多言語配置やグローバル配置のソリューション設計に関する考慮事項 (Reporting Services)
配置の要件に複数の言語やカルチャのサポートが含まれる場合、このトピックの情報を利用すると、ツールを選択したり、複数の言語のレポートをサポートする方法でレポートを作成することができます。また、実行時に言語リソースがどのように使用されるのかも理解できます。
このトピックでは、サポートされている言語、実行時の言語リソースの使用方法、レポートの言語設定、およびローカライズされていないアイテムについて説明します。レポート マネージャー、レポート ツール バーなどのサーバー側のコンポーネントについては、言語リソースが実行時に判断されます。使用する言語リソースを決定するのは、クライアント アプリケーション (通常はブラウザー) と、レポート サーバーを実行するコンピューターのオペレーティング システムの両方です。
SQL Server 2008 での言語サポートの詳細については、「SQL Server 2008 のインストールに必要なハードウェアおよびソフトウェア」を参照してください。
このトピックでは、異なるタイム ゾーンにまたがってレポート サーバーにアクセスする場合の影響については説明しません。タイム ゾーンの問題の詳細については、「タイム ゾーンと時刻の設定の変更 (レポート サーバー)」を参照してください。
Reporting Services での言語の使用方法
Multilingual User Interface (MUI) サーバーでは、既定のサーバー カルチャはユーザーの既定の UI カルチャから設定されます。
次の表は、Reporting Services 全体で言語バージョンがどのように使用されるのかを示しています。
言語 |
使用方法 |
---|---|
レポート サーバーの言語 |
レポート サーバーの言語は、レポート サーバー データベースの作成時に設定されます。Reporting Services 構成マネージャーを使用してデータベースを作成する場合は、データベースの変更ウィザードを実行するときにレポート サーバーの言語を指定します。 Reporting Services を既定の構成でインストールすると、セットアップでレポート サーバー データベースが作成されるときにレポート サーバーの言語が決定されます。セットアップでは、オペレーティング システムの言語に最も近い言語リソースが使用されます。
|
クライアント ブラウザーの言語 |
クライアント ブラウザーの言語とロケールの設定により、次の要素に対して使用される言語リソースが決まります。
|
レポートの言語 |
レポートでは、ラベルと書式設定に対して言語設定が使用されます。
|
データベースの言語 |
レポート内に表示されるデータは、データベース内の実際のデータ値とデータベース サーバーの照合順序の設定によって決まります。 |
SharePoint ユーザー インターフェイス |
SharePoint ユーザー インターフェイス (UI) カルチャの言語とロケールの設定により、次の要素に対して使用される言語リソースが決まります。
|
.NET Framework 言語パック |
.NET Framework 言語パックがインストールされている場合、.NET Framework が返すエラーはクライアントの言語とロケールの設定に基づいて返されます。これらのエラーには、SharePoint UI およびレポート マネージャーに表示される Reporting Services エラーが含まれます。 |
レポート モデル |
レポート モデルは、既定のサーバー カルチャを使用して構築されます。Multilingual User Interface (MUI) サーバーでは、既定のサーバー カルチャはユーザーの既定の UI カルチャから設定されます。 |
Reporting Services でインストールされる言語リソース
SQL Server Reporting Services のセットアップ、レポート デザイナー、モデル デザイナー、レポート マネージャー、レポート ビルダー、レポート ツール バー、およびレポート サーバーが返すすべてのメッセージのリソースは、各言語にローカライズされています。Reporting Services は、SQL Server でサポートされているすべての言語にローカライズされています。サポートされているすべての言語リソースは、セットアップ時にインストールされます。別の言語をサポートできるようにする場合に、別途インストール プログラムを実行する必要はありません。
サポートされる言語
言語のサポートは、使用しているサーバー モードによって異なります。サーバー モードについて詳しく理解していない場合は、「配置モードの計画」を参照してください。
ネイティブ モードのレポート サーバーでは、SQL Server の言語のみを使用できます。
SharePoint 統合モードで実行されているレポート サーバーでは、Reporting Services アドインを通じて追加の言語がサポートされます。それらの追加の言語は、SharePoint アプリケーション ページから起動されたレポート ビルダー インスタンスに対してもサポートされます。SharePoint サイトでレポート サーバー アイテムを表示および管理するために使用するアプリケーション ページや、それらのページで表示されるエラーや警告で、追加の言語を使用できます。
レポート サーバーや、レポート デザイナーでデザインしたレポートから表示されるメッセージでは、SQL Server でサポートされている言語しか使用できません。このため、レポート サーバーを SharePoint 統合モードで実行して、SQL Server でサポートされていない言語を SharePoint アプリケーション ページで使用する場合には、複数の言語が表示されることがあります。
LCID |
言語名 |
カルチャ名 |
SQL Server ネイティブ モード |
SharePoint 統合モード |
---|---|---|---|---|
1028 |
中国語 (繁体字) |
zh-tw |
可 |
可 |
1031 |
ドイツ語 |
de-de |
可 |
可 |
1033 |
英語 |
En-us |
可 |
可 |
1036 |
フランス語 |
fr-fr |
可 |
可 |
1040 |
イタリア語 |
it-it |
可 |
可 |
1041 |
日本語 |
ja-jp |
可 |
可 |
1042 |
韓国語 |
ko-kr |
可 |
可 |
1049 |
ロシア語 |
ru-ru |
可 |
可 |
2052 |
中国語 (簡体字) |
zh-cn |
可 |
可 |
3082 |
