sqlcmd ユーティリティの使用
更新 : 2006 年 7 月 17 日
sqlcmd ユーティリティは、Transact-SQL ステートメントおよびスクリプトを対話形式でアドホック実行したり、Transact-SQL スクリプト タスクを自動化したりするための Microsoft Win32 コマンド プロンプト ユーティリティです。sqlcmd を対話形式で使用したり、sqlcmd を使用して実行できるスクリプト ファイルを作成したりするには、ユーザーが Transact-SQL を理解している必要があります。sqlcmd ユーティリティは一般的に次のように使用されます。
- コマンド プロンプトでの操作と同様、Transact-SQL ステートメントを対話形式で入力します。結果はコマンド プロンプトに表示されます。コマンド プロンプト ウィンドウを開くには、[スタート] ボタンをクリックし、[すべてのプログラム] をポイントします。次に [アクセサリ] をポイントし、[コマンド プロンプト] をクリックします。コマンド プロンプトで「sqlcmd」と入力し、その後に必要なオプションのリストを入力します。sqlcmd でサポートされるオプションの一覧については、「sqlcmd ユーティリティ」を参照してください。
- 実行する Transact-SQL ステートメントを 1 つ指定するか、実行する Transact-SQL ステートメントの入ったテキスト ファイルをユーティリティに指定して、sqlcmd ジョブを実行します。出力先はコマンド プロンプトにすることもできますが、通常はテキスト ファイルに出力されます。
- SQL Server Management Studio クエリ エディタの SQLCMD モード。
- SQL Server 管理オブジェクト (SMO)。
- SQL Server エージェントの CmdExec ジョブ。
一般的な sqlcmd オプション
最もよく使用されるオプションを次に示します。
- サーバー オプション (-S)。sqlcmd から接続する Microsoft SQL Server インスタンスを指定します。
- 認証オプション (-E、-U、および -P)。sqlcmd から SQL Server インスタンスに接続するために使用する資格情報を指定します。
メモ : -E オプションは既定値なので、指定しなくてもかまいません。 - 入力オプション (-Q、-q、および -i)。sqlcmd への入力場所を指定します。
- 出力オプション (-o)。sqlcmd の結果を出力するファイルを指定します。
sqlcmd ユーティリティへの接続
次に、sqlcmd ユーティリティの一般的な使用法を示します。
Windows 認証を使用して既定のインスタンスに接続し、Transact-SQL ステートメントを対話的に実行します。
sqlcmd -S <ComputerName>
メモ : 上記の例で -E が指定されていないのは、このスイッチが既定値であるためです。ここでは sqlcmd から Windows 認証を使用して既定のインスタンスに接続しています。 Windows 認証を使用して名前付きインスタンスに接続し、Transact-SQL ステートメントを対話的に実行します。
sqlcmd -S <ComputerName>\<InstanceName>
または
sqlcmd -S .\<InstanceName>
Windows 認証を使用して名前付きインスタンスに接続し、入出力ファイルを指定します。
sqlcmd -S <ComputerName>\<InstanceName> -i <MyScript.sql> -o <MyOutput.rpt>
Windows 認証を使用してローカル コンピュータ上の既定のインスタンスに接続し、クエリを実行して、クエリの完了後も sqlcmd を実行状態にしておきます。
sqlcmd -q "SELECT * FROM AdventureWorks.Person.Contact"
Windows 認証を使用してローカル コンピュータ上の既定のインスタンスに接続し、クエリを実行して、ファイルへの出力を指定し、クエリの完了後に sqlcmd を終了します。
sqlcmd -Q "SELECT * FROM AdventureWorks.Person.Contact" -o MyOutput.txt
SQL Server 認証を使用して名前付きインスタンスに接続し、sqlcmd からパスワードの入力を求めて Transact-SQL ステートメントを対話的に実行します。
sqlcmd -U MyLogin -S <ComputerName>\<InstanceName>
メモ : sqlcmd ユーティリティでサポートされているオプションの一覧を表示するには、 sqlcmd -?
