LIKE (Transact-SQL)

指定された文字列が指定されたパターンと一致するかどうかを判断します。パターンは、標準の文字とワイルドカード文字を含むことができます。パターン検索時に、標準の文字は文字列に指定された文字と正確に一致する必要があります。しかし、ワイルドカード文字は文字列の任意の部分と一致することができます。= や != などの文字列比較演算子を使用する場合と比べて、ワイルドカード文字を使用する方がより柔軟に LIKE 演算子を使用できます。引数が文字列データ型でない場合、SQL Server データベース エンジンは可能であれば引数を文字列データ型に変換します。

トピック リンク アイコンTransact-SQL 構文表記規則

構文

match_expression [ NOT ] LIKE pattern [ ESCAPE escape_character ]

引数

  • match_expression
    文字型の任意の有効なです。

  • pattern
    match_expression で検索する特定の文字列であり、次の有効なワイルドカード文字を含めることができます。pattern は、最大 8,000 バイトにすることができます。

    ワイルドカード文字

    説明

    %

    0 個またはそれ以上の文字で構成される任意の文字列です。

    WHERE title LIKE '%computer%' と指定すると、書籍名に "computer" という単語が含まれるすべての書籍が検索されます。

    _ (アンダースコア)

    任意の 1 文字です。

    WHERE au_fname LIKE '_ean' と指定すると、ean で終わる 4 文字のすべての名 (Dean、Sean など) が検索されます。

    [ ]

    指定した範囲 ([a-f]) またはセット ([abcdef]) 内にある任意の 1 文字です。

    WHERE au_lname LIKE '[C-P]arsen' と指定すると、Carsen、Larsen、Karsen などのように、姓が C から P の間にある任意の 1 文字で始まり、arsen で終わる著者が検索されます。範囲で検索する場合、照合順序の並べ替え規則に応じて範囲に含まれる文字が変わります。

    [^]

    指定した範囲 ([^a-f]) またはセット ([^abcdef]) 内にない任意の 1 文字です。

    WHERE au_lname LIKE 'de[^l]%' と指定すると、姓が de で始まり、次の文字が l ではないすべての著者が検索されます。

  • escape_character
    特定のワイルドカードがワイルドカードとしてではなく標準の文字として解釈されるようにするために、そのワイルドカードの前に配置する文字です。escape_character は、既定値を持たない文字式であり、1 文字に評価される必要があります。

戻り値の型

Boolean

戻り値

match_expression が、指定された pattern と一致する場合、LIKE は TRUE を返します。

説明

LIKE を使用して文字列の比較を行うときは、パターン文字列中のすべての文字が比較の対象になります。これには、パターンの先頭の空白や後続する空白も含まれます。クエリ内の比較で LIKE 'abc ' 文字列 (abc に空白が 1 つ続く) を含むすべての行が返される場合、列の値が"abc" (abc の後ろに空白がない) の行は返されません。ただし、パターンが一致する式の中の後続する空白は無視されます。クエリ内の比較で LIKE 'abc' 文字列 (abc の後ろに空白がない) を含むすべての行が返される場合、"abc" で始まり、0 または空白が後続するすべての行が返されます。

char および varchar データのパターンを使用した文字列比較では、データの格納方法に制約があるため、LIKE 比較を渡すことができません。各データ型の格納方法や、LIKE 比較ができない場合について理解しておく必要があります。次の例では、ローカル変数 char をストアド プロシージャに渡し、パターン検索を使用して、姓が指定された文字列で始まるすべての従業員を検索します。

USE AdventureWorks2008R2;
GO
CREATE PROCEDURE FindEmployee @EmpLName char(20)
AS
SELECT @EmpLName = RTRIM(@EmpLName) + '%';
SELECT p.FirstName, p.LastName, a.City
FROM Person.Person p JOIN Person.Address a ON p.BusinessEntityID = a.AddressID
WHERE p.LastName LIKE @EmpLName;
GO
EXEC FindEmployee @EmpLName = 'Barb';
GO

FindEmployee プロシージャでは、20 文字未満の名前の場合、必ず char 変数 (@EmpLName) に後続する空白が含まれるため、行は返されません。LastName 列は varchar であるため、後続する空白は含まれていません。後続する空白が意味を持つため、このプロシージャは失敗します。

次の例では、後続する空白は varchar 変数に追加されないので、検索は成功します。

USE AdventureWorks2008R2;
GO
CREATE PROCEDURE FindEmployee @EmpLName varchar(20)
AS
SELECT @EmpLName = RTRIM(@EmpLName) + '%';
SELECT p.FirstName, p.LastName, a.City
FROM Person.Person p JOIN Person.Address a ON p.BusinessEntityID = a.AddressID
WHERE p.LastName LIKE @EmpLName;
GO
EXEC FindEmployee @EmpLName = 'Barb';

