単純復旧モデルでのバックアップ

更新 : 2006 年 7 月 17 日

重要 :
最新の変更内容の消失が許されない実稼働システムの場合、単純復旧モデルは適していません。このようなシステムでは、完全復旧モデルの使用をお勧めします。詳細については、「完全復旧モデルでのバックアップ」を参照してください。

単純復旧モデルを使用すると、バックアップと復元の形式は最も簡単になります。このモデルではトランザクション ログがバックアップされないため、バックアップを容易に管理できます。ただし、ログ バックアップが存在しない場合、データベースはデータの最新のバックアップの末尾までしか復元できません。障害が発生すると、データの最新のバックアップを実行した後に加えられた更新は失われます。

サンプル バックアップ方法

次の図は、単純復旧モデルでの最も簡単なバックアップと復元方法の例を示しています。5 つのデータベースの完全バックアップが存在しますが、復元する必要があるのは、時刻 t5 に作成した最新のバックアップだけです。このバックアップを復元すると、データベースは t5 の時点の状態に戻ります。それ以降 (t6) の更新はすべて失われます。

メモ :
単純復旧モデルでは、非アクティブな仮想ログ ファイルを削除するために、トランザクション ログが自動的に切り捨てられます。通常、切り捨ては各チェックポイント後に発生しますが、条件によっては遅延が発生する場合があります。詳細については、「トランザクション ログの切り捨て」を参照してください。

作業損失リスクの回避

単純復旧モデルでは、次の完全バックアップまたは差分バックアップが実行されるまで、作業損失の可能性が増加していきます。このため、大量のデータの損失を回避できるように、ただし管理できなくなるほど頻繁にはならないように、十分な頻度でバックアップをスケジュールすることをお勧めします。

次の図に、データベース バックアップのみを使用するバックアップ計画における作業損失の可能性を示します。この方法は、非常に頻繁にバックアップできる小さなデータベースの場合にのみ適しています。

次の図は、データベース バックアップを差分バックアップによって補完することにより、作業損失の可能性を低減させるバックアップ方法を示しています。最初のデータベース バックアップの後で、3 回の差分バックアップを実行します。3 回目の差分バックアップは大きくなるため、次のバックアップをデータベース バックアップにします。このバックアップによって新しい差分ベースが作成されます。

バックアップを使用したデータベースの復元

完全バックアップと差分バックアップには、データベースを復旧するのに十分なログ データが含まれています。データベースを復元するには、一連の復元操作 (復元シーケンス) を実行する必要があります。復元シーケンスでは、まず完全バックアップを復元し、必要に応じて対応する差分バックアップを復元します。複数のファイルを復元するときなど、場合によっては、完全バックアップと差分バックアップの複数のペアを復元する必要が生じる場合があります。関連するバックアップを復元した後、データベースを復旧する必要があります。復元シナリオの概要については、「SQL Server での復元と復旧の概要」を参照してください。

単純復旧モデルで作成されたバックアップを復元するときの制限事項の詳細については、「単純復旧モデルの復元に関する制限事項」を参照してください。

参照

概念

コピーのみのバックアップ
差分バックアップの基になるバックアップ
バックアップ デバイス
データベースの完全バックアップ
SQL Server のバックアップと復元のストラテジの概要
SQL Server での復元と復旧の概要
単純復旧モデルからの切り替えに関する注意点

その他の技術情報

トランザクション ログの理解と管理
差分バックアップの使用

ヘルプおよび情報

SQL Server 2005 の参考資料の入手

変更履歴

リリース	履歴
2006 年 7 月 17 日	変更した内容 : バックアップの種類の概要に関する説明を「バックアップの概要 (SQL Server)」に移動しました。 作業損失の可能性に関する説明の前に、「作業損失リスクの回避」という見出しを追加しました。
2005 年 12 月 5 日	変更した内容 : 以前のトピック「単純復旧の概要」を組み込みました。 新しい図を追加しました。