Windows Vista 上の Reporting Services をアップグレードする方法
新規 : 2007 年 9 月 15 日
Reporting Services がインストールされているコンピュータのオペレーティング システムを Windows XP から Windows Vista にアップグレードした場合、アップグレード後も継続して Reporting Services を使用できます。ただし、両者は異なるオペレーティング システムであるため、Reporting Services の使用前に適切な対処が必要となります。
- アップグレード中は、ASP.NET および World Wide Web 発行サービスが無効になります。この 2 つのテクノロジが有効化かつ開始されているコンピュータをアップグレードした場合、アップグレード プロセス中はどちらも利用できない状態になります。アップグレードの完了後、これらの機能を再設定する必要があります。
- インターネット インフォメーション サービス (IIS) 7.0 には、アプリケーション プールが使用されます。IIS および Web アプリケーションがインストールされている Windows XP コンピュータをアップグレードした場合、新しいアプリケーション プールが自動的に作成されます。IIS 7.0 内では Reporting Services がレガシ アプリケーションとして実行されるため、新しいアプリケーション プールの設定を Reporting Services に適用することはできません。アップグレードの完了後に設定を変更する必要があります。
- Windows Vista のユーザー アカウント制御 (UAC) 機能を使用している場合、従来のようにローカル管理者に自動的に管理者権限が付与されることはありません。これまでローカル管理者に付与される組み込み権限を使ってレポート サーバーにアクセスしていた場合、今後は、アカウントに対するロールの割り当てを明示的に作成する必要があります。
前提条件
- SQL Server 2005 を Windows Vista で実行するには、Service Pack 2 (SP2) をインストールする必要があります。SP2 のダウンロード方法およびインストール方法の詳細については、Microsoft の Web サイトの「SQL Server 2005 の最新の Service Pack を入手する方法」を参照してください。SP2 をオペレーティング システムのアップグレード前に適用するか、アップグレード後に適用するかでアップグレード手順が若干異なります。Windows Vista へのアップグレード後に SP2 を適用する場合は、このトピックの「Windows Vista へのアップグレード後に SP2 を適用する場合のヒント」を参照してください。
- SQL Server 2005 Express Edition with Advanced Services には固有のアップグレード要件があります。SP1 インストールが構成されている必要があります。過去に構成されていないファイルのみのインストールをアップグレードすることはできません。詳細については、このトピックの「Express Edition with Advanced Services のアップグレードに関する考慮事項」を参照してください。
Reporting Services がインストールされているコンピュータを Windows Vista にアップグレードするには
Windows XP SP2 がインストールされていること、および、Reporting Services のインスタンスが構成されて運用可能な状態になっていることを前提とします。
SQL Server 2005 SP2 を Reporting Services に適用します。
暗号化キーおよびレポート サーバー データベースをバックアップします。キーをバックアップするには、Reporting Services 構成ツールを使用します。データベースをバックアップするには、SQL Server Management Studio を使用します。手順については、「Reporting Services インストールのバックアップおよび復元操作」を参照してください。
Windows XP SP2 を Windows Vista にアップグレードします。
Windows Vista にログオンし、ASP.NET を有効にして IIS を開始します。
- [スタート] ボタンをクリックします。
- [コントロール パネル] をクリックします。
- [プログラム] をクリックします。
- [プログラムと機能] の [Windows の機能の有効化または無効化] をクリックします。
- [続行] をクリックします。機能が一覧表示されるまで待ちます。
- [Internet Information Services] を開きます。
- [World Wide Web サービス] を開きます。
- [アプリケーション開発機能] を開きます。
- [ASP.NET] を選択します。
- [OK] をクリックします。
- コントロール パネルの [システムとメンテナンス] をクリックします。
- [管理ツール] をクリックします。パネルの下の方にある場合は、必要に応じてスクロールしてください。
- [サービス] をダブルクリックします。
- [続行] をクリックします。
- [World Wide Web 発行] を右クリックし、[プロパティ] をクリックします。
- [スタートアップの種類] で [自動] をクリックします。
- [適用] をクリックします。
- [開始] をクリックします。
- [OK] をクリックして、ウィンドウを閉じます。
データベース エンジンおよび Reporting Services のサービスが開始されていることを確認します。セットアップ中にこれらを停止した場合は、ここで開始します。
レポート サーバーおよびレポート マネージャ用の新しいアプリケーション プールを作成します。
- Reporting Services 構成ツールを開始します。このツールを開くには、[スタート] ボタンをクリックし、[すべてのプログラム]、[SQL Server 2005]、[構成ツール] の順にポイントして、[Reporting Services 構成] をクリックします。
- [続行] をクリックします。
- [インスタンスの選択] ダイアログ ボックスでレポート サーバー インスタンスを選択し、[接続] をクリックします。
- [Web サービス ID] をクリックします。