以下に結果セットを示します。

FirstName LastName City

---------- ----------------------------------------

Angela Barbariol Snohomish

David Barber Snohomish

(2 row(s) affected)

LIKE を使用するパターン検索

LIKE では、ASCII パターン検索と Unicode パターン検索を行えます。すべての引数 (match_expression、pattern、および escape_character) が ASCII 文字型の場合は、ASCII パターン検索が行われます。引数のいずれかが Unicode データ型の場合は、すべての引数が Unicode に変換され、Unicode パターン検索が行われます。LIKE で Unicode データ (nchar または nvarchar 型) を使用する場合、後続する空白は意味を持ちます。しかし、Unicode 以外のデータの場合、後続する空白は意味を持ちません。Unicode LIKE は、ISO 標準と互換性があります。ASCII LIKE は、以前のバージョンの SQL Server と互換性があります。

次の一連の例では、ASCII LIKE パターン検索と Unicode LIKE パターン検索で返される行の違いを示します。

-- ASCII pattern matching with char column
CREATE TABLE t (col1 char(30));
INSERT INTO t VALUES ('Robert King');
SELECT * 
FROM t 
WHERE col1 LIKE '% King'   -- returns 1 row

-- Unicode pattern matching with nchar column
CREATE TABLE t (col1 nchar(30));
INSERT INTO t VALUES ('Robert King');
SELECT * 
FROM t 
WHERE col1 LIKE '% King'   -- no rows returned

-- Unicode pattern matching with nchar column and RTRIM
CREATE TABLE t (col1 nchar (30));
INSERT INTO t VALUES ('Robert King');
SELECT * 
FROM t 
WHERE RTRIM(col1) LIKE '% King'   -- returns 1 row
注意

LIKE 比較は、照合順序の影響を受けます。詳細については、「COLLATE (Transact-SQL)」を参照してください。

% ワイルドカード文字の使用

LIKE '5%' と指定すると、データベース エンジンは数字の 5 を先頭に 0 個以上の文字が続く文字列を検索します。

たとえば、次のクエリは、AdventureWorks2008R2 データベース内のすべての動的管理ビューを表示します。これらのすべての動的管理ビューは、文字 dm で始まるためです。

USE AdventureWorks2008R2;
GO
SELECT Name
FROM sys.system_views
WHERE Name LIKE 'dm%';
GO

動的管理ビュー以外のすべてのオブジェクトを表示するには、NOT LIKE 'dm%' を使用します。仮に、オブジェクトの総数が 32、LIKE パターンに一致する名前が 13 件発見されるとすると、NOT LIKE では、LIKE パターンに一致しないオブジェクトを 19 件発見します。

LIKE '[^d][^m]%' のようなパターンと一致する名前が検索されるとは限りません。NOT LIKE の 19 件に対して、このパターンでは 14 件しか検索できません。d で始まる名前、または 2 文字目が m の名前は、すべて結果および動的管理ビュー名から削除されます。これは、否定ワイルドカード文字を使用した検索文字列は 1 文字ずつ順番に評価されるために生じます。評価のいずれかの段階で一致しなければ、削除されます。

リテラルとしてのワイルドカード文字の使用

ワイルドカード パターン検索文字をリテラル文字として使用できます。ワイルドカード文字をリテラル文字として使用するには、ワイルドカード文字をかっこで囲みます。次の表は、LIKE キーワードと [ ] ワイルドカード文字の使用例を示しています。

記号

意味

LIKE '5[%]'

5%

LIKE '[_]n'

_n

LIKE '[a-cdf]'

a、b、c、d、または f

LIKE '[-acdf]'

-、a、c、d、または f

LIKE '[ [ ]'

[

LIKE ']'

]

LIKE 'abc[_]d%'

abc_d および abc_de

LIKE 'abc[def]'

abcd、abce、および abcf

ESCAPE 句を使用するパターン検索

1 文字以上の特殊なワイルドカード文字を含む文字列を検索できます。たとえば、customers データベース内の discounts テーブルには、パーセント記号 (%) を含む割引の値が格納されています。ワイルドカード文字ではなく、文字としてパーセント記号を検索するには、ESCAPE キーワードとエスケープ文字を指定する必要があります。たとえば、サンプル データベースには、"30%" というテキストを含んでいる comment という名前の列があります。comment 列内の任意の場所に文字列 "30%" を含んでいる任意の行を検索するには、WHERE comment LIKE '%30!%%' ESCAPE '!' などの WHERE 句を指定します。ESCAPE とエスケープ文字を指定していない場合、データベース エンジンは文字列 "30" を含む行を返します。

