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プログラムでの変数の使用

変数を使用すると、値を動的に設定し、パッケージ、コンテナ、タスク、およびイベント ハンドラの処理を制御できます。また、優先順位制約で変数を使用して、別のタスクへのデータ フローの方向を制御することもできます。変数には、以下のようにさまざまな使用方法があります。

  • 実行時にパッケージのプロパティを更新する。

  • 実行時に Transact-SQL ステートメントのパラメータ値を設定する。

  • Foreach ループのフローを制御する。詳細については、「制御フローへの列挙の追加」を参照してください。

  • 式で使用することにより、優先順位制約を制御する。優先順位制約では、制約定義に変数を含めることができます。詳細については、「優先順位制約への式の追加」を参照してください。

  • For ループ コンテナの条件付きの繰り返しを制御する。詳細については、「制御フローへの繰り返しの追加」を参照してください。

  • 変数値が含まれる式を構築する。

  • パッケージ、Foreach ループ コンテナ、For ループ コンテナ、シーケンス コンテナ、タスク ホスト、およびイベント ハンドラなど、すべての種類のコンテナ用にカスタム変数を作成できます。詳細については、「Integration Services の変数」および「パッケージでの変数の使用」を参照してください。

スコープ

各コンテナには、独自の Variables コレクションが含まれています。新しい変数が作成されると、その親コンテナのスコープ内に格納されます。パッケージ コンテナは、コンテナ階層の最上層にあるため、パッケージ スコープを持つ変数はグローバル変数と同じように機能し、パッケージ内のすべてのコンテナで使用できます。また、子コンテナは、Variables コレクションを介して、親コンテナの変数コレクションにアクセスできます。アクセスするには、コレクション内の変数名または変数のインデックスのどちらかを使用します。

変数は上から順にスコープされるため、パッケージ レベルで宣言された変数は、パッケージ内のすべてのコンテナで使用できます。したがって、コンテナの Variables コレクションには、コンテナ独自の変数だけでなく、その親コンテナに属するすべての変数が含まれます。

これに対し、タスクに含まれる変数のスコープおよび可視性は制限されているため、そのタスクのみで使用できます。

パッケージが他のパッケージを実行する場合、呼び出し元のスコープで定義された変数は、呼び出し先のパッケージで使用できます。ただし、呼び出し先のパッケージに同じ名前の変数が存在する場合だけは例外です。この衝突が発生すると、呼び出し先の変数値が呼び出し元のパッケージの値より優先されます。呼び出し先のパッケージのスコープで定義された変数は、呼び出し元のパッケージでは使用できません。

次のコード例では、プログラムによって、変数 myCustomVar をパッケージのスコープで作成し、パッケージで使用できるすべての変数を反復処理し、変数の名前、データ型、および値を出力します。

using System;
using Microsoft.SqlServer.Dts.Runtime;

namespace Microsoft.SqlServer.Dts.Samples
{
  class Program
  {
    static void Main(string[] args)
    {
      Application app = new Application();
      // Load a sample package that contains a variable that sets the file name.
      Package pkg = app.LoadPackage(
        @"C:\Program Files\Microsoft SQL Server\100\Samples\Integration Services" +
        @"\Package Samples\CaptureDataLineage Sample\CaptureDataLineage\CaptureDataLineage.dtsx",
        null);
      Variables pkgVars = pkg.Variables;
      Variable myVar = pkg.Variables.Add("myCustomVar", false, "User", "3");
      foreach (Variable pkgVar in pkgVars)
      {
        Console.WriteLine("Variable: {0}, {1}, {2}", pkgVar.Name,
          pkgVar.DataType, pkgVar.Value.ToString());
      }
      Console.Read();
    }
  }
}
Imports Microsoft.SqlServer.Dts.Runtime

Module Module1

  Sub Main()

    Dim app As Application = New Application()
    ' Load a sample package that contains a variable that sets the file name.
    Dim pkg As Package = app.LoadPackage( _
      "C:\Program Files\Microsoft SQL Server\100\Samples\Integration Services" & _
      "\Package Samples\CaptureDataLineage Sample\CaptureDataLineage\CaptureDataLineage.dtsx", _
      Nothing)
    Dim pkgVars As Variables = pkg.Variables
    Dim myVar As Variable = pkg.Variables.Add("myCustomVar", False, "User", "3")
    Dim pkgVar As Variable
    For Each pkgVar In pkgVars
      Console.WriteLine("Variable: {0}, {1}, {2}", pkgVar.Name, _
        pkgVar.DataType, pkgVar.Value.ToString())
    Next
    Console.Read()

  End Sub

End Module

サンプル出力 :

