PowerPivot の概要 (IT 管理者向け)
SharePoint のコラボレーションとドキュメント管理は、PowerPivot for Excel で作成するビジネス インテリジェンス ソリューションを使用するうえで重要な要素です。このトピックでは、共有の PowerPivot ブックの使用および管理に役立つ PowerPivot for SharePoint のサーバー機能について説明します。また、SharePoint 環境でのサーバーの配置や PowerPivot データ アクセスの監視における IT 管理者のロールについても説明します。
PowerPivot for SharePoint とは
SharePoint サーバーの全体管理による PowerPivot サーバーの管理
SharePoint 管理者のタスク
PowerPivot サーバー コンポーネントと操作に関する技術情報の入手
PowerPivot for SharePoint とは
PowerPivot for SharePoint は、SQL Server 2008 R2 製品リリースで提供される SQL Server 機能です。これは SharePoint に組み込まれた機能ではありませんが、次のようなシナリオに対応するために SharePoint と共にインストールすることができます。
項目 |
定義 |
Web ブラウザーを使用したブックおよびレポートでの PowerPivot データの表示 |
Web ブラウザーで PowerPivot データを表示するには、ブラウザー ウィンドウでデータ操作を行うための PowerPivot サーバー ソフトウェアが必要です。PowerPivot サーバー ソフトウェアは、データ ソースとして PowerPivot を使用するブックまたはレポートを開くときにバックグラウンドでデータを読み込みます。データがスライス、ドリルダウン、およびフィルター処理されるたびに、PowerPivot サーバー ソフトウェアは、バックグラウンドで操作を処理し、フィルター処理されたデータや再計算されたデータを提供します。 PowerPivot サーバー ソフトウェアは、SharePoint で実行されます。SharePoint サーバーでは、PowerPivot サーバー コンポーネントがデータを SharePoint アプリケーション サーバーのメモリに読み込み、データを再計算し、そのデータが使用されなくなったときにアンロードします。PowerPivot システムは、どの PowerPivot ブックがアクティブに使用されているかを監視するという点で自己管理型システムといえます。 |
多様なプレビューとドキュメント作成オプションのための PowerPivot ギャラリー |
PowerPivot ギャラリーは、特別な目的で使用する SharePoint ライブラリであり、PowerPivot ブックの格納や表示に適しています。ワークシートのサムネイル画像や、PowerPivot データを視覚化する名前付き範囲を生成する機能は、PowerPivot ギャラリー固有の機能です。PowerPivot ギャラリーに既にパブリッシュした既存のブックを基にして、新しいレポートやブックを作成するためのオプションも用意されています。 |
データ更新のスケジュール |
所有する PowerPivot ブックのデータ更新スケジュールを構成し、SharePoint サイトにパブリッシュすることができます。 SharePoint のスケジュール構成のページで、ブックとデータ ソース接続情報を指定し、それぞれ別の時間に更新するデータ ソースを選択できます。データ更新の履歴を表示して、最新のデータであることを確認することもできます。 |
PowerPivot の可用性と操作の監視 |
PowerPivot 管理ダッシュボードは、PowerPivot for SharePoint のインストール時に SharePoint サーバーの全体管理に追加されます。SharePoint 管理者は、このダッシュボードを使用して、サーバーの状態、クエリ応答の基準、および SharePoint 上の重要度の高い PowerPivot ブックを特定するブックの使用状況データに関するレポートを表示できます。管理者は、すべてのデータ更新が成功したか失敗したかを示す統合レポートによって、データ更新操作すべてを監視することもできます。 サーバーの全体管理は、SharePoint 管理者が使用できる管理者専用のアプリケーションです。PowerPivot 管理ダッシュボードで提供される任意のレポートや情報を表示する必要がある場合は、SharePoint 管理者に確認してください。 |
Excel ブックでの PowerPivot データのクエリ
PowerPivot ブックを SharePoint ライブラリから表示すると、ブック内の PowerPivot データがファームにある Analysis Services サーバー インスタンスで個別に検出、抽出、および処理されて、同時に Excel Services によってプレゼンテーション層が描画されます。完全に処理されたブックは、ブラウザー ウィンドウ、または PowerPivot for Excel を持つ Excel 2010 デスクトップ アプリケーションで表示できます。
次の図は、クエリ処理の要求が複数の異なる SharePoint アプリケーションでどのように移動するかを示しています。PowerPivot データは Excel 2010 ブックの一部なので、クエリ処理の要求は、ユーザーが Excel ブックを SharePoint ライブラリから開いて、PowerPivot データを含むピボットテーブルまたはピボットグラフを操作したときに発生します。
Excel Services と PowerPivot for SharePoint コンポーネントは、同じブック (.xlsx) ファイルの異なる部分を処理します。Excel Services は、PowerPivot データを検出して、ファーム内の PowerPivot サーバーに処理を要求します。PowerPivot サーバーは、Analysis Services サービス インスタンスに要求を割り当て、このインスタンスがコンテンツ ライブラリのブックからデータを抽出して読み込みます。メモリに格納されたデータは描画されたブックにマージされ、ブラウザー ウィンドウに表示するために Excel Web Access に返されます。
PowerPivot ブックのデータの一部は、PowerPivot for SharePoint によって処理されません。ワークシートのテーブルおよびセル データは Excel Services によって処理されます。PowerPivot サービスによって処理されるのは、PowerPivot データに合わないピボットテーブル、ピボットグラフ、およびスライサーだけです。
SharePoint サーバーの全体管理による PowerPivot サーバーの管理
PowerPivot for SharePoint は SharePoint 環境と完全に統合されています。管理者は、サーバーの全体管理を使用して、サービス、サービス アカウント、サービスの関連付け、使用可能な機能、イベントの構成、および処理モードを管理できます。
既に説明したように、SharePoint 管理者は、PowerPivot 管理ダッシュボードを使用して全体的なサーバーの状態とパフォーマンスを監視することもできます。組み込みレポートだけでは十分でない場合、管理者は Excel でカスタム レポートを作成して、用意されているレポートを補完したり、それらのレポートの代わりに使用したりすることができます。
SharePoint 管理者のタスク
PowerPivot ブックをパブリッシュして管理するのはそのブックを作成したユーザーですが、SharePoint 管理者は次のタスクを実行することでその作業をサポートします。
PowerPivot サーバー ソフトウェアをインストールおよび構成します。新しいソフトウェアを SharePoint サーバーに追加できるのは、SharePoint 管理者だけです。
SharePoint 統合モードの Reporting Services をインストールおよび構成します。Reporting Services は、SharePoint 統合でインストールおよび構成できる SQL Server 機能です。PowerPivot ギャラリーにパブリッシュされたブックを基にしてレポートを作成する場合は、Reporting Services が必要です。
PowerPivot データを格納する場所 (PowerPivot ギャラリーなど) を作成します。このタスクは、サイト コレクション管理者が実行することもできます。
データが格納されるライブラリまたは場所に対する権限を設定します。このタスクは、サイト コレクション管理者が実行することもできます。
PowerPivot 管理ダッシュボードのレポートを確認してサーバーの状態を監視します。
詳細については、次のセクションのリンクを参照してください。
PowerPivot サーバー コンポーネントと操作に関する技術情報の入手
PowerPivot for SharePoint は SQL Server 2008 R2 の機能です。次の項目に関する技術情報については、TechNet または MSDN の SQL Server 2008 R2 オンライン ブックを参照してください。