Excel 2010 での変更点
適用先: Office 2010
トピックの最終更新日: 2017-01-20
Microsoft Office Excel 2007 から Microsoft Excel 2010 にアップグレードする場合は、この記事で説明されている変更点と移行時の考慮事項を確認してください。Microsoft Office Excel 2003 からアップグレードする場合は、「Excel 2007 での変更点」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=134563\&clcid=0x411) および「Excel 2007 での移行に関する考慮事項」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=164062\&clcid=0x411) も参照してください。
この記事の内容
新機能
変更された機能
削除された機能
移行時の検討事項
新機能
ここでは、IT 管理者に関係のある Excel 2013 の新機能を中心に説明します。新機能の詳細については、「Excel 2010 の新機能」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=200398\&clcid=0x411) を参照してください。
ユーザーのニーズへの対応
このセクションでは、ユーザーのニーズに対応するために行われた Excel 2013 の変更点について、特にプログラム機能の強化を中心に説明します。
高性能コンピューティング
Excel 2013 では、複数のコンピューターを使用して、膨大な計算を要する問題を高性能コンピューティング (HPC) によって解決します。Excel 2013 をデスクトップ コンピューターで実行するときは、特定の種類のユーザー定義関数の計算の評価を、Microsoft Windows HPC Server 2008 R2 など、互換性のあるクラスターに任せることができます。このように処理を任せることで、Excel 2013 では、ユーザー定義関数を計算しているクラスターと並行してブックの他の部分の計算を続行できます。また、ブック全体をクラスターで計算することもできます。たとえば、一連の計算をクラスターでまとめて同時に実行することによって、ブック モデルを何千回も再計算できます。サポートされているコンピューター クラスターが利用できる場合、Excel 2013 でそのクラスターを使用するには、[Excel のオプション] ダイアログ ボックスの [詳細設定] のオプションでクラスター コネクタを選択し、使用する特定のクラスター名を構成します。
Excel 2013 のこの機能を使用して、数理解析やデータ処理の問題、またはモンテカルロ シミュレーションを解決できます。クラスター セーフなユーザー定義関数は XLL で実装する必要があります。VBA や COM オートメーション アドインでは、クラスター セーフなユーザー定義関数を作成できません。また、クラスター セーフなユーザー定義関数では、値を返す以外の方法で Excel とやりとりすることはできません。ブックはクラスター用に設計されている必要があります。つまり、既存のブックをクラスターで処理するには変更が必要になることがあります。このオプションは、32 ビットおよび ia64 ベースの言語固有の Itanium プラットフォームではサポートされません。
詳細については、「HPC Services for Excel」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=193165\&clcid=0x411) を参照してください。
グラフの要素のマクロの記録のサポート
Microsoft Office Excel 2007 では、グラフやその他のオブジェクトの書式設定中にマクロを記録しても、マクロ コードが生成されませんでした。しかし Excel 2013 では、マクロ記録を使用してグラフや他のオブジェクトの書式変更を記録し、記録した変更を繰り返し再利用できます。マクロをユーザーに配布することで、書式設定を標準化できます。
XLM と VBA の相違の解消
Excel には Excel 4 マクロ (略して XLM) と呼ばれるマクロ機能があり、Excel 5.0 で VBA が導入されるまでは、この XLM が主要なマクロ言語でした。ほとんどのユーザーは、Excel 4 マクロから VBA への移行をかなり前に済ませています。しかし、Excel 4 マクロの一部の機能が VBA にはなかったため、移行が難しいことがありました。
Excel 2013 での開発目標の 1 つは、Excel 4 マクロを VBA に移行するうえで残されていた障壁を取り除くことでした。Excel 2013 でも、今までどおり Excel 4 マクロを作成、編集、および実行できます。Excel 2013 を使用して、現在のマクロを移行できます。
非同期に実行されるユーザー定義関数