を実行してください。
sqlcmd を使用した Transact-SQL ステートメントの対話的な実行
コマンド プロンプト ウィンドウでは、sqlcmd ユーティリティを対話的に使用して、Transact-SQL ステートメントを実行できます。sqlcmd を使用して対話的に Transact-SQL ステートメントを実行するには、入力ファイルまたはクエリを指定するための -Q、-q、-Z、または -i オプションを使用せずにこのユーティリティを実行します。次に例を示します。
sqlcmd -S <ComputerName>\<InstanceName>
入力ファイルやクエリを指定せずにこのコマンドを実行すると、sqlcmd は指定された SQL Server のインスタンスに接続した後、新しい行に 1>
と表示し、その隣でアンダースコアを点滅させます。これを sqlcmd プロンプトと呼びます。1
は、Transact-SQL ステートメントの最初の行であることを示します。この sqlcmd プロンプトが Transact-SQL ステートメントの入力開始位置になります。
sqlcmd プロンプトでは、Transact-SQL ステートメントと、GO や EXIT などの sqlcmd コマンドの両方を入力できます。各 Transact-SQL ステートメントは、ステートメント キャッシュと呼ばれるバッファに格納されます。GO コマンドを入力し、Enter キーを押すと、これらのステートメントが SQL Server に送信されます。sqlcmd を終了するには、新しい行の先頭で「EXIT」または「QUIT」と入力します。
ステートメント キャッシュをクリアするには、「:RESET」と入力します。「^C」と入力すると、sqlcmd が終了します。^C は、GO コマンドが実行された後に、ステートメント キャッシュの実行を停止するためにも使用できます。
対話型セッションで入力された Transact-SQL ステートメントは、sqlcmd プロンプトで :ED コマンドを入力することによって編集できます。起動したエディタで Transact-SQL ステートメントを編集して、エディタを終了すると、変更された Transact-SQL ステートメントがコマンド ウィンドウに表示されます。変更された ステートメントを実行するには、「GO」と入力します。****
引用符で囲まれた文字列
引用符で囲まれた文字列は、前処理がまったく行われずそのまま使用されます。ただし、例外として、2 つの連続する引用符を入力することで、引用符自体を文字列に挿入できます。SQL Server では、2 つの連続する引用符を 1 つの引用符として扱います (ただし、この変換はサーバーで行われます)。スクリプト変数が文字列内に存在する場合は展開されません。
次に例を示します。
sqlcmd
PRINT "Length: 5"" 7'"
GO
以下に結果セットを示します。
Length: 5" 7'
複数行の文字列
sqlcmd では、複数行の文字列になるスクリプトがサポートされています。たとえば、次の SELECT
ステートメントは複数行にわたって記述されていますが、「GO
」と入力して Enter キーを押すと、1 つの文字列として実行されます。
SELECT First line
FROM Second line
WHERE Third line
GO
対話的な sqlcmd の例
sqlcmd を対話的に実行する例を次に示します。
コマンド プロンプト ウィンドウを開くと、次のような行が表示されます。
C:\> _
これは、フォルダ C:\
が現在のフォルダであり、ファイル名を指定すると Windows によってそのフォルダ内のファイルが検索されることを意味します。
「sqlcmd」と入力して、ローカル コンピュータの SQL Server の既定のインスタンスに接続します。コマンド プロンプト ウィンドウの内容は次のようになります。
C:\>sqlcmd
1> _
これは、SQL Server インスタンスへの接続が確立され、sqlcmd
で Transact-SQL ステートメントと sqlcmd
コマンドを実行できるようになったことを示しています。1>
の隣で点滅しているアンダースコアは、入力したステートメントやコマンドが表示される位置を示す sqlcmd
プロンプトです。ここで、「USE AdventureWorks」と入力して Enter キーを押した後、「GO」と入力してもう一度 Enter キーを押します。コマンド プロンプト ウィンドウの内容は次のようになります。
sqlcmd
USE AdventureWorks;
GO
以下に結果セットを示します。
Changed database context to 'AdventureWorks'.
