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Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードの展開を計画する

 

適用先: Office 2010

トピックの最終更新日: 2016-11-29

Microsoft Exchange Server コンピューターに接続する場合、Microsoft Outlook 2010 には Exchange キャッシュ モードとオンライン モードの 2 種類の基本的な接続モードがあります。

この記事では、どちらの接続モードがお使いの環境に適しているかを説明すると共に、Outlook 2013 での Exchange キャッシュ モード展開に関する検討事項および設定を示します。

この記事の内容

  • 概要

  • Exchange キャッシュ モードとオンライン モードのどちらかを選択する

  • Exchange キャッシュ モードでの Outlook ユーザーの操作性向上

  • Exchange キャッシュ モードの効果を低下させる可能性のある Outlook 機能

  • 同期、ディスクの空き領域、およびパフォーマンスに関する考慮事項

  • 低速回線接続と認識された場合の Outlook の動作管理

  • Exchange キャッシュ モードを段階的に展開するオプション

  • 現在の Exchange キャッシュ モード ユーザーを Outlook 2010 にアップグレードする

  • 既に .ost ファイルがあるユーザーに Exchange キャッシュ モードを展開する

  • Exchange キャッシュ モードを構成する

  • 参考資料

概要

Outlook 2013 アカウントが Exchange キャッシュ モードを使用するように構成されている場合、Outlook 2013 は、ユーザーのコンピューターのオフライン データ ファイル (.ost ファイル) に格納されているユーザーの Microsoft Exchange メールボックスのローカル コピーとオフライン アドレス帳 (OAB) に基づいて処理を行います。このキャッシュされたメールボックスと OAB は Exchange Server コンピューターとの間で定期的に更新されます。

Exchange キャッシュ モードは、ユーザーのオンラインおよびオフラインでの操作性を向上させるため、Outlook 2003 で導入されました。Exchange キャッシュ モードを使用すると、ユーザーは Outlook の操作を中断することなく、接続された環境と切断された環境の間を移動できます。また、Outlook の使用中にネットワーク遅延や接続性の問題から遮断されます。

対照的に、オンライン モードは、サーバーの情報を使用して直接処理を行います。Outlook で新しい情報が必要な場合、サーバーに対して要求が作成され、情報が表示されます。メールボックスのデータはメモリにキャッシュされるだけで、ディスクに書き込まれることはありません。

アカウントのセットアップ時にユーザーによって、またはアカウント設定を変更することによって、Exchange キャッシュ モードかオンライン モードかを選択できます。このモードは、Office カスタマイズ ツール (OCT) またはグループ ポリシーを使用して展開することもできます。

重要

既に Outlook プロファイルに Exchange アカウントがあるユーザーを Outlook 2003 または Outlook 2007 からアップグレードする場合、Exchange アカウントがもう 1 つプロファイルに追加されるという既知の問題があります。この問題は、Outlook をアップグレードして、"プロファイルの変更" および "既定のプロファイルに対する変更を定義" に構成されたユーザー定義の OCT ファイル (.msp) または .prf ファイルを使用してカスタマイズを適用する際に発生する可能性があります。
ユーザーを Outlook 2013 にアップグレードする際に、1 つのプロファイルに複数の Exchange アカウントが作成されないようにするには、Microsoft Download Center (英語) (https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=189316&clcid=0x411) (英語) から OCT の Service Pack (SP1) バージョンをダウンロードして使用する必要があります。OCT を更新するには、Office 2010 インストール ファイルまたはインストール イメージ内の /Admin フォルダーを、ダウンロード パッケージに含まれる新しい /Admin フォルダーで置き換えます。OCT の SP1 バージョンを使用しない場合は, .prf ファイルを作成し、BackupProfile=False および UniqueService=Yes として各プロパティを設定する必要があります。この手順については、「Multiple Exchange accounts created in Outlook 2010 with existing Outlook profiles after upgrading from an earlier Office version using a custom MSP (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=199704&clcid=0x411) (英語) を参照してください。

Exchange キャッシュ モードとオンライン モードのどちらかを選択する

Exchange キャッシュ モードを使用する状況

Exchange キャッシュ モードは、Outlook 2013 のプレミア構成です。後述する「オンライン モードを使用する状況」に特に示す状況を除き、すべての状況でこのモードを使用することをお勧めします。

ほとんどのユーザー構成で Exchange キャッシュ モードをお勧めしますが、次のようなシナリオでは特に有意義です。

  • 接続された環境と切断された環境を頻繁に移動するポータブル コンピューター ユーザー。

  • オフラインまたは接続されていない状況で作業することが多いユーザー。

  • Exchange Server コンピューターへの接続の遅延が大きい (500 ms を越える) ユーザー。

オンライン モードを使用する状況

オンライン モードは、Microsoft Exchange に接続する従来の方法です。この構成は、Office Outlook 2003、Outlook 2007、および Outlook 2013 で完全にサポートされています。オンライン モードは、Exchange キャッシュ モードの動作が不要な一部のシナリオで有意義です。シナリオの例には、次のものがあります。

  • 特定のコンピューター上に別々の Outlook アカウントにアクセスする多数のユーザーがいて、電子メール メッセージをローカル キャッシュにダウンロードするための遅延が許容できないという "キオスク" シナリオ。

  • 何らかの理由でデータをローカルに保存してはいけない、厳しく規制された法令遵守環境またはセキュリティ保護された環境。このような環境では、Exchange キャッシュモードに加え、暗号化ファイル システム (EFS) または BitLocker を潜在的ソリューションとしてお勧めします。