Excel 2013 では、プロセッサの処理をあまり必要としないユーザー定義関数を非同期として作成できます。この機能は XLL アドインでサポートされ、非同期ユーザー定義関数の作成に必要なものはすべて新しい Excel 2013 SDK に揃っています。
動作のしくみ
ユーザー定義関数を次の 2 つの部分に分けます。
同期関数呼び出し。非同期計算、データ要求、外部 Web サービス呼び出しなどをセットアップし、すぐに戻ります。
非同期部分。準備ができたときに Excel に結果を返します。
Excel は未完了のユーザー定義関数呼び出しを追跡し、計算の独立した部分を続行します。ユーザー定義関数呼び出しの結果を XLL アドインで利用できるようになると、アドインはその結果を使用して Excel へのコールバックを行います。XLL アドインを構成する方法については、「Programmability Improvements in Excel 2010 (ブログ) (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=200472\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。
ビジネス インテリジェンス
ビジネス インテリジェンス (BI) は、意思決定を支援するテクノロジ分野です。
スパークライン
スパークラインは、Excel 2013 の新しい種類の視覚化機能です。スパークラインは小さなセル サイズのグラフィックで、折れ線グラフ、縦棒グラフ、または勝敗グラフを使用して一連の値の傾向を示します。スパークラインを使用すると、情報密度の高いグラフィックが 1 つのセルに表示されるので、データを即座に把握できます。スパークラインはデータの "理由" ではなく "状況" を示します。詳細については、「Sparklines in Excel (ブログ) (英語)」を参照してください。
スライサー
スライサーは、データのフィルター処理と解釈を容易にする機能です。スライサーによって、ブックのピボットテーブルとキューブ関数が強化されます。フィルターされたデータを対話的にスライスできます。スライサーはグリッドの上に配置され、レポート フィルターのように動作するので、ピボットテーブル、ピボットグラフ、またはキューブ関数に結び付けて対話型のレポートやダッシュボードを作成できます。詳細については、「Easy (and Even Fun!) Data Exploration: Introducing Excel 2010 Slicers (ブログ) (英語)」、「Interacting with Slicers (ブログ) (英語)」、および「Dressing up your Slicers (ブログ) (英語)」を参照してください。
Microsoft SQL Server PowerPivot for Excel アドイン
膨大な量のデータをモデル化して分析する必要がある場合は、PowerPivot for Excel アドインをダウンロードし、Excel ブック内でそのデータを処理できます。このアドインを使用すると、企業データベース、ワークシート、レポート、データ フィードなど、複数のソースからのデータをすばやく結合できます。結合したデータは、ピボットテーブル、スライサーなど、Excel の機能を使用して、対話形式で調査、計算、および集計できます。データを操作すると、処理するデータが数百行でも数億行でも、応答時間が短いことがわかるはずです。Microsoft SharePoint Server 2010 の Excel Services にアクセスできる場合は、レポートと分析を SharePoint サイトで公開することで、組織内の他のユーザーと作業の成果を共有できます。
PowerPivot の詳細については、「Introducing PowerPivot for Excel 2010 (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=186137\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。
計算機能の強化
ここでは、Excel の計算エンジンに対する更新内容について説明します。
ソルバーの新バージョン
Excel 2013 には、新しいバージョンのソルバー アドインが含まれます。このソルバーを使用すると、what-if 分析で最適な解を見つけることができます。ソルバーのユーザー インターフェイスは、遺伝的アルゴリズムに基づく新しいエボリューショナリー ソルバーによって強化されており、任意の Excel 関数によるモデル、新しいグローバル最適化オプション、よりよい線形プログラミングと非線形最適化手法、および線形性と実現可能性の新しいレポートを処理します。さらに、ソルバー アドインは 64 ビット版も提供されるようになりました。Frontline Systems によるソルバーの詳細なヘルプについては、www.solver.com の「Solver Help (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=164909\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。
