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ワークフローおよび SharePoint 製品とテクノロジの技術の基礎

Microsoft がサポートするヒューマン ワークフローを理解するには、その基盤となる 2 つの重要なテクノロジである Windows Workflow Foundation および Windows SharePoint Services の基本について理解する必要があります。ここでは、それぞれについて簡単に説明します。

Windows Workflow Foundation

定義された順序に従って複数の手順を 1 つずつ実行するという何らかのプロセスの実装は、ソフトウェアに共通するものです。この方法が頻繁に使用されるので、この種類のアプリケーションの作成を明確にサポートする必要があります。Windows Workflow Foundation は、まさにこれを目的としています。Workflow Foundation を使用して構築されたアプリケーションは 1 つ以上のワークフローで構成され、各ワークフローは複数のアクティビティで構成されます。ワークフローを構成するアクティビティは、ワークフローによって指定されている実行順に従って、Workflow Foundation のランタイム エンジンによって 1 つずつ実行されます。Workflow Foundation はプロセス指向アプリケーションを直接的にサポートして、これらのアプリケーションの作成と保守を簡単にします。

Workflow Foundation の主要コンポーネントを次の図に示します。複数のアクティビティで構成されるワークフローは、ランタイム エンジンを使用して実行されます。これは Workflow Foundation によって提供される一連のランタイム サービスに依存して実行されます。ランタイム サービスは、ワークフローの状態の保持や実行の追跡を行うことができます。これらはすべてホストの内部で実行され、1 つのデスクトップ アプリケーションからスケーラブルなサーバーまで、あらゆる Windows プロセスとして実行できます。また、各ホストおよび各種アプリケーションのさまざまな要件に対応するため、Workflow Foundation のランタイム サービスを必要に応じて切り替えることができます。

SharePoint 製品およびテクノロジを使用したワークフロー例

図に示すように、ワークフローは Workflow Foundation Workflow Designer を使用して作成できます。このツールは Visual Studio 2005 の内部で実行されるもので、ワークフローに組み込むアクティビティを編成するためのグラフィカル環境を提供します。アクティビティは単なるクラスなので、グラフィカル ツールを使用する必要がなければ、コードで記述することもできます。ワークフローでは、開発者が選択する任意のアクティビティを使用できますが、Workflow Foundation には基本アクティビティ ライブラリ (BAL) が用意されています。BAL には、次のような多数の基本的なアクティビティが格納されています。

  • IfElse: 条件が一致するかどうかに基づいて、2 つ以上のパス上にあるアクティビティを実行します。

  • While: 条件が true である限り、1 つ以上のアクティビティを繰り返し実行します。

  • Sequence: 定義されている順序に従って、アクティビティのグループを 1 つずつ実行します。

  • Parallel: 2 つ以上のアクティビティを同時に実行します。

  • Code: 定義されたコード チャンクを実行します。

  • Listen: 1 つのイベントが発生するまで待機し、そのイベントの受信時に 1 つ以上のアクティビティを実行します。

  • InvokeWebService: Web サービスを呼び出します。

  • Policy: Workflow Foundation のルール エンジンを使用するビジネス ルールを定義および実行できます。

Workflow Foundation には、2 種類の組み込みワークフローが用意されています。

  • シーケンシャル ワークフロー : 定義された順序に従ってアクティビティを実行します。シーケンシャル ワークフローには、IfElse、While などのアクティビティを含めることができます。

  • ステート マシン ワークフロー : 従来の有限ステート マシンを実装します。この種類のワークフローにも IfElse、While などのアクティビティを含めることができますが、状態および移行を示す State などのアクティビティに依存して実行されます。

Workflow Foundation 自体は完全なワークフロー アプリケーションではないということを理解するのが重要です。代わりに、Workflow Foundation では、ワークフローに基づいたソフトウェアを開発者が作成するための基盤が提供されます。また、任意の Windows プロセスでホストすることができるため、Workflow Foundation を他のテクノロジと組み合わせてワークフロー サービスを提供することができます。Windows SharePoint Services 3.0 ではまさにこの動作が行われます。Microsoft がサポートするヒューマン ワークフローを理解していただくため、このテクノロジの基礎について次に説明します。

Windows SharePoint Services

情報の共有は、現在の生活に欠かせないことです。仕事 (ボランティア組織の一員としても含む) においても、その他の場面においても、文書などの情報を他のグループの人々と共有する必要がある場合は頻繁にあります。Windows Server 2003 に標準で付属する Windows SharePoint Services を使用すると、このような共有を簡単に行うことができます。

下の図に示すように、Windows SharePoint Services のユーザーは、ドキュメント ライブラリとリストで構成されるサイトを作成できます。ドキュメント、リスト アイテムなどの各サイトの情報は、SQL Server に格納されています。インターネット インフォメーション サービス (IIS) を使用すると、Microsoft Office アプリケーションまたは Internet Explorer などの Web ブラウザでサイトと対話することができます。また、Web パーツを使用してブラウザ インターフェイスをカスタマイズし、個々のユーザーが自分自身で使いやすいインターフェイスを作成することもできます。

Windows SharePoint Services のワークフロー図

Windows SharePoint Services 3.0 では、コンテンツ タイプもサポートされるようになりました。コンテンツ タイプでは、ドキュメントまたはリスト アイテムを定義するスキーマが提供されます。既定では、特定のライブラリ内の全ドキュメントのスキーマは同一で、特定のリスト内の全アイテムのスキーマも同一です。ドキュメントまたはリスト アイテムにコンテンツ タイプを追加すると、そのドキュメントまたはアイテムが属すライブラリまたはリストの他の要素から独立してスキーマを指定できます。ドキュメントを保持する期間などを指定するポリシーも、コンテンツ タイプに追加できます。これらのポリシーは、そのポリシーが追加されたドキュメントまたはアイテムに適用されます。

Windows SharePoint Services を実行する複数のコンピュータが、1 つの SQL Server データベースやグループに分割されたサイトのデータベースにアクセスする場合があります。これにより拡張性が向上し、多数のユーザーが同じサイトにアクセスできるようになります。また、ドキュメントとアイテムは論理的に個別のものであり、ユーザーに対しては別々に表示されるにもかかわらず、両方とも SQL Server テーブルのエントリであり、実際には同様の傘下にあるという点も注目に値します。いくつか異なる点もあります。たとえば、ドキュメントはチェックイン/チェックアウトできますが、アイテムはできません。しかし、両者の相違点は、その実装方法よりもユーザーに対する表示方法に関係があります。

Windows SharePoint Services は、その他の標準的な Windows テクノロジにも依存します。たとえば、Active Directory を使用してユーザーを識別し、Web パーツなどのインターフェイスを ASP.NET 上で構築することができます。Windows SharePoint Services は、Windows に標準で付属するということと一般的な問題を処理するものであるという 2 つの理由から、非常に広く普及しました。さまざまな種類の情報を共有する手段として、多数の組織で使用されています。しかし、Windows SharePoint Services 3.0 が開発されるまでは、ワークフローを作成するための組み込みサポートがありませんでした。Windows SharePoint Services 3.0 でこれがどのように実現されているかについて、次に説明します。

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