New-CsSipProxyTransport
トピックの最終更新日: 2012-03-27
静的ルートで使用する伝送プロトコルを指定します。Microsoft Lync Server 2010 を使用すると、ルートの伝送プロトコルとして、伝送制御プロトコル (TCP) またはトランスポート層セキュリティ (TLS) を選択できます。
構文
New-CsSipProxyTransport -Port <UInt16> -TransportChoice <ITransportChoice>
解説
他のユーザーに SIP メッセージを送信する場合、配信される前に、そのメッセージが複数のサブネットやネットワークを通過することが必要になる場合があります。多くの場合、メッセージが通過するパスをルートと呼びます。ネットワークでは、動的ルートと静的ルートの 2 種類のルートがあります。動的ルートでは、サーバーは、アルゴリズムを使用してメッセージを転送する次の場所 (次ホップ) を判断します。静的ルートでは、メッセージ パスはシステム管理者があらかじめ設定します。メッセージがサーバーによって受信されると、サーバーは、メッセージのアドレスを確認し、そのメッセージを管理者があらかじめ設定した次ホップ サーバーに転送します。正しく構成されている場合、静的ルートによって、メッセージを適切なタイミングで正確に配信でき、サーバーにかかるオーバーヘッドが最小限になります。静的ルートの欠点は、ネットワーク障害が発生した場合に、メッセージが動的に再ルーティングされないという点です。
Lync Server 2010 では、プロキシ サーバーの静的ルートを設定できます。これらのルートは、プロキシ構成設定および SIP プロキシ ルートの 2 つの主要な要素で構成されます。この SIP プロキシ ルートにはいくつかのプロパティがあり、たとえば各ルートには、ルートに沿ってメッセージを伝送するときに使用するネットワーク プロトコルを定義するプロパティ Transport が必要です。Transport プロパティは、New-CsSipProxyTransport コマンドレットを使用して指定できます。
New-CsSipProxyTransport には、TransportChoice および Port という 2 つの必須パラメーターがあります。TransportChoice パラメーターは、New-CsSipProxyTCP (伝送制御プロトコルをルート トランスポートとして割り当て) または New-CsSipProxyTLS (トランスポート層セキュリティをルート トランスポートとして割り当て) のいずれかの別のコマンドレットを使用して構成します。New-CsSipProxyTransport を使用して作成したトランスポート オブジェクトは、変数に保存する必要があります。その変数は、SIP プロキシ ルートの Transport プロパティを構成するために使用します。
New-CsStaticRoute を使用して静的ルートを作成する場合、New-CsSipProxyTransport コマンドレットを使用する必要はありません。
このコマンドレットを実行できるユーザー:既定では、次のグループのメンバーが New-CsSipProxyTransport コマンドレットをローカルで実行することを承認されています。RTCUniversalServerAdmins。このコマンドレットが割り当てられているすべての役割ベースのアクセス制御 (RBAC) の役割の一覧 (自身が作成したカスタムの RBAC の役割を含む) を戻すには、Windows PowerShell プロンプトから次のコマンドを実行します。
Get-CsAdminRole | Where-Object {$_.Cmdlets –match "New-CsSipProxyTransport"}
パラメーター
パラメーター | 必須かどうか | 型 | 説明 |
---|---|---|---|
Port |
必須 |
整数 |
SIP ルーティングに使用するポート番号。次に例を示します。-Port 7742。 |
TransportChoice |
必須 |
Transport オブジェクト |
静的ルートで使用する伝送プロトコル (TCP または TLS) を示します。TCP プロトコルを使用するには、New-CsSipProxyTCP コマンドレットを使用してトランスポート オブジェクトを作成します。TLS プロトコルを使用するには、New-CsSipProxyTLS コマンドレットを使用してトランスポート オブジェクトを作成します。 |
入力の種類
なし。New-CsSipProxyTransport は、パイプライン処理された入力を受け入れません。
戻り値の種類
New-CsSipProxyTransport は、Microsoft.Rtc.Management.WritableConfig.Settings.SipProxy.Transport オブジェクトの新しいインスタンスを作成します。
例
-------------------------- 例 1 ------------------------
$cert = New-CsSipProxyUseDefaultCert
$tls = New-CsSipProxyTLS -Certificate $cert -Fqdn atl-proxy-001.litwareinc.com
$transport = New-CsSipProxyTransport -TransportChoice $tls -Port 7500
例 1 に示すコマンドは、TLS をトランスポートとして使用する新しい SIP プロキシ トランスポートを作成します。TLS では、証明書が必要なため (認証のために使用)、例の最初のコマンドでは、New-CsSipProxyUseDefaultCert を使用して新しい SipProxy.UseDefaultCert オブジェクトを構成しています。このオブジェクトは、$cert という名前の変数に格納され、Lync Server に対して、TLS トランスポートで既定の証明書を使用するよう指示します。UseDefaultCert オブジェクトの作成後は、New-CsSipProxyTLS を呼び出して新しい SipProxy.TLS オブジェクトを作成できます。このオブジェクトは、既定の証明書を使用し、次ホップ サーバーの完全修飾ドメイン名として atl-proxy-001.litwareinc.com を指し示します。
-------------------------- 例 2 ------------------------
$tcp = New-CsSipProxyTCP -IPAddress 192.168.1.100
$transport = New-CsSipProxyTransport -TransportChoice $tcp -Port 7500
例 2 に示すコマンドを実行すると、TCP をトランスポートとして使用する新しい SIP プロキシ トランスポート オブジェクトが作成されます。このタスクを実行するには、例の最初のコマンドでは、New-CsSipProxyTCP を使用して、IP アドレスが 192.168.1.100 の次ホップ サーバーを指し示す新しい SipProxy.TCP オブジェクトを作成します。この TCP オブジェクトは、$tcp という変数に格納されます。
SipProxy.TCP オブジェクトの作成後、New-CsSipProxyTransport コマンドレットを呼び出して TCP トランスポート オブジェクトを作成できます。