新しい統計関数
Excel 2013 では、Excel の関数ライブラリが強化されています。関数の精度が向上し、50 個の新しい関数が追加されて Excel の関数名と定義との一貫性が向上し、新しい関数ユーザー インターフェイスが追加されています。統計関数、財務関数、および数学関数の精度を高めるために、新しいアルゴリズムが実装されました。強化された点の詳細については、「Function Improvements in Excel 2010 (ブログ) (英語)」を参照してください。
Excel Services
ここでは、Excel Services の変更点を中心に説明します。詳細については、「Excel Services 2010 Overview (ブログ) (英語)」を参照してください。
Excel Services の強化
多くの組織では、Excel Services を使用して、組織の重役、関係者などの他のユーザーとブックやデータを共有しています。Excel Services を SharePoint サイトで使用すると、次のような機能を利用できます。
Backstage からのブックの共有 Excel 2013 より前のバージョンでも、ワークシートのデータを SharePoint サイトに保存および発行することはできました。Excel 2013 では、この操作を行うためのオプションが Microsoft Office Backstage ビューの [共有] タブにまとめられて便利になりました。
Excel 機能のサポートの強化 Excel 2013 より前のバージョンでは、サポートされない機能がブックに含まれていると、ブラウザーでブックを開くことができませんでした。Excel 2013 では、サポートされない機能が含まれるほとんどのブックが開きます。さらに、スパークライン、スライサーなどの Excel 2013 の新機能を含めて、Excel Services でサポートされる Excel の機能が増えています。
ブックの編集およびグループ作業 Excel Services がインストールされている SharePoint サイトにブックを発行すると、サポートされている Web ブラウザーでそのブックを表示するだけでなく、編集することもできます。さらに、仕事仲間と一緒に同じブックを同時に処理することもできます。このため、ブックを電子メールで回覧したり、他のユーザーがブックをサーバーにチェックインするまで待ってから編集したりする必要はなくなりました。たとえば、自分と上司が同じワークシートを別々のオフィスで表示しているとします。データに変更を加えると、上司の画面にもその変更内容が表示されます。Excel Services の詳細については、「Excel Services の新機能 (SharePoint Server 2010)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=168442\&clcid=0x411) を参照してください。
プログラム機能の強化 次のような機能が強化されています。
Web サービス API の強化
新しい REST API
新しい JavaScript OM
Excel の新しい機能と視覚化のサポート スライサー、スパークライン、新しい条件付き書式などの機能があります。
管理用スクリプト機能の強化 Windows PowerShell を使用します。
Office スイートの変更点
新しい 64 ビット版の Office では、より大きなデータ セットを処理できます。このことは、Excel 2013 では特に重要です。これを新しい VBA 7.0 と組み合わせて使用します。64 ビット版の Excel 2013 を使用するときは、VBA の更新が必要になることがあります。詳細については、「Excel 2010 – Now With More Bits! (ブログ)」を参照してください。
Backstage ビュー
新しい Backstage ビューは、従来の [ファイル] メニューを置き換えるものです。すべてのファイル管理作業を Backstage ビューで行うことができます。Backstage ビューにアクセスするには、[ファイル] タブをクリックします。以前はワークシートのデータを SharePoint サイトに保存および発行できましたが、Excel 2013 では、この操作を行うオプションが Microsoft Office Backstage ビューの [共有] タブにまとめられています。詳細については、「Backstage (ブログ)」を参照してください。
Excel 2010 64 ビットの利点
64 ビット版のアプリケーションでは、これまで以上に容量の大きい物理メモリを使用できます。このことは、非常に大きいデータ セットを扱う必要があるユーザーにとって特に重要です。Excel 2013 では、メモリ消費を最適化しながら、セルのテーブル (および関連操作) をできるだけ高速に維持するように 64 ビット アーキテクチャへの投資が行われました。
