FETCH (Transact-SQL)

Transact-SQL サーバー カーソルから特定の行を取得します。

トピック リンク アイコンTransact-SQL 構文表記規則

構文

FETCH 
          [ [ NEXT | PRIOR | FIRST | LAST 
                    | ABSOLUTE { n | @nvar } 
                    | RELATIVE { n | @nvar } 
               ] 
               FROM 
          ] 
{ { [ GLOBAL ] cursor_name } | @cursor_variable_name } 
[ INTO @variable_name [ ,...n ] ] 

引数

  • NEXT
    現在の行の直後にある行を結果行として返し、この返した行に現在の行を加えます。カーソルに対する最初のフェッチが FETCH NEXT の場合、結果セットの中の先頭の行が返ります。NEXT は、カーソル フェッチの既定のオプションです。

  • PRIOR
    現在の行の直前にある行を結果行として返し、現在の行を減らして、この返した行にします。カーソルに対する最初のフェッチが FETCH PRIOR の場合、行は返されません。カーソルは先頭行の前に位置したままです。

  • FIRST
    カーソル内の先頭行を返し、これを現在の行にします。

  • LAST
    カーソル内の最終行を返し、これを現在の行にします。

  • ABSOLUTE { n| @nvar}
    n または @nvar が正の値の場合は、カーソルの先頭から n 行目の行を返し、返した行を新しい現在の行にします。n または @nvar が負の値の場合は、カーソルの終端から n 行前の行を返し、返した行を新しい現在の行にします。n または @nvar が 0 の場合は、行を返しません。n は整数の定数、@nvar は smallint 型、tinyint 型、int 型のいずれかである必要があります。

  • RELATIVE { n| @nvar}
    n または @nvar が正の値の場合は、現在の行を先頭に n 行目の行を返し、返した行を新しい現在の行にします。n または @nvar が負の値の場合は、現在の行から n 行前の行を返し、返した行を新しい現在の行にします。n または @nvar が 0 の場合は、現在の行を返します。カーソルに対して実行する最初のフェッチで、n または @nvar を負の値または 0 に設定して FETCH RELATIVE を指定した場合は、行を返しません。n は整数の定数、@nvar は smallint 型、tinyint 型、int 型のいずれかである必要があります。

  • GLOBAL
    cursor_name でグローバル カーソルを参照することを指定します。

  • cursor_name
    フェッチが行われる、開いているカーソルの名前です。cursor_name という名前のグローバル カーソルとローカル カーソルの両方がある場合、GLOBAL が指定されると cursor_name はグローバル カーソルを参照します。GLOBAL が指定されない場合は、ローカル カーソルを参照します。

  • @cursor_variable_name
    フェッチが行われる、開いているカーソルを参照するカーソル変数の名前です。

  • INTO @variable_name\[ ,...n]
    フェッチの列で得られたデータを、ローカル変数に設定します。リスト内の各変数は、左から右に向かって、カーソル結果セット内の対応する列に関連付けられます。各変数のデータ型は、対応する結果セット列のデータ型に一致するか、または暗黙的な型変換がサポートされていなければなりません。変数の個数は、カーソル選択リスト内の列の個数と一致している必要があります。

説明

ISO 形式の DECLARE CURSOR ステートメントに SCROLL オプションが指定されていない場合、サポートされる FETCH オプションは NEXT だけです。ISO 形式の DECLARE CURSOR ステートメントに SCROLL が指定されている場合は、すべての FETCH オプションがサポートされます。

Transact-SQL DECLARE カーソル拡張が使用されると、次のルールが適用されます。

  • FORWARD_ONLY と FAST_FORWARD のいずれかが指定されている場合、サポートされる FETCH オプションは NEXT だけです。

  • DYNAMIC、FORWARD_ONLY、FAST_FORWARD のいずれも指定されておらず、かつ KEYSET、STATIC、SCROLL のいずれか 1 つが指定されている場合は、すべての FETCH オプションがサポートされます。

