次の方法で共有


Office 2013 のセットアップ アーキテクチャの概要

 

適用先: Office 2013

トピックの最終更新日: 2016-12-16

概要: Windows インストーラーベースの Office 2013 のセットアップ アーキテクチャについて説明します。

対象ユーザー: IT 担当者

Microsoft Office 2007 で導入された Office 2013のセットアップ アーキテクチャにより、Office のインストール、カスタマイズ、保守のすべての面が合理化されます。

セットアップ プログラムでは、Officeのユーザー向け構成のカスタマイズ、複数言語の同時展開、新しいインストールへのソフトウェア更新プログラムの適用を含むインストール プロセス全体が統合され、管理されます。この記事では、セットアップのアーキテクチャ、セットアップの一連のイベント、特定の言語に依存しない設計と複数言語の展開、カスタマイズの方法、必須のローカル インストール ソース、および更新処理の概要について説明します。

セットアップ アーキテクチャを変更することで、管理者は以下の作業をより効率的に管理できるようになります。

  • 環境にとって最も効率的な方法で Officeをインストールするための展開プロセス。

  • コンピューターを最適に構成するための Officeのカスタマイズ。

  • 世界各地のオフィスにいるユーザーのための言語固有の機能の展開。

  • ソフトウェア更新プログラムなどの今後のメンテナンスをできる限り効率的にする方法を利用した Officeの展開。

Office 2007 よりも前のバージョンの Office では、Microsoft Office Standard などの単一の Office 製品は単一の Windows インストーラー (MSI) ファイル に含まれていました。MSI ファイルは、Windows インストーラーが製品のインストールに使用するリレーショナル データベースです。Office 2007 および Office 2010 と同様に、Office 2013製品は複数の MSI ファイルで構成されており、単一の MSI ファイルは製品全体を表していません。特定の言語に依存しないコア パッケージ (MSI ファイル) に 1 つ以上の言語固有のパッケージが組み合わされて製品が構成されています。たとえば、Office Professional Plus 2013のような Office 製品は、コア パッケージと、1 つまたは複数の言語固有のパッケージで構成されています。セットアップによって、個々のパッケージが組み合わされ、インストールがシームレスに統合されます。また、ユーザーのコンピューターに Office をインストールしている間やインストールの後で、カスタマイズおよびメンテナンスのタスクを実行できます。

Office 2010 では、64 ビット プロセッサをサポートするために 64 ビット版の Office 製品が導入されました。64 ビット プロセッサは、サーバーからデスクトップ コンピューターにいたるまで、システムの標準となりつつあります。また、Office 2013では、Windows-32-on-Windows-64 (WOW64) を使用して、64 ビット版の Windows オペレーティング システム上での 32 ビット版 Office 2013 アプリケーションの実行がサポートされています。WOW64 は、32 ビット版 Windows ベースのアプリケーションを 64 ビット版 Windows で実行できるようにする x86 エミュレーターです。Office 2013では、既存のサードパーティ製 Office アドオンの使用を続行できます。多くのアドオンにはまだ 64 ビット版がなく、そのほとんどは 32 ビット版です。64 ビット版オペレーティング システムで 32 ビット版 Office 2013の動作をサポートすることにより、32 ビット版のアドオンがブロックされることが避けられます。64 ビット版の Office 2013の詳細については、「Office 2013 の 64 ビット版」を参照してください。

この記事の内容

  • セットアップのプロセス

  • 特定の言語に依存しない設計

  • 合理化されたカスタマイズ モデル

  • 必須のローカル インストール ソース

  • 統合された更新処理

セットアップのプロセス

通常、企業で Office をインストールする際の最初の手順は、ネットワーク インストール ポイントを作成することです。この作業では、Office 製品の CD からネットワークの共有フォルダーにすべてのファイルとフォルダーをコピーするだけです。最小限の構成では、ネットワーク インストール ポイントには、特定の言語に依存しないコア パッケージと 1 つの言語に固有のフォルダーが含まれます。このインストール ポイントは、Office をインストールするすべてのユーザーの一次的なソースとして機能します。

最も単純なシナリオでは、1 つの言語バージョンの Office 製品を、すべてのユーザーに対して 1 つのカスタマイズ セットで、ネットワーク インストール ポイントから展開します。このシナリオは、セットアップによって自動的に処理されます。複数の製品または言語を展開する場合は、それらを同じネットワーク インストール ポイントに追加して、インストールする製品および言語を厳密に指定できます。これらすべてのシナリオでは、セットアップによって同じタスクが実行され、適切な MSI ファイルのセットが組み合わされて、インストールが完了します。

注意

2007 Office system よりも前のバージョンの Office では、圧縮されたソース ファイルを抽出するために、/a コマンド ライン オプションを指定してセットアップを実行し、管理者インストール ポイントを作成できましたが、Office 2013では、この操作は実行できなくなりました。インストールはすべて圧縮されたソースから実行されます。

セットアップの一連のイベント

基本的なセットアップの一連のイベントは次のとおりです。これらは、すべての展開シナリオで同じ順序になります。

  1. セットアップを実行する。

  2. 前提条件を確認する。

  3. XML データを読み込む。

  4. 機能ツリーを構築する。

  5. ユーザーのコンピューターにローカル インストール ソースを作成する。

  6. Office をインストールする。

  7. カスタマイズ ファイルを適用する。

  8. ソフトウェアの更新プログラムを適用する。

セットアップを実行する

Setup.exe は、インストール プロセスのすべてのメカニズムを開始するプログラムであり、ネットワーク インストール ポイントのルートにあります。インストールする各 Office 製品について 1 回ずつセットアップを実行します。セットアップを実行すると、ネットワーク インストール ポイントで、インストールする Office 製品が検索されます。インストール ポイントに複数の Office 製品が含まれている場合は、ユーザーに対して、インストールする製品の選択肢が表示されます。

Setup.exe でコア製品フォルダーにある Config.xml ファイルを指定することによって、選択処理を回避し、インストールする Office 製品を指定できます。たとえば、Office Professional Plus 2013をインストールする場合は、次のコマンド ラインを使用できます。