たとえば、32 ビット版の Excel では大きすぎて開けないようなブックを 64 ビット版の Excel で作成できます。ただし、一般には、32 ビットと 64 ビットの両方で同じブックを使用できます。64 ビットのサポートとコードの互換性については、「Programmability Improvements in Excel 2010 (ブログ) (英語)」を参照してください。
変更された機能
ここでは、IT 管理者に関係のある Excel 2013 の機能の変更点について説明します。変更された機能の詳細については、「Excel 2010 で廃止、変更される機能」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=182569\&clcid=0x411) を参照してください。
ユーザーのニーズへの対応
このセクションでは、ユーザーのニーズに対応するために行われた Excel 2013 の変更点について、特にプログラム機能の強化を中心に説明します。
互換モード ツール
Excel 2013 で以前のバージョンの Excel を開くと、Excel 2013 の新機能は無効になります。たとえば、以前のバージョンの Excel を開くと、2010 の新しいスパークライン機能やスライサー機能は無効になります。Excel 97-2003 ファイル形式 (.xls) で作成されたブックは自動的に互換モードで開きます。Excel 2013 で作成するブックでも、以前のバージョンの Excel を使用しているユーザーが対象であれば、互換モードをオンにして、以前のバージョンの Excel と互換性のない関数や機能を誤って使用しないようにする必要があります。まだ Office Excel 2007 以降のバージョンに移行していないユーザーとブックを共有する予定がある場合は、このことが非常に重要です。
ファイルの読み込みのパフォーマンス
ファイルの読み込み (開いて保存する処理) は、Excel 2013 の並列処理およびマルチコア機能に向いています。ただし、パフォーマンスが向上するかどうかは、ブックの構造と内容に大きく左右されます。たとえば、ブック内に非常に大きなシートが 1 つしかない場合、ファイルの読み込み時間の比較的大部分は、1 つのシートを読み込むために費やされます。しかし、非常に大きなシートが 2 つある場合、Excel では最初のシートがまだメモリに読み込まれている最中に、2 番目のシートをディスクから取得できます。
ビジネス インテリジェンス
ビジネス インテリジェンス (BI) は、意思決定を支援するテクノロジ分野です。
ピボットテーブルの強化
Excel 2013 でのピボットテーブルは、より使いやすく高速になりました。重要な改良点としては次のようなものがあります。
向上したパフォーマンス Excel 2013 では、マルチスレッドを利用することで、ピボットテーブルのデータ取得、並べ替え、およびフィルター処理の速度が向上しました。
**OLAP の書き戻しのサポート (ピボットテーブルの What-if 分析とも呼ばれる)**Excel 2013 では、ユーザーは、ピボットテーブルのセル内の値を変更したり、新しい値でピボットテーブルを再計算したりできます。また、満足な結果が得られた場合は、変更したデータをオンライン分析処理 (OLAP) キューブ (または Analysis Services キューブ) に発行し、データを他のユーザーと共有できます。詳細については、「Excel 2010 PivotTable What-If Analysis (Writeback) (英語)」を参照してください。
名前付きセット 名前付きセットは、再利用可能なアイテムのグループを作成してピボットテーブルで使用するためのツールです。他の方法ではできないやり方で、さまざまな階層のアイテムを結合できます (非対称型レポート)。独自のカスタム多次元式 (MDX) に基づいてピボットテーブルを作成できます。動的なセットを使用して、フィルターに基づいて動的に変化するピボットテーブルを作成できます。詳細については、「PivotTable Named Sets in Excel 2010 (ブログ) (英語)」を参照してください。
動的なセットのサポート データの同じアイテムのセットを繰り返し処理するときに、Excel 2013 にはこのアイテムの論理グループを 1 つのオブジェクトとして簡単に作成および再利用できる機能が用意されています。OLAP ピボットテーブルのユーザー向けに、マトリックスのフィルターを使用した動的な表示がサポートされています。
フィルター処理
大きなワークシートでは、フィルター処理を利用して、テーブルやピボットテーブル ビューの特定のデータをすばやく見つけて表示できます。新しい検索フィルター機能を使用すると、大きなデータ セットを選別する時間が短縮されます。詳細については、「Excel 2010: New Search Filter (ブログ) (英語)」を参照してください。