  • DYNAMIC SCROLL カーソルは、ABSOLUTE 以外のすべての FETCH オプションをサポートします。

@@FETCH_STATUS 関数は、最後に実行された FETCH ステートメントのステータスを返します。sp_describe_cursor で返されるカーソル内の fetch_status 列に、同じ情報が記録されます。FETCH ステートメントで返されたデータに対して操作を行う前に、このステータス情報を使用してデータの妥当性を判断する必要があります。詳細については、「@@FETCH_STATUS (Transact-SQL)」を参照してください。

権限

FETCH 権限は、特に指定のない限り有効なすべてのユーザーに与えられます。

A. 単純カーソル内での FETCH を使用する

この例では、Person.Person テーブル内の姓が B で始まる行に対して単純カーソルを宣言し、FETCH NEXT を使用して行を順番に移動します。FETCH ステートメントは、DECLARE CURSOR の中で指定された列の値を、単一行の結果セットとして返します。

USE AdventureWorks2008R2;
GO
DECLARE contact_cursor CURSOR FOR
SELECT LastName FROM Person.Person
WHERE LastName LIKE 'B%'
ORDER BY LastName;

OPEN contact_cursor;

-- Perform the first fetch.
FETCH NEXT FROM contact_cursor;

-- Check @@FETCH_STATUS to see if there are any more rows to fetch.
WHILE @@FETCH_STATUS = 0
BEGIN
   -- This is executed as long as the previous fetch succeeds.
   FETCH NEXT FROM contact_cursor;
END

CLOSE contact_cursor;
DEALLOCATE contact_cursor;
GO

B. FETCH を使用して変数に値を格納する

次の例は例 A に似ていますが、FETCH ステートメントの出力をクライアントに直接返すのではなく、ローカル変数に格納します。PRINT ステートメントは変数を 1 つの文字列に結合し、これをクライアントに返します。

USE AdventureWorks2008R2;
GO
-- Declare the variables to store the values returned by FETCH.
DECLARE @LastName varchar(50), @FirstName varchar(50);

DECLARE contact_cursor CURSOR FOR
SELECT LastName, FirstName FROM Person.Person
WHERE LastName LIKE 'B%'
ORDER BY LastName, FirstName;

OPEN contact_cursor;

-- Perform the first fetch and store the values in variables.
-- Note: The variables are in the same order as the columns
-- in the SELECT statement. 

FETCH NEXT FROM contact_cursor
INTO @LastName, @FirstName;

-- Check @@FETCH_STATUS to see if there are any more rows to fetch.
WHILE @@FETCH_STATUS = 0
BEGIN

   -- Concatenate and display the current values in the variables.
   PRINT 'Contact Name: ' + @FirstName + ' ' +  @LastName

   -- This is executed as long as the previous fetch succeeds.
   FETCH NEXT FROM contact_cursor
   INTO @LastName, @FirstName;
END

CLOSE contact_cursor;
DEALLOCATE contact_cursor;
GO

C. SCROLL カーソルを宣言し、他の FETCH オプションを使用する

次の例では、SCROLL カーソルを作成し、LAST、PRIOR、RELATIVE、および ABSOLUTE オプションを介してすべてのスクロール機能を使用します。

USE AdventureWorks2008R2;
GO
-- Execute the SELECT statement alone to show the 
-- full result set that is used by the cursor.
SELECT LastName, FirstName FROM Person.Person
ORDER BY LastName, FirstName;

-- Declare the cursor.
DECLARE contact_cursor SCROLL CURSOR FOR
SELECT LastName, FirstName FROM Person.Person
ORDER BY LastName, FirstName;

OPEN contact_cursor;

-- Fetch the last row in the cursor.
FETCH LAST FROM contact_cursor;

-- Fetch the row immediately prior to the current row in the cursor.
FETCH PRIOR FROM contact_cursor;

-- Fetch the second row in the cursor.
FETCH ABSOLUTE 2 FROM contact_cursor;

-- Fetch the row that is three rows after the current row.
FETCH RELATIVE 3 FROM contact_cursor;

-- Fetch the row that is two rows prior to the current row.
FETCH RELATIVE -2 FROM contact_cursor;

CLOSE contact_cursor;
DEALLOCATE contact_cursor;
GO