\\server\share\Office15ProPlus\setup.exe /config \\server\share \Office15ProPlus\Pro.WW\Config.xml

ここで、Office15ProPlus はネットワーク インストール ポイントのルートです。

Office 2007 よりも前のバージョンの Office では、Setup.exe は Windows インストーラー (Msiexec.exe) を呼び出して Office のインストールを実行していました。現在のバージョンでもセットアップは Windows インストーラーを使用しますが、Windows インストーラーの実行可能プログラムは使用されません。Msiexec.exe のコマンド ラインを使用して、Office 2013 (または Office 2007 や Office 2010) をインストールすることはできません。

注意

このバージョンの Setup.exe で認識されるコマンド ライン オプションは数個だけです。

前提条件を確認する

セットアップを開始すると、最小限必要なオペレーティング システムの要件、管理権限など、複数のインストールの前提条件が確認されます。Office をインストールするには、ユーザーはクライアント コンピューターの管理者である必要があります。または、Microsoft System Center 2012 Configuration Manager などのツールを使用して、昇格された特権でインストールを実行する必要があります。

Setup.exe を x64 フォルダーから実行すると、セットアップでは、32 ビット版の Office アプリケーションがインストールされているかどうかが確認されます。32 ビット版の Office アプリケーションがインストールされている場合は、64 ビット版の Office 2013のインストールを続行するにはすべて 32 ビット版 Office アプリケーションを最初にアンインストールする必要があることを通知するエラー メッセージが表示されます。このメッセージには、インストールされている 32 ビット版 Office アプリケーションのリストも含まれます。セットアップで 32 ビット版 Office アプリケーションが検出されない場合は、64 ビット版の Office 2013がインストールされます。

Setup.exe を x32 フォルダーから実行すると、セットアップでは、64 ビット版の Office 2013 アプリケーションがインストールされているかどうかが確認されます。64 ビット版の Office 2013検出された場合は、エラー メッセージが表示され、セットアップの実行がブロックされます。64 ビット版の Office 2013が検出されない場合は、32 ビット版の Office 2013がインストールされます。

注意

ユーザーが管理者権限を持っていないコンピューターに Office をインストールするには、コンピューターに管理者権限が与えられるコンテキストでセットアップを実行する必要があります。Office のインストール後、管理権限を持っていないユーザーは、要求に応じてインストールされた機能を含め、インストールされたすべての機能を実行できます。
たとえば、ユーザーが各自のコンピューターの管理者ではない組織で、管理者は次の方法を使用して Office セットアップに適切な権限を与えることができます。

  • 管理者としてコンピューターにログオンし、Office 2013をインストールする。

  • Microsoft Systems Management Server または System Center 2012 Configuration Manager などのソフトウェア管理ツールを使用する。

  • グループ ポリシーのコンピューター スタートアップ スクリプトを使用して、コンピューターに Office 2013を展開する。

XML データを読み込む

セットアップは、インストール ポイント上の各パッケージに関する情報を収集し、インストールの既定の設定をまとめて、指定されたカスタマイズを組み込みます。セットアップは、このすべての情報を複数のソースから XML データの形式で収集します。

  • 各パッケージの Setup.xml ファイルと <パッケージ>.xml ファイル。インストール ポイントの各フォルダー (特定の言語に依存しないコア パッケージ用のフォルダーと、各言語に固有のパッケージ用のフォルダー) には、Setup.xml と <パッケージ>.xml ファイル (たとえば、Office Professional Plus 2013の場合は ProPlusWW.xml) が含まれています。これらのファイル内の情報を使用して、セットアップで次の処理を行うことができます。

    • 製品およびその製品で利用可能な言語を指定する。

    • 特定の言語に依存しない要素と言語に固有の要素を組み合わせて、完全な機能を作成する。

    • 統合された機能ツリーを構築する。

    • インストールに必要な MSI ファイルのセットを収集する。

    注意

    Setup.xml ファイルおよび <パッケージ>.xml ファイルは署名されており、変更できません。これらのファイルを変更すると、セットアップが失敗します。

  • セットアップ カスタマイズ ファイル   セットアップは、インストール プロセスの初期段階で、インストールする製品のセットアップ カスタマイズ ファイル (.msp ファイル) が指定されているかどうかを調べます。セットアップ カスタマイズ .msp ファイルは、管理者が Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用して Office 2013のインストールをカスタマイズするときに作成されます。OCT はセットアップ プログラムの一部になっており、ほとんどのカスタマイズに対して推奨されるツールです。このカスタマイズ ファイルには、インストール プロセスを制御するカスタマイズを含め、インストールに関して指定するすべての変更が含まれています。

    OCT は、ボリューム ライセンス版の Office 2013、Office 2010、および Office 2007 で使用できます。使用している Office 2013がボリューム ライセンス版かどうかを確認するには、Office 2013 インストール ディスクをチェックして、Admin という名前のフォルダーがあるかどうかを調べてください。Admin フォルダーがあれば、ボリューム ライセンス版、Admin フォルダーがなければ、製品版です。

    コマンド ラインまたは Config.xml ファイルでカスタマイズ ファイルが指定されていない場合、セットアップはインストール ポイントの Updates フォルダーで、インストールする製品に固有のカスタマイズ ファイルを検索します。Updates フォルダーは、既定でインストール ポイントに含まれています。多くの場合、Updates フォルダーは、インストール ポイントに含まれているすべての Office 製品のセットアップ カスタマイズ .msp ファイルとソフトウェア更新プログラムの両方を格納する場所として推奨されています。