条件付き書式
条件付き書式では、ブックの別のシートを参照できます (シート間の条件付き書式)。条件付き書式を使用すると、重要な傾向を見つけて表示し、データの例外を強調できます。より多くのスタイル、データ バーのオプション、および新しいアイコン セットを利用できます。他のワークシートへの参照は、条件付き書式ルールで行うことができます。条件付き書式には式の依存関係が格納されるので、条件付き書式全体の再評価をたびたび行う必要はありません。ピボットテーブルやスクロールの更新がより迅速になり、より高速に表示されます。詳細については、「More Conditional Formatting Features in Excel 2010 (ブログ)」を参照してください。
アイコン セット
アイコン セットは、新しい種類の条件付き書式です。各セルに描画されるアイコンは、選択した範囲内の他のセルに対するセルの相対値を表します。データ分析の一部として類似データのグループを作成するにはアイコン セットが適しています。詳細については、「Icon Set Improvements in Excel 2010 (ブログ) (英語)」を参照してください。
データ バー
データ バーが値に応じて均等に表示されるようになりました。負の値がより明確に表示され、ゼロの値は表示されません。詳細については、「Data Bar Improvements in Excel 2010 (ブログ) (英語)」を参照してください。
OfficeArt のコントロールとオブジェクト
Excel 2013 では、図形オブジェクトに加えて、次のコントロールとオブジェクトが新しい OfficeArt テクノロジに変換されます。
フォーム コントロール
Microsoft ActiveX オブジェクト
OLE オブジェクト
カメラ ツール オブジェクト
以前のバージョンの Microsoft Excel で描画され、Microsoft Excel 2010 SmartArt 形式にアップグレードされていない図形オブジェクトは、Excel 2013 SmartArt 形式で作成されたかアップグレードされた図形オブジェクトとグループ化できません。両者の図形オブジェクトを混在させると、オブジェクトは層状に重なり、前のバージョンの図形オブジェクトが、それ以降のすべてのバージョンのオブジェクトの上に描画されます。このため、以前のバージョンの Excel で作成されたダイアログ シートの上に Excel 2013 のグラフを表示することはできません。新しい図形オブジェクトには、[オブジェクトの選択] ([ホーム] タブ、[編集] グループ、[検索と選択] ボタン) をクリックしてもアクセスできません。新しい図形オブジェクトを選択するには、[複数オブジェクトの選択] コマンド ([ファイル] タブ、[オプション]、[リボンのユーザー設定]) を使用する必要があります。
パターン効果
2007 で削除されたパターン効果が Excel 2013 で再導入されています。以前のバージョンの Excel でパターン効果を使用して書式設定されたグラフは、Office Excel 2007 で開いたときにパターン効果が維持されて表示されます。詳細については、「Chart Pattern Fills (ブログ)」を参照してください。
戦略的な強化
グラフ作成の強化
Excel 2013 ではグラフをいっそう簡単に使用できるようになりました。具体的には次のような点が改良されました。
新しいグラフ作成制限 Microsoft Office Excel 2007 ではグラフをいっそう簡単に使用できるようになりました。新しいグラフ作成制限も改良点の 1 つです。Microsoft Office Excel 2007 では、2D グラフのデータ系列に入るデータ要素の数は最大 32,000 個でした。Excel 2013 では、データ系列内のデータ要素の数は、利用できるメモリによってのみ制限されます。このため、ユーザー (特に科学分野のユーザー) は大量のデータをいっそう効率よく視覚化および分析できます。大きな 64 ビットのワークシートを 32 ビット コンピューターで計算すると、メモリ エラーが発生することがあります。
グラフ要素のマクロ記録 Office Excel 2007 では、グラフまたは他のオブジェクトの書式設定の間にマクロを記録しても、マクロ コードは生成されませんでした。一方、Excel 2013 では、マクロ記録を使用してグラフや他のオブジェクトに対する書式設定の変更を記録できます。
