Set-CsCommonAreaPhone
トピックの最終更新日: 2012-03-27
Microsoft Lync Server 2010 によって管理される共通領域電話のプロパティ値を変更します。共通領域電話とは、建物のロビーや従業員休憩室、その他の場所に置かれている、多数の異なる人々によってさまざまな目的のために使用される可能性がある電話のことです。
構文
Set-CsCommonAreaPhone -Identity <UserIdParameter> [-Confirm [<SwitchParameter>]] [-Description <String>] [-DisplayName <String>] [-DisplayNumber <String>] [-DomainController <Fqdn>] [-Enabled <$true | $false>] [-EnterpriseVoiceEnabled <$true | $false>] [-LineURI <String>] [-PassThru <SwitchParameter>] [-SipAddress <String>] [-WhatIf [<SwitchParameter>]]
解説
共通領域電話は、個別のユーザーに関連付けられていない IP 電話です。共通領域電話は通常、個人のオフィスに置かれるのではなく、建物のロビー、カフェテリア、従業員休憩室、会議室やその他、多数の人々が集まる可能性がある場所に置かれています。この点は、管理者にとって管理上の課題です。Lync Server 2010 での電話の使用は、通常、個々のユーザーに割り当てられる音声ポリシーとダイヤル プランを使用して管理するためです。共有領域電話には、割り当てられた個々のユーザーはありません。
この課題の 1 つの解決策は、すべての共通領域電話に対して Active Directory の連絡先オブジェクトを作成することです (この連絡先オブジェクトは、New-CsCommonAreaPhone コマンドレットを使用して作成できます)。ユーザー アカウントと同様、この連絡先オブジェクトはポリシーとボイス計画に割り当てることができます。これにより、共通領域電話が個々のユーザーに関連付けられていない場合でも、これらの電話に対する管理機能を保持することができます。たとえば、ユーザーが共通領域電話からの着信を転送または保留できないようにする場合は、着信の転送および通話の保留を禁止する音声ポリシーを作成し、そのポリシーを共通領域電話 (より正確には、共通領域電話を表す連絡先オブジェクト) に割り当てます。次のコマンドにより、音声ポリシー CommonAreaPhoneVoicePolicy をすべての共通領域電話に割り当てます。
Get-CsCommonAreaPhone | Grant-CsVoicePolicy –PolicyName "CommonAreaPhoneVoicePolicy"
Set-CsCommonAreaPhone コマンドレットを使用すると、共通領域電話に関連付けられた、連絡先オブジェクトの各種プロパティを変更できます。特に、連絡先の Active Directory 表示名や、電話に関連付けられた回線 URL (Uniform Resource Identifier) を変更できます。Enabled パラメーターを使用して、Lync Server 2010 で使用するアカウントを有効または無効にすることもできます。
さらに、CsClientPolicy コマンドレットを使用して、共通領域電話に対して "ホットデスク機能" を構成できます。ホットデスク機能を構成した場合、ユーザーは Lync Server 資格情報を使用してその電話にログオンできます。これにより、ユーザーが簡単に連絡先にアクセスできます。詳細については、Set-CsClientPolicy コマンドレットのヘルプ トピックを参照してください。
このコマンドレットを実行できるユーザー:既定では、次のグループのメンバーが Set-CsCommonAreaPhone コマンドレットをローカルで実行することを承認されています。RTCUniversalUserAdmins。特定のサイトまたは特定の Active Directory の組織単位 (OU) でこのコマンドレットを実行するためのアクセス許可は、Grant-CsOUPermission コマンドレットを使用して割り当てることができます。このコマンドレットが割り当てられているすべての役割ベースのアクセス制御 (RBAC) の役割の一覧 (自身が作成したカスタムの RBAC の役割を含む) を戻すには、Windows PowerShell プロンプトから次のコマンドを実行します。
Get-CsAdminRole | Where-Object {$_.Cmdlets –match "Set-CsCommonAreaPhone"}
パラメーター
パラメーター | 必須かどうか | 型 | 説明 |
---|---|---|---|
Identity |
必須 |
ユーザー ID パラメーター |
共通領域電話の一意の識別子です。共通領域電話は、関連付けられている連絡先オブジェクトの Active Directory 識別名を使用して識別されます。既定では、共通領域電話は、グローバル一意識別子 (GUID) を共通名として使用します。つまり、共通領域電話の Identity は、通常、次のようになります。CN={ce84964a-c4da-4622-ad34-c54ff3ed361f},OU=Redmond,DC=Litwareinc,DC=com。このため、Get-CsCommonAreaPhone コマンドレットを使用して共通領域電話を取得し、取得したオブジェクトを Set-CsCommonAreaPhone にパイプ処理するほうが容易だと感じるかもしれません。 |
Enabled |
省略可能 |
文字列 |
共通領域電話の連絡先オブジェクトが、Lync Server 2010 で有効かどうかを指定します。 Enabled パラメーターを使用して連絡先を無効にしている場合は、そのアカウントに関連する情報 (割り当てられているポリシー、エンタープライズ VoIP 、リモート通話コントロール、およびボイス メール統合に対して連絡先が有効になっているかどうかなど) は保持されます。後で Enabled パラメーターを使用してアカウントを再度有効にすると、関連するアカウント情報が復元されます。 |
Description |
省略可能 |
文字列 |
共通領域電話の Active Directory の説明属性を変更できるようにします。これにより、電話に関する追加情報を入力できます。たとえば、電話に問題が生じた場合の連絡先に関する詳細を追加できます。 |
DisplayName |
省略可能 |