  • メールボックスが非常に大規模で、メールボックスのローカル コピーに十分なだけのハード ディスク領域がコンピューターにない場合。

  • メールボックスが非常に大規模 (25 GB を越える) で、パフォーマンスに関する考慮事項が Exchange キャッシュ モードで問題となる場合。

  • Outlook 2007 または Outlook 2003 を実行する仮想環境またはリモート デスクトップ サービス (ターミナル サービス) 環境。リモート デスクトップ サービス (ターミナル サービス) を実行しているコンピューターで Outlook 2007 または Outlook 2003 を実行する場合、Exchange キャッシュ モードはサポートされません。

  • Outlook 2013 を実行する仮想環境またはリモート デスクトップ サービス (ターミナル サービス) 環境で、ディスク サイズまたはディスク入出力 (I/O) の制限によって目的の規模で Exchange キャッシュ モードを実行できない場合。

非常に大規模なメールボックスを処理する場合、同期フィルターを使用して、ローカル データのサイズを減らすことができます。詳細については、「同期フィルタを作成する」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=193917\&clcid=0x411) および「Optimizing Outlook 2007 Cache Mode Performance for a Very Large Mailbox (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=193918\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。

パフォーマンスに関する考慮事項が Exchange キャッシュ モードで問題となる、非常に大規模なメールボックスを処理する場合は、「Outlook 2007 でパフォーマンスの問題のトラブルシューティング方法」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=193920\&clcid=0x411) を参照してください。

特別な考慮事項

Outlook 2013 は、複数ユーザーがいるリモート デスクトップ サービス (ターミナル サービス) 環境における Exchange キャッシュ モードでの実行をサポートしています。リモート デスクトップ サービス (ターミナル サービス) を実行しているコンピューターが Exchange キャッシュ モードを使用するよう構成する場合、必要な追加の記憶域と、複数クライアント アクセスの I/O 要件を考慮する必要があります。

既定では、リモート デスクトップ サービス (ターミナル サービス) を実行しているコンピューターにセットアップされる新しい Exchange アカウントは、オンライン モードを使用します。セットアップ時に、Exchange キャッシュ モードを有効にするかどうかをユーザーが決定できます。あるいは、Office カスタマイズ ツールまたはグループ ポリシーの [新規および既存の Outlook プロファイルで Exchange キャッシュ モードを使用する] オプションを使用して、この設定を制御できます。

帯域幅が非常に限られた環境では、電子メール ヘッダーとメッセージ本文の 256 文字のプレビューのみをダウンロードするよう Exchange キャッシュ モードを構成できます。詳細については、「Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードを構成する」を参照してください。

Exchange キャッシュ モードで構成されている場合でも、一部の作業を実行するには Outlook 2013 がサーバーと直接接続する必要があります。Outlook が接続されていない場合は、このような作業は機能しません。また、遅延が大きい接続上では完了までに時間がかかることがあります。このような作業には、次のものがあります。

  • 代理メールボックス データ ストアに関する作業。

  • オンラインで使用できない共有フォルダーに関する作業。詳細については、「共有フォルダーのオフライン利用を構成する」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=193926\&clcid=0x411) を参照してください。

  • 空き時間情報の取得。

  • 不在時のメッセージの設定、変更、またはキャンセル。

  • パブリック フォルダーへのアクセス。

  • 権限で保護されたメッセージに対する権限の取得。

  • ルールの編集。

  • メール ヒントの取得。

Exchange キャッシュ モードで Outlook ユーザーの環境を向上する方法

Exchange キャッシュ モードを使用する主な利点は、以下のとおりです。

  • ユーザーをネットワークやサーバーの接続に関する問題から保護する。

  • モバイル ユーザーによるオンラインとオフラインの切り替えを容易にする。

ユーザーのメールボックスと OAB をローカルにキャッシュすることで、Outlook は、ネットワーク接続が継続的に維持されていなくても、ユーザーの情報にアクセスできます。また、接続が確立されている間に、Outlook はユーザーのメールボックスを絶えず更新するので、メールボックスが最新の状態に保たれます。そのため、ユーザーがラップトップなどのポータブル コンピューターをドッキング ステーションから取り外すなどしてネットワークとの接続を断っても、最新の情報がオフラインで自動的に利用できるようになります。

Exchange キャッシュ モードでは、メールボックスのローカル コピーを使うことでユーザーの操作性が向上するだけでなく、サーバーとの接続を介して送信されるデータの種類と量が最適化されます。たとえば、Office カスタマイズ ツールを使用して [低速回線接続ではヘッダーのみをダウンロードする] を構成した場合、接続を介して送信されるデータの種類と量が変更されます。

注意

Outlook は、ユーザーのコンピューターのネットワーク アダプターの速度をチェックすることで、オペレーティング システムから提供されるユーザーの接続回線速度を判断します。ネットワーク アダプターの速度が 128 KB 以下と報告された場合は低速回線接続と見なされます。ただし、状況によっては、ネットワーク アダプターの速度がユーザーのデータ スループットを正確に反映しないこともあります。このような場合に Outlook の動作を調整する方法の詳細については、後述の「低速回線接続と認識された場合の Outlook の動作管理」を参照してください。