グラフ UI の強化 ピボットグラフの対話機能の向上、書式設定の強化、パリティの改良、制限の引き上げなどが挙げられます。任意のグラフ要素をダブルクリックすると、書式設定ダイアログ ボックスが表示されます。グラフ要素はミニ バーを右クリックして選択できます。パターン効果が復活しました。グラフの書式を設定するときに、マクロを記録して書式とレイアウトの変更を再利用できるようになりました。パリティの改良は、軸目盛の設定、レイアウト、視覚パリティ、オブジェクト モデル パリティの各領域で行われています。グラフのデータ サイズの制限は排除されたか引き上げられています。2D グラフでデータ系列あたり 32,000 個だった要素の数の制限は排除されています。コンピューターのメモリが現在の制限です。256,000 個だったデータ要素の最大数の制限は排除されています。最大数は利用可能なメモリとコンピューターの処理能力によってのみ制限されます。詳細については、「More Charting Enhancements in Excel 2010 (ブログ)」を参照してください。
削除された機能
ここでは、以前のバージョンの Microsoft Office にあった機能のうち Excel 2013 では削除された、IT 管理者に関係のある機能を中心に説明します。削除された機能の詳細については、「Excel 2010 で廃止、変更される機能」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=182569\&clcid=0x411) を参照してください。
ユーザーのニーズへの対応
このセクションでは、ユーザーのニーズに対応するために行われた Excel 2013 の変更点について、特にプログラム機能の強化を中心に説明します。
[クリップ アート] 作業ウィンドウの [検索] ボックス
[検索] ボックスは利用できなくなりました。このため、検索対象をコンテンツの特定のコレクションに限定できなくなりました。検索対象を絞り込むには、[検索] ボックスで複数の検索用語を使用します。
[クリップ アート] 作業ウィンドウのクリップ オーガナイザー
クリップ オーガナイザーは、ハード ディスクに保存されているクリップ アートやその他のメディア ファイルを分類整理するツールです。Office プログラムの [クリップ アート] 作業ウィンドウからクリップ オーガナイザーに直接アクセスできなくなりました。さらに、クリップ オーガナイザーの次のような点が変更されています。
クリップ オーガナイザーからクリップを削除することはできますが、特定のコレクションからクリップを削除することはできなくなりました。
類似したスタイルのクリップを検索するコマンドは利用できなくなりました。
クリップを電子メール メッセージの添付ファイルとして送信するコマンドは利用できなくなりました。
リスト ビューと詳細ビューは利用できなくなりました。代わりに、クリップはすべて [クリップ オーガナイザー] ウィンドウにサムネイルとして表示されます。
[クリップの整理] リンクは利用できなくなりました。Windows 7、Windows Vista、または Windows XP から Microsoft クリップ オーガナイザーを開くには、Windows の [スタート] ボタンをクリックし、[すべてのプログラム] をクリックします。次に [Microsoft Office] をクリックし、[Microsoft Office 2010 ツール] をクリックして、[Microsoft クリップ オーガナイザー] をクリックします。
コンピューター上のメディア ファイルを自動的に検索してコレクションに整理するコマンドはなくなりました。ただし、クリップを手動でクリップ オーガナイザーに追加することや、スキャナーまたはカメラからインポートすることはできます。
計算の機能
条件付き合計式ウィザード
条件付き合計式ウィザードは、Excel 2013 では SUMIF 関数と SUMIFS 関数を含む関数ウィザードに置き換わっています。以前のバージョンで条件付き合計式ウィザードを使用して生成された式は、今までどおりに機能し、他の方法を使って編集できます。古い条件付き合計式ウィザード アドインは Excel 2013 では利用できません。
ルックアップ ウィザード
ルックアップ ウィザードは、Excel 2013 では SUMIF 関数と SUMIFS 関数を含む関数ウィザードに置き換わっています。以前のバージョンでルックアップ ウィザードを使用して生成された式は、今までどおりに機能し、他の方法を使って編集できます。古いルックアップ ウィザード アドインは Excel 2013 では利用できません。
更新された統計関数
次の表は、精度を高めるために変更または完全に再設計された、統計分布の関数を計算するためのアルゴリズムを示しています。
説明 | 関数 |
---|---|
二項分布 |
BINOMDIST、CRITBINOM |
カイ 2 乗分布 |
CHIDIST、CHIINV |
指数分布 |
EXPONDIST |
F 分布 |
FDIST、FINV |
ガンマ分布 |
GAMMADIST、GAMMAINV |
超幾何分布 |
HYPGEOMDIST |
対数正規分布 |
LOGNORMDIST、LOGINV |
負の二項分布 |
NEGBINOMDIST |
正規分布 |
NORMDIST、NORMINV |
標準正規分布 |
NORMSDIST、NORMSINV |
ポワソン分布 |
POISSON |
