PowerPivot サービス アプリケーションの作成および構成
PowerPivot サービス アプリケーションは、ファーム全体で使用されるリソースで、PowerPivot System サービスへの HTTP エンドポイントとして機能します。各サービス アプリケーションは、固有のアプリケーション ID、構成設定、プロパティ、および内部データ ストレージを備えています。
このトピックの内容は次のとおりです。
新しい PowerPivot サービス アプリケーションを作成するかどうかの決定
PowerPivot サービス アプリケーションの作成
PowerPivot サービス アプリケーションの構成
PowerPivot サービス アプリケーションの Web アプリケーションへの割り当て
サービス アプリケーションのプロパティの編集
新しい PowerPivot サービス アプリケーションを作成するかどうかの決定
PowerPivot for SharePoint のインストールでは、ファーム内に少なくとも 1 つの PowerPivot サービス アプリケーションが必要になります。[新しいサーバー] インストール オプションを使用すると、サービス アプリケーションが自動的に作成されます。[既存のファーム] インストール オプションを使用した場合は、インストール後のタスクとして PowerPivot サービス アプリケーションを作成する必要があります。
サービス アプリケーションを作成すると、サービスが使用可能になり、サービス アプリケーション データベースが生成されます。また、サービス アプリケーションの作成時に選択したオプションによっては、既定のサービス接続のグループに PowerPivot サービス接続が追加されます。これにより、既定のサービス接続のグループにサブスクライブしているすべての SharePoint Web アプリケーションが、自動的かつ直ちに PowerPivot サービス アプリケーションにアクセスできるようになります。
複数の PowerPivot サービス アプリケーションを作成することもできます。ほとんどの配置シナリオでは 1 つで十分ですが、次のようなビジネスの要件がある場合は、追加の PowerPivot サービス アプリケーションを作成することを検討する必要があります。
アプリケーションごとに異なる自動 PowerPivot データ更新アカウントを使用する場合。
異なるタイムアウト、使用状況履歴、およびクエリ応答レポートのしきい値を使用する場合。
サービスの管理を別のユーザーに委任する場合。管理者は、自分が管理しているアプリケーションについてのみ、データ更新の履歴や使用状況データなどのプロパティを表示できます。SharePoint Web アプリケーションを分離する必要がある場合 (顧客ごとの SharePoint Web アプリケーションのデータの分離を保証するホスティング サービスを提供している場合など) は、別の PowerPivot サービス アプリケーションを作成して、各サービス管理者に自分が管理しているアプリケーションの構成設定とプロパティしか表示されないようにすることで、分離の要件を満たすことができます。
追加のサービス アプリケーションを作成する場合は、サービスの関連付けの管理に関する新たな要件として、サービス アプリケーションを追加するたびにカスタム サービス関連付けリストを作成して使用する必要があります。
追加の PowerPivot サービス アプリケーションを作成する理由が特にない場合は、ファーム内のすべての Web アプリケーションに対して 1 つのサービス アプリケーションを使用してください。
PowerPivot サービス アプリケーションの作成
サーバーの全体管理で、[アプリケーション構成の管理] の [サービス アプリケーションの管理] をクリックします。
[サービス アプリケーション] リボンで、[新規作成] をクリックします。
[SQL Server PowerPivot System サービス] をクリックします。この項目が一覧に表示されない場合は、PowerPivot for SharePoint がインストールされていないか、正しくインストールされていません。
[新しい PowerPivot サービス アプリケーションの作成] ページで、アプリケーションの名前を入力します。既定の名前は、"PowerPivotServiceApplication<番号>" です。複数の PowerPivot サービス アプリケーションを作成する場合は、それぞれの用途を明確に示す名前を付けると他の管理者にわかりやすくなります。
[アプリケーション プール] で、このアプリケーションのための新しいアプリケーション プールを作成し (推奨)、そのアプリケーション プールのマネージ アカウントを選択または作成します。必ずドメイン ユーザー アカウントを指定してください。ドメイン ユーザー アカウントにより、パスワードやアカウント情報をまとめて更新できる SharePoint のマネージ アカウント機能を使用できるようになります。ドメイン アカウントは、配置をスケールアウトして、同じ ID で実行されるサービス インスタンスを追加する場合にも必要です。
[データベース サーバー] の既定値は、ファーム構成データベースをホストする SQL Server データベース エンジン インスタンスです。このサーバーを使用することも、別の SQL Server を選択することもできます。
[データベース名] の既定値は、"PowerPivotServiceApplication1_<guid>" です。各 PowerPivot サービス アプリケーションに固有のデータベースを作成する必要があります。既定のデータベース名は、既定のサービス アプリケーション名に対応しています。独自のサービス アプリケーション名を入力した場合は、サービス アプリケーションとデータベースを一緒に管理できるように、データベース名に対しても同様の命名規則を使用してください。
