ディメンションに関する機能強化 (Analysis Services)
Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) では、ディメンションに関する以下の機能強化と新機能が導入されています。
属性
Analysis Services の以前のバージョンでは、ディメンションは直接、階層内のレベルに基づいていました。SQL Server 2005 Analysis Services の場合、ディメンションは属性に基づいています。属性は、ディメンションのテーブル内の列に対応します。それぞれの属性には、Geography ディメンションの Cities や Locale、Time ディメンションの Days や Months のような、ディメンション テーブルの列のメンバが含まれます。この新しいアーキテクチャにより、ディメンションの構造上の機能とナビゲーション上の機能が分離されます。つまり、属性はディメンションの構造を表し、レベルはディメンション間の移動のために使用されます。詳細については、「属性と属性の階層」を参照してください。
複数の階層
Analysis Services では、1 つのディメンション内で複数の階層がサポートされるようになりました。以前は、ディメンション内に複数の階層がある場合、それらは実際には別個のディメンションであり、識別のための名前付け規則によってのみメイン ディメンションに関連付けられていました。しかし、SQL Server 2005 Analysis Services のディメンションは階層構造によって記述されることはありません。その代わりに、階層に容易に編成することのできる属性が使用され、同じディメンション内に異なる階層構造が存在できるようにサポートされます。詳細については、「ユーザー定義階層」を参照してください。
多対多のディメンションのリレーションシップ
Analysis Services では、関連テーブルを使用することにより、ファクト テーブルとディメンション テーブル間の多対多のリレーションシップがサポートされるようになりました。多対多のディメンションのリレーションシップにより、ディメンション モデルを従来のスター スキーマから拡張でき、ディメンションがファクト テーブルに直接関連付けられていない場合でも、複雑な分析が可能になります。詳細については、「ディメンション リレーションシップ」を参照してください。
参照ディメンションのリレーションシップ
Analysis Services では、参照ディメンションのリレーションシップを使用することにより、参照ディメンションをサポートしています。このリレーションシップにおいて、参照ディメンションは他のディメンションによって間接的にメジャー グループに結び付けられています。参照ディメンション リレーションシップを使用すると、スノーフレーク ディメンションを作成せずに、参照ディメンションをキューブに関連付けることができます。参照ディメンションは、任意の数だけ関連付けられます。詳細については、「ディメンション リレーションシップ」を参照してください。
ファクト ディメンションのリレーションシップ
Analysis Services では、ファクト ディメンションのリレーションシップを使用することにより、逆ディメンションとも呼ばれるファクト ディメンションがサポートされるようになりました。ファクト ディメンションは、属性がファクト テーブルに由来するディメンションのことです。詳細については、「ディメンション リレーションシップ」を参照してください。
多様ディメンションのリレーションシップ
Analysis Services では、多様ディメンションのリレーションシップがサポートされるようになりました。このリレーションシップでは、ディメンション テーブルとファクト テーブル間の複数のリレーションシップを、1 つのディメンションを使用して表すことができます。Analysis Services の以前のバージョンでは、ファクト テーブルとディメンション テーブル間の各リレーションシップについて別個のディメンションが必要でした。詳細については、「ディメンション リレーションシップ」を参照してください。
簡略化されたディメンションの種類
Analysis Services では、ディメンションが簡略化されました。SQL Server 2000 Analysis Services で使用されていた 4 種類のディメンションに代わって、標準ディメンションとリンク ディメンションという 2 種類のディメンションが使用されます。標準ディメンションはキューブと同じデータベース内にあるディメンションで、リンク ディメンションはキューブとは異なるデータベース内にあるディメンションです。ディメンションのリレーションシップ、階層、属性の使用により、いくつかのディメンション特性のサポートが追加されています。詳細については、「ディメンション (Analysis Services)」を参照してください。
リンク メジャー グループとリンク ディメンション
Analysis Services では、キューブを、同じデータベース内または Analysis Services インスタンスの他のデータベース内にある他のキューブ内のメジャー グループにリンクすることにより、異なるデータ ソースのデータを一緒に使用することができます。キューブは別のデータベース内のディメンションにリンクすることもできます。リンクを作成した後は、キューブにとってネイティブの同様のオブジェクトに対して行うのと同じように、リンク オブジェクト内のデータやメタデータに対してクエリを実行できます。詳細については、「リンク メジャー グループ」と「リンク ディメンション」を参照してください。
必須でなくなったメンバ グループ
SQL Server 2000 Analysis Services の場合、64,000 より多い子を持つメンバを格納するためには、メンバ グループが必要でした。Analysis Services ではこの制限がなくなり、メンバ グループが必要ではなくなりました。
事実上無制限のディメンション サイズ
Analysis Services は、ディメンションのメモリ常駐ストレージに依存しなくなりました。ディメンション データおよびメタデータは、必要なときにメモリに読み込まれるので、Analysis Services エンジンで事実上無制限のサイズのディメンションを容易に扱うことができます。
参照
その他の技術情報
Analysis Services の機能強化 (SSAS)