Outlook では、さまざまなレベルの最適化によって、接続環境の変化、たとえば会社のローカル エリア ネットワーク (LAN) との接続を断ってオフラインに移行した後、低速なダイヤルアップ接続を使用してサーバーとの接続を再度確立するというような変化に、柔軟に対応できます。Exchange Server との接続の種類 (LAN、ワイヤレス、携帯電話、オフラインなど) が変化しても移行がシームレスに行われるため、設定の変更や Outlook の再起動は必要ありません。

たとえば、あるユーザーが業務にポータブル コンピューターを使用し、ネットワーク ケーブルを通じて企業 LAN に接続しているとします。この状況でユーザーは、ヘッダーとすべてのアイテム (添付ファイルを含む) にアクセスできます。また、Exchange Server が実行されているコンピューターに素早くアクセスして更新を行うことができます。ユーザーがポータブル コンピューターを LAN から切断すると、Outlook は "接続中" モードに切り替わります。ユーザーは Outlook のデータを引き続き使用して作業を続行できます。ユーザーがワイヤレス アクセスに移行すると、Outlook は、サーバーへの接続を再度確立した後に元の "接続" モードに切り替わります。

その後、ユーザーがダイヤルアップ接続を使用して Exchange Server コンピューターに接続すると、Outlook は接続回線が低速であると判断し、その接続回線に対して、ヘッダー以外をダウンロードしないで、OAB の更新を停止することで最適化を図ります。また、Outlook 2013 と Office Outlook 2007 は、接続回線上で送信されるデータ量を減らす最適化機能も備えています。こうした状況で、ユーザーが設定の変更や Outlook の再起動を行う必要はありません。

Outlook 2013 では、新しく "パスワードの入力が必要です" モードが導入されました。"パスワードの入力が必要です" というメッセージが表示されるのは、Outlook が回線から切り離された状態にあって、接続のためにユーザー資格情報を要求しているときです。たとえば、ユーザーが認証資格情報のダイアログ ボックスで [キャンセル] をクリックしたときに表示されます。Outlook が回線から切り離されていてもオフラインでなければ、ユーザーの開始した操作 (リボン上の [送受信] ボタンや [パスワードの入力] ボタンをクリックする) によって Outlook はパスワードを求めるプロンプトを再び表示し、ユーザーの認証が成功して接続が確立されるまで "接続しています" というメッセージを表示します。

Exchange キャッシュ モードの効果を低下させる可能性のある Outlook 機能

Outlook 機能の中には、ネットワーク アクセスを必要としたり、Exchange キャッシュ モード機能を無視することによって、Exchange キャッシュ モードの効果を低下させるものがあります。Exchange キャッシュ モードを使用する主な利点は、ユーザーをネットワークおよびサーバー接続に関する問題から保護できる点です。ネットワーク アクセスに依存する機能は、Exchange キャッシュ モードを使用していれば通常は Outlook で発生することのない応答遅延の原因になる可能性があります。

以下の機能は、ネットワーク アクセスを使用するため、ユーザーが Exchange Server データに高速回線接続していない場合に Outlook の遅延の原因になることがあります。

  • フォルダーがローカルにキャッシュされていない場合の代理人アクセス (ローカル キャッシュが既定)。

  • ローカルにキャッシュされていない別のユーザーの予定表またはフォルダーを開く (ローカル キャッシュが既定)。

  • キャッシュされていないパブリック フォルダーの使用。

詳細については、後述の「同期、ディスクの空き領域、およびパフォーマンスに関する考慮事項」の「Outlook フォルダーの共有を管理する」を参照してください。

Exchange キャッシュ モードを展開する場合は、以下の各機能 (または機能の組み合わせ) は、無効にするか、実装しないようにすることをお勧めします。

  • 電子メール メッセージのデジタル署名による通知機能 Outlook は、デジタル署名を確認するために、サーバーをチェックする必要があります。既定では、ユーザーの受信トレイに新しいメッセージが届くと、Outlook は電子メール メッセージの一部を含む通知メッセージを表示します。ユーザーが通知メッセージをクリックして署名済みの電子メール メッセージを開くと、Outlook はネットワーク アクセスを使用して、メッセージの署名が有効かどうかをチェックします。

  • 複数のアドレス帳コンテナー 通常、アドレス帳には、グローバル アドレス一覧 (GAL) とユーザーの連絡先フォルダーが入っています。組織によっては、GAL のサブセットを構成し、それをアドレス帳に表示することがあります。これらのサブセット アドレス帳を、アドレス帳の検索順序を定義するリストに含めることもできます。サブセット アドレス帳が検索順序リストに含まれている場合、Outlook は、ユーザーの作成する電子メール メッセージの名前を解決するたびに、ネットワークにアクセスしてこれらのアドレス帳をチェックする必要があります。

  • [プロパティ] ダイアログ ボックスの [全般] タブにあるユーザー用のカスタム プロパティ ユーザー名 (電子メール メッセージの [宛先] など) をダブルクリックすると、[プロパティ] ダイアログ ボックスが既定で表示されます。このダイアログ ボックスは、ユーザーのコスト センターなど、組織に固有のカスタム プロパティを含むように構成できます。ただし、このダイアログ ボックスにプロパティを追加する場合、[全般] タブに追加することはお勧めしません。Outlook は、カスタム プロパティを取得するためにサーバーに対してリモート プロシージャ コール (RPC) を発行する必要があります。[全般] タブは、[プロパティ] ダイアログ ボックスがアクセスされたとき既定で表示されるため、ユーザーが [プロパティ] ダイアログ ボックスにアクセスするたびに RPC が実行されます。その結果、Exchange キャッシュ モードで Outlook を実行するユーザーは、このダイアログ ボックスにアクセスする際に、明らかに動作が遅れていると感じることになります。このような遅延を避けるには、[プロパティ] ダイアログ ボックスにカスタム プロパティ用の新しいタブを作成するか、カスタム プロパティを [電話/メモ] タブに含めます。

