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Visio Services の展開を計画する

 

適用先: SharePoint Server 2010

トピックの最終更新日: 2011-11-18

Microsoft SharePoint Server 2010 の Visio Services は Microsoft SharePoint Server 2010 に統合されているので、非常に簡単に展開できます。Visio Services の展開を計画してからロールアウトすると、システムのパフォーマンスやユーザーの満足度を可能な限り高めることができ、SharePoint Server ファームや関連するシステムのシステム リソースをより適切に管理できます。

Visio Services のパフォーマンス

Visio Services は、Visio Graphics Service を使用して実装されています。このサービスは、ファーム内の 1 つ以上のアプリケーション サーバーで動作します。他のこの種のサービスと同様に、このサービスでも、動作している各サーバーの処理能力、メモリなどのリソースが消費されます。

Visio Graphics Service を実行するアプリケーション サーバーのシステムのパフォーマンスは、次のようなさまざまな要因の影響を受けます。

  • レンダリングされる Web 図面のサイズ

  • データ ソースに接続されている図面の数

  • Web 図面の接続先データ ソースのパフォーマンス

  • データ接続された Web 図面のデータ更新の周期

  • Web 図面にアクセスするユーザーのピーク負荷

  • Web 図面からアクセスされる外部データ ソースのピーク負荷

  • Web 図面の複雑さ

Web 図面のサイズ制限と更新のパラメーターは、管理者が調整できます。これらのパラメーターを調整することで、サーバーのパフォーマンスを調整できます。これらのパラメーターを変更しても必要なパフォーマンスが得られない場合は、処理能力やメモリの追加が必要な可能性があります。

Visio Services のシステム リソースを計画するときに最も重要な要素は、ピーク負荷です。たとえば、ユーザーによる Visio Services の機能の使用量が最も多くなるのが月曜日の朝の場合は、そのピーク負荷に合わせてサーバーの能力を計画します。ピーク負荷の時間帯は、組織での Visio Services の使用方法によって大きく異なります。システム リソースに過剰な負荷がかかるのを防ぐには、可能な限り正確にピーク負荷を推定することが重要です。

SharePoint Server ファームに複数のアプリケーション サーバーがあり、それぞれで複数のサービスが実行される可能性がある場合は、Visio Services サービスを実行するアプリケーション サーバーを決定する必要があります。これを決定するときには、各アプリケーション サーバーで実行される他の SharePoint Server 2010 サービスを調べます。他の各サービスの負荷がピークになる時間帯を確認します。そして、他のサービスのピーク負荷が Visio Services のピーク負荷とは異なる時間帯に発生するアプリケーション サーバーを選択します。

ピーク負荷を考慮するだけでなく、同じサーバーで実行されている他のサービスの全体的な負荷も考慮する必要があります。検索などの一部の SharePoint Server サービスは、Visio Services のような他の負荷と共有していない専用のアプリケーション サーバーを使用するのがよい場合があります。Access Services などの他のサービスは、使用パターンによっては、Visio Services と同じサーバーに置くのが最適な場合があります。

SharePoint Server のパフォーマンスに関する検討に加えて、他のシステムのパフォーマンスに対する Visio Services の影響も調べる必要があります。たとえば、Oracle データベースのデータに対してクエリを実行するデータ接続された Web 図面がある場合、Visio Services のピーク負荷はその Oracle データベースにどのような影響を与えるでしょうか。多数のユーザーがデータ ソースに対して同時にクエリを実行すると、そのデータ ソースのリソースにとって大きな負担になる可能性があります。

Visio Services のパフォーマンスの最適化に使用できるベスト プラクティスを次に示します。

  • ファーム内のアプリケーション サーバーのパフォーマンスを監視し、ピーク負荷の処理に必要な場合は CPU やメモリを追加します。

  • パフォーマンスを向上させるには、ファーム内の複数のアプリケーション サーバーで Visio Graphics Service を実行します。

  • Visio Graphics Service とは異なる時間帯にピーク負荷が発生する他のサービスと同じアプリケーション サーバーで、Visio Graphics Service を実行します。

