識別子 (SSIS)

[アーティクル]
12/15/2008

識別子とは、式の内部で演算に使用できる列および変数のことです。式では、標準識別子と修飾された識別子を使用できます。標準識別子とは、追加の修飾子を必要としない識別子のことです。たとえば、MiddleName は、AdventureWorks データベースの Contacts テーブルの列ですが、これは標準識別子です。修飾された識別子とは、角かっこで区切られた識別子のことです。識別子の名前にスペースが含まれていたり、識別子名の最初の文字が英字でなかったり、アンダースコアの場合、識別子には区切り記号が必要になります。たとえば、列名 Middle Name は角かっこで修飾し、式では [Middle Name] と記述する必要があります。

パッケージには、同じ名前の列を公開するデータソースが含まれる場合があります。式エバリュエータでは列を明確に識別するため、ソースの名前で列名を修飾する、ドット付き表記がサポートされています。たとえば、ソースが GetGeographyData、列が GeographyKey という名前の場合、この列は GetGeographyData.GeographyKey を使用して参照できます。

パッケージには、複数の変数を同じ名前で含めることができます。ただし、これらの変数は異なる名前空間に属する必要があります。式エバリュエータでは、名前空間を解決する演算子が用意され、これにより、名前空間を使用して変数を識別できます。詳細については、「構文 (SSIS)」を参照してください。

標準識別子

標準識別子の名前付けは、次の規則に従う必要があります。

名前の最初の文字は、Unicode Standard 2.0 に定義されている文字か、アンダースコア (_) である必要があります。
2 番目以降の文字では、Unicode Standard 2.0 に定義されている文字または数字と、アンダースコア (_)、@、$、および # 文字を使用できます。

重要 :
埋め込み型スペース、および上記の一覧に表示されていない特殊文字は、標準識別子では無効です。スペースや特殊文字を使用するには、標準識別子ではなく修飾された識別子を使用する必要があります。

修飾された識別子

識別子の名前にスペースが含まれる場合、または標準識別子の名前が有効でない場合は、識別子を修飾する必要があります。式エバリュエータは、角かっこ ([]) を使用して識別子を修飾します。角かっこは、文字列の最初と最後に配置します。たとえば、識別子 5$> は [5$>] になります。角かっこは、列名、変数名、関数名で使用できます。

SSIS デザイナのダイアログボックスを使用して式を構築する場合、標準識別子は、自動的に角かっこで囲まれます。ただし、角かっこが必要となるのは、名前に無効な文字が含まれている場合のみです。たとえば、MiddleName という名前の列は、角かっこなしでも有効です。

式の内部では、角かっこが含まれる列名を参照できません。たとえば、列名 Column[1] は、式では使用できません。この列を式で使用するには、角かっこなしの名前に変更する必要があります。

系列 ID

式では、系列 ID を使用して列を参照できます。系列 ID は、最初にパッケージを作成する際に自動的に割り当てられます。列の系列 ID は、SSIS デザイナにある、[詳細エディタ] ダイアログボックスの [列のプロパティ] タブで表示できます。

列の系列 ID を使用してその列を参照する場合、系列 ID に、ポンド (#) 記号のプレフィックスを含める必要があります。たとえば、系列 ID が 147 の列は、#147 として参照する必要があります。

式が正常に解析された場合、式エバリュエータは、ダイアログボックス内の系列 ID を列名に置き換えます。

一意の列名

パッケージで使用される複数のコンポーネントは、列を同じ名前で公開する場合があります。これらの列を式で使用する場合、列を明確に識別しなければ、式は正常に解析されません。式エバリュエータでは、元の列を識別するためのドット付き表記がサポートされています。たとえば、Age という名前の 2 つの列が FlatFileSource.Age と OLEDBSource.Age になり、これらの列がそれぞれ FlatFileSource と OLEDBSource に含まれていることを表します。パーサーでは、完全修飾名が 1 つの列名として扱われます。

