次の方法で共有


UPDATE (Transact-SQL)

SQL Server 2008 のテーブルまたはビューの 1 つ以上の列にある既存のデータを変更します。

トピック リンク アイコンTransact-SQL 構文表記規則

構文

[ WITH common_table_expression [...n] ]
UPDATE 
    [ TOP (expression) [ PERCENT ] ] 
    { { table_alias | <object> | rowset_function_limited 
        [ WITH (table_hint_limited [ ...n ] ) ]
      }
      | @table_variable
    }
    SET
        { column_name= { expression | DEFAULT | NULL }
          | { udt_column_name.{ { property_name=expression
                                | field_name=expression }
                                | method_name(argument [ ,...n ] )
                              }
          }
          | column_name { .WRITE (expression,@Offset,@Length) }
          | @variable=expression
          | @variable=column=expression
          | column_name { += | -= | *= | /= | %= | &= | ^= | |= } expression
          | @variable { += | -= | *= | /= | %= | &= | ^= | |= } expression
          | @variable=column_name { += | -= | *= | /= | %= | &= | ^= | |= } expression
        } [ ,...n ] 

    [ OUTPUT clause ]
    [ FROM { table_source } [ ,...n ] ] 
    [ WHERE { search_condition 
            | { [ CURRENT OF 
                  { { [ GLOBAL ] cursor_name } 
                      | cursor_variable_name 
                  } 
                ]
              }
            } 
    ] 
    [ OPTION (query_hint [ ,...n ] ) ]
[ ; ]

<object> ::=
{ 
    [ server_name .database_name.schema_name. 
    | database_name .[ schema_name ] . 
    | schema_name.
    ]
    table_or_view_name
}

引数

  • WITH common_table_expression
    UPDATE ステートメントのスコープ内で定義された、一時的な名前付き結果セットまたはビュー (共通テーブル式 (CTE) とも呼ばれる) を指定します。 結果セットは SELECT ステートメントから派生し、UPDATE ステートメントで参照されます。 詳細については、「WITH common_table_expression (Transact-SQL)」を参照してください。

  • TOP ( expression) [ PERCENT ]
    更新する行の数または比率 (%) を指定します。expression には、行数または行の比率 (%) を指定できます。 INSERT、UPDATE、MERGE、または DELETE の TOP 式で参照される行は、任意の順序に並べられません。

    INSERT、UPDATE、MERGE、および DELETE の各ステートメントで TOP を使用する場合は、expression を区切るかっこが必要です。 詳細については、「TOP (Transact-SQL)」を参照してください。

  • table_alias
    FROM 句で指定される別名です。行を更新するテーブルまたはビューを表します。

  • server_name
    テーブルまたはビューが配置されているリンク サーバーの名前です。server_name は、リンク サーバー名として指定することも、OPENDATASOURCE 関数を使用して指定することもできます。

    server_name をリンク サーバーとして指定した場合は、database_name および schema_name も指定する必要があります。 server_name を OPENDATASOURCE で指定した場合は、database_name および schema_name がすべてのデータ ソースに適用されるとは限りません。これは、リモート オブジェクトにアクセスする OLE DB プロバイダーの機能に左右されます。 詳細については、「分散クエリ」を参照してください。

  • database_name
    データベースの名前です。

  • schema_name
    テーブルまたはビューが属するスキーマの名前です。

  • table_or view_name
    行を更新するテーブルまたはビューの名前です。

    table_or_view_name によって参照されるビューは更新可能であることが必要です。また、そのビュー定義の FROM 句ではベース テーブルを 1 つだけ参照している必要があります。 更新可能なビューの詳細については、「CREATE VIEW (Transact-SQL)」を参照してください。

  • rowset_function_limited
    OPENQUERY 関数または OPENROWSET 関数を指定します。 これらの関数の使用は、リモート オブジェクトにアクセスする OLE DB プロバイダーの機能により制限されます。 詳細については、「分散クエリ」を参照してください。

  • WITH (table_hint_limited)
    対象になるテーブルに設定可能な 1 つ以上のテーブル ヒントを指定します。 テーブル ヒントは UPDATE ステートメントの実行中、クエリ オプティマイザーの既定の動作を上書きします。 NOLOCK および READUNCOMMITTED は使用できません。 テーブル ヒントの詳細については、「テーブル ヒント (Transact-SQL)」を参照してください。

