から Version 3 にアップグレードするためのアップグレード テンプレートと、Windows SharePoint Services のベータ 2 と最終リリース バージョンのビルド間のアップグレードのためのアップグレード テンプレートです。

Windows SharePoint Services でアップグレード定義を決定する方法

サイトがアップグレード可能であるかどうかを確認するときに、Windows SharePoint Services は以下のアルゴリズムを使用して、複数のアップグレード定義の中から使用するアップグレード定義を選択します。

  1. Web サイトが製品の現在のバージョンではない場合、Windows SharePoint Services は製品のバージョン間のアップグレードを行うアップグレード定義を選択し、サイトを最新バージョンのスキーマに更新します。アップグレード定義はバージョン間のアップブレードまたはスキーマ間のアップグレードを実行しますが、両方は実行しません。つまり、アップグレート定義に FromProductVersion 要素と BeginFromSchemaVersion/EndFromSchemaVersion 要素のセットの両方を含めることはできません。Web サイトが製品の現在のバージョンではなく、どのアップグレード定義でも Web サイトのバージョン間のアップグレードを実行できない場合、Web サイトはアップグレードできません。

  2. #1 に該当しない場合、Windows SharePoint Services は、ToSchemaVersion 属性の値がサイト定義の現在のスキーマのバージョンに最も近い (ただし超えない) アップグレード定義を選択します。この場合、既存のサイト インスタンスのスキーマ バージョンは、BeginFromSchemaVersion と EndFromSchemaVersion の範囲になります。

  3. 複数のサイトのアップグレード定義が #2 の条件を満たす場合、Windows SharePoint Services は BeginFromSchemaVersion の値が最も大きいアップグレード定義を選択します。

  4. 特定のサイト定義について、汎用言語のテンプレートと特定のロケールのテンプレートの両方が存在する場合、Windows SharePoint Services は特定のロケールのテンプレートを選択します。

サイト定義のアップグレードを適用する

Windows SharePoint Services はアップグレード定義を使用して、変換されたサイトを準備します。サイト定義のアップグレードを適用する処理では、次のように、既定のアイテムのスイッチを作成する必要があります。

  • サイト定義のナビゲーション ノードが変更されていない場合、既存の Version 2 のナビゲーション ノードは削除され、Version 3 のサイト定義のナビゲーション ノードに置き換えられます。

  • ONET.XML または Feature.xml ファイルの ListTemplates セクションは、[作成] ページで選択するリスト テンプレートを決定します。サイトのアップグレード定義が適用される場合、Windows SharePoint Services は、Version 2 のファイルではなく、Version 3 の ONET.XML または Feature.xml ファイルのリスト テンプレートのセットを使用します。

  • 同様に、アップグレード後、Windows SharePoint Services は、Version 2 の DocumentTemplate ファイルのセットではなく、新しい ONET.XML ファイルの DocumentTemplates セクションを使用して、使用可能な関連付けられていないドキュメント テンプレートのセットを決定します。

    注意

    Version 3 では、ほとんどのドキュメント テンプレートを独立した状態ではなく、コンテンツ タイプに関連付けることをお勧めします。

既定では、既存の Web サイトをアップグレードするときに、サイト定義のアップグレードによって、新しいサイト定義のモジュールまたはリスト インスタンスは準備されません。Windows SharePoint Services は、File 要素のセットを使用して、Version 2 のファイルを Version 3 にマップする方法を指定し、アップグレード定義のモジュールとリスト インスタンス タグのセットを使用して、Version 2 と Version 3 の差分のファイルとリスト データを指定します。

アップグレード定義を使用すると、アップグレードする Web サイトで置き換え用のコンテンツ タイプ、フォーム、リスト、およびページを一貫して使用することができます。アップグレード定義がない場合、Windows SharePoint Services は Version 2 に基づいて Web サイトをアップグレードし、ユーザーに対して Version 3 のフィーチャー (コンテンツ タイプなど) の公開を犠牲にしても、データの移行と相互運用性をできる限り優先します。これは、Version 2 から Version 3 への主なアップグレード作業 (たとえば、データベースの変換) がすべて終了した後の、すべての Web サイトの既定の状態です。

アセンブリ参照

Version 3 では、web.config ファイルに、Microsoft.SharePoint.dll などの Version 2 の Windows SharePoint Services アセンブリを、Version 3 の相当するアセンブリにマップするポリシーのリダイレクトが含まれています。

言語パックとサイト定義のアップグレード

バージョン間のアップグレードでは、Version 2 の特定の言語パックがインストールされており、対応する Version 3 の言語パックがアップグレードの前にインストールされていない場合、アップグレード ログにエラーが記録されます。ただし、アップグレード処理は完了しています。