- ASP.NET サービス ID に対して設定された値を確認します。IWAM_<machinename> アカウントが使用されていた場合、このページの [適用] をクリックしたときにエラーが発生するので、そのエラーに対処する必要があります。ASP.NET サービス ID が NetworkService に設定されていた場合は、エラーが発生せずに変更が適用されます。
- [新規] をクリックして、レポート サーバー用の新しいアプリケーション プールを作成します。
アプリケーション プールは新たに作成することをお勧めしますが、[マネージ パイプライン モード] が [クラシック] に選択されており、ID が IWAM_<machinename> 以外である場合は、既存のアプリケーション プールを選択することもできます。定義済みのアプリケーション プールを使用するには、[Classic .NET AppPool] を選択します。 - [アプリケーション プール名] に「ReportServer」と入力します。
- アカウントを指定します。ビルトイン アカウントを使用する場合は、[NetworkService] を選択します。それ以外の場合は、最小限の特権しか持たないドメイン ユーザー アカウントを指定します。
- [OK] をクリックします。
- レポート マネージャについては、下矢印をクリックして、先ほど作成した ReportServer アプリケーション プールを選択します。
- [適用] をクリックします。
- ナビゲーション ウィンドウの上にある [最新の情報に更新] をクリックします。ページが更新されたら、レポート サーバーとレポート マネージャの両方について、作成したアプリケーション プールが選択されていることを確認します。
エラーが発生した場合は、[適用] をクリックして選択作業を繰り返し、再度 [適用] をクリックします。[適用] を 2 回クリックすれば問題が解決します。レポート サーバーのアプリケーション プールを作成した後で、レポート マネージャのアプリケーション プールをうまく設定できない場合があります (レポート マネージャのアプリケーション プールを選択しても [適用] ボタンが有効にならない)。その場合は、ページを更新してから、レポート サーバーのアプリケーション プールを再度選択してください。レポート サーバーのアプリケーション プールが正しく選択されていても、選択し直す必要があります。こうすることで [適用] ボタンが有効になり、レポート マネージャのアプリケーション プールに必要な選択作業を行えるようになります。
引き続きエラーが発生する場合は、選択内容が正しくない可能性があります。IIS マネージャ でアプリケーション プールの設定をチェックし、クラシック モードと V2.0 が使用されていること、および、もう 1 つのビルトイン アカウントである NetworkService か、最小限の特権しか持たないドメイン ユーザー アカウントのどちらかが使用されていることを確認してください。
レポート サーバーまたはレポート マネージャをローカル コンピュータ上のブラウザ ウィンドウで開けるようにするには、レポート サーバーおよびレポート マネージャの URL を信頼済みサイトに追加します。
- ブラウザ ウィンドウを開き、既定のレポート サーバー URL (http://<servername>/reportserver) またはレポート マネージャ URL (http://<servername>/reports) を入力します。
- [ツール] をクリックします。
- [インターネット オプション] をクリックします。
- [セキュリティ] をクリックします。
- [信頼済みサイト] をクリックします。
- [サイト] をクリックします。
- http://<servername> を追加します。既定のサイトに HTTPS を使用していない場合は、[このゾーンのサイトにはすべてサーバーの確認 (https:) を必要とする] チェックボックスをオフにします。
- [OK] をクリックします。
完全な権限でのアクセスを明示的に許可するロールの割り当てを作成します。
- [管理者として実行] アクセス許可でブラウザ ウィンドウを開きます。[スタート] ボタンをクリックして [すべてのプログラム] をポイントし、[Internet Explorer] を右クリックして [管理者として実行] をクリックします。
- レポート マネージャを起動します。レポート マネージャの既定の URL は http://<servername>/reports (SQL Server Express with Advanced Services を使用している場合は http://<servername>/reports$sqlexpress) です。
- ホーム ページで、[プロパティ] をクリックします。
- [新しいロールの割り当て] をクリックします。
- Windows ユーザー アカウントを <domain>\<user> の形式で入力します。
- [コンテンツ マネージャ] を選択します。
- [OK] をクリックします。
- ホーム ページの上隅にある [サイトの設定] をクリックします。
- [サイト全体のセキュリティを構成] をクリックします。
- [新しいロールの割り当て] をクリックします。
- Windows ユーザー アカウントを <domain>\<user> の形式で入力します。
- [システム管理者] を選択します。
- [OK] をクリックします。
- レポート マネージャを終了します。
[管理者として実行] を使用せずに、再び Internet Explorer でレポート マネージャを開きます。
Windows Vista の場合、レポート サーバーを管理するユーザーには、レポート サーバーで定義されたロールが明示的に割り当てられている必要があります。Windows XP の場合、ローカル Administrator グループのメンバであれば、レポート サーバーに対する完全な (システム管理者ロールやコンテンツ マネージャ ロールに相当する) 権限が自動的に付与されます。Windows Vista では、組み込みの Administrator セキュリティ プリンシパルであっても、レポート サーバーのコンテンツにアクセスすることはできません。これまでレポート サーバーに組み込みの Administrator セキュリティ プリンシパルでアクセスしていた場合、今後は、Windows ユーザー アカウントを特定のロールに対して明示的に割り当てる必要があります。詳細については、「Windows Vista で SQL Server 2005 を実行する場合の考慮事項」を参照してください。