特定の Outlook アドインが、Exchange キャッシュ モードに影響を及ぼすこともあります。一部のアドインでは、オブジェクト モデルを使用して Outlook データにアクセスするので、Exchange キャッシュ モードのときに期待される機能 ([ヘッダーのみをダウンロードする]、[低速回線接続ではヘッダーのみをダウンロードする]) が無視されます。たとえば、Microsoft ActiveSync テクノロジを使用してハンドヘルド コンピューターを同期させると、低速回線接続の場合でも、ヘッダーだけでなく Outlook アイテム全体がダウンロードされます。また、更新処理の速度が、Outlook でアイテムをダウンロードする場合に比べて遅くなります。1 回限りの処理に基づくアプリケーションでは、効率の良くない種類の同期が使用されるからです。

同期、ディスクの空き領域、およびパフォーマンスに関する考慮事項

Exchange キャッシュ モードでは、ユーザーの Exchange メールボックスのローカル コピーが使用されされるので、状況によっては、組織全体または特定のユーザー グループ (リモートで作業するユーザーなど) のキャッシュ モードのパフォーマンスを向上させることができます。

Exchange アカウントを手動で同期する必要がなくなった

Exchange キャッシュ モードは、Outlook の既存の送受信操作とは独立に動作して、ユーザーの .ost ファイルや OAB ファイルを Exchange Server データと同期させます。送受信の設定は、現在も以前のバージョンの Outlook と同じ方法でユーザーの Outlook データを更新します。

送受信の有効な Exchange アカウントを持つユーザーや、F9 キーを押すか [送受信] をクリックして Outlook データを同期させることに慣れているユーザーは、手動による同期が必要なくなったことに気付いていない可能性があります。実際、ユーザーが Exchange Server に対して送受信要求を繰り返し実行すると、ネットワーク トラフィックが増えてサーバーの使用率に悪影響を及ぼすことがあります。このような影響を最小限に抑えるため、Exchange キャッシュ モードでは手動による送受信操作が不要であることをユーザーに周知してください。以前のバージョンの Outlook を普段はオフライン モードで使い、データを同期させるときや、ネットワークとの接続を解除する直前に送受信操作を実行しているようなリモート ユーザーには、この通知が特に効果的です。この種のデータ同期は、Exchange キャッシュ モードでは自動的に行われます。

この問題に対処するもう 1 つの方法は、ユーザーの [送受信] オプションを無効にすることです。ただし、一部のユーザーで問題が生じるので、この方法はお勧めしません。たとえば、POP アカウントを持つ現在の Outlook ユーザーとカスタマイズされた既存の送受信グループを Outlook 2013 にアップグレードするとき問題が生じます。このような状況では、[送受信] オプションを無効にした場合、ユーザーが Outlook Connector を使用して POP 電子メール メッセージや HTTP 電子メール メッセージをダウンロードできなくなります。

オフライン アドレス帳にアクセスする利点

Exchange キャッシュ モードの Outlook は、ユーザー情報を取得するとき、Exchange Server にデータを要求するのではなく、ローカルのオフライン アドレス帳 (OAB) にアクセスします。ユーザー データをローカルにアクセスすることで、Outlook から Exchange Server コンピューターに対して RPC を実行する必要性が大幅に減るため、Exchange オンライン モードや以前のバージョンの Outlook で必要とされたネットワーク アクセスの大部分が削減されます。

ユーザーが各自のコンピューターに最新の OAB をインストールすると、その後は OAB の増分だけを更新すれば済むのでの、無用なサーバー呼び出しが減ります。Exchange キャッシュ モードの Outlook は、Exchange Server にある OAB のコピーの更新内容を使用して、ユーザーの OAB を 24 時間ごとに同期させます。Exchange Server にある OAB のコピーを更新する頻度を制限することで、OAB の更新内容がダウンロードされる頻度を制御できます。Outlook がチェックしたとき、同期すべき新しいデータが存在しなければ、ユーザーの OAB は更新されません。

注意

ユーザーは既定の Unicode OAB を使用することが推奨されます。ANSI OAB ファイルには、Unicode OAB ファイルに含まれる一部のプロパティが含まれていません。Outlook は、ローカルの OAB にない必須のユーザー プロパティを取得するためにサーバー呼び出しを実行する必要があるので、ユーザーが Unicode 形式の完全な詳細情報を含む OAB を保持していないと、ネットワーク アクセスにかなり時間がかかることがあります。

オフライン フォルダー (.ost ファイル) に関する推奨事項

Outlook の Exchange キャッシュ モードを展開すると、ユーザーのローカル .ost ファイルのサイズは、Exchange Server で報告されるメールボックスのサイズよりも 50 ~ 80% 大きくなる可能性があります。Exchange キャッシュ モードのデータをローカルに格納するために Outlook が使用するファイル形式は、サーバー データのファイル形式よりもスペース効率が良くありません。その結果、Exchange キャッシュ モードのローカル コピーを使用するためにメールボックスをダウンロードすると、より多くのディスク領域が必要になります。