  • @table\_variable
    table 変数をテーブル ソースとして指定します。

  • SET
    更新する列名または変数名の一覧を指定します。

  • column_name
    変更するデータを含む列です。column_name は、table_or view_name 内に存在している必要があります。 ID 列は更新できません。

  • expression
    変数、リテラル値、式、または 1 つの値を返すかっこで囲んだサブセレクト ステートメントです。 expression で返される値は、column_name または @variable の既存の値を置き換えます。

    注意注意

    Unicode 文字データ型 nchar、nvarchar、および ntext を参照している場合は、"expression" の前に大文字の "N" を付ける必要があります。 "N" を指定しないと、SQL Server では、文字列はデータベースまたは列の既定の照合順序に対応するコード ページに変換されます。 文字列がこのコード ページにない場合は、失われます。 詳細については、「Unicode データの使用」を参照してください。

  • DEFAULT
    列に格納された値を列に定義された既定値で置き換えることを指定します。 列に既定値が定義されておらず、NULL 値が許されている場合は、この句を使用して列を NULL に変更できます。

  • { += | -= | *= | /= | %= | &= | ^= | |= }
    演算を実行し、元の値に演算の結果を設定するために使用する複合演算子です。

    +=    加算して代入

    -=    減算して代入

    *=    乗算して代入

    /=    除算して代入

    %=    剰余して代入

    &=    ビットごとの AND 演算を行って代入

    ^=    ビットごとの XOR 演算を行って代入

    |=    ビットごとの OR 演算を行って代入

    詳細については、「複合演算子 (Transact-SQL)」を参照してください。

  • udt_column_name
    ユーザー定義型の列です。

  • property_name | field_name
    ユーザー定義型のパブリック プロパティまたはパブリック データ メンバーです。 値を指定する式は、プロパティの型に暗黙的に変換できる必要があります。

    同一のユーザー定義型の列のプロパティを複数変更するには、複数の UPDATE ステートメントを実行するか、その型のミューテーター メソッドを呼び出します。

  • method_name( argument [ ,... n] )
    1 つ以上の引数を使用する udt_column_name の静的でないパブリック ミューテーター メソッドです。ミューテーター メソッドを Transact-SQL の NULL 値で呼び出した場合や、ミューテーター メソッドにより生成された新しい値が NULL である場合、エラーが返されます。

  • .WRITE (expression,@Offset, @Length)
    column_name の値のセクションを変更することを指定します。expression は、column_name の @Offset から始まる @Length 単位を置き換えます。 この句では、varchar(max)、nvarchar(max)、または varbinary(max) の列だけを指定できます。column_name では NULL 値は許容されません。また、テーブル名やテーブル別名で修飾することもできません。

    expression は、column_name にコピーされる値です。expression は、column_name 型に評価されるか、この型に暗黙的にキャストできる必要があります。 expression に NULL が設定されている場合、@Length は無視され、column_name 内の値は指定された @Offset で切り捨てられます。

    @Offset は、expression が書き込まれる、column_name 内の開始位置です。@Offset は、0 から始まる序数の位置であり、データ型は bigint で、負の数は指定できません。 @Offset が NULL の場合、更新操作により expression は既存の column_name 値の最後に追加され、@Length は無視されます。 @Offset が column_name 値の長さよりも大きい場合は、データベース エンジンによってエラーが返されます。 @Offset@Length の和が列の基になる値の終点を超える場合、値の最後の文字までが削除されます。 @Offset と LEN(expression) の和が宣言された基になるサイズを超える場合、エラーが発生します。

    @Length は、列内のセクションの長さです。このセクションは、@Offset から始まり、expression で置き換えられます。@Length は bigint 型であり、負の数は指定できません。 @Length が NULL の場合、更新操作により column_name の値の @Offset から最後までのすべてのデータが削除されます。