スチューデントの t 分布 |
TDIST、TINV |
ワイブル分布 |
WEIBULL |
次の表は、精度が向上しているその他の関数を示しています。
説明 | 関数 |
---|---|
逆双曲線正弦 |
ASINH |
天井関数 |
CEILING |
変換関数 |
CONVERT |
誤差関数 |
ERF |
相補誤差関数 |
ERFC |
床関数 |
FLOOR |
ガンマ関数の自然対数 |
GAMMALN |
幾何平均 |
GEOMEAN |
MOD 関数 |
MOD |
乱数生成関数 |
RAND |
標本標準偏差 |
STDEVS |
標本分散 |
VARS |
精度向上の一環として、Excel に入力できる値の範囲が拡大しています。このため、特定の関数ではより広範囲な結果が返されます。たとえば、ERF 関数と ERFC 関数は負の入力値を受け取るようになりました。また、MOD 関数はより大きな入力値を受け取ることができます。統計関数の強化の詳細については、「Function Improvements in Microsoft Office Excel 2010 (英語)」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=186148\&clcid=0x411) (英語) を参照してください。
Office スイートの変更点
スマート タグから [追加のセル操作] へ
スマート タグは、Excel 2013 ではショートカット メニューの [追加アクション] オプションに置き換わりました。テキストは、スマート タグの認識によって自動的に認識されなくなり、アクティブ化されたセルの紫色の点線の下線でマークされなくなりました。代わりに、データ認識機能を起動し、テキストに関連付けられたユーザー設定のアクションを表示するには、テキストを選択し、選択されたセルを右クリックして表示されるショートカット メニューで [追加アクション] をクリックします。
カレンダー コントロール
カレンダー コントロール (mscal.ocx) は、Access ワークシートで使用できる Microsoft Access の機能でした。Access 2010 ではカレンダー コントロールが削除されており、Excel 2013 で使用できません。代わりに、日付の選択を使用するか、独自のカスタム カレンダー コントロールを使用します。
移行時の検討事項
Excel 2013 への移行を計画するときは、Excel 2013 で新しく追加された機能、変更された機能、および削除された機能を確認してください。Excel 2013 と Office Excel 2007 には、ネイティブ ファイル形式が同じであるなど、多くの類似点があるので、Excel 2013 への移行では、Office Excel 2007 の既存の移行ドキュメントも参考資料として使用できます。
MSXML5
MSXML5 は Excel 2013 ではサポートされていません。MSXML5 を使用して作成された Excel 拡張ソリューションを実行しようとすると、実行時エラーが発生します。コードを MSXML6 に移行するか, .NET Framework を使用するマネージ コードに移行してください。
VBA の設定の移行
Office 2010 では、Visual Basic for Applications (VBA) 6.0 から VBA 7.0 に更新されました。VBA 7.0 の設定は、移行後には既定の設定にリセットされ、元の設定は自動的には再設定されません。このようになるのは、以下の表に示すように、VBA 用のレジストリ設定が Office 2010 では異なるハイブにあるからです。
バージョン | レジストリ サブキー |
---|---|
Office 2000 ~ Office 2007 |
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\VBA\6.0\Common |
Office 2010 |
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\VBA\7.0\Common |
この問題を解決するには、VBA 6.0 のレジストリ キーを 6.0 のハイブから 7.0 のハイブにコピーします。
詳細については、「Office 2010 に移行するユーザー レジストリ設定」および「Office 2010 の 32 ビット バージョンと 64 ビット バージョンとの互換性」(https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=185841\&clcid=0x411) を参照してください。
See Also
Concepts
Other Resources
Excel 2010 のリソース (英語)
Excel 2010 での変更点
Excel 2007 での移行に関する考慮事項
Office 2010 の Office Migration Planning Manager (OMPM) の概要