    重要

    複数のセットアップ カスタマイズ ファイル (.msp ファイル) を展開する場合、初期インストールにおいて Updates フォルダーに入れることのできるカスタマイズ .msp ファイルはインストールする Office 2013製品ごとに 1 つだけなので注意してください。Updates フォルダーでサポートされるセットアップ カスタマイズ ファイルは、インストールする Office 2013製品ごとに 1 つだけです。製品の残りのカスタマイズ .msp ファイルは、Office のインストールが完了した後で展開する必要があります。
    複数の Office 2013製品 (Office Professional Plus 2013や Visio Professional 2013など) を展開する場合は、Updates フォルダーに Office Professional Plus 2013のカスタマイズ .msp ファイルと Visio Professional 2013のカスタマイズ .msp ファイルをそれぞれ 1 つずつ入れることができます。Updates フォルダーに入れたカスタマイズ .msp ファイルが最初に展開されます。したがって、そこに入れるのは、インストール後に変更されないようなセットアップ カスタマイズ (たとえば、インストール場所) でなければなりません。
    Office 2013の初期インストールを展開し、サービス パック、修正プログラムなど、Office 2013 ソフトウェアの更新プログラムも展開する必要がある場合、セットアップでそれらの製品更新プログラムをインストール プロセスの一部として適用できます。Office 2013製品更新プログラムを Updates フォルダーに入れることができます。このような、Updates フォルダーにセットアップ カスタマイズ .msp ファイルと製品更新プログラムの両方を入れるシナリオでは、セットアップによって初期インストールでセットアップ カスタマイズ .msp ファイルのみが適用され、インストールの完了後に製品更新プログラムが適用されます。

    セットアップは、カスタマイズ ファイルに追加された XML データを使用して、製品のインストール方法を決定します。たとえば、自動モードで実行するかどうか、どの機能を機能ツリーに表示する、といったことを決定します。カスタマイズ ファイルでの設定は、Setup.xml ファイルおよび <パッケージ>.xml ファイルに含まれている既定の設定よりも優先されます。

    セットアップ カスタマイズ ファイルの詳細については、「合理化されたカスタマイズ モデル」を参照してください。OCT を使用する方法については、「Office 2013 の Office カスタマイズ ツール (OCT) リファレンス」を参照してください。

  • Config.xml ファイル   コア製品フォルダーには、それぞれの製品をインストールするセットアップを示す Config.xml ファイルが含まれています。Config.xml を編集してインストール プロセスをカスタマイズできます。たとえば、Config.xml の要素を使用して、インストールに含める製品や言語を指定できます。Config.xml での設定は、カスタマイズ ファイルでの設定、および Setup.xml ファイルや <パッケージ>.xml ファイルに含まれている既定の設定よりも優先されます。

    Config.xml を編集する方法とタイミングの詳細については、「Office 2013 の Config.xml ファイル参照」を参照してください。

機能ツリーを構築する

セットアップは、XML ファイルに含まれている情報を使用して、製品で利用できるすべてのアプリケーションと機能を含む単一の機能ツリーを作成します。Office カスタマイズ ツールを使用して、機能ツリーを表示し、ユーザーのコンピューターにインストールするアプリケーションおよび機能を指定します。ユーザーが対話形式でセットアップを実行することを許可されている場合は、セットアップのユーザー インターフェイスに、管理者が行った変更を含む機能ツリーが表示されます。

ユーザーのコンピューターにローカル インストール ソースを作成する

セットアップは、Office Source Engine (Ose.exe) という名前のプログラムを呼び出して、必要なローカル インストール ソース (LIS) をユーザーのコンピューター上に作成します。ローカル インストール ソースを作成するために、セットアップでは、インストール ポイントからユーザーのコンピューター上の隠しフォルダーへファイルをコピーします。既定の場所は、Office をインストールするドライブのルートにある \MSOCache\All Users です。後で、セットアップは Windows インストーラーを使用して、このローカル インストール ソースから Office をインストールします。

ローカル インストール ソースを使用することには、重要な利点がいくつかあります。

  • Office をインストールした後、セットアップはローカル ソースを使用して Office の機能を修復、再インストール、または追加できます。

  • ローカルにあるインストール ソースを使用できるので、ユーザーがソフトウェア更新プログラムを適用するときに、ネットワークや CD のソースを求められることが少なくなります。

  • あらかじめローカル インストール ソースを展開しておいて、後でユーザーのコンピューターで Office のインストールを開始することにより、ネットワーク上の負荷を軽減できます。この場合、ローカル インストール ソースからでもセットアップを実行できます。この方法を使用すると、ユーザーはネットワークに接続せずに Office のインストールを完了できます。

ローカル インストール ソースの詳細については、「必須のローカル インストール ソース」を参照してください。

Office をインストールする

インストールが始まると、セットアップは必要なディスク容量と機能の依存関係を調べ、Windows インストーラーを呼び出して、適切なパッケージのセット (MSI ファイル) をローカル インストール ソースからユーザーのコンピューターにインストールします。セットアップは、前に説明した XML データを使用して、インストールに含める MSI ファイルのセットを決定します。インストール中に表示される進行状況バーには、Updates フォルダーにあるカスタマイズやソフトウェア更新プログラムの適用など、インストール プロセス全体が反映されます。

注意

セットアップは Windows インストーラーを使用して Office をインストールしますが、セットアップを使用せず、Windows インストーラーのみを使用しても、個々の MSI ファイルはインストールできません。

カスタマイズ ファイルを適用する

インストール プロセスで、セットアップはカスタマイズ ファイルをユーザーの構成に適用します。その結果は、以前のバージョンの Office で Windows インストーラー変換 (MST ファイル) を適用した場合の結果と似ています。つまり、カスタマイズの内容は、ユーザーの既定の構成になります。カスタマイズ ファイルには、インストール プロセスをカスタマイズする XML データに加えて、既定のユーザー設定、機能のインストール状況、Outlook のプロファイル、およびユーザーの構成に対するその他の変更を含めることができます。

カスタマイズ ファイルは製品固有です。セットアップは、インストールする製品に関連するカスタマイズ ファイルのみを適用します。

注意

複数のセットアップ カスタマイズ .msp ファイル (修正プログラム) を展開する場合、初期インストール用の Updates フォルダーに入れることのできるセットアップ カスタマイズ .msp ファイルは Office 2013製品ごとに 1 つだけなので注意してください。残りのカスタマイズ .msp ファイルは、Office のインストールが完了した後で展開する必要があります。Updates フォルダーでサポートされるカスタマイズ ファイルは製品の修正プログラムごとに 1 つだけです。Updates フォルダーに入れたカスタマイズ .msp ファイルが最初に展開されます。したがって、そこに含めるのはインストール後に変更されないようなセットアップ カスタマイズ (たとえば、インストール場所) でなければなりません。