    詳細については、「大きな値のデータ型を更新する」を参照してください。

  • @variable
    expression で返される値を設定する、宣言された変数です。

    SET @variable = column = expression は、列と同じ値を変数に設定します。 一方、SET @variable = column, column = expression では、列の更新前の値を変数に設定します。

  • OUTPUT 句
    更新されたデータまたはそれに基づく式を、UPDATE 操作の一部として返します。 OUTPUT 句は、ローカル パーティション ビュー、分散パーティション ビュー、リモート テーブル、またはリモート ビューを対象とする DML ステートメントではサポートされていません。 詳細については、「OUTPUT 句 (Transact-SQL)」を参照してください。

  • FROM table_source
    別のテーブル、ビュー、または派生テーブルのソースを使用して更新操作の基になる値を提供することを指定します。 詳細については、「FROM (Transact-SQL)」を参照してください。

    更新対象のオブジェクトが FROM 句で指定されたオブジェクトと同じで、FROM 句にそのオブジェクトへの参照が 1 つしかない場合、オブジェクトの別名は指定しても指定しなくてもかまいません。 更新対象のオブジェクトが FROM 句に 2 つ以上含まれている場合、そのオブジェクトへの単独の参照でテーブルの別名を指定してはなりません。 FROM 句にあるオブジェクトへの他のすべての参照に、オブジェクトの別名を含める必要があります。

  • WHERE
    更新する行を制限する条件を指定します。 WHERE 句で使用される形式に基づいて、更新には 2 種類の形式があります。

    • 検索更新では、削除する行を識別する検索条件を指定します。

    • 位置指定更新では、CURRENT OF 句を使用してカーソルを指定します。 更新操作は、カーソルの現在位置で行われます。 WHERE CURRENT OF 句を使用する位置指定更新では、カーソルの現在位置にある 1 行を更新します。 位置指定更新は、WHERE <search_condition> 句を使用して更新する行を識別する検索更新よりも正確です。 検索更新は、検索条件が特定の行を識別しない場合に複数の行を変更します。

  • search_condition
    更新の対象となる行の条件を指定します。 検索条件を結合の基準条件にすることもできます。 検索条件に含まれる述語の数に制限はありません。 述語および検索条件の詳細については、「検索条件 (Transact-SQL)」を参照してください。

  • CURRENT OF
    指定したカーソルの現在位置で更新を行うことを指定します。

  • GLOBAL
    cursor_name でグローバル カーソルを参照することを指定します。

  • cursor_name
    フェッチが行われるオープン カーソルの名前です。 cursor_name という名前のグローバル カーソルとローカル カーソルの両方があるときに、GLOBAL が指定された場合、この引数はグローバル カーソルを参照します。それ以外の場合は、ローカル カーソルを参照します。 カーソルは、更新可能である必要があります。

  • cursor_variable_name
    カーソル変数の名前です。cursor_variable_name は、更新可能なカーソルを参照している必要があります。

  • OPTION (query_hint [ ,... n ] )
    オプティマイザー ヒントを使用して、データベース エンジンがステートメントを処理する方法をカスタマイズすることを指定します。 詳細については、「クエリ ヒント (Transact-SQL)」を参照してください。

ベスト プラクティス

影響を受ける古い値と新しい値を示すために、UPDATE ステートメントの中で変数名を使用することは可能です。ただし、これは UPDATE ステートメントによって影響を受けるのが単一のレコードである場合のみに限定されています。 UPDATE ステートメントで複数のレコードが影響を受ける場合は、OUTPUT 句を使用して各レコードの古い値と新しい値を返してください。

FROM 句を指定して更新操作の条件を設定するときは注意が必要です。 UPDATE ステートメントの FROM 句が、更新される各列で使用できる値を 1 つに限定していない場合 (UPDATE ステートメントが非決定的な場合)、UPDATE ステートメントの結果は未定義となります。 これにより、予期しない結果が生じる可能性があります。 たとえば、次のスクリプトの UPDATE ステートメントでは、Table1 のどちらの行も UPDATE ステートメントの FROM 句の条件を満たしています。ただし、Table1 のどちらの行を使用して Table2 の行を更新するかは未定義です。