Windows Vista へのアップグレード後に SP2 を適用する場合のヒント
オペレーティング システムを Windows Vista にアップグレードした後で SP2 を適用する場合、Reporting Services を Windows Vista 上で実行する前に、レポート サーバーに SP2 を適用する必要があります。
- Windows XP がインストールされていること、および、Reporting Services SP1 が構成されて運用可能な状態になっていることを前提とします。
- Windows Vista にアップグレードします。
- ASP.NET を有効にし、World Wide Web 発行サービスを開始します。手順については、前のセクションを参照してください。
- SQL Server 2005 SP2 を Reporting Services に適用します。
- SP2 の適用後にコンピュータを再起動しなかった場合で、なおかつ Express Edition with Advanced Services を使用している場合は、IIS を再設定する必要があります。IIS を再設定するには、次の手順に従います。
- [スタート] ボタンをクリックし、[すべてのプログラム]、[アクセサリ] の順にポイントします。[コマンド プロンプト] を右クリックして [管理者として実行] をクリックします。
- [続行] をクリックします。
- 「IISRESET」と入力して、Enter キーを押します
- アップグレード中にサービスを停止した場合は、ここで再起動します。
引き続き前のセクションの手順に従ってアプリケーション プールを構成し、ロールの割り当てを作成して、Web サイトを信頼済みサイトに追加します。
Express Edition with Advanced Services のアップグレードに関する考慮事項
Express Edition with Advanced Services のファイルのみのインストールをアップグレードすることはできません。アップグレードはサポートされません。この配置シナリオでは、SP1 バージョンをアンインストールしてから、SP2 バージョンの新しいインスタンスをインストールする必要があります。
"ファイルのみのインストール" オプションでインストールした Express Edition with Advanced Services のレポート サーバーのインスタンスを SP1 から SP2 にアップグレードしようとした場合、さまざまなアップグレード ブロッカーが表示され、その中のいくつかには確実な回避方法がありません。表示されるアップグレード ブロッカー メッセージには、次のようなものがあります。
- Reporting Services の "ReportManager" 仮想ディレクトリが既定の Web サイトの下に見つかりませんでした。
- Reporting Services の "ReportManager" 仮想ディレクトリは Windows 統合認証が可能な構成ではありません。
- Reporting Services の "ReportManager" 仮想ディレクトリは既定以外のアプリケーション マッピングを使用するように構成されています。
これらのエラーを解決するには、レポート サーバーのインスタンスをアンインストールしてから、Express Edition with Advanced Services の SP2 バージョンをインストールします。詳細については、Microsoft の Web サイトの「Microsoft SQL Server 2005 Express Edition with Advanced Services Service Pack 2」を参照してください。
Windows Vista での Business Intelligence Development Studio の使用
Business Intelligence Development Studio を Windows Vista にインストールした場合、デザイン ツールの使用時に Visual Studio 2005 環境との互換性の問題が発生します。
既存のプロジェクトまたはソリューションを開く場合、あるいは、レポート デザイナまたはモデル デザイナからレポート サーバーにアイテムをパブリッシュする場合は、昇格された権限で Business Intelligence Development Studio を開く必要があります。
- [スタート] ボタンをクリックし、[すべてのプログラム]、[SQL Server 2005] の順にポイントして、[Business Intelligence Development Studio] を右クリックし、[管理者として実行] をクリックします。
- [続行] をクリックします。
- [プログラムを実行する] をクリックします。
これでレポートや他のアイテムをレポート サーバーに配置できるようになります。十分な権限がない場合、次のような問題が発生します。
- 既存のプロジェクトを開こうとするとアクセスが拒否されたことを示すエラーが表示される。
- 共有データ ソースへの接続を構成するときにログインに失敗したことを示すエラーが表示される。
- レポート サーバー ウィザードを使用してレポートを作成するとき、レポート データを提供する外部データ ソースへの接続が試みられた時点でログインに失敗したことを示すエラーが表示される。
SQL Server Management Studio ユーザーは、[管理者として実行] の権限を使用して、サーバー上のデータベースを管理するユーザーのログインを作成する必要があります。Management Studio の昇格された権限の要件の詳細については、「Windows Vista から SQL Server に接続する方法」を参照してください。
参照
処理手順
64 ビット コンピュータに 32 ビット Reporting Services をインストールする方法
Windows Vista 上で 32 ビット Reporting Services をインストールする方法
関連項目
バージョンとエディションのアップグレード
SQL Server 2005 のインストールに必要なハードウェアおよびソフトウェア
概念
Windows Vista で SQL Server 2005 を実行する場合の考慮事項
その他の技術情報
Reporting Services のインストール方法に関するトピック
Reporting Services の構成の操作方法に関するトピック