ユーザー グループごとに異なる構成を作成する場合は、カスタマイズ ファイルを別の場所に保存し、セットアップのコマンド ラインで /adminfile オプションを使用して、目的のカスタマイズ ファイルを指定することをお勧めします。次に例を示します。

\\server\share\Office15\setup.exe /adminfile \\server\share\Office15\MyUpdates\Engineering.msp

ここで、Office15 はネットワーク インストール ポイントのルートです。

注意

ローカル インストール ソースをプリキャッシュするときに、セットアップは Updates フォルダーをネットワーク インストール ポイントからローカル インストール ソースにコピーします。これによって、オフライン インストールの場合でもカスタマイズを含めることができます。セットアップがインストールの前にローカル コンピューターにカスタマイズ ファイルをキャッシュするのは、この場合だけです。
詳細については、「Office 2010 のローカル インストール ソースをプリキャッシュする」を参照してください。この情報は、Office 2013 にも適用されます。

ソフトウェアの更新プログラムを適用する

インストール プロセスの最後に、セットアップはインストール ポイントの Updates フォルダーを調べ、ソフトウェア更新プログラム (.msp ファイル) の存在を確認します。Office カスタマイズ ツールで作成するセットアップ カスタマイズ ファイルとは異なり、ソフトウェア更新プログラムは製品の機能を強化するために、マイクロソフトから配布されます。

ユーザーに対して Office を展開し、さらにソフトウェア更新プログラムの展開も必要とする場合は、セットアップを利用して、最初のインストール プロセスを実施するときに更新プログラムを適用できます。予測される必要なディスク容量や進行状況バーの表示には、インストール プロセスにおけるこの更新プログラムの手順も反映されます。ユーザーの観点からすると、プロセス全体が 1 つのイベントです。このモデルによって、元のインストール ポイントを保持しながら、新しいユーザーに製品の最新バージョンを提供できます。

注意

Updates フォルダーは、Office 2013 の初期または新規のインストール時にのみ使用されます。Updates フォルダーに含めることができるのは、1 つのセットアップ カスタマイズ .msp ファイルと、複数のサービス パックおよび修正プログラム (.msp 形式のみ) です。

ソフトウェアの更新処理の詳細については、「統合された更新処理」を参照してください。

インストール ポイントに複数の製品を含める

ネットワーク インストール ポイントに複数の Office 2013製品が含まれている場合、セットアップはすべてのフォルダーとサブフォルダーを調べ、Config.xml ファイルと Setup.xml ファイルを検索し、インストールする製品を選択するようにユーザーに求めます。

複数の Office 製品をインストールする場合は、すべての製品を同じインストール ポイントに保存し、セットアップをカスタマイズして、特定の Office 製品をユーザーのコンピューターにインストールする方法が効率的です。

注意

複数の Office 製品を同じインストール ポイントにコピーするときに、共有されるセットアップ ファイルを上書きするかどうかを確認するメッセージが表示されることがあります。これらのファイルはすべての Office 2013製品で共通なので、重複するフォルダーを再度コピーする必要はありません。重複するセットアップ ファイルの上書きを求めるプロンプトが表示された場合は、[いいえ] をクリックします。この効率的なしくみによって、ディスク容量が節約され、ネットワーク インストール ポイントを作成およびレプリケートするときの整合性が保持されます。

セットアップを対話形式で実行する

自動モードでインストールを実行することを選択した場合、ユーザーに対してプロセスはほとんどまたはまったく表示されません。ただし、ユーザーがセットアップのユーザー インターフェイスを表示できるようにしている場合は、選択した内容によってセットアップのいくつかの動作が影響を受けます。次に例を示します。

  • インストール ポイントで複数の Office 製品が利用できる場合に、ユーザーがコマンド ライン オプションを指定せずに Setup.exe を実行すると、セットアップはユーザーに対してインストールする製品の選択肢を表示します。

  • インストール ポイントで複数の言語を利用できる場合、セットアップはユーザーのコンピューターの Windows ユーザー ロケールに合わせて Office の言語を選択します。これが既定の構成です。ただし、ユーザーが [ユーザー設定] インストール オプションを選択した場合は、セットアップのインターフェイスの [言語] タブに、ネットワーク インストール ポイントにあるすべての利用可能な言語の選択肢が表示されます。

  • カスタマイズ ファイルまたは Config.xml でプロダクト キーを入力し、マイクロソフト カスタマー ライセンス条項に同意している場合、これらの画面はセットアップ中にユーザーに対しては表示されません。

    注意

    ボリューム ライセンス エディションの Office 2013 にはすべてキー管理サービス (KMS) クライアント キーがあらかじめインストールされているので、KMS ライセンス認証を使用しているエンタープライズ展開では、プロダクト キーを入力する必要はありません。KMS は、マイクロソフト ボリューム ライセンス プログラムでライセンスされている製品をライセンス認証するために、Office ライセンス認証テクノロジによって提供される方法の 1 つです。セットアップが対話モードで実行していても、ボリューム ライセンス エディションの Office 2013ではプロダクト キーの入力は求められません。ボリューム ライセンス認証の詳細については、「Office 2013 のボリューム ライセンス認証を計画する」を参照してください。

  • カスタマイズ ファイルを使用して特定の機能を非表示にしてロックしている場合、これらの機能は機能ツリーには表示されません。

表示設定をカスタマイズする方法の詳細については、「Office 2013 をインストールする前にセットアップをカスタマイズする」を参照してください。

特定の言語に依存しない設計

Office 2013 (および Office 2010 と Office 2007) では、Office Professional Plus 2013などの Office 製品は以下のようにまとめられています。