[データベース認証] の既定値は、"Windows 認証" です。[SQL 認証] を選択する場合は、SharePoint 管理者ガイドを参照して、SharePoint 配置でその認証の種類を使用するためのベスト プラクティスを確認してください。
必要に応じて、[この PowerPivot サービス アプリケーションのプロキシをファームの既定のプロキシ グループに追加します] のチェック ボックスをオンにします。これにより、このサービス アプリケーション接続が既定のサービス接続のグループに追加されます。
最初の PowerPivot サービス アプリケーションを作成する場合は、このチェック ボックスをオンにする必要があります。PowerPivot 管理ダッシュボードが正しく機能するには、既定の接続グループに PowerPivot サービス アプリケーションが 1 つ存在している必要があります。
既定の接続グループに既に PowerPivot サービス アプリケーションが存在している場合は、それ以上追加しないでください。同じ型のサービス アプリケーションのエントリを複数追加する構成はサポートされていないため、エラーが発生する可能性があります。追加のサービス アプリケーションを作成する場合は、既定の接続グループには含めずに、カスタム リストに追加してください。
サービスの関連付けの詳細については、「PowerPivot サービス アプリケーションを SharePoint Web アプリケーションに接続する方法」を参照してください。
[OK] をクリックします。作成したサービスが、他のマネージ サービスと共にファームのサービス アプリケーションの一覧に表示されます。
PowerPivot サービス アプリケーションの構成
PowerPivot サービス アプリケーションは、既定の構成を使用して作成されます。既定の設定は、ほとんどのシナリオで推奨されます。既定の設定を変更するのは、応答の遅延や接続の切断などの問題が発生した場合や、PowerPivot サービスの構成を特定の SharePoint Web アプリケーションに対して変更する場合だけにしてください。
サーバーの全体管理で、[アプリケーション構成の管理] の [サービス アプリケーションの管理] をクリックします。
サービス アプリケーションの一覧に、先ほど作成したサービス アプリケーションの名前が表示されます。既定の名前は、"PowerPivotServiceApplication1" です。
PowerPivot サービス アプリケーションをクリックします。PowerPivot 管理ダッシュボードが開きます。
ダッシュボードの右上隅にある [アクション] ボックスの一覧で、[サービス アプリケーションの設定の構成] をクリックします。
[データベース読み込みのタイムアウト] の値を増減させて、データの読み込み要求を転送した SQL Server Analysis Services (PowerPivot) インスタンスからの応答を PowerPivot サービスが待機する時間を変更します。データセットが非常に大きい場合はネットワークでの移動に時間がかかるため、PowerPivot サービス インスタンスが Excel ブックを取得して、PowerPivot データをクエリ処理のために Analysis Services インスタンスに移動するのに十分な時間を設定する必要があります。PowerPivot データは一般に大きいため、既定値は 30 分に設定されています。
[接続プールのタイムアウト] の値を増減させて、アイドル状態のデータ接続を開いたままにする時間 (分) を変更します。既定値は 30 分です。この期間に、同じ SharePoint ユーザーから同じ PowerPivot データに対する読み取り専用の要求が送られた場合、PowerPivot サービスはアイドル状態のデータ接続を再利用します。指定した期間にそのデータに対する要求がそれ以上受信されなかった場合は、接続がプールから削除されます。有効値は、1 ~ 3600 秒です。接続プールの詳細については、「構成に関するクイック リファレンス (PowerPivot for SharePoint)」を参照してください。
[ユーザー接続プールの最大サイズ] の値を増減させて、各 SharePoint ユーザー、PowerPivot データセット、およびバージョンの組み合わせに関する個々の接続プールに PowerPivot サービスが作成するアイドル接続の最大数を変更します。
既定値は 100 です。有効値は、-1 (無制限)、0 (ユーザー接続プールを無効にする)、または 1 ~ 100 です。
これらの接続プールを使用すると、同じユーザーによる同じ読み取り専用データに対する継続的な接続を、サービスでより効率的にサポートできます。接続プールを無効にすると、すべての接続が新しく作成されます。
接続プール サイズの制限を変更しても (値を 0 に設定した場合も)、接続が切断されることはありません。接続プールは、データに接続するときの待ち時間を短縮するためのものです。PowerPivot サービスでは、接続プールの設定に基づいて接続が拒否されることはありません。
[管理接続プールの最大サイズ] の値を増減させて、Analysis Services への PowerPivot サービス接続用に作成された接続プール内の開いている接続の数を変更します。各 PowerPivot サービス インスタンスは、同じコンピューターで Analysis Services インスタンスに対する独立した管理接続を開きます。PowerPivot サービスは、独立したプールを作成して、アイドル状態の接続がないかどうかの確認やサーバーの状態の監視のために管理接続を再利用します。接続数の既定値は 10 です。有効値は、-1 (無制限)、0 (管理接続プールを無効にする)、または 100 です。0 を選択すると、すべての接続が新しく作成されます。