USE AdventureWorks;
GO
IF OBJECT_ID ('dbo.Table1', 'U') IS NOT NULL
    DROP TABLE dbo.Table1;
GO
IF OBJECT_ID ('dbo.Table2', 'U') IS NOT NULL
    DROP TABLE dbo.Table2;
GO
CREATE TABLE dbo.Table1 
    (ColA int PRIMARY KEY NOT NULL, ColB decimal(10,3) NOT NULL);
GO
CREATE TABLE dbo.Table2 
    (ColA int PRIMARY KEY NOT NULL, ColB decimal(10,3) NOT NULL);
GO
INSERT INTO dbo.Table1 VALUES (1, 10.0), (1, 20.0);
INSERT INTO dbo.Table2 VALUES (1, 0.0);
;
GO

UPDATE dbo.Table2 
SET dbo.Table2.ColB = dbo.Table2.ColB + dbo.Table1.ColB
FROM dbo.Table2 
    INNER JOIN dbo.Table1 
    ON (dbo.Table2.ColA = dbo.Table1.ColA);
GO
SELECT ColA, ColB 
FROM dbo.Table2;

FROM 句と WHERE CURRENT OF 句を組み合わせた場合にも同じ問題が発生します。 次の例では、Table2 のどちらの行も UPDATE ステートメントの FROM 句の条件を満たします。 Table2 のどちらの列を使用してテーブル Table1 の行を更新するかは未定義です。

USE AdventureWorks;
GO
IF OBJECT_ID ('dbo.Table1', 'U') IS NOT NULL
    DROP TABLE dbo.Table1;
GO
IF OBJECT_ID ('dbo.Table2', 'U') IS NOT NULL
    DROP TABLE dbo.Table2;
GO
CREATE TABLE dbo.Table1
    (c1 int PRIMARY KEY NOT NULL, c2 int NOT NULL);
GO
CREATE TABLE dbo.Table2
    (d1 int PRIMARY KEY NOT NULL, d2 int NOT NULL);
GO
INSERT INTO dbo.Table1 VALUES (1, 10);
INSERT INTO dbo.Table2 VALUES (1, 20), (2, 30);
GO

DECLARE abc CURSOR LOCAL FOR
    SELECT c1, c2 
    FROM dbo.Table1;
OPEN abc;
FETCH abc;
UPDATE dbo.Table1 
SET c2 = c2 + d2 
FROM dbo.Table2 
WHERE CURRENT OF abc;
GO
SELECT c1, c2 FROM dbo.Table1;
GO

データ型

char 列と nchar 列は、すべて定義された長さになるまで右側に空白が埋め込まれます。

ANSI_PADDING を OFF に設定した場合、スペースだけの文字列を除いて、varchar 列および nvarchar 列に挿入したデータからは後続のスペースがすべて削除されます。 スペースだけで構成される文字列は空の文字列に切り捨てられます。 ANSI_PADDING を ON に設定すると、後続にスペースが挿入されます。 Microsoft SQL Server ODBC ドライバーおよび OLE DB Provider for SQL Server は、接続するたびに自動的に SET ANSI_PADDING を ON にします。 これは、ODBC データ ソースで構成するか、または接続属性やプロパティで設定することができます。 詳細については、「SET ANSI_PADDING (Transact-SQL)」を参照してください。

大きな値のデータ型を更新する

varchar(max)、nvarchar(max)、および varbinary(max) の各データ型を部分的または完全に更新するには、.WRITE (expression, @Offset,@Length) 句を使用します。 たとえば、varchar(max) 列の部分的な更新では、列の最初の 200 文字だけを削除または変更しますが、完全な更新では、列のすべてのデータを削除または変更します。

最高のパフォーマンスが得られるよう、8,040 バイトの倍数の単位でデータを挿入または更新することをお勧めします。

データベース エンジンでは、UPDATE ステートメントによって次のどちらかのアクションが行われる場合には、部分的な更新が完全な更新に変換されます。

  • パーティション ビューまたはパーティション テーブルのキー列が変更される場合

  • 複数の行が変更され、定数以外の値に対する一意でないクラスター化インデックスのキーも更新される場合

.WRITE 句を使用して NULL 列を更新したり column_name の値を NULL に設定することはできません。

@Offset および @Length は、varbinary 型および varchar 型の場合はバイト数、nvarchar 型の場合は文字数で指定します。 2 バイト文字セット (DBCS) の照合順序では、適切なオフセットが計算されます。