Variable: CancelEvent, Int32, 0

Variable: CreationDate, DateTime, 4/18/2003 11:57:00 AM

Variable: CreatorComputerName, String,

Variable: CreatorName, String,

Variable: ExecutionInstanceGUID, String, {237AB5A4-7E59-4FC9-8D61-E8F20363DF25}

Variable: FileName, String, Junk

Variable: InteractiveMode, Boolean, False

Variable: LocaleID, Int32, 1033

Variable: MachineName, String, MYCOMPUTERNAME

Variable: myCustomVar, String, 3

Variable: OfflineMode, Boolean, False

Variable: PackageID, String, {F0D2E396-A6A5-42AE-9467-04CE946A810C}

Variable: PackageName, String, DTSPackage1

Variable: StartTime, DateTime, 1/28/2005 7:55:39 AM

Variable: UserName, String, <domain>\<userid>

Variable: VersionBuild, Int32, 198

Variable: VersionComments, String,

Variable: VersionGUID, String, {90E105B4-B4AF-4263-9CBD-C2050C2D6148}

Variable: VersionMajor, Int32, 1

Variable: VersionMinor, Int32, 0

System 名前空間で有効なすべての変数は、パッケージで使用できます。詳細については、「システム変数」を参照してください。

名前空間

MicrosoftSQL ServerIntegration Services (SSIS) では、User および System 名前空間という 2 つの既定の名前空間が提供され、変数はこれらの名前空間に属します。既定では、開発者が作成したカスタム変数は、User 名前空間に追加されます。システム変数は、System 名前空間に属します。User 名前空間以外の名前空間を追加作成してカスタム変数を保持したり、User 名前空間の名前を変更することはできますが、System 名前空間を追加したり、その中の変数を変更することはできません。また、システム変数を別の名前空間に割り当てることもできません。

使用できるシステム変数は、コンテナの種類によって異なります。パッケージ、コンテナ、タスク、およびイベント ハンドラで使用できるシステム変数の一覧については、「システム変数」を参照してください。

カスタム変数の値には、リテラルまたは式を設定できます。

  • 変数にリテラル値を格納する場合は、Value プロパティの値を設定します。

  • 変数に式を含めて、式の結果を変数の値として使用する場合、変数の EvaluateAsExpression プロパティを true に設定し、Expression プロパティで式を指定します。実行時に式が評価され、式の戻り値が変数の値として使用されます。たとえば、変数の式のプロパティが "100 * 2""100 * 2" の場合、変数は値 200 に評価されます。

変数の DataType に明示的に値を設定することはできません。DataType 値は、変数に割り当てられた初期値から推論され、その後は変更できません。変数のデータ型の詳細については、「Integration Services のデータ型」を参照してください。

次のコード例では、新しい変数を作成し、EvaluateAsExpression を true に設定して、式 "100 * 2" を変数の式のプロパティに割り当てます。その後、変数の値を出力します。

using System;
using Microsoft.SqlServer.Dts.Runtime;

namespace Microsoft.SqlServer.Dts.Samples
{
  class Program
  {
    static void Main(string[] args)
    {
      Package pkg = new Package();
      Variable v100 = pkg.Variables.Add("myVar", false, "", 1);
      v100.EvaluateAsExpression = true;
      v100.Expression = "100 * 2";
      Console.WriteLine("Expression for myVar: {0}", 
        v100.Properties["Expression"].GetValue(v100));
      Console.WriteLine("Value of myVar: {0}", v100.Value.ToString());
      Console.Read();
    }
  }
}
Imports Microsoft.SqlServer.Dts.Runtime

Module Module1

  Sub Main()

    Dim pkg As Package = New Package
    Dim v100 As Variable = pkg.Variables.Add("myVar", False, "", 1)
    v100.EvaluateAsExpression = True
    v100.Expression = "100 * 2"
    Console.WriteLine("Expression for myVar: {0}", _
      v100.Properties("Expression").GetValue(v100))
    Console.WriteLine("Value of myVar: {0}", v100.Value.ToString)
    Console.Read()

  End Sub

End Module

サンプル出力 :

Expression for myVar: 100 * 2

Value of myVar: 200

式は、SSIS 式の構文を使用する、有効な式である必要があります。式の構文が提供する演算子や関数のほか、リテラルも変数式で使用できますが、他の変数または列を式で参照することはできません。詳細については、「Integration Services の式のリファレンス」を参照してください。

構成ファイル

構成ファイルにカスタム変数を含めると、実行時に変数を更新できます。つまり、パッケージを実行すると、パッケージにあらかじめ含まれていた変数の値は、構成ファイルの新しい値で置き換えられます。この置き換え方法を使用すると、異なる変数値が必要な複数のサーバーにパッケージを配置するときに便利です。たとえば、変数を使用して、Foreach ループ コンテナがワークフローを繰り返す回数を指定したり、エラーが発生したときにイベント ハンドラが送信する電子メールの受信者を一覧表示したり、パッケージが失敗するまでのエラーの発生回数を変更できます。これらの変数は、各環境の構成ファイルで動的に指定できます。したがって、構成ファイルでは読み取り/書き込み用の変数のみを使用できます。詳細については、「パッケージの構成の作成」を参照してください。

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