基となるコンポーネント名や列名は、個別に修飾されます。次の例では、ドット付き表記を使用した角かっこの有効な使用例を示します。

基となるコンポーネント名にスペースが含まれる場合。
```
[MySo urce].Age
```
列名の最初の文字が、有効でない場合。
```
MySource.[#Age]
```
基となるコンポーネント名と列名に、無効な文字が含まれる場合。
```
[MySource?].[#Age]
```

重要 :
ドット付き表記の両方の要素が 1 組の角かっこで囲まれている場合、式エバリュエータは、その組を、元の列の組み合わせとしてではなく、単一の識別子として解釈します。

式内部の変数

変数が式の内部で参照される場合、変数には @ プレフィックスを含める必要があります。たとえば、Counter 変数を参照する場合、@Counter を使用します。@ 文字は、変数名の一部ではなく、式エバリュエータが変数を識別するためのものにすぎません。SSIS デザイナで用意されているダイアログボックスを使用して式を構築する場合、@ 文字が自動的に変数名に追加されます。@ 文字と変数名の間にスペースが含まれる場合は、無効になります。

変数名は、他の標準識別子の規則と同じく、次の規則に従います。

名前の最初の文字は、Unicode Standard 2.0 に定義されている文字か、アンダースコア (_) である必要があります。
2 番目以降の文字では、Unicode Standard 2.0 に定義されている文字または数字と、アンダースコア (_)、@、$、および # 文字を使用できます。

上記の一覧に表示されていない文字が変数名に含まれる場合、変数を角かっこで囲む必要があります。たとえば、スペースが含まれる変数名は角かっこで囲みます。左角かっこは、@ 文字の後ろに付けます。たとえば、My Name 変数は、@[My Name] として参照されます。変数名と角かっこの間にスペースが含まれる場合は、無効になります。

メモ :
ユーザー定義変数およびシステム変数の名前では、大文字と小文字が区別されます。

一意の変数名

Integration Services ではカスタム変数がサポートされ、さらにシステム変数のセットが用意されています。既定では、カスタム変数は User 名前空間に属し、システム変数は System 名前空間に属します。カスタム変数用に別の名前空間を作成し、名前空間の名前をアプリケーションのニーズに合わせて更新できます。式ビルダでは、すべての名前空間にあるスコープ内の変数が一覧表示されます。

すべての変数はスコープを持ち、名前空間に属します。変数は、パッケージスコープまたは、パッケージ内のコンテナあるいはタスクのスコープを持ちます。SSIS デザイナの式ビルダでは、スコープ内の変数のみが一覧表示されます。詳細については、「Integration Services の変数」および「パッケージでの変数の使用」を参照してください。

式で使用される変数名は、式エバリュエータが式を正しく評価できるよう、一意である必要があります。パッケージで複数の変数を同じ名前で使用する場合、その変数は、それぞれ別の名前空間に属する必要があります。Integration Services では、2 つのコロン (::) から成る、名前空間を解決する演算子が用意され、変数は名前空間で修飾されます。たとえば、次の式では、Count という名前の 2 つの変数が使用されています。変数の 1 つは User 名前空間、もう 1 つの変数は MyNamespace 名前空間に属します。

@[User::Count] > @[MyNamespace::Count]

重要 :
名前空間の組み合わせおよび修飾された変数名は、式エバリュエータが変数を認識できるよう、角かっこで囲む必要があります。

User 名前空間の Count の値が 10、MyNamespace 名前空間の Count の値が 2 の場合、式エバリュエータが 2 つの異なる変数を認識したため、式は true に評価されます。

変数名が一意でない場合でもエラーは発生せず、式エバリュエータは、変数のインスタンスを 1 つのみ使用して式を評価し、間違った結果を返します。たとえば、次の式は 2 つの個別の Count 変数の値 (10 および 2) を比較することを目的としています。ただし、式エバリュエータでは、Count 変数の同じインスタンスが 2 回使用されているので、false と評価されます。

@Count > @Count

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