標準ストレージ設定の選択
Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services (SSAS) には、ストレージ モードおよびキャッシュ オプションの標準ストレージ構成がいくつか用意されています。これにより、更新通知、待機時間、およびデータの再構築に一般的に使用される構成が提供されます。標準構成は、[ストレージのオプション] ダイアログ ボックスで設定します。いずれかの標準設定を選択するには、[ストレージ設定] ダイアログ ボックスの [標準設定] ボタンをクリックし、次の表に示すいずれかの設定にスライダを移動します。
ストレージ設定の説明
標準ストレージ設定 | 説明 |
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リアルタイム ROLAP |
OLAP はリアルタイムです。詳細データと集計は、リレーショナル形式で格納されます。サーバーはデータ変更時の通知をリッスンし、すべてのクエリにデータの現在の状態が反映されます (待機時間ゼロ)。 この設定は通常、最新のデータが常に必要とされている場合に、頻繁に継続して更新されるデータ ソースに対して使用します。クライアント アプリケーションで生成されるクエリの種類によっては、この方法の応答時間が最も遅くなる場合があります。 |
リアルタイム HOLAP |
OLAP はリアルタイムです。詳細データはリレーショナル形式で格納され、集計は多次元形式で格納されます。サーバーはデータ変更時の通知をリッスンし、必要に応じて多次元 OLAP (MOLAP) 集計を更新します。MOLAP キャッシュは作成されません。データ ソースが更新されるたびに、集計が更新されるまで、サーバーはリアルタイムのリレーショナル OLAP (ROLAP) に切り替わります。すべてのクエリにデータの現在の状態が反映されます (待機時間ゼロ)。 この設定は通常、最新のデータが常に必要とされている場合に、リアルタイム ROLAP が必要なほどではないが、頻繁に継続して更新されるデータ ソースに対して使用します。通常、この方法の全体的なパフォーマンスは ROLAP ストレージよりも優れています。ある程度の期間にわたってデータ ソースが一定に保たれる場合は、この設定によって MOLAP のパフォーマンスを得ることができます。 |
低待機時間 MOLAP |
詳細データと集計は、多次元形式で格納されます。サーバーはデータ変更時の通知をリッスンし、リアルタイム ROLAP に切り替わります。この間、MOLAP オブジェクトはキャッシュで再処理されます。キャッシュを更新する前に、少なくとも 10 秒間のサイレント状態の間隔が必要です。サイレント状態の間隔が得られない場合は、10 分のオーバーライド間隔が適用されます。処理は、データが最初に変更された後、30 分の待機時間でデータ変更のたびに自動的に行われます。 この設定は通常、最新データを常に提供することよりもクエリのパフォーマンスの方が重要な場合に、頻繁に更新されるデータ ソースに対して使用します。この設定では、待機時間の経過後、必要に応じて MOLAP オブジェクトが自動的に処理されます。MOLAP オブジェクトの再処理中は、パフォーマンスが低下します。 |
中待機時間 MOLAP |
詳細データと集計は、多次元形式で格納されます。サーバーはデータ変更時の通知をリッスンし、リアルタイム ROLAP に切り替わります。この間、MOLAP オブジェクトはキャッシュで再処理されます。キャッシュを更新する前に、少なくとも 10 秒間のサイレント状態の間隔が必要です。サイレント状態の間隔が得られない場合は、10 分のオーバーライド間隔が適用されます。処理は、4 時間の対象待機時間でデータ変更のたびに自動的に行われます。 この設定は通常、最新データを常に提供することよりもクエリのパフォーマンスの方が重要な場合に、頻繁に (またはあまり頻繁でなく) 更新されるデータ ソースに対して使用します。この設定では、待機時間の経過後、必要に応じて MOLAP オブジェクトが自動的に処理されます。MOLAP オブジェクトの再処理中は、パフォーマンスが低下します。 |
自動 MOLAP |
詳細データと集計は、多次元形式で格納されます。サーバーは通知をリッスンしますが、新しい MOLAP キャッシュを構築する間、現在のキャッシュを保持します。サーバーはリアルタイム OLAP に切り替わらず、新しいキャッシュを構築中のクエリは古くなる場合があります。 新しい MOLAP キャッシュを作成する前に、少なくとも 10 秒間のサイレント状態の間隔が必要です。サイレント状態の間隔が得られない場合は、10 分のオーバーライド間隔が適用されます。処理は、2 時間の対象待機時間でデータ変更のたびに自動的に行われます。 この設定は通常、クエリのパフォーマンスが最も重要であるデータ ソースに対して使用します。この設定では、待機時間の経過後、必要に応じて MOLAP オブジェクトが自動的に処理されます。新しいキャッシュの構築および処理中は、クエリから最新のデータが返されません。 |
定期 MOLAP |
詳細データと集計は、多次元形式で格納されます。データが変更されてもサーバーは通知を受信しません。処理は、24 時間ごとに自動的に行われます。 この設定は通常、日次更新のみが必要なデータ ソースに対して使用します。クエリは常に MOLAP キャッシュ内のデータに対して行われます。このキャッシュは、新しいキャッシュが構築され、そのオブジェクトが処理されるまで破棄されません。 |
MOLAP |
プロアクティブ キャッシュは有効になりません。詳細データと集計は、多次元形式で格納されます。データが変更されてもサーバーは通知を受信しません。処理は、スケジュールするか、手動で実行する必要があります。 この設定は通常、クライアント アプリケーションを定期的に更新する必要がなく、高いパフォーマンスを得ることが非常に重要なデータ ソースに対して使用します。 アプリケーションに最新のデータが必要ない場合、プロアクティブ キャッシュを使用しない MOLAP ストレージは最高のパフォーマンスを提供します。更新されたオブジェクトの処理にはダウンタイムが必要ですが、ステージング サーバーでキューブを更新および処理し、更新および処理した MOLAP オブジェクトをデータベースの同期を使用して実稼働サーバーにコピーすることで、ダウンタイムを最小限にとどめることができます。詳細については、「Analysis Services データベースの同期」を参照してください。 |
大規模なメジャー グループには、パーティションごとにストレージを個別に構成するのが適しています。これを行うには、次のいずれかの操作を実行します。
- 継続的に更新されている現在のデータには、リアルタイム ROLAP を使用します。
- それほど頻繁に更新されないデータ ソースに基づいたパーティションには、低待機時間または中待機時間のプロアクティブ キャッシュを使用します。
- ユーザーが高パフォーマンスを必要としているが、ある程度のデータ待機時間を許容できるデータ ソースには、自動 MOLAP を使用します。
- ユーザーがデータに継続的にアクセスする必要があるが、変更は定期的に確認すればよいデータ ソースには、定期 MOLAP を使用します。
- あまり頻繁に変更されないか、まったく変更されないパーティション、ユーザーが最新のデータを参照する必要がないパーティション、および必要な更新や処理中にユーザーがデータを継続的に使用する必要がないデータに対しては、プロアクティブ キャッシュなしの MOLAP ストレージを使用します。
これらは一般的なガイドラインであって、使用しているデータに最適なストレージ方法を見いだすには、綿密な分析とテストが必要です。どの標準構成でもニーズが満たされない場合は、パーティションのストレージ設定を手動で構成することもできます。