文字列 |
共通領域電話の Active Directory の表示名を変更できるようにします。 |
DisplayNumber |
省略可能 |
文字列 |
Microsoft Lync 2010 に表示する電話番号です。DisplayNumber プロパティは、たとえば 1-800-555-1234、1-(800)-555-1234、1.800.555.1234 など、任意の書式で設定できます。表示番号を選択する場合は、その番号を正規化することが可能な場合にのみ、共通領域電話の表示画面に表示されることに留意してください (正規化とは、番号文字列を標準の電話番号形式に変換するプロセスのことです)。表示番号の構成時に使用する電話番号形式の正規化ルールが存在しない場合、共通領域電話の表示画面には、DisplayNumber プロパティの値ではなく LineUri プロパティの値が表示されます。 |
DomainController |
省略可能 |
文字列 |
連絡先情報を変更するために、指定したドメイン コントローラーに接続できるようにします。特定のドメイン コントローラーに接続するには、DomainController パラメーターの後に、コンピューター名 (たとえば、atl-mcs-001 など) またはその完全修飾ドメイン名 (FQDN) (たとえば、atl-mcs-001.litwareinc.com など) を指定します。 |
EnterpriseVoiceEnabled |
省略可能 |
ブール値 |
共通領域電話の連絡先オブジェクトが、エンタープライズ VoIP (Microsoft が提供するボイス オーバー IP (VoIP) ソリューション) で有効かどうかを指定します。エンタープライズ VoIP を使用すると、標準の電話ネットワークでなくインターネットを使用して電話をかけることができます。 |
LineUri |
省略可能 |
文字列 |
共通領域電話の電話番号。回線 URI (Uniform Resource Identifier) は E.164 形式で指定し、先頭に "TEL:" というプレフィックスを付ける必要があります。次に例を示します。TEL: +14255551297。内線番号は回線 URI の末尾に追加する必要があります。次に例を示します。TEL: +14255551297; ext=51297。 |
SipAddress |
省略可能 |
SIP アドレス |
共通領域電話が Lync 2010 などの SIP デバイスと通信できるようにする、一意の識別子です。SIP アドレスの先頭には、プレフィックス "sip:" を付け、有効な SIP ドメインを含める必要があります。次に例を示します。sip:bldg14lobby@litwareinc.com。 |
PassThru |
省略可能 |
スイッチ パラメーター |
共通領域電話を表すオブジェクトを戻します。 |
WhatIf |
省略可能 |
スイッチ パラメーター |
実際にコマンドを実行せずに、コマンドの実行結果がわかります。 |
Confirm |
省略可能 |
スイッチ パラメーター |
コマンドの実行前に確認メッセージを表示します。 |
入力の種類
Microsoft.Rtc.Management.ADConnect.Schema.OCSADCommonAreaPhoneContact オブジェクト。
戻り値の種類
既定では、Set-CsCommonAreaPhone は、値やオブジェクトを戻しません。ただし、このコマンドレットで PassThru パラメーターを指定すると、Microsoft.Rtc.Management.ADConnect.Schema.OCSADCommonAreaPhoneContact のインスタンスが戻されます。
例
-------------------------- 例 1 ------------------------
Get-CsCommonAreaPhone -Filter {LineUri -eq "tel:+14255556710"} | Set-CsCommonAreaPhone -DisplayName "Employee Lounge"
例 1 を実行すると、電話番号が 1-425-555-6710 の共通領域電話の Active Directory 表示名が変更されます。これを行うために、最初に Filter パラメーターを指定して Get-CsCommonAreaPhone を呼び出しています。フィルター値 {LineUri -eq "tel:+14255556710"} は、戻されるデータを、LineUri プロパティが +14255556710 に等しい共通領域電話に制限します。次に、戻されたオブジェクトを Set-CsCommonAreaPhone にパイプ処理し、DisplayName プロパティの値を "Employee Lounge" に設定しています。
-------------------------- 例 2 ------------------------
Get-CsCommonAreaPhone | Set-CsCommonAreaPhone -Enabled $True
例 2 に示すコマンド を実行すると、現在組織で使用するように構成されている、すべての共通領域電話が有効化されます。このタスクを実行するために、このコマンドではパラメーターを指定せずに Get-CsCommonAreaPhone を呼び出して、すべての共通領域電話のコレクションを取得しています。次に、このコレクションを Set-CsCommonAreaPhone コマンドレットにパイプ処理し、コレクション内の各項目に対して、Enabled プロパティを True に設定します。
-------------------------- 例 3 ------------------------
Get-CsCommonAreaPhone -Filter {Description -eq $Null} | Set-CsCommonAreaPhone -Description "Common area phone"
上記のコマンドを実行すると、説明プロパティに値が割り当てられていないすべての共通領域電話に、一般的な説明が追加されます。これを実行するため、Filter パラメーターを指定して Get-CsCommonAreaPhone が呼び出されています。フィルター値 {Description -eq $Null} によって、戻される項目が、Description プロパティが null 値に等しい共通領域電話に制限されるようにしています。次に、このフィルター処理済みコレクションを Set-CsCommonAreaPhone にパイプ処理し、一般的な説明 "共通領域電話" をコレクション内の各項目に割り当てています。