LIKE パターンでエスケープ文字の後に文字がない場合、そのパターンは無効になり、LIKE は FALSE を返します。エスケープ文字の後にある文字がワイルドカード文字ではない場合、このパターンの中ではエスケープ文字は破棄され、エスケープ文字の次の文字が通常の文字として扱われます。これには、2 つの角かっこ ([ ]) に囲まれたパーセント記号 (%)、アンダースコア (_)、および左角かっこ ([) の各ワイルドカード文字が含まれます。また、2 つの角かっこ ([ ]) で囲んだ場合は、エスケープ文字は使用することができ、キャレット (^)、ハイフン (-)、および右角かっこ (]) はエスケープできます。

0x0000 (char(0)) は、Windows 照合順序の未定義の文字で、LIKE に含めることはできません。

使用例

A. LIKE を % ワイルドカード文字と共に使用する

次の例では、PersonPhone テーブルで市外局番 415 を持つすべての電話番号を検索します。

USE AdventureWorks2008R2;
GO
SELECT p.FirstName, p.LastName, ph.PhoneNumber
FROM Person.PersonPhone AS ph
INNER JOIN Person.Person AS p
ON ph.BusinessEntityID = p.BusinessEntityID
WHERE ph.PhoneNumber LIKE '415%'
ORDER by p.LastName;
GO

以下に結果セットを示します。

FirstName LastName phone

----------------- ---------------- ------------

Ruben Alonso 415-555-0124

Shelby Cook 415-555-0121

Karen Hu 415-555-0114

John Long 415-555-0147

David Long 415-555-0123

Gilbert Ma 415-555-0138

Meredith Moreno 415-555-0131

Alexandra Nelson 415-555-0174

Taylor Patterson 415-555-0170

Gabrielle Russell 415-555-0197

Dalton Simmons 415-555-0115

(11 row(s) affected)

B. NOT LIKE を % ワイルドカード文字と共に使用する

次の例では、PersonPhone テーブルで 415 以外の市外局番を持つすべての電話番号を検索します。

USE AdventureWorks2008R2;
GO
SELECT p.FirstName, p.LastName, ph.PhoneNumber
FROM Person.PersonPhone AS ph
INNER JOIN Person.Person AS p
ON ph.BusinessEntityID = p.BusinessEntityID
WHERE ph.PhoneNumber NOT LIKE '415%' AND p.FirstName = 'Gail'
ORDER BY p.LastName;
GO

以下に結果セットを示します。

FirstName LastName Phone

--------- ---------- -------------------

Gail Alexander 1 (11) 500 555-0120

Gail Butler 1 (11) 500 555-0191

Gail Erickson 834-555-0132

Gail Erickson 849-555-0139

Gail Griffin 450-555-0171

Gail Moore 155-555-0169

Gail Russell 334-555-0170

Gail Westover 305-555-0100

(8 row(s) affected)

C. ESCAPE 句を使用する

次の例では、ESCAPE 句とエスケープ文字を使用して、mytbl2 テーブルの列 c1 内にある文字列 10-15% と完全に一致する文字列を検索します。

USE tempdb;
GO
IF EXISTS(SELECT TABLE_NAME FROM INFORMATION_SCHEMA.TABLES
      WHERE TABLE_NAME = 'mytbl2')
   DROP TABLE mytbl2;
GO
USE tempdb;
GO
CREATE TABLE mytbl2
(
 c1 sysname
);
GO
INSERT mytbl2 VALUES ('Discount is 10-15% off');
INSERT mytbl2 VALUES ('Discount is .10-.15 off');
GO
SELECT c1 
FROM mytbl2
WHERE c1 LIKE '%10-15!% off%' ESCAPE '!';
GO

D. [ ] ワイルドカード文字を使用する

次の例では、Person テーブルで、名前が Cheryl または Sheryl である従業員を検索します。

USE AdventureWorks2008R2;
GO
SELECT BusinessEntityID, FirstName, LastName 
FROM Person.Person 
WHERE FirstName LIKE '[CS]heryl';
GO

次の例では、Person テーブルで、姓が Zheng または Zhang である従業員の行を検索します。

USE AdventureWorks2008R2;
GO
SELECT LastName, FirstName
FROM Person.Person
WHERE LastName LIKE 'Zh[ae]ng'
ORDER BY LastName ASC, FirstName ASC;
GO