  • 特定の言語に依存しない要素は 1 つのコア パッケージ (MSI ファイル) にまとめられています。

  • 言語固有の要素はアプリケーションごとに個別のパッケージにまとめられています。

ファイルをこのように分類することで、多国間での展開が簡単になります。Office 製品の最も基本的なインストールは、コア パッケージと 1 つの言語で構成されます。言語の追加は、追加の単一言語パック (SLP) をネットワーク インストール ポイントにコピーするだけなので、簡単に行えます。すべての SLP は、まったく同じ方法でコア製品と連動します。英語バージョンを含む、Office のすべての言語バージョンは、同じ方法で展開されます。セットアップによって、特定の言語に依存しないコアパッケージと言語固有パッケージがシームレスなインストール プロセスで組み合わされます。

重要

Office 2013の現在のリリースには、英語、日本語、およびスペイン語のソースのみが含まれています。他の言語は今後のリリースで提供される予定です。

Office の言語バージョン

どの Office 製品にも、少なくとも 1 セットの言語固有パッケージを含める必要があります。コア パッケージ (MSI ファイル) のみを単独で展開することはできません。Office 製品の CD やネットワーク インストール ポイントでは、これらの言語パッケージはフォルダーに格納されています。各フォルダーの名前には、言語を識別する言語タグが ll-cc という形式で含まれています (たとえば、英語の米国英語の言語タグは en-us)。各フォルダーには、インストール ファイル一式も含まれています。

たとえば、Office Professional Plus 2013製品のファイルは、上記のフォルダーに分散しています。Winword.exe (Word 2013の実行可能ファイル) など、どの言語にも固有でない要素は、ProPlus.WW コア パッケージ内にあります。ヘルプや Word 2013のユーザー インターフェイスなど、その他の要素は、Word または Office 共有機能の該当する言語固有パッケージ内にあります。

特定の言語に依存しない要素と言語固有の要素は、どちらも完全な機能を作成するために必要です。Winword.exe 自体は、だれもが使用できる Word アプリケーションを表していません。同様に、ProPlus.WW フォルダーにあるコアの Office Professional Plus 2013 MSI ファイルは、完全な Office 製品を表していません。

セットアップによって、これらのすべての部品が組み合わされて完全な製品になります。各フォルダーの <パッケージ>.xml ファイルおよび Setup.xml ファイルには、完全な機能の作成、統合された機能ツリーの構築、およびインストール用 MSI ファイルの正いセットの収集を行うためにセットアップが使用する情報が含まれています。XML データの収集や必要な MSI ファイルの組み合わせが完了すると、セットアップは Windows インストーラーを使用して、ユーザーのコンピューターに Office をインストールします。ユーザーには、このプロセスが自動的かつシームレスに実行されるように見えます。

Word.en-us フォルダーなど、個別の MSI ファイルを含む言語固有のフォルダーを使用しないで、Office 2013に含まれる特定のアプリケーションを展開することはできません。ただし、インストールをカスタマイズして、ユーザーのコンピューターにインストールするアプリケーションおよび機能を指定することはできます。

注意

Windows インストーラーまたはその他の方法を使用して、Office インストール ポイントの MSI ファイルを個別にインストールすることはできません。また、デジタル署名された XML ファイル (Setup.xml と <パッケージ>.xml) を編集または変更することもできません。Office 2013では、セットアップを使用して、ファイルおよびインストール情報を収集し、インストール プロセスを作成する必要があります。

Office の言語パック

言語固有のパッケージは、Office 製品の言語バージョンと、その言語の単一言語パック (SLP) という 2 つのコンテキストで使用されます。たとえば、日本語バージョンの Office Professional Plus 2013には、各アプリケーション用の言語固有のフォルダーと Office Professional Plus 2013共有機能用の言語固有のフォルダーがあります。これらのフォルダーは、Office 2013の他の製品で使用される言語固有のフォルダーと共に、日本語の SLP に含まれます。

言語パックを独立した製品として展開することもできますし、言語パックを使用して Office 製品を複数の言語で展開することもできます。言語パックを個別に展開する場合でも、別の製品のインストールの一部として言語パックを展開する場合でも、言語パックに対して一意のプロダクト キーを入力する必要はありません。

注意

Office 2007 よりも前のバージョンの Office では、企業ユーザーは、英語 (米国) バージョンの Office をインストールした後で Multilanguage User Interface (MUI) パックを展開して、言語を追加しました。日本語バージョンの Office Standard Edition などのローカライズ バージョンは、コア バージョンに日本語の MUI パックを追加したものとは同一にはなりませんでした。この設計は、Office 2007 で簡素化および改善され、Office 2013および Office 2010 にも引き継がれています。

合理化されたカスタマイズ モデル

Office 2007 よりも前のバージョンの Office では、インストール後にセットアップをカスタマイズし、Office を管理するために複数のツールが必要でしたが、Office 2007 で、一貫性のある合理化されたモデルが導入されました。Office 2013では (Office 2007 および Office 2010 と同様に)、管理者がセットアップを使用して Office のインストール、カスタマイズ、および管理を行うことができます。特定のユーザーやコンピューターの設定を適用する場合、管理者はグループ ポリシーを使用できます。

Office カスタマイズ ツールを使用する

Office のインストールをカスタマイズするには、セットアップのコンポーネントである Office カスタマイズ ツール (OCT) を使用します。OCT は、Office 2013 クライアントのボリューム ライセンス版に含まれています。/admin コマンド ライン オプションを指定してセットアップを実行すると、OCT が起動されます。OCT を使用して、セットアップ カスタマイズ ファイル (.msp ファイル) を作成します。このファイルは、ネットワーク インストール ポイントの Updates フォルダーに配置します。Updates フォルダーは、Office 2013 (および Office 2010 と Office 2007) の初期または新規のインストール時にのみ使用されます。Updates フォルダーでサポートされるカスタマイズ修正プログラムは 1 つだけです。