スペイン語 |
es-es |
可 |
可 |
1029 |
チェコ語 |
cs-cz |
不可 |
可 |
1030 |
デンマーク語 |
da-dk |
不可 |
可 |
1032 |
ギリシャ語 |
el-gr |
不可 |
可 |
1035 |
フィンランド語 |
fi-fi |
不可 |
可 |
1038 |
ハンガリー語 |
hu-hu |
不可 |
可 |
1043 |
オランダ語 |
nl-nl |
不可 |
可 |
1044 |
ノルウェー語 (ボークモール) |
nb-no |
不可 |
可 |
1045 |
ポーランド語 |
pl-pl |
不可 |
可 |
1046 |
ポルトガル語 (ブラジル) |
pt-br |
不可 |
可 |
1053 |
スウェーデン語 |
sv-se |
不可 |
可 |
1055 |
トルコ語 |
tr-tr |
不可 |
可 |
2070 |
ポルトガル語 (ヨーロッパ) |
pt-pt |
不可 |
可 |
レポート デザイナーの言語設定
レポート デザイナー自体の場合、レポート作成環境で使用される SQL Server 言語リソースは、インストールされている MicrosoftVisual Studio の言語によって決まります。たとえば、日本語版の Visual Studio を実行している場合、レポート デザイナーにも日本語の言語リソースが使用されます。使用している Visual Studio の言語に近い SQL Server 言語がない場合は、レポート デザイナーとレポート定義の言語リソースは英語 (U.S.) になります。
レポートとデータの言語設定
次の表は、言語サポートの影響を受けるレポート定義の要素とデータ構造の一覧です。
要素またはデータ構造 |
言語サポート |
---|---|
レポート定義 (.rdl) |
既定では、レポート定義 (.rdl) ファイルは言語に関して柔軟であり、そのレポート定義を作成したコンピューターの言語には設定されません。.rdl ファイルの適切な項目の ReportLanguage プロパティまたは TextRunLanguage プロパティを設定して、ファイルの対象を特定の言語にすることができます。 |
レポートのデータ |
データは、元のデータ ソースからそのままの形で取得されます。Reporting Services では、レポート処理の間にデータの変換や翻訳は行われません。レポート データ ソースが日本語のデータベースであれば、レポートに表示されるデータは常に日本語になります。 同じデータベースの複数の言語バージョンがある場合は、ユーザーが実行時にデータ ソースを選択できるレポートを作成することができます。そのためには、使用できるデータ ソースの一覧を返す式をレポート内で定義する必要があります。詳細については、「データ ソースへの接続 (Reporting Services)」を参照してください。 |
レポートの名前と説明 |
レポート マネージャーに表示されるレポートの名前と説明は、常に、レポート定義が作成された言語で表示されます。ブラウザーの設定にもサーバーの言語にも影響されません。韓国語版のレポート デザイナーでレポートを作成した場合、パブリッシュされたレポートには韓国語の名前と説明が表示されます。 レポートの名前や説明を別の言語で表示する必要がある場合は、リンク レポートを作成して、そのリンク レポートの名前と説明を別の言語に変更することを検討してください。リンク レポートを作成する方法については、「リンク レポートを作成する方法」を参照してください。 |
日付、通貨、および数値の形式 |
レポート デザイナーでは、特定の言語で形式が決まっている値 (日付、通貨、数字など) を表示するためにレポートに言語を設定することができます。Language プロパティの有効な値は、Microsoft.NET Framework でサポートされている言語です。 Language プロパティは、レイアウト モードのレポートで設定します。これにより、日付、時刻、通貨、および数値の形式など、文字列以外のすべてのデータ値に対して使用される書式規則が決まります。 レポートを多言語環境に配置する場合に、データやレポート レイアウトの言語に合った書式設定が確実に適用されるようにするには、レポートで言語を設定することをお勧めします。 言語を設定しなかった場合、使用される形式はレポート サーバーの言語によって決まります。 現在使用されているブラウザーの設定に合わせてロケールとカルチャが動的に設定されるようにするには、Language プロパティを =User!Language という式に設定します。Language プロパティを式に設定する方法の詳細については、「式での組み込みコレクションの使用 (Reporting Services)」を参照してください。 |
レポート マネージャーおよびレポートへの URL アクセスに対するブラウザーの言語設定の影響
ブラウザーの言語設定は、レポート サーバーでそのクライアント接続に使用される言語リソースを決定する主な要因になります。たとえば、フランス語版 Internet Explorer で日本語版オペレーティング システムのレポート サーバーにアクセスするユーザーは、フランス語版のレポート マネージャー、HTML ビューアー、およびレポート サーバー フォルダーの名前空間により作業を行います。さらに、返されるエラー、警告、情報のメッセージはすべてフランス語です。
クライアントの言語設定の影響を受けるのは、ユーザー インターフェイスのコンポーネントのみです。表示および管理するレポートは、以前に設定された言語設定を維持します。多言語環境では、これらの要因が重なり合って、1 人のユーザーが見る同一のブラウザー ページに複数の言語が表示されます。たとえば、フランス語版のクライアントを使用して日本語のレポートにアクセスする場合、ユーザーの画面には、フランス語と日本語の文字が次のように表示されます。
レポート マネージャーとレポート ツール バーは、クライアント アプリケーションがフランス語なのでフランス語で表示されます。
レポートは、レポート定義が日本語であるため日本語で表示されます。レポートのレポート履歴スナップショット、パラメーター プロパティ、またはレポートに設定されているサブスクリプション プロパティも同様です。
ローカライズされないアイテム
ログ ファイル、AdventureWorks サンプル データベース、サンプル レポート、およびサンプル アプリケーションは多言語に対応していません。これらのアイテムは英語でのみ利用できます。
AdventureWorks サンプル データベースには、ローカライズされているコンテンツも含まれています。具体的には、製品の説明では英語以外の言語も使用できます。