.WRITE 句で変更される列が OUTPUT 句で参照されている場合は、deleted.column_name の前イメージまたは inserted.column_name の後イメージのどちらかの列の完全な値が、テーブル変数内の指定された列に返されます。

他の文字型またはバイナリ データ型で .WRITE と同じ機能を実現するには、STUFF (Transact-SQL) を使用します。

FILESTREAM データの更新

UPDATE ステートメントを使用すると、FILESTREAM フィールドを NULL 値、空の値、または比較的少量のインライン データに更新できます。 ただし、大量のデータをファイルにストリーミングする場合は、Win32 インターフェイスを使用する方が効率的です。 FILESTREAM フィールドを更新すると、その基となるファイル システムの BLOB データが変更されます。 FILESTREAM フィールドを NULL に設定すると、フィールドに関連付けられている BLOB データが削除されます。 .WRITE() を使用して FILESTREAM データへの部分更新を実行することはできません。 詳細については、「FILESTREAM の概要」を参照してください。

text 型、ntext 型、および image 型の列を更新する

UPDATE で text、ntext、または image 型の列を変更する場合、NULL で列を更新しない限り、列が初期化され、有効なテキスト ポインターが割り当てられます。また、少なくとも 1 つのデータ ページが割り当てられます。 UPDATE ステートメントで、クラスター化キーと 1 つ以上の text、ntext、または image 列の両方の更新中に、複数の行を変更する場合は、これらの列に対する部分更新は、値の完全な置き換えとして実行されます。

text、ntext、または image 型のデータの大きな部分を置換または変更するには、UPDATE ステートメントではなく WRITETEXT または UPDATETEXT ステートメントを使用してください。

重要な注意事項重要

ntext、text、および image の各データ型は、MicrosoftSQL Server の将来のバージョンで削除される予定です。 新しい開発作業ではこれらのデータ型の使用を避け、現在このデータ型を使用しているアプリケーションは変更を検討してください。 代わりに、nvarchar(max)varchar(max)varbinary(max) を使用してください。 詳細については、「大きな値のデータ型の使用」を参照してください。

エラー処理

TRY…CATCH 構造でステートメントを指定することで、UPDATE ステートメントのエラー処理を実装できます。 詳細については、「Transact-SQL での TRY...CATCH の使用」を参照してください。

行の更新が制約やルールに違反する場合や、列の NULL 値の設定に違反する場合、または新しい値が互換性のないデータ型の場合には、ステートメントは取り消され、エラーが返されます。レコードは更新されません。

式の評価時に UPDATE ステートメントが算術エラー (オーバーフロー、0 による除算、ドメイン エラー) を検出した場合、更新は行われません。 バッチの残りの部分は実行されず、エラー メッセージが返されます。

クラスター化インデックスに関係する列を更新した結果、クラスター化インデックスと行のサイズが 8,060 バイトを超える場合、更新は失敗し、エラー メッセージが返されます。

相互運用性

UPDATE ステートメントをユーザー定義関数の本文で使用できるのは、変更対象のテーブルがテーブル変数の場合だけです。

INSTEAD OF トリガーが、テーブルに対する UPDATE 操作で定義されている場合は、UPDATE ステートメントの代わりにそのトリガーが実行されます。 以前のバージョンの SQL Server では、UPDATE およびその他のデータ変更ステートメントでサポートされているのは AFTER トリガーのみです。

制限事項と制約事項

FROM 句は、INSTEAD OF トリガーが定義されているビューを直接または間接的に参照する UPDATE ステートメントでは指定できません。 INSTEAD OF トリガーの詳細については、「CREATE TRIGGER (Transact-SQL)」を参照してください。

リモート テーブル、およびローカルおよびリモート パーティション ビューに対する UPDATE ステートメントの場合、SET ROWCOUNT オプションの設定は無視されます。 SQL Server の次のリリースでは、SET ROWCOUNT を使用しても UPDATE ステートメントには反映されなくなります。 新しい開発作業では UPDATE ステートメントで SET ROWCOUNT を使用するのを避け、現在 SET ROWCOUNT を使用しているアプリケーションは TOP 構文を使用するように変更してください。