1> _
「USE AdventureWorks
」と入力した後で Enter キーを押すことにより、sqlcmd
に対して新しい行を開始するよう通知されます。「GO
」と入力してから Enter キーを押すことにより、USE AdventureWorks
ステートメントを SQL Server のインスタンスに送信するように、sqlcmd
に指示されます。次に、sqlcmd
により、USE
ステートメントが正常に完了したことを示すメッセージが返されます。その後、新しいステートメントやコマンドを入力できることを示す新しい 1>
プロンプトが表示されます。
次の例では、SELECT
ステートメント、SELECT
を実行するための GO
、および sqlcmd
を終了するための EXIT
を入力した場合に、コマンド プロンプト ウィンドウに表示される内容を示します。
sqlcmd
USE AdventureWorks;
GO
SELECT TOP (5) ContactID, FirstName, LastName
FROM Person.Contact;
GO
以下に結果セットを示します。
ContactID FirstName LastName
----------- -------------------------------------------------- -----------
1 Syed Abbas
2 Catherine Abel
3 Kim Abercrombie
4 Humberto Acevedo
5 Pilar Ackerman
(5 rows affected)
1> EXIT
C:\>
行 3> GO
の後の行は、SELECT
ステートメントの出力です。出力の生成後、sqlcmd
により sqlcmd
プロンプトがリセットされ、1>
が表示されます。行 1>
で「EXIT
」と入力すると、最初にコマンド プロンプト ウィンドウを開いたときと同じ行が表示されます。これは、sqlcmd
のセッションを終了したことを示します。その状態で再度 EXIT
コマンドを入力すると、コマンド プロンプト ウィンドウを閉じることができます。
sqlcmd を使用した Transact-SQL スクリプト ファイルの実行
sqlcmd を使用してデータベース スクリプト ファイルを実行できます。スクリプト ファイルは、Transact-SQL ステートメント、sqlcmd コマンド、およびスクリプト変数が混在したテキスト ファイルです。変数をスクリプト化する方法の詳細については、「sqlcmd でのスクリプト変数の使用」を参照してください。スクリプト ファイル内のステートメント、コマンド、およびスクリプト変数に対して sqlcmd で行われる処理は、対話的に入力したステートメントやコマンドの処理と似ています。sqlcmd が対話入力の場合と大きく異なる点は、ユーザーがステートメント、コマンド、およびスクリプト変数を入力するまで待機するのではなく、入力ファイルを最後まで中断することなく読み取るという点です。
データベース スクリプト ファイルの作成方法はいくつかあります。
- SQL Server Management Studio で Transact-SQL ステートメントのセットを対話的に作成およびデバッグして、クエリ ウィンドウの内容をスクリプト ファイルとして保存する。
- メモ帳などのテキスト エディタを使用して、Transact-SQL ステートメントを含んだテキスト ファイルを作成する。
例
A. sqlcmd を使用したスクリプトの実行
メモ帳を起動し、次の Transact-SQL ステートメントを入力します。
USE AdventureWorks;
GO
SELECT TOP (5) ContactID, FirstName, LastName
FROM Person.Contact;
GO
MyFolder
というフォルダを作成し、スクリプトを MyScript.sql
ファイルとして C:\MyFolder
フォルダに保存します。コマンド プロンプトで、次のコマンドを入力してスクリプトを実行し、結果を MyFolder
の MyOutput.txt
に出力します。
sqlcmd -i C:\MyFolder\MyScript.sql -o C:\MyFolder\MyOutput.txt
メモ帳で MyOutput.txt
を開くと、次のような内容が表示されます。
Changed database context to 'AdventureWorks'.
ContactID FirstName LastName
----------- ----------- -----------
1 Syed Abbas
2 Catherine Abel
3 Kim Abercrombie
4 Humberto Acevedo
5 Pilar Ackerman
(5 rows affected)
B. sqlcmd と専用管理者接続の併用
次の例では、sqlcmd
を使用して、ブロッキングの問題が発生しているサーバーに専用管理者接続 (DAC) で接続します。
C:\>sqlcmd -S ServerName -A
1> SELECT session_id, blocking_session_id FROM sys.dm_exec_requests
WHERE blocking_session_id <> 0;
2> GO
以下に結果セットを示します。
session_id blocking_session_id
---------- -------------------
51 54
(1 rows affected)
sqlcmd
を使用してブロック中のプロセスを終了します。
1> KILL 54;
2> GO
C. sqlcmd を使用したストアド プロシージャの実行
次の例では、sqlcmd
を使用してストアド プロシージャを実行します。次のストアド プロシージャを作成します。
USE AdventureWorks;
IF OBJECT_ID ( 'dbo.ContactEmailAddress',`` 'P' ) IS NOT NULL
DROP PROCEDURE dbo.ContactEmailAddress;
GO
CREATE PROCEDURE dbo.ContactEmailAddress
(
@FirstName nvarchar(50)
,@LastName nvarchar(50)
)
AS
SET NOCOUNT ON
SELECT EmailAddress
FROM Person.Contact
WHERE FirstName = @FirstName
AND LastName = @LastName;
SET NOCOUNT OFF
sqlcmd
プロンプトで、次のコマンドを入力します。
C:\sqlcmd
1> USE AdventureWorks;
2> GO
1> :Setvar FirstName Gustavo
1> :Setvar LastName Achong
1> EXEC dbo.ContactEmailAddress $(FirstName),$(LastName);
2> GO
EmailAddress
-----------------------------
gustavo0@adventure-works.com
D. sqlcmd を使用したデータベースのメンテナンス
次の例では、sqlcmd
を使用してデータベースのメンテナンス タスクを実行します。次のコードを使用して C:\BackupTemplate.sql
を作成します。
USE master;
BACKUP DATABASE [$(db)] TO DISK='$(bakfile)';
sqlcmd
プロンプトで、次のコマンドを入力します。
C:\ >sqlcmd
1> :connect <server>
Sqlcmd: Successfully connected to server <server>.