セットアップ カスタマイズ ファイルは、拡張された形式の Windows インストーラー .msp ファイルです。各ファイルは、Office Professional Plus 2013、OneNote 2013など、特定の製品用に構成されます。セットアップを実行して Office 製品をインストールする場合、セットアップは Updates フォルダーを調べて、インストールしている製品に対応するカスタマイズ ファイルを検索します。セットアップで製品をインストールするときに、このカスタマイズ ファイルに基づいて、カスタマイズした設定が適用されます。

複数のセットアップ カスタマイズ ファイルを作成して、異なるユーザー グループ用に Office を構成できます。セットアップを実行するときに、セットアップのコマンド ライン オプション /adminfile を使用するか、Config.xml (「Config.xml ファイルを使用して Office をカスタマイズする」を参照) を使用することによって、各インストールで使用する適切なカスタマイズ ファイルを指定します。

OCT を使用してセットアップ カスタマイズ ファイルを作成する方法の詳細については、「Office 2013 の Office カスタマイズ ツール (OCT) リファレンス」を参照してください。

新規インストールをカスタマイズする

OCT で作成したセットアップ カスタマイズ ファイルを使用すると、セットアップでユーザーのコンピューターに初めて Office をインストールする方法を変更できます。たとえば、OCT を使用して、次の方法で Office をカスタマイズできます。

  • ユーザーの操作なしにセットアップを実行します (自動モード)。

  • ユーザーの代わりにあらかじめプロダクト キーを指定し、マイクロソフト ソフトウェア ライセンス条項に同意します。

  • ユーザーのコンピューター上の Office ファイルのインストール先を指定します。

  • Office 2013をインストールする前に、以前のバージョンの Office を削除するかどうかを選択します。

    注意

    エンタープライズ ユーザーの場合は、Office 2013の Windows インストーラーによるボリューム ライセンス エディションをインストールする前に、以前のバージョンの Office をアンインストールすることをお勧めします。

  • インストールする Office の機能を指定します。

  • Outlook の設定など、数多くのユーザー オプションの既定値を指定します。

注意

Office 2013では、64 ビット版と 32 ビット版の Office の並行インストールは、アプリケーション単体のインストールを含めてサポートされていません。たとえば、32 ビット版の 2007 Office system と 64 ビット版の Office 2013や、64 ビット版の Access 2013と 32 ビット版の Excel 2013の並行インストールはサポートされていません。Office 2013のカスタマイズ ツールを使用して、64 ビット版と 32 ビット版の Office の並行インストールやカスタマイズを構成することはできません。たとえば、64 ビット版の Office Professional 2013と 32 ビット版の Visio 2013の単一イメージを使用する独自の並行インストールを作成することはできません。64 ビット版の Office 2013の詳細については、「Office 2013 の 64 ビット版」を参照してください。

セットアップをカスタマイズする方法の詳細については、「Office 2013 をインストールする前にセットアップをカスタマイズする」を参照してください。

既存の Office のインストールを変更する

既存の Office のインストールを変更する必要がある場合は、元のインストールをカスタマイズするときに使用したツールと同じツールを使用します。つまり、OCT を実行してセットアップ カスタマイズ ファイルを更新するか、新しいセットアップ カスタマイズ ファイルを作成します。次に、ソフトウェアの更新プログラムの場合と同じ方法で、ユーザーのコンピューターにカスタマイズ ファイルを適用します。これによって、ユーザーの既存の Office のインストールが、指定したカスタマイズの設定で更新されます。Office をインストールするときに利用できるカスタマイズは、インストール後に Office を変更するときにも利用できます。

注意

セットアップで使用するカスタマイズの中には、Office を初めてインストールするときにのみ適用されるものがあります。このようなカスタマイズには、Office をインストールできるユーザーのコンピューター上の場所の指定、プロダクト キーの定義、以前のバージョンの Office アプリケーションの削除などがあります。OCT では、新規インストールにのみ適用されるカスタマイズが識別されます。

Config.xml ファイルを使用して Office をカスタマイズする

Config.xml ファイルを使用して Office のインストールを変更できます。Office カスタマイズ ツールを使用した場合とほとんど同じオプションをカスタマイズできますが、OCT では利用できないその他のオプションもカスタマイズできます。

Config.xml ファイルを使用する方法は、次のようなインストール作業を実行する場合にお勧めします。

  • セットアップで、Office をインストールせずに、ローカル インストール ソースをユーザーのコンピューターにコピーする。

  • ネットワーク インストール ポイントへのパスを指定する。

  • インストールする製品または言語を選択する。

  • セットアップでセットアップ カスタマイズ ファイルおよび更新プログラムを検索する場所を変更する。

  • OCT を実行して新しいカスタマイズ ファイルを作成する必要がない最後のカスタマイズや 1 回限りのカスタマイズを行う。

Config.xml ファイルを Setup.exe と同じフォルダーに配置すると、セットアップによってファイルが検索および使用されます。セットアップの /config コマンド ライン オプションを使用して、ファイルの場所を指定することもできます。

注意

セットアップ カスタマイズ ファイルと Config.xml ファイルの両方を指定した場合、Config.xml で定義したカスタマイズが、カスタマイズ ファイルで指定した同じカスタマイズよりも優先されます。

Config.xml ファイルの内容および形式の詳細については、「Office 2013 の Config.xml ファイル参照」を参照してください。

セットアップのコマンド ライン オプションを使用する

セットアップで認識される Office 2013のコマンド ライン オプションは、数個のみです。これは、Office 2007 および Office 2010 の場合と同様です。OCT は、セットアップ プロパティを構成したり、その他のカスタマイズを指定したりするための、主要なツールです。

Setup.exe コマンドを使用して以下のタスクを実行できます。

  • Office カスタマイズ ツールを実行して、セットアップ カスタマイズ (.msp) ファイルを作成します。

  • 指定したセットアップ カスタマイズ ファイルをインストールに適用します。たとえば、特定のカスタマイズ ファイル (.msp ファイル) のパス、またはカスタマイズ ファイルを格納するフォルダーのパスを指定できます。

