バックアップと復元の管理 (Analysis Services)
バックアップを行うと、管理者は特定の状態の Microsoft SQL Server Analysis Services データベースとそのオブジェクトを保存できます。復元を行うと、管理者は Analysis Services データベースを以前の状態に戻すことができます。バックアップは、データを復旧したり、監査に備えたりするために行います。バックアップ計画をまだ確立しておらず、重要なデータを保持している場合は、できるだけ早く計画を設計して実装してください。ソース データを含む完全バックアップでは、詳細データを含むデータベースをバックアップする必要があります。通常、Analysis Services バックアップには、基になるすべての詳細データではなく、メタデータと、ソースデータおよび集計またはそのいずれかのサブセットが含まれます。ただし、オブジェクトがすべて MOLAP である場合、バックアップにはメタデータとソース データが含まれます。
バックアップを自動化する明らかな利点の 1 つは、自動バックアップ頻度の指定に応じて、データのスナップショットが常に最新の状態に保たれることです。自動スケジューラにより、バックアップの実行漏れはなくなります。データベースの復元も自動化が可能です。これはデータをレプリケートする場合に適していますが、レプリケート先のインスタンスの暗号化キー ファイルを必ずバックアップする必要があります。同期機能は Analysis Services データベースのレプリケーション用機能ですが、最新でないデータに対してのみ実行されます。ここで説明する機能はすべて、ユーザー インターフェイス、XML/A コマンド、または AMO 経由でのプログラムの実行によって実装できます。バックアップの方針の詳細については、「Microsoft SQL Server 2005 Analysis Services を使用したバックアップの方針」を参照してください。
Analysis Services データベースのバックアップ
SQL Server Analysis Services では、管理者は Analysis Services データベースのサイズにかかわらず、データベースを 1 つのオペレーティング システム ファイルにバックアップできます。Analysis Services データベースにリモート パーティションが含まれている場合は、リモート パーティションもバックアップできます。リモート パーティションを含むデータベースをバックアップすると、各リモート サーバーのすべてのリモート パーティションが、各リモート サーバーにある 1 つのファイルにそれぞれバックアップされます。このため、これらのリモート バックアップを各ホスト コンピュータ以外の場所に作成する場合は、バックアップ ファイルを指定の記憶域に手動でコピーする必要があります。
Analysis Services データベースをバックアップすると、データベース オブジェクトで使用されるストレージ モードに応じて内容が異なるバックアップ ファイルが作成されます。バックアップ内容が異なる理由は、各ストレージ モードでは Analysis Services データベース内の異なる情報のセットが格納されるためです。たとえば、ハイブリッド OLAP (HOLAP) パーティションおよびディメンションでは Analysis Services データベースの集計とメタデータが格納されますが、リレーショナル OLAP (ROLAP) パーティションおよびディメンションでは Analysis Services データベースのメタデータのみが格納されます。Analysis Services データベースの実際の内容は各パーティションのストレージ モードによって異なるので、バックアップ ファイルの内容も異なります。次の表では、バックアップ ファイルの内容と、オブジェクトによって使用されるストレージ モードを関連付けています。
ストレージ モード |
バックアップ ファイルの内容 |
---|---|
多次元 OLAP (MOLAP) パーティションおよびディメンション |
メタデータ、ソース データ、および集計 |
HOLAP パーティションおよびディメンション |
メタデータおよび集計 |
ROLAP パーティションおよびディメンション |
メタデータ |
注 |
---|
Analysis Services データベースをバックアップしても、リレーショナル データベースなど、基になるデータ ソースのデータはバックアップされません。Analysis Services データベースの内容のみがバックアップされます。 |
Analysis Services データベースをバックアップするときは、次のオプションを選択できます。
データベースのバックアップをすべて圧縮するかどうか。既定ではバックアップは圧縮されます。
バックアップ ファイルの内容を暗号化し、ファイルの復号化および復元の前にパスワードの入力を求めるかどうか。既定ではバックアップ データは暗号化されません。
セキュリティに関する注意 バックアップ ファイルごとに、バックアップ コマンドを実行するユーザーは、各ファイルに指定されたバックアップ場所に対する書き込み権限を持っている必要があります。また、ユーザーは、Analysis Services インスタンスのサーバー ロールのメンバか、バックアップするデータベースに対してフル コントロール (管理者) 権限を持つデータベース ロールのメンバのいずれかである必要があります。
Analysis Services データベースのバックアップの詳細については、「バックアップ オプション」を参照してください。
Analysis Services データベースの復元
SQL Server Analysis Services では、管理者は 1 つまたは複数のバックアップ ファイルから Analysis Services データベースを復元できます。
注 |
---|
バックアップ ファイルが暗号化されている場合は、そのファイルを使用して Analysis Services データベースを復元する前に、バックアップ時に指定されているパスワードを入力する必要があります。 |
復元時には、次のオプションを選択できます。
データベースは元のデータベース名で復元することも、新しいデータベース名を指定することもできます。
既存のデータベースは上書きできます。データベースを上書きする場合は、既存のデータベースを上書きすることを明示的に指定する必要があります。
既存のセキュリティ情報を復元するか、セキュリティ メンバシップ情報を省略するかを選択できます。
復元コマンドを使用して、復元する各パーティションの復元先フォルダを変更できます。ローカル パーティションは、データベースの復元先の Analysis Services インスタンスに対してローカルな任意のフォルダに復元できます。リモート パーティションは、ローカル サーバー以外のサーバーにある任意のフォルダに復元できます。リモート パーティションをローカルにすることはできません。
セキュリティに関する注意 バックアップ ファイルごとに、復元コマンドを実行するユーザーは、各ファイルに指定されたバックアップ場所から読み取る権限を持っている必要があります。サーバーにインストールされていない Analysis Services データベースを復元する場合、ユーザーは、その Analysis Services インスタンスのサーバー ロールのメンバであることも必要です。Analysis Services データベースを上書きするには、ユーザーは、Analysis Services インスタンスのサーバー ロールのメンバか、復元するデータベースに対してフル コントロール (管理者) 権限を持つデータベース ロールのメンバのいずれかである必要があります。
注 既存のデータベースを復元すると、データベースを復元したユーザーは、復元されたデータベースにアクセスできなくなる可能性があります。バックアップの実行時に、ユーザーがサーバー ロールのメンバ、またはフル コントロール (管理者) 権限を持つデータベース ロールのメンバではなかった場合、このようにアクセスできなくなることがあります。
Analysis Services データベースの復元の詳細については、「復元オプション」を参照してください。