[割り当て方法] では、負荷分散方式を指定できます。PowerPivot System サービスでは、最初の要求の負荷を分散するために、この方法を使用して特定の PowerPivot サービス アプリケーションが選択されます。既定値は "ラウンド ロビン" で、サーバーがビジー状態かアイドル状態かに関係なく、要求が同じ順序でサーバーに割り当てられます。[ヘルス ベース] を選択すると、使用可能なメモリとプロセッサ使用率によって評価されるサーバーの状態に基づいて要求を割り当てることができます。
[データ更新] の [営業時間] では、営業時間を決定する時間の範囲を指定できます。データ更新スケジュールを営業時間後に実行すると、通常の営業時間中に生成されたトランザクション データを取得できます。
[PowerPivot 自動データ更新アカウント] で、PowerPivot データ更新ジョブを実行するための定義済みアカウントを保存する Secure Store Services の対象アプリケーションを指定できます。ID ではなく、必ず対象アプリケーションを指定してください。自動データ更新の対象アプリケーションは、SQL Server セットアップで [新しいサーバー] オプションを使用して PowerPivot for SharePoint をインストールした場合は自動的に作成されます。それ以外の場合は、対象アプリケーションを手動で作成する必要があります。詳細については、「PowerPivot データ更新用の保存された資格情報の構成と使用」を参照してください。
[ユーザーによるカスタムの Windows 資格情報の入力を許可する] チェック ボックスをオンまたはオフにして、スケジュールの所有者が任意の Windows 資格情報を入力してデータ更新スケジュールを実行できるようにするかどうかを指定します。このチェック ボックスをオンにすると、保存された資格情報の対象アプリケーションが PowerPivot サービス アプリケーションによって作成および管理されます。詳細については、「PowerPivot データ更新用の保存された資格情報の構成と使用」を参照してください。
[処理履歴の最大の長さ] では、データ更新処理の履歴レコードを保持する期間を指定できます。この情報は、データ更新を使用するブックごとに保持されるデータ更新の履歴ページに表示されます。PowerPivot 管理ダッシュボードにも表示されます。
[使用状況データ収集] の [クエリをレポートする間隔] で、クエリ統計を報告する間隔を指定します。クエリ統計は、サーバー間の通信を最小限に抑えるために単一のイベントとして報告されます。
[使用状況データの履歴] で、使用状況データの履歴レコードを保持する期間を指定します。使用状況情報は PowerPivot 管理ダッシュボードに表示されます。指定した使用状況データ履歴の値が小さすぎると、レポートの効果が下がります。
[使用状況データ収集] の各クエリ応答のしきい値で、カテゴリとカテゴリの境界を決定する上限を指定します。これらのカテゴリによって、クエリの動作の評価基準が設定されます。また、これらのカテゴリを使用して、システムのクエリ応答時間の傾向を監視できます。この情報は PowerPivot 管理ダッシュボードに表示されます。
[OK] をクリックして変更を保存します。
読み込みのタイムアウトや割り当て方法の変更は、新たに受信した要求に対してのみ適用されます。既に進行中の要求に対しては、要求の受信時に有効だった値が適用されます。
PowerPivot サービス アプリケーションの Web アプリケーションへの割り当て
PowerPivot サービス アプリケーションの構成が完了したら、Web アプリケーションに関連するサービス アプリケーションの接続リストに追加することによって、サービス アプリケーションを Web アプリケーションに割り当てることができます。これには 2 つの方法があります。
"既定" の接続グループに追加します。既定の接続グループとは、そのグループを参照する任意の Web アプリケーションで使用できるサービス アプリケーション接続のコレクションです。このリストに PowerPivot サービス アプリケーションを 1 つ追加する必要があります。
特定の Web アプリケーションの "カスタム" 接続リストを作成します。複数の PowerPivot サービス アプリケーションを作成した場合は、カスタム リストで選択することによって、使用するサービス アプリケーションを選択できます。
既定の接続グループに同じ型のサービス アプリケーションを複数含めることもできますが、このリストに複数の PowerPivot サービス アプリケーションを追加する構成はサポートされていません。
サーバーの全体管理で、[アプリケーション構成の管理] の [Web アプリケーションの管理] をクリックします。
接続を割り当てるアプリケーションを選択します ("SharePoint -80" など)。
[サービス接続] をクリックします。
[次の関連付けのグループを編集する] で、[既定] または [カスタム] を選択します。
[カスタム] を選択した場合は、使用する各サービス アプリケーション接続の横のチェック ボックスをオンにします。PowerPivot サービス アプリケーション ([型] が PowerPivot Service Application Proxy に設定されているアプリケーション) が複数ある場合は、そのうちの 1 つだけを選択してください。
[OK] をクリックします。
サービス アプリケーションのプロパティの編集
サービス アプリケーションの名前、アプリケーション プール、データベース設定、およびサービスの関連付けを指定するプロパティ ページを再び開くには、次の手順に従ってください。
サーバーの全体管理で、[アプリケーション構成の管理] の [サービス アプリケーションの管理] をクリックします。
PowerPivot サービス アプリケーションを選択します (クリックはしないでください)。型の名前をクリックすると行全体を選択できます。
リボンの [プロパティ] をクリックします。