1> :setvar db msdb
1> :setvar bakfile c:\msdb.bak
1> :r c:\BackupTemplate.sql
2> GO
Changed database context to 'master'.
Processed 688 pages for database 'msdb', file 'MSDBData' on file 2.
Processed 5 pages for database 'msdb', file 'MSDBLog' on file 2.
BACKUP DATABASE successfully processed 693 pages in 0.725 seconds (7.830 MB/sec)
E. sqlcmd を使用した複数のインスタンスでのコードの実行
ファイル内の次のコードは、2 つのインスタンスに接続するスクリプトです。2 番目のインスタンスへの接続の前に GO
が記述されていることに注意してください。
:CONNECT <server>\,<instance1>
EXEC dbo.SomeProcedure
GO
:CONNECT <server>\,<instance2>
EXEC dbo.SomeProcedure
GO
E. XML 出力の取得
次の例では、XML 出力が、連続するストリームでフォーマットされずに返されます。
C:\>sqlcmd -d AdventureWorks
1> :XML ON
1> SELECT TOP 4 FirstName + ' ' + LastName + ', '
2> FROM Person.Contact
3> GO
Gustavo Achong, Catherine Abel, Kim Abercrombie, Humberto Acevedo,
F. Windows スクリプト ファイルでの sqlcmd の使用
sqlcmd -i C:\InputFile.txt -o C:\OutputFile.txt
などの sqlcmd コマンドは、.bat ファイルで VBScript と共に実行できます。
この場合、対話型のオプションは使用しないでください。また、.bat ファイルを実行するコンピュータには sqlcmd がインストールされている必要があります。
最初に、次の 4 つのファイルを作成します。
C:\badscript.sql
SELECT batch_1_this_is_an_error GO SELECT 'batch #2' GO
C:\goodscript.sql
SELECT 'batch #1' GO SELECT 'batch #2' GO
C:\returnvalue.sql
:exit(select 100) @echo off
C:\windowsscript.bat
@echo off echo Running badscript.sql sqlcmd -i badscript.sql -b -o out.log if not errorlevel 1 goto next1 echo == An error occurred :next1 echo Running goodscript.sql sqlcmd -i goodscript.sql -b -o out.log if not errorlevel 1 goto next2 echo == An error occurred :next2 echo Running returnvalue.sql sqlcmd -i returnvalue.sql -o out.log echo SQLCMD returned %errorlevel% to the command shell :exit
その後、コマンド プロンプトで次のように C:\windowsscript.bat
を実行します。
C:\>windowsscript.bat
Running badscript.sql
== An error occurred
Running goodscript.sql
Running returnvalue.sql
SQLCMD returned 100 to the command shell
変更履歴
リリース | 履歴 |
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2006 年 7 月 17 日 |
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参照
処理手順
CmdExec ジョブ ステップを作成する方法 (SQL Server Management Studio)
概念
sqlcmd でのスクリプト変数の使用
ジョブ ステップの作成
その他の技術情報
sqlcmd ユーティリティ
クエリ エディタによる SQLCMD スクリプトの編集
sqlcmd ユーティリティのチュートリアル