  • インストール時にセットアップが使用する Config.xml ファイルを指定します。

  • セットアップをメンテナンス モードで実行して、既存の Office のインストールを変更します。

  • セットアップを実行して、ユーザーのコンピューターにある指定された製品を修復します。

  • セットアップを実行して、指定された製品をユーザーのコンピューターから削除します。

Setup.exe コマンドの詳細については、「Office 2013 のセットアップのコマンド ライン オプション リファレンス」を参照してください。この情報は Office 2013 にも適用されます。以前のバージョンの Office で使用されていた Windows インストーラーのプロパティ、および Office 2013をインストールするときに使用できるプロパティの詳細については、「Office 2013 のセットアップのプロパティのリファレンス」を参照してください。この情報は Office 2013 にも適用されます。

グループポリシーを使用する

管理者はグループ ポリシーの設定を使用して、ユーザーのコンピューターにおける Office の構成を定義および保持できます。グループ ポリシーは、管理用テンプレートに含まれる Office 2013 のポリシー設定を構成するために使用します。これらのポリシー設定は、オペレーティング システムによって適用されます。Active Directory 環境では、管理者はグループ ポリシー オブジェクトがリンクされているサイト、ドメイン、または組織単位に属しているユーザーやコンピューターのグループに対して、ポリシー設定を適用できます。実際のポリシー設定は、ポリシーの承認済みレジストリ キーに書き込まれます。これらの設定には、管理者以外のユーザーによる変更を防ぐアクセス制御リスト (ACL) の制限が設定されます。管理者の判断により、厳しく制限された構成や管理の緩い構成を作成できます。

管理者は、Office 2013 アプリケーションのポリシー設定を使用して、以下の Office ユーザー インターフェイスを構成する大部分のオプションを管理できます。

  • メニュー コマンドおよび対応するツール バー ボタン

  • ショートカット キー

  • [ オプション ] ダイアログ ボックスの大部分のオプション

注意

Office 2013 のポリシー設定の大部分は、OCT でも利用できます (OPA 設定)。管理者は OCT を使用してセットアップ カスタマイズ .msp ファイルの既定の初期設定を構成できますが、ユーザーはインストール後に大部分の設定を変更できます。特定の構成を強制的に適用する場合は、グループ ポリシーを使用してください。グループ ポリシー設定は OCT 設定よりも優先されます。

必須のローカル インストール ソース

Office 2013 では、既定のインストール処理の一部として、セットアップ時にユーザーのコンピューターにローカル インストール ソースが作成されます。セットアップでは、Office 2013 のすべての製品が 2 段階の手順でインストールされます。最初に、圧縮されたインストール ソース ファイルがユーザーのコンピューターにコピーされます。次に、Windows インストーラーが呼び出され、ローカル インストール ソースから実際のインストールが実行されます。インストールの完了後も、元のソースへのアクセスが必要なセットアップ操作で、ローカル インストール ソースをそのまま使用できます。ディスク領域の最小要件には、ローカル インストール ソースも含まれます。

注意

Office 2003 の場合、大規模な組織では、通常、管理者インストール ポイントから製品をインストールしており、ローカル インストール ソースからの Office のインストールはオプションでした。これに対して Office 2013、Office 2010、および Office 2007 の場合、管理者インストール オプションは存在しません。ローカル インストール ソースが設計上、必須の要素となっています。

ローカル インストール ソースを使用することで、ソフトウェア更新プログラムの配布処理がより効率的になり、信頼性も高くなりました。ネットワーク インストール ポイントとユーザーのローカル インストール ソースは、どちらも直接変更されることはありません。ユーザーのインストールは、クライアント版のソフトウェア更新プログラムを適用するときに同期された状態になります。

いつでも利用できる完全なインストール ソースがローカル コンピューター上に存在することで、以下のような利点を得ることができます。

  • ユーザーが Office をインストールする前に、ローカル インストール ソースをユーザーに展開できます。これにより、ネットワークへの影響を最小限に抑え、すべてのユーザーが同時に製品をインストールして Office 2013 アプリケーションの使用を開始できます。

  • ユーザーが、ソフトウェア更新プログラムの適用などのメンテナンス作業を実行できます。Office の CD やネットワーク ソースの使用を求められることはありません。

  • ユーザーが移動中の場合、または低速ネットワーク接続や常時接続でないネットワーク接続を利用している場合でも、セットアップを実行できます。事前にローカル インストール ソースを用意しておけば、ネットワークにアクセスする必要はありません。

このような利点を最小限のコストで実現できます。ローカル インストール ソースはハード ディスク領域を消費しますが、ローカル インストール ソースを作成して Office をインストールする時間は、ローカル インストール ソースを使用しないで Office をインストールする時間とほぼ同じです。

ユーザーのコンピューターにローカル インストール ソースを作成する

DVD またはネットワーク インストール ポイントから Office をインストールする場合、セットアップ時にローカル インストール ソースを作成するために、Office Source Engine (Ose.exe) と呼ばれるプログラムを使用して、必要なインストール ファイルがローカル コンピューターの隠しフォルダーにコピーされます。既定の場所は、Office をインストールするドライブのルートにある \MSOCache\All Users です。

Office 製品を構成する各パッケージ (特定の言語に依存しないコア パッケージと 1 つ以上の言語固有のパッケージ) は、個別のダウンロード コードを持ちます。パッケージは、MSOCache\All Users の下のサブフォルダーにキャッシュされます。セットアップでは、完全なローカル インストール ソースが常にキャッシュされ、インストールされる製品に関連するすべてのファイルが含まれます。インストール ポイントに複数の言語が含まれている場合、ユーザーのコンピューターにインストールされている言語のパッケージだけがキャッシュされます。

追加の Office 製品をユーザーのコンピューターにインストールすると、それらの製品は同じローカル インストール ソースにキャッシュされます。

注意

ユーザーが別のドライブに 2 つ目の Office 製品をインストールする場合、そのドライブのルートに 2 つ目のローカル インストール ソースが作成されます。この場合、2 つのローカル インストール ソース間で共有ファイルが重複する可能性がありますが、このような設計により、各ローカル インストール ソースの完全性と、各ローカル インストール ソースが正しく機能することが保証されます。

