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SharePoint 用 PowerPivot ブックの作成

PowerPivot ブックを SharePoint にパブリッシュする予定がある場合は、そのブックがコラボレーション環境でどのように使用されるかという点を必ず考慮するようにしてください。そのブックが、今後同僚が作成する Reporting Services レポートのベースとして使われる場合もあれば、他の PowerPivot ブックで再利用されることも、別の (場合によっては異なるファームの) サイトからリンクされることも考えられます。パブリッシュした PowerPivot ブックが、新たに別の方法で使用される可能性がある、ということを事前に知っていれば、PowerPivot ブックで作成するデータをどのように追加、変更、および表示するかについて意思決定がしやすくなります。

このトピックでは、SharePoint へのパブリケーション用のブックをデザインする際に考慮する、要件、デザインのヒント、およびデータ共有とセキュリティの問題について説明します。

準備

更新可能なデータ接続の作成

PowerPivot データをパブリッシュするためのセキュリティ対策

準備

PowerPivot データの作成および使用に必要な基本スキルは、Excel を使い慣れているユーザーであれば既に身に付いています。このスキルを強化する最善の方法は、式言語と Excel データ ビジュアライゼーション機能について学ぶことです。これにより、PowerPivot データを効果的に提示できるようになります。

データの高度な表示   PowerPivot ワークスペースは表形式であり、それ自体にデータのプレゼンテーション機能はありませんが、Excel のピボットテーブル、ピボットグラフ、フィルター、スライサーなどのデータ ビジュアライゼーション オブジェクトを使用して高度なプレゼンテーション レポートを作成することができます。ピボットテーブルやピボットグラフの使用経験がほとんどない場合でも、PowerPivot の新機能には習得するだけの価値があります。ピボットテーブルの操作方法の詳細については、「レポート、グラフ、およびピボットテーブルの概要」を参照してください。 

数式の追加と更新   PowerPivot では、数式は数値を計算するだけのものではありません。Data Analysis Expressions (DAX) 言語で作成した数式を使用すると、リレーショナル クエリの作成、関連値の参照、カスタム計算の作成ができるようになります。DAX は Excel の数式言語を拡張したものですが、はるかに強力です。サンプルを含む、DAX の詳細については、「Data Analysis Expressions (DAX) Language」を参照してください。

作業の共有   PowerPivot ブックを SharePoint 2010 に保存すると、社内の他のユーザーと作業を共有できるようになります。ブックを SharePoint にパブリッシュすると、PowerPivot ギャラリーのプレゼンテーション機能を利用することができます。PowerPivot ギャラリーの詳細については、「SharePoint での PowerPivot ブックの使用」を参照してください。

更新可能なデータ接続の作成

ブックに読み込まれるデータは既定では静的データですが、パブリッシュした後は、データの自動更新を実行することができます。SharePoint で実行されるデータ更新には、ブック内の接続情報が使用されます。データ更新スケジュールではユーザー名およびパスワードを置き換えることができますが、サーバーにパブリッシュされたブック内の接続情報は変更できません。SharePoint に保存したブック内のデータ ソース接続を変更するには、自分のワークステーションにブックをダウンロードして、PowerPivot for Excel でその変更を行う必要があります。このため、ファイルを SharePoint に保存する場合は、事前にデータ ソース接続情報を調べ、サーバーからデータ更新が開始されても問題なく接続できることを確認しておいてください。ファイル共有またはコーポレート サーバーに保存されているデータをインポートした場合、このようなデータは一般的に多数のユーザーで使用することを目的としているので、通常、SharePoint 上でも同様に解決できる形で接続情報が指定されています。これに対し、自分のコンピューター上にあるローカル ファイルからインポートしたデータの場合、同じ接続文字列をサーバーが使用してデータを更新しようとすると、失敗することがあります。

データ更新に使用される資格情報と接続文字列は PowerPivot ブック内に格納されます。データ ソースごとに接続は 1 つです。これには、データのインポート時に指定したファイルの場所またはファイル名が含まれます。この場所や名前は、ブック内にそのまま格納され、ブックの他のユーザーが表示することができます。接続文字列の各部の変更方法を以下に示します。

  • データ ソース。接続文字列は、ブックの作成後に編集することもできますが、変更は SharePoint 上ではなく PowerPivot for Excel で行う必要があります。この変更を行った場合、ブック内のデータ更新と、すべての数式の再計算が必要になります。ブックの複雑さによっては、この処理に長い時間がかかることがあります。詳細については、「PowerPivot でデータを更新する各種の方法」を参照してください。

  • ユーザー名とパスワード。ブック内に格納されている資格情報は、SharePoint 上でデータ更新を設定する際に別の情報を指定することによって上書きできます。ただし、これには SharePoint 管理者による操作が必要になります。

接続情報を設定するためのベスト プラクティス

PowerPivot ウィンドウにインポートした後の PowerPivot データは既定では静的データですが、SharePoint にブックをパブリッシュした後も接続を再利用できるように接続を定義すると、接続先のデータ ソースから定期的にデータを受け取って更新することができます。

最適な結果を得るための推奨事項を次に示します。

  • 可能な限り、接続されているデータ ソースを使用する。電源を切られる可能性のあるプライベート コンピューター上のデータ ソースは使用しないでください。また、すべての潜在的なユーザーにアクセス権が与えられている場合を除き、アクセスが制限されているサーバー上のデータ ソースも使用しないでください。

  • ネットワーク接続を介してアクセスすることのできる形式でデータまたはファイルの場所を指定する。たとえば、HTTP URL や共有フォルダー (\\AWSRV-01\public\MarketData など) を場所として指定すれば、クライアント ワークステーションと SharePoint サーバーのどちらからでもアクセスできます。

SharePoint 上の PowerPivot ブックのセキュリティ保護

PowerPivot ブックを SharePoint にパブリッシュする際は、データを確認して、何をパブリッシュしようとしているのかを十分に把握しておいてください。ブックをパブリッシュすると、別のプレゼンテーションやレポートを作成した場合でも、すべてのユーザーがブック内の列とテーブルを使用できるようになります。

つまり、PowerPivot ウィンドウに追加したデータは、表示されていない場合でも、すべてアクセスできるようになります。たとえば、PowerPivot のテーブルまたはピボットテーブルでフィルターを使用して情報を除外したとします。これと同じ PowerPivot データを使用して、Reporting Services レポートを作成した場合や、他のブックにデータをインポートした場合、そのフィルターは適用されません。

SharePoint 権限はドキュメントに対して設定されるのであって、ドキュメント内の情報に設定されるわけではない、という点に注意してください。ブックに機密データが含まれている場合は、認証済みのユーザーのみがアクセスできるライブラリを選んで、ブックをパブリッシュしてください。

詳細については、「SharePoint 上の PowerPivot ブックのセキュリティ保護」を参照してください。