Exchange キャッシュ モードでユーザーのメールボックスのローカル コピーを最初に作成するとき、ユーザーの現在の .ost ファイルが存在すれば、それが更新されます。ユーザーの現在の .ost ファイルが Unicode 形式ではなくて ANSI 形式の場合は、それらの .ost ファイルを Unicode 形式にアップグレードすることをお勧めします。非 Unicode (ANSI) の Outlook ファイルは、データ容量が 2 GB に制限されます。Unicode 形式の .ost ファイルでは最大サイズ (既定値は 50 GB) を構成できます。

また、ユーザーの .ost ファイルが、ユーザーのメールボックスを格納するのに十分なディスク領域を持つフォルダーに配置されていることも確認してください。たとえば、システム プログラム用に小さなディスク領域を割り当てるためにユーザーのハード ディスク ドライブがパーティションに分割されている場合 (.ost ファイルを格納するフォルダーの既定の場所はシステム ドライブ)、より大きなディスク領域を持つ別のドライブ上にユーザーの .ost ファイルの格納場所となるフォルダーを指定してください。

パフォーマンスに関する問題を管理する

多くのユーザーは、Exchange キャッシュ モードがオンライン モードよりも高速であると感じます。しかし、ハード ディスクのサイズと速度、CPU 速度, .ost ファイル サイズ、期待されるパフォーマンス レベルなど、多くの要因がユーザーの感じる Exchange キャッシュ モードのパフォーマンスに影響します。

Outlook のパフォーマンス問題の診断と対策に関するトラブルシューティング ヒントについては、マイクロソフト サポート技術情報の記事「Outlook 2007 でパフォーマンスの問題のトラブルシューティング方法」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=100887\&clcid=0x411) および「Outlook 2007 の展開に関するパフォーマンス上のヒント」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=160227\&clcid=0x411) を参照してください。

Outlook フォルダーの共有を管理する

既定では、ユーザーの Microsoft Outlook 2010 プロファイルが Exchange キャッシュ モードで構成されている場合、共有メールボックス内の Outlook プロファイルからアクセスできるフォルダー内のすべてのアイテムがユーザーのローカル キャッシュにダウンロードされます。これらのアイテムには、ユーザーがプロファイルに追加した他のメールボックスや共有フォルダーが含まれます。これは、メール フォルダー以外の共有フォルダーが既定でキャッシュされる Microsoft Office Outlook 2007 からの変更点です。

詳細については、「Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードを構成する」を参照してください。

パブリック フォルダーのお気に入りに関する考慮事項

Exchange キャッシュ モードは、Outlook パブリック フォルダーのユーザーのお気に入りフォルダーに含まれているパブリック フォルダーをダウンロードおよび同期するように構成できます。既定では、パブリック フォルダーのお気に入りは同期されません。ただし、組織でパブリック フォルダーを広範に使用している場合は、このオプションを有効にすることもできます。Exchange キャッシュ モードの展開をカスタマイズする際に, .ost でパブリック フォルダーのお気に入りをダウンロードするオプションを構成できます。

ユーザーのパブリック フォルダーのお気に入りフォルダーにサイズの大きいパブリック フォルダーが含まれる場合, .ost ファイルのサイズも大きくなる可能性があるため、Exchange キャッシュ モードの Outlook のパフォーマンスに悪影響を与えることがあります。Exchange キャッシュ モードでこのオプションを有効に構成する前に、ユーザーのパブリック フォルダーのお気に入りに含まれるパブリック フォルダーをユーザーが選択できることを確認してください。また、ユーザーの .ost ファイルが、パブリック フォルダーをダウンロードする際の追加の記憶域要件を満たす十分な大きさであり、十分なディスク領域を持つフォルダーに格納されていることを確認してください。

低速回線接続と認識された場合の Outlook の動作管理

Outlook は、ユーザー コンピューターのネットワーク アダプターの速度をチェックすることで、オペレーティング システムにより提供されるユーザーの接続回線速度を判断するように構成されています。報告されたネットワーク アダプターの速度が 128 KB 以下の場合、その接続は低速回線接続と定義されます。

Exchange Server コンピューターへの接続が低速であると判断すると、Outlook はユーザーの操作感を向上させるために、Exchange Server コンピューターと同期される重要度の低い情報の量を減らします。低速回線接続の場合、Outlook は同期処理を次のように変更します。

  • ヘッダーだけをダウンロードするように切り替える。

  • オフライン アドレス帳 (OAB) の更新内容をダウンロードしない。

  • ユーザーから要求があった場合にのみ、アイテムの本文および関連する添付ファイルをダウンロードする。

モバイル デバイスとは引き続き Outlook データの同期が取られ、クライアント側の一部のルールが実行されることもあります。

注意

Exchange キャッシュ モードの [ヘッダーのみをダウンロードする] を有効にしてモバイル デバイスを同期させないことをお勧めします。モバイル デバイスを (ActiveSync などを使用して) 同期させると、Outlook でアイテム全体がダウンロードされるほか、ユーザーのコンピューターに対する通常の Outlook の同期処理よりも効率の良くない同期方法が使用されます。

[ヘッダーのみをダウンロードする] モードの同期は、ダイヤルアップ接続や携帯電話の無線接続を使用する Outlook ユーザーが、低速の回線接続またはコストのかかる接続環境でネットワーク トラフィックを可能な限り少なくできるように設計されています。

