計算されるメンバの定義

更新 : 2006 年 12 月 12 日

キューブ データ、算術演算子、数値、関数などを組み合わせることによって、「計算されるメンバ」と呼ばれる、カスタマイズされたメジャーまたはディメンション メンバを作成できます。たとえば、既存のドル メジャーに換算率を掛けて、ドルをユーロに換算する、Euro という計算されるメンバを作成できます。Euro は、別個の行または列に表示されます。

計算されるメンバの定義は格納されますが、その値はメモリにしか存在しません。上記の例では、Euro の値はエンド ユーザーに表示されますが、キューブ データとしては格納されません。

計算されるメンバはキューブで作成します。計算されるメンバを作成するには、キューブ デザイナの [計算] タブで、ツール バーの [新しい計算されるメンバ] アイコンをクリックします。このコマンドでは、計算されるメンバの次のオプションを指定するためのフォームが表示されます。

  • [名前]
    計算されるメンバの名前を選択します。キューブを参照すると、この名前は、計算されるメンバの値の列または行のヘッダーとして表示されます。
  • [親階層]
    計算されるメンバに含める親階層を選択します。階層は、キューブ内の数値データ (メジャー) を分析目的で分割する基準となる、ディメンションの記述カテゴリです。表形式のブラウザでは、エンド ユーザーがキューブ内のデータを参照すると、階層に列ヘッダーと行ヘッダーが表示されます。グラフィカルなブラウザでは、別の種類の説明ラベルが表示されますが、機能は表形式のブラウザの場合と同じです。計算されるメンバでは、選択した親ディメンション内に新しいヘッダー (ラベル) が作成されます。

    また、計算されるメンバを、ディメンションではなくメジャーに含めることもできます。この場合も、新しい列ヘッダーまたは行ヘッダーが表示されますが、ブラウザではメジャーに付加されます。

  • [親メンバ]
    計算されるメンバを含める親メンバを選択するには、[変更] をクリックします。親ディメンションとして 1 レベルの階層または MEASURES を選択した場合、このオプションは使用できません。

    階層はレベルに分割され、そこにメンバが含まれています。各メンバによってヘッダーが作成されます。キューブ内のデータを参照中、選択したヘッダーから、これまで表示されていなかった下位のヘッダーにドリル ダウンできます。計算されるメンバのヘッダーは、選択した親メンバの直下に属するレベルに追加されます。

  • [式]
    計算されるメンバの値を作成する式を指定します。この式は、多次元式 (MDX) で記述できます。式には、次の要素を含めることができます。

    • ディメンション、レベル、メジャーなどのキューブのコンポーネントを表すデータ式
    • 算術演算子
    • 数値
    • 関数

    [計算ツール] ペインの [メタデータ] タブからキューブのコンポーネントをドラッグまたはコピーして、簡単に式に追加できます。

    ms174952.note(ja-jp,SQL.90).gif重要 :
    計算されるメンバが、別の計算されるメンバの値式で使用される場合は、先に作成しておく必要があります。
  • 書式設定文字列
    計算されるメンバに基づいたセル値の書式を指定します。このプロパティは、メジャーの Display Format プロパティと同じ値を使用します。表示形式の詳細については、「メジャーのプロパティの構成」を参照してください。
  • Visible
    計算されるメンバをキューブ メタデータの取得時に表示するかどうかを決定します。計算されるメンバを表示しない場合でも、そのメンバを MDX 式、ステートメント、およびスクリプトで使用できますが、クライアント ユーザー インターフェイスでは選択可能なオブジェクトとしては表示されません。
  • 空以外の動作
    MDX の NON EMPTY クエリの解決に使用するメジャー名を格納します。このプロパティが空白の場合、メンバが空であるかどうかを判断するために、計算されるメンバを繰り返し評価する必要があります。このプロパティに 1 つまたは複数のメジャーの名前が格納されている場合、指定されたすべてのメジャーが空であれば、計算されるメンバも空として処理されます。このプロパティは、Null 値以外のレコードだけを返す最適化ヒントとして Analysis Services に渡されます。Null 値以外のレコードだけが返されるので、NON EMPTY 演算子や NonEmpty 関数を利用する MDX クエリや、セル値の計算を必要とする MDX クエリのパフォーマンスが向上します。セルの計算で最良のパフォーマンスを得るには、できるだけ 1 つのメンバのみを指定してください。
  • 色の式
    計算されるメンバの値に基づいてセルの前景色と背景色を動的に設定する MDX 式を指定します。クライアント アプリケーションでサポートされていない場合、このプロパティは無視されます。
  • フォントの式
    計算されるメンバの値に基づいてセルのフォント、フォント サイズ、およびフォントの属性を動的に設定する MDX 式を指定します。クライアント アプリケーションでサポートされていない場合、このプロパティは無視されます。

キューブ コンポーネントは、[計算ツール] ペインの [メタデータ] タブから計算式ペインの [式] ボックスにコピーまたはドラッグできます。関数は、[計算ツール] ペインの [関数] タブから計算式ペインの [式] ボックスにコピーまたはドラッグできます。

計算されるメンバのアドレス指定

キューブ デザイナ[計算] タブで、計算されるメンバを作成する場合は、そのメンバを格納する親階層を指定します。親階層では、次の規則に従って、計算されるメンバのアドレス指定方法を決定します。

  • 計算されるメンバがメジャー ディメンションで作成された場合、そのメンバはそのディメンション内でアドレス指定可能です。

参照

概念

計算の定義と構成

ヘルプおよび情報

SQL Server 2005 の参考資料の入手

変更履歴

リリース 履歴

2006 年 12 月 12 日

変更内容 :
  • "空以外の動作" プロパティを指定した場合のパフォーマンスへの影響を明記しました。