通話受付管理の概要
トピックの最終更新日: 2010-11-05
リアルタイム コミュニケーションは、混雑したネットワークで発生しやすい遅延やパケット損失からの影響を受けやすくなっています。 通話受付管理 (CAC) では、利用可能なネットワーク帯域幅に基づいて、音声通話やビデオ通話などのリアルタイム コミュニケーションのセッションの確立を許可するかどうかを判断します。 Lync Server 2010 の CAC 設計は、4 つの主な特性を提供します。
展開と管理が簡単であり、特別に構成されたルーターなど、追加の機器は不要です。
移動ユーザーや複数の Multiple Point of Presence など、ユニファイド コミュニケーションの重要なユース ケースに対処します。 CAC ポリシーは、ユーザーが所属する場所ではなく、エンドポイントが配置されている場所に基づいて適用されます。
音声通話に加えて、ビデオ通話や音声ビデオ会議セッションなどの、他のトラフィックにも適用できます。
各種のネットワーク トポロジを柔軟に表示できます。 例については、「CAC トポロジに関する考慮事項」を参照してください。
新しい音声セッションまたはビデオ セッションが WAN リンクに設定されている帯域幅制限を超えた場合、セッションはブロックされるか、(電話での通話のみ) PSTN に再ルーティングされます。
CAC では、音声とビデオのリアルタイムのトラフィックのみ制御します。 データ トラフィックは制御しません。
管理者は、すべての Lync Server 2010 フロント エンド プールにインストールされている帯域幅ポリシー サービスによって適用される、CAC ポリシーを定義します。 CAC 設定は、ネットワーク内のすべての Lync Server フロント エンド サーバーに自動的に反映されます。
CAC ポリシーのために失敗した通話では、通話を再ルーティングする優先順位は次のようになります。
インターネット
PSTN
ボイス メール
通話詳細記録 (CDR) では、PSTN またはボイス メールに再ルーティングされた通話に関する情報を収集します。 CDR では、インターネットは 2 番目のオプションではなく代替パスとして扱われるため、インターネットに再ルーティングされた通話に関する情報は収集されません。
注: |
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ボイス メール デポジットは、帯域幅制限のために拒否されることはありません。 |
帯域幅ポリシー サービスは、CSV (コンマ区切り値) 形式で 2 種類のログ ファイルを生成します。 [チェックの失敗] ログ ファイルには、帯域幅要求が拒否されたときの情報が収集されます。 [リンクの使用率] ログ ファイルには、ネットワーク トポロジのスナップショットと WAN リンクの帯域幅使用率が収集されます。 これらの両方のログ ファイルは、使用率に基づいて CAC ポリシーを細かく調整するのに役立ちます。
通話受付管理に関する考慮事項
このトピックの後半では、CAC を計画する際に留意する必要がある考慮事項について説明します。
ネットワークに関する考慮事項
音声とビデオに対する帯域幅制限は Lync Server 2010 の帯域幅ポリシー サービスによって適用されますが、この制限はネットワーク ルーター (レイヤー 2 および 3) では適用されません。 Lync Server 2010 CAC では、CAC ポリシーによって音声とビデオに予約されている帯域幅を含め、データ アプリケーションによって WAN リンク上の全体的なネットワーク帯域幅が使用されないようにすることはできません。 ネットワーク上の必要な帯域幅を保護するために、Differentiated Services (DiffServ) などのサービスの品質 (QoS) プロトコルを展開できます。 そのため、定義する Lync Server 2010 CAC 帯域幅ポリシーと展開する QoS 設定を調整することをお勧めします。
VPN 経由のメディア パスと信号パス
企業が VPN 経由のメディアをサポートする場合、メディア ストリームと信号ストリームの両方が VPN を通過するのか、または両方がインターネット経由でルーティングされるのかを確認します。 既定では、メディア ストリームと信号ストリームは VPN トンネルを通過します。
外部ユーザーの通話受付管理
通話受付管理は、ネットワーク トラフィックがインターネット経由で伝播されるリモート ユーザーには適用されません。 メディア トラフィックは Lync Server では管理されないインターネットを通過するため、CAC を適用することはできません。 ただし、エンタープライズ ネットワークを通過する通話の部分に対して CAC の確認が実行されます。
PSTN 接続の通話受付管理
仲介サーバーが IP/PBX、PSTN ゲートウェイ、または SIP トランクに接続されているかどうかに関係なく、通話受付管理を仲介サーバーに適用することができます。 仲介サーバーはバックツーバックのユーザー エージェント (B2BUA) であるため、ここでメディアは終了します。 仲介サーバーには、Lync Server とゲートウェイ側に接続される側と、PSTN ゲートウェイ、IP/PBX、または SIP トランクに接続される側の、2 つの接続側があります。 PSTN 接続の詳細については、「PSTN 接続」を参照してください。
メディア バイパスが有効でない場合、CAC を仲介サーバーの両側に適用できます。 メディア バイパスが有効な場合、メディア トラフィックは仲介サーバーを通過しませんが、代わりに Lync 2010 クライアントとゲートウェイ間を直接通過します。 この場合、CAC は不要です。 詳細については、「メディア バイパス」を参照してください。
次の図は、メディア バイパスが有効な場合と有効でない場合について、PSTN 接続に CAC がどのように適用されるのかを示しています。
PSTN 接続への通話受付管理の適用
以前のバージョンの Office Communications Server との通話受付管理の互換性
Lync Server 2010 が有効なエンドポイントでのみ、通話受付管理を有効にできます。
Office Communicator 2007 R2 以前を実行しているエンドポイントで、通話受付管理を有効にすることはできません。
さまざまな Lync Server バージョンでの CAC の適用