  • Web 図面の最大サイズを制限します。

  • Web 図面の最小キャッシュ時間を長くします。これにより、特定の Web 図面のキャッシュされたデータがユーザーに対して表示されている時間が長くなります。

Visio Graphics Service アプリケーション

SharePoint Server は、Visio Services を実装するために、ファーム内の 1 つ以上のアプリケーション サーバーで実行している Visio Graphics Service およびファーム レベルで実行している Visio Graphics Service アプリケーションを利用します。信頼できるデータ プロバイダー、図面とキャッシュの設定など、Visio Services のさまざまな設定の構成は、Visio Graphics Service アプリケーションで行います。

大多数の展開では、Visio Services サービス アプリケーションは 1 つで十分です。ただし、SharePoint Server では、必要に応じて各タイプのサービス アプリケーションを複数作成できます。

複数の Visio Graphics Service アプリケーションの検討は、次のような場合に必要になります。

  • 異なる顧客を分離する必要があるホスト ソリューション

  • 制限されたデータ アクセスが必要な組織内の部門 (たとえば、人事データや法務データを他の部署から切り離す場合)

  • Visio Services 内で異なるグローバル設定や異なる無人サービス アカウントが必要な、異なるデータ ソースの使用

パイロット展開の使用

Visio Services の能力要件を決定する際の参考となるデータを得るには、標準的なユーザーを代表する限られたパイロット グループに Visio Services を展開することを検討します。ごく少数のユーザーだけが Visio Services の機能にアクセスできるようにすることで、システム リソースに大きな負荷をかけることなく、サーバー リソースの使用状況と、外部データ ソースなどの関連システムへの影響を監視できます。

パイロット グループのパフォーマンス データを収集したら、組織全体に Visio Services を展開するときのシステム要件を推定できます。パイロット データは、ピーク負荷要件およびピーク負荷が発生する可能性のある時間帯の判断にも役立ちます。

データ接続された Web 図面で使用されるデータ ソースなどの影響を受ける他のシステムを監視することで、組織内の他のシステムに対する Visio Services の影響も推測できます。

監視

SharePoint Server の他のサービスと併せて、Visio Services で消費されるシステム リソースを監視することを強くお勧めします。通常、新しいユーザーがオンライン環境に加わり、既存ユーザーによる Visio Services および他の SharePoint Server テクノロジの使用が増加する従って、時間とともにリソースの使用量は増えます。

SharePoint Server のサービスのアーキテクチャは、アプリケーション サーバーをファームに簡単に追加できるようになっています。ユーザーの需要の増加に合わせて、いつでもサーバーをファームに追加し、Visio Services などのサービスによる負荷を新しいサーバーに移すことができます。つまり、Visio Services を新しいサーバーにオフロードする代わりに、Visio Services サービスを同時に複数のアプリケーション サーバーで実行し、能力と冗長性を高めることができます。

リソースの使用状況を監視することで、能力の増強が必要になる可能性のある時期を予測し、必要なハードウェアを組織の定期的な予算手続きに含めることができます。これはまた、予想外の高いサーバー負荷によるシステムのダウンタイムや応答速度の低下を防ぐのにも役立ちます。

データのバックアップと復元

SharePoint Server ライブラリに格納される Visio Services の設定および Visio のドキュメントは、ファーム管理者が通常のファーム バックアップを行うときにバックアップできます。ただし、ファームの外部にあるデータ ソースに接続された Visio ドキュメントを公開する場合、Visio ドキュメントの接続先のデータは通常のファーム バックアップではバックアップされないことに注意してください。このような場合は、データが存在するシステムの管理者がバックアップ手順を実行する必要があります。

Visio Professional 2010 と Visio Premium 2010 の展開

Visio Services では Web パーツを使用して Visio の図面を表示できるので、Microsoft Visio 2010 をクライアント コンピューターにインストールする必要はありません。ただし、Visio Services では Visio の図面の作成または編集はできません。Visio Services の展開計画の一部として、組織内の図面作成者のニーズも考慮する必要があります。Visio Services に公開する必要がある図面作成者ごとに、Microsoft Visio Professional 2010 または Microsoft Visio Premium 2010 のコピーが必要です。

重要

SharePoint Server への公開には、Visio Professional 2010 または Visio Premium 2010 が必要です。Microsoft Visio Standard 2010 および以前のバージョンの Visio では、サーバーには公開できません。