ネットワーク アダプターの速度が、ユーザーのデータ スループットを正確に反映しないことがあります。たとえば、ユーザーのコンピューターが、ローカル ファイル サーバーに高速でアクセスするためにローカル エリア ネットワーク (LAN) に接続している場合、ネットワーク アダプターの速度は、ユーザーが LAN に接続しているので、高速と報告されます。しかし、ユーザーが組織のネットワーク上の他の場所 (Exchange Server コンピューターを含む) にアクセスする場合には、ISDN 接続などの低速のリンクが使われることもあります。ネットワーク アダプターについては高速回線接続であると報告されるものの、ユーザーの実際のデータ スループットは低速であるというこうした状況で、Outlook の動作を変更または強制するオプションを構成します。たとえば、グループ ポリシー オブジェクト エディターのオプション [[低速回線接続ではヘッダーのみダウンロード] を無効にする] を使用して、ヘッダーのみのダウンロードに自動的に切り替わる機能を無効します。同様に、Outlook では低速回線接続と判断される一方で、ユーザーの実際のデータ スループットが高速な場合もあります。この場合も、ヘッダーのみのダウンロードに自動的に切り替わる機能を無効にするとよいでしょう。

[低速回線接続ではヘッダーのみをダウンロードする] オプションは、OCT で構成するか、グループ ポリシー オブジェクト エディターで [[低速回線接続ではヘッダーのみダウンロード] を無効にする] をオンにして強制できます。この設定をカスタマイズする方法の詳細については、「Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードを構成する」を参照してください。

Exchange キャッシュ モードを段階的に展開するオプション

大規模なユーザー グループを、Exchange キャッシュ モードを使用しない Outlook の展開から、Exchange キャッシュ モードを有効にした Outlook 2013 にアップグレードすることを計画している場合は、時間をかけて段階的にロールアウトを行ってください。Exchange キャッシュ モードを使用しない Outlook に該当するのは、Outlook 2002 以前か、Office Outlook 2003 か、Exchange キャッシュ モード がインストールされていない Office Outlook 2007 です。時間をかけて段階的にロールアウトを行うと、組織の Exchange Server コンピューターでユーザーの .ost ファイルを作成または更新する要件を管理するのに役立ちます。

警告

多くのユーザー アカウントを Exchange キャッシュ モードを使用するように一度に更新した後、同じ時期 (たとえば、週末のアップグレード後の月曜日の朝など) に Outlook を開始すると、Exchange Server コンピューターにパフォーマンス上の重大な問題が発生します。このようなパフォーマンス上の問題は、組織のユーザーの多くが最新の .ost ファイルを持っている場合など、一定の状況では緩和される場合もあります。ただし一般的には、Exchange キャッシュ モードを時間をかけて段階的に展開することをお勧めします。

以下のシナリオは、展開時に Exchange Server コンピューターに深刻なパフォーマンス問題が発生することを避け、状況により、初回の同期処理の待機時間を最小化するように、Exchange キャッシュ モードを展開する方法の例です。

  • Exchange キャッシュ モードの展開時に Outlook .ost ファイルを維持します。 既存の .ost ファイルは、Exchange キャッシュ モードの Outlook が初めて起動する際に最新のメールボックス情報でそのまま更新されるため、Exchange キャッシュ モードの展開時にこれらの .ost ファイルを維持しておくと、組織の Exchange Server コンピューターの負荷が減少します。.ost ファイルを既に保持しているユーザーは、サーバーと同期させる Outlook 情報が少なくて済みます。このシナリオは、Exchange Server と比較的最近同期した .ost ファイルをほとんどのユーザーが既に保持している場合に、最も効果的に機能します。Exchange キャッシュ モードの Outlook を展開する際に .ost ファイルを維持するには、OCT で Outlook プロファイル情報をカスタマイズする際に、新しい Exchange Server コンピューターを指定しないでください。代わりに、Outlook プロファイルをカスタマイズする際に、[Exchange Server 接続が存在する場合は、既存の Exchange 設定を上書きする (プロファイルの変更時のみ適用)] チェック ボックスをオフにします (このオプションを有効にして Outlook を構成および展開する場合に Exchange Server コンピューターを指定すると、MAPI プロファイルの Exchange サービス プロバイダーが置換されるため、既存の .ost ファイルのプロファイル エントリが削除されます)。現在、非 Unicode (ANSI) 形式の .ost ファイルを使用している場合は、パフォーマンスおよび機能を強化するためにユーザーの .ost ファイルを Unicode 形式にアップグレードすることをお勧めします。この場合、以前の非 Unicode (ANSI) 形式の .ost ファイルを保持することはできません。それらは Unicode 形式で作り直されます。

    既存の Unicode (ANSI) 形式の .ost ファイルを Unicode 形式に強制的にアップグレードする方法については、「Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードを構成する」の「非 Unicode ANSI 形式の .ost ファイルを Unicode 形式に強制的にアップグレードするには」を参照してください。

  • シード .ost ファイルをリモート ユーザーに配布し、ユーザーがその .ost ファイルをインストールした後に Exchange キャッシュ モードを展開します。 組織の大部分のユーザーが .ost ファイルを現在保持していない場合や、Exchange キャッシュ モードを使用していない場合は、Exchange キャッシュ モードを無効にして Outlook 2013 を展開します。次に、Exchange キャッシュ モードの展開予定日の前に、ユーザーのメールボックスのスナップショットを含む初期の .ost ファイル (シードとなるファイル) を各ユーザーに提供します。たとえば、そのファイルが記録された CD をインストール方法の指示付きで各ユーザーに手渡すか郵送します。このとき、完全な詳細情報を含む組織のオフライン アドレス帳 (OAB) の最新バージョンを配布することもできます。ユーザーがファイルをインストールしたことを確認した後に、Exchange キャッシュ モードを構成および展開します。