ユーザーがローカル インストール ソースを不用意に削除したり、セットアップのユーザー インターフェイスや Windows ディスク クリーンアップ ウィザードを使用して削除したりすることはできません。MSOCache フォルダーが削除されたか破損した場合、次回にソースが必要になったときに、セットアップが自動的にそのフォルダーを再作成または修復します。ディスク領域が十分でない場合は、領域を空けるように求めるメッセージが表示されます。新しい更新プログラムやカスタマイズを配布する場合、どのユーザーもソースにアクセスできることを前提にして配布できます。

注意

ローカル インストール ソースを一度作成すると、ユーザーのコンピューター上のその場所は固定されます。ユーザーが別のドライブを指定しない限り、後からインストールした追加の Office 製品は、常に、既存の MSOCache\All Users フォルダーに追加されます。

ローカル インストール ソース自体を展開する

セットアップでは、ローカル インストール ソースを基に Office のインストールが実行されるので、インストール ソースをあらかじめ展開しておくことで、ネットワークへの要求を最小限に抑えることができます。たとえば、通常の方法でユーザーのコンピューターからセットアップを実行すると、一度に 1 つのユーザー グループに対してローカル インストール ソースを配布できます。事前にキャッシュされたソースをすべてのユーザーに用意しておけば、Office をインストールするセットアップを、すべてのユーザーが同時に実行できます。この場合、インストール作業の大部分はネットワーク経由ではなく、ローカル コンピューター上で実行されます。

詳細については、「Office 2010 のローカル インストール ソースをプリキャッシュする」を参照してください。この情報は Office 2013 にも適用されます。

また、ローカル コンピューターのローカル インストール ソースからセットアップを直接実行することもできます。セットアップをローカルで実行することは、セットアップ ファイルの読み込みやメタデータの読み取りなどの処理がネットワーク経由で発生しないことを意味します。この場合、インストールするコア製品を含むサブフォルダーが MSOCache\All Users 内にあることを確認する必要があります。各コア製品のサブフォルダーには、セットアップ プログラムのコピーが含まれ、特定のフォルダーからセットアップを実行することでその製品がインストールされます。この方法では、ユーザーがネットワーク接続を使用せずに Office をインストールできます。

詳細については、「ローカル インストール ソースから Office 2013 を展開する」を参照してください。この情報は Office 2013 にも適用されます。

統合された更新処理

Office 2007 よりも前のバージョンの Office では、クライアント コンピューターが最新の Office ソフトウェア更新プログラムを受信し、クライアント コンピューターと管理インストール ポイントとの同期を維持するために、さまざまな選択を行っていました。Office の新規インストールに続いてソフトウェア更新プログラムがインストールされるようにセットアップを構成したり、更新プログラムを管理インストール ポイントに適用して、すべてのクライアント コンピューターに Office を再インストールしたりしていました。

Office 2007 で導入されたアーキテクチャによって、この処理は大幅に簡単になりました。Office 2013、Office 2010、および Office 2007 では、更新の必要がないネットワーク インストール ポイントが作成されます。簡単なコピー操作を行うだけで、新規インストールにソフトウェア更新プログラムを適用できます。既存のインストールがネットワーク インストール ポイントとは関係なく更新されるので、クライアント コンピューターとインストール ソースの同期を維持するように心配する必要がありません。

新規インストール時に Office 更新プログラムを適用する

Office ソフトウェア更新プログラムを入手したら、ネットワーク インストール ポイントのルートにある Updates フォルダーに更新プログラムをコピーします。ネットワーク インストール ポイント内の既存のファイルは、Office CD から最初にコピーしたときと同じ状態で残ります。

注意

Updates フォルダーを使用すると、Office 2013 製品の初期インストールに更新プログラムのインストールを組み込むことができます。このフォルダーに含まれる Windows インストーラー更新プログラム ファイルのみが、初期インストールと共にインストールされます。したがって、Microsoft Self-Extractor パッケージから更新プログラムを抽出する必要があります。また、初期インストールをカスタマイズするために、セットアップ カスタマイズ .msp 修正プログラムも Updates フォルダーに入れることができます。

セットアップを実行して Office をクライアント コンピューターにインストールすると、Updates フォルダーにソフトウェア更新プログラムがあるかどうかが検索され、Office をインストールする際に自動的に更新プログラムが組み込まれます。Updates フォルダーに複数の更新プログラムがある場合、インストール対象である Office 製品の更新プログラムだけが適用されます。Updates フォルダーにセットアップ カスタマイズ .msp ファイル (修正プログラム) と製品更新プログラムの両方がある場合、初期インストールと共にセットアップ カスタマイズ .msp ファイルのみが適用され、製品更新プログラムはインストールの完了後に適用されます。また、セットアップでは更新プログラムが正しい順序で適用されます。その結果、ユーザーは Office の新規インストールと共に最新の更新プログラムを受け取ります。

ヒント

セットアップ時に、Updates フォルダー以外のフォルダーでソフトウェア更新プログラムを検索するには、Config.xml ファイルの SetupUpdates 要素を使用します。詳細については、「Office 2013 の Config.xml ファイル参照」の「SetupUpdates 要素」を参照してください。

既存の Office のインストールを更新する

いったん Office をインストールした後は、ネットワーク インストール ポイントに戻らずに、ソフトウェア更新プログラムを直接クライアント コンピューターに適用します。それには、Microsoft Systems Management Server、System Center 2012 Configuration Manager などの展開管理プログラムを使用するか、Windows Server Update Services を使用するか、または Microsoft Update を使用してインターネットから直接コンピューターを更新します。

注意

クライアント コンピューターに Office をインストールした後で Office を再インストールすると、元のインストールと共に適用されたソフトウェア更新プログラムのみが再適用されます。Updates フォルダーに新しいソフトウェア更新プログラムをコピーした場合、それらは再インストール中には適用されません。

関連項目

Office 2013 の Office カスタマイズ ツール (OCT) リファレンス
Office 2013 の Config.xml ファイル参照
Office 2013 をインストールする前にセットアップをカスタマイズする