    Exchange キャッシュ モードを使用するように後から Outlook の展開を更新すると、Exchange Server ではユーザーの既存の .ost ファイルが更新されるため、ユーザーごとに新しく .ost ファイルと OAB を作成する場合と比較して同期するデータ量がずっと少なくなります。各ユーザーの .ost ファイル用に個別の CD を作成する作業は時間がかかります。そのため、このシード ファイルを展開する方法は、別の方法を使用するとメールボックスおよび OAB の初回の同期作業を長い間待機することになり、リモートの接続環境によってはコストがかかることが予想されるリモート ユーザーの一部のグループに適用するのが最も効果的と考えられます。

    初期 .ost ファイルの作成の詳細については、「Providing an initial OST file for an Outlook Cached Exchange Mode deployment (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=74518\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。この記事では、Office Outlook 2003 用の初期 .ost ファイルの作成について説明しています。この処理は、Office Outlook 2007 と Outlook 2013 でも同様に機能します。

  • ユーザー グループに対して Outlook を Exchange キャッシュ モードで時間をかけて展開します。 一定期間にわたって、ユーザー グループを Exchange キャッシュ モードへアップグレードすることによって、Exchange Server コンピューターとローカル エリア ネットワークの負荷のバランスをとることができます。ネットワーク トラフィックと、ユーザーのメールボックス アイテムの .ost ファイルへの入力および OAB のダウンロードというサーバーに負荷のかかる作業は、段階的に新しい機能を展開することによって、軽減できます。Exchange キャッシュ モードを作成してユーザー グループに展開する方法は、組織の通常の展開方法によって異なります。たとえば、Microsoft Systems Management Server (SMS) でユーザー グループを作成し、Exchange キャッシュ モードを使用して Outlook を更新する SMS パッケージをそのグループに対して展開する場合があります。この場合、各グループに対して SMS を一定期間にわたって展開します。できる限り負荷のバランスをとるには、Exchange Server コンピューターのグループに分散しているアカウントをユーザー グループとして選択します。

現在の Exchange キャッシュ モード ユーザーを Outlook 2010 にアップグレードする

Office Outlook 2003 または Outlook 2007 で既に Exchange キャッシュ モードを有効にしているユーザーを Outlook 2013 にアップグレードするのは簡単です。Exchange キャッシュ モードの設定を変更しなければ、Outlook 2013 で同じ設定が保持されます。.ost または OAB ファイル形式は変更されていないので、アップグレード中にこれらのファイルを作成し直す必要はありません。

ただし Outlook 2013 では、Exchange キャッシュ モードが有効なとき、ユーザーがアクセスする他のメール ボックス内の共有メール フォルダーおよびメール フォルダー以外のフォルダーが、既定でダウンロードされユーザーのローカル .ost ファイルにキャッシュされるということに注意してください。この動作は、メール フォルダー以外の共有フォルダーのみが既定でキャッシュされる Outlook 2007 とは異なります。そのため、ユーザーの既存の Office Outlook 2003 プロファイルで Exchange キャッシュ モードが有効になっており、そのプロファイルが Outlook 2013 にアップグレードされる場合、共有メール フォルダーとメール フォルダー以外のフォルダーが、ユーザーからのアクセス時にダウンロードされます。組織が広範囲にわたって共有フォルダーを使用し、使用している .ost ファイルのサイズが上限 (ANSI .ost ファイルの場合は 2 GB、Unicode .ost ファイルの場合は既定で 20 GB) に近い場合、このことが問題になる可能性があります。これらの要素がどちらも存在する場合、共有フォルダーをダウンロードすると、パフォーマンス上の問題やその他の問題が発生することがあります。ファイル サイズの制限の詳細については、「Outlook 2010 で .pst ファイルと .ost ファイルのサイズ上限が大きい」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=223378\&clcid=0x411) を参照してください。

新しい Outlook 2013 プロファイルを使用する場合、あるいは既存の Office Outlook 2003 または Outlook 2007 プロファイルをアップグレードする場合は、OCT またはグループ ポリシーを使用して、共有フォルダーのダウンロード オプションを無効にすれば、共有フォルダーをダウンロードするときの問題を回避できます。設定 [メール フォルダー以外の共有フォルダーをダウンロードする] は、Outlook 2013 のメール フォルダーおよびメール以外のフォルダーの両方に適用されます。

共有メール フォルダー (委任された受信トレイなど) のキャッシュを無効にするが、メール フォルダー以外の共有フォルダー (カレンダーなど) を無効にしない場合は、「既定では、共有メール フォルダーをキャッシュ モードでは、Outlook 2010 ダウンロードします。」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=223376\&clcid=0x411) を参照してください。

また、共有フォルダーのキャッシュと Exchange キャッシュ モードでのその他のキャッシュは、動作が異なるという点に注意してください。共有フォルダーでは、ユーザーが共有フォルダーをクリックしたときにのみ、ローカルの .ost ファイルのレプリケーションが開始されます。ユーザーがフォルダーをクリックしてそのフォルダーのキャッシュを開始すると、Outlook は、Exchange キャッシュ モードで同期されている他の Outlook フォルダーが更新されるのと同様に、そのフォルダーを更新します。ただし、ユーザーが少なくとも 45 日ごと (既定値) にフォルダーに移動しなければ、ユーザーがそのフォルダーを再びクリックするまで、ローカルにキャッシュされたデータは .ost ファイルから削除されダウンロードされません。

キャッシュされた共有データが .ost ファイルから削除されるまでの日数を構成する場合は、OCT またはグループ ポリシーの [共有フォルダーのデータを同期する] オプションを構成できます。Exchange キャッシュ モードを構成する方法の詳細については、「Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードを構成する」を参照してください。

既に .ost ファイルがあるユーザーに Exchange キャッシュ モードを展開する

Exchange Server にオンライン モードで接続する Outlook ユーザーが .ost ファイルを持つ場合があります。それらのユーザーが非 Unicode (ANSI) 形式の .ost ファイルと大規模な Exchange メールボックスを持っている場合は、Outlook がそれらのメールボックスをユーザーの .ost ファイルと同期させようとしたとき、ユーザーにエラーが返される可能性があります。ユーザーの .ost ファイルを Unicode 形式のファイルにアップグレードすることをお勧めします。Outlook Unicode ファイルには、Outlook ANSI ファイルのような 2 GB のサイズ制限がないからです。Unicode は Outlook 2013 の既定のファイル形式です。既存の非 Unicode (ANSI) 形式の .ost ファイルを Unicode 形式のファイルに強制的にアップグレードする方法については、「Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードを構成する」の「非 Unicode ANSI 形式の .ost ファイルを Unicode 形式に強制的にアップグレードするには」を参照してください。

Exchange キャッシュ モード構成する

Outlook グループ ポリシーの管理用テンプレート (Outlk14.adm) を使用して設定を強制し、Exchange キャッシュ モードをカスタマイズできます。または、Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用して、既定の設定を構成することもできます。その場合はユーザーが設定を変更できます。

グループ ポリシーを使用すると、ユーザーが Outlook 2013 で Exchange キャッシュ モードを有効化できないようにしたり、Exchange キャッシュ モードのダウンロード オプションを適用したり、その他の Exchange キャッシュ モードのオプションを構成したりできます。たとえば、Exchange Server コンピューター上またはクライアント コンピューター上でデータが変更されたときに Exchange Server を同期させる既定の間隔を指定できます。

グループ ポリシーを使用して設定を強制する手順については、「Outlook 2010 で Exchange キャッシュ モードを構成する」を参照してください。

次の表は、Exchange キャッシュ モードに対して構成できる設定の一部を示しています。グループ ポリシーでは、設定は [ユーザーの構成\管理用テンプレート\Microsoft Outlook 2010\アカウント設定\Exchange\Exchange キャッシュ モード] の下にあります。OCT 設定は、OCT の [ユーザー設定の変更] ページの対応する場所にあります。

オプション 説明

[アイテムを完全にダウンロード] を無効にする

Outlook の [アイテムを完全にダウンロード] オプションを無効にすることができます。このオプションを見つけるには、[送受信] タブをクリックし、[ダウンロードの設定] をクリックします。

[ヘッダーをダウンロード] を無効にする

Outlook の [ヘッダーをダウンロード] オプションを無効にすることができます。このオプションを見つけるには、[送受信] タブをクリックします。

[ヘッダーに続いてアイテムを完全にダウンロード] を無効にする

Outlook の [ヘッダーに続いてアイテムを完全にダウンロード] オプションを無効にすることができます。このオプションを見つけるには、[送受信] タブをクリックし、[ダウンロードの設定] をクリックします。

[低速回線接続ではヘッダーのみダウンロード] を無効にする

Outlook の [低速回線接続ではヘッダーのみダウンロード] オプションを無効にすることができます。このオプションを見つけるには、[送受信] タブをクリックし、[ダウンロードの設定] をクリックします。

パブリック フォルダーのお気に入りをダウンロード

パブリック フォルダーのお気に入りを Exchange キャッシュ モードで同期できます。

メール フォルダー以外の共有フォルダーをダウンロードする

メール フォルダー以外の共有フォルダーを Exchange キャッシュ モードで同期できます。

新規および既存の Outlook プロファイルで Exchange キャッシュ モードを使用する

新規および既存の Outlook プロファイルで Exchange キャッシュ モードを使用する構成が有効になります。新規および既存の Outlook プロファイルでオンライン モードを使用する構成は無効になります。

次の表に、Exchange 接続に対して構成できる追加設定の一部を示します。グループ ポリシーでは、これらの設定は [ユーザーの構成\管理者用テンプレート\Microsoft Outlook 2010\アカウント設定\Exchange] の下にあります。OCT 設定は、OCT の [ユーザー設定の変更] ページの対応する場所にあります。

オプション 説明

Active Directory のプライマリ SMTP アドレスに基づいてプロファイルを自動的に構成する

新規アカウントのセットアップに使用する SMTP 電子メール アドレスを Active Directory から取得したアドレスからユーザーが変更できないようにすることができます。

Outlook Anywhere のユーザー インターフェイス オプションを構成する

ユーザーが Outlook Anywhere のユーザー インターフェイス (UI) オプションを表示および変更できるようにします。

OST ファイルを作成できないようにする

オフライン フォルダーを使用できないようにします。

従来の Exchange アカウントを制限する

プロファイルに追加される最初のアカウントを制限できます。

1 プロファイルあたりの Exchange アカウントの最大数を設定する

Outlook プロファイルごとに許容される Exchange アカウントの最大数を設定できます。

共有フォルダーのデータを同期する

Outlook がフォルダーと Exchange の同期を停止する前にユーザーが Outlook にアクセスしない日数を制御できます。

参考資料

Exchange キャッシュ モードの展開を計画する方法の詳細については、次の資料を参照してください。