共通テーブル式 (CTE) が UPDATE ステートメントの対象である場合、ステートメント内の CTE に対するすべての参照を一致させる必要があります。 たとえば、FROM 句で CTE に別名を割り当てた場合、CTE に対するすべての参照で別名を使用する必要があります。 CTE はオブジェクト ID を持たないため、CTE の参照は明確にする必要があります。SQL Server では、オブジェクト ID を使用して、オブジェクトと別名の暗黙的なリレーションシップを識別します。 このリレーションシップがない場合、クエリ プランで予期しない結合動作やクエリ結果が生成される可能性があります。 次の例では、更新操作の対象オブジェクトとして CTE を指定するときの、適切な方法と不適切な方法を示します。

USE tempdb;
GO
-- UPDATE statement with CTE references that are correctly matched.
DECLARE @x TABLE (ID int, Value int);
DECLARE @y TABLE (ID int, Value int);
INSERT @x VALUES (1, 10), (2, 20);
INSERT @y VALUES (1, 100),(2, 200);

WITH cte AS (SELECT * FROM @x)
UPDATE x -- cte is referenced by the alias.
SET Value = y.Value
FROM cte AS x  -- cte is assigned an alias.
INNER JOIN @y AS y ON y.ID = x.ID;
SELECT * FROM @x;
GO

以下に結果セットを示します。

ID     Value

------ -----

1      100

2      200

(2 row(s) affected)

-- UPDATE statement with CTE references that are incorrectly matched.
USE tempdb;
GO
DECLARE @x TABLE (ID int, Value int);
DECLARE @y TABLE (ID int, Value int);
INSERT @x VALUES (1, 10), (2, 20);
INSERT @y VALUES (1, 100),(2, 200);

WITH cte AS (SELECT * FROM @x)
UPDATE cte   -- cte is not referenced by the alias.
SET Value = y.Value
FROM cte AS x  -- cte is assigned an alias.
INNER JOIN @y AS y ON y.ID = x.ID; 
SELECT * FROM @x; 
GO

以下に結果セットを示します。

ID     Value

------ -----

1      100

2      100

(2 row(s) affected)

ログ記録の動作

UPDATE ステートメントではすべてのログが記録されますが、データベースの復旧モデルに一括ログ復旧モデルまたは単純復旧モデルが設定されている場合、.WRITE 更新で新しいデータを挿入または追加する際には、最小限のログしか記録されません。 .WRITE を使用して既存の値を更新するときには、最小ログ記録は使用されません。 詳細については、「最小ログ記録が可能な操作」を参照してください。

セキュリティ

権限

対象のテーブルに対する UPDATE 権限が必要です。 UPDATE ステートメントで WHERE 句を指定する場合や、SET 句の expression でテーブル内の列を使用する場合は、SELECT 権限も必要です。

UPDATE 権限は、既定では sysadmin 固定サーバー ロール、db_owner および db_datawriter 固定データベース ロールのメンバー、およびテーブル所有者に与えられています。 sysadmin、db_owner、および db_securityadmin ロールのメンバー、およびテーブル所有者は、他のユーザーに権限を譲渡できます。

カテゴリ

主な構文要素

基本構文

UPDATE

更新する行を制限する

WHERE • TOP • WITH 共通テーブル式 • WHERE CURRENT OF

列の値を設定する

計算値 • 複合演算子 • 既定値 • サブクエリ

標準的なテーブル以外の対象オブジェクトを指定する

ビュー • テーブル変数 • テーブル別名

他のテーブルのデータに基づいてデータを更新する

FROM

リモート テーブルの行を更新する

リンク サーバー • OPENQUERY • OPENDATASOURCE

ラージ オブジェクト データ型を更新する

.WRITE • OPENROWSET

ユーザー定義型を更新する

ユーザー定義型

ヒントを使用してクエリ オプティマイザーの既定の動作をオーバーライドする

テーブル ヒント • クエリ ヒント

UPDATE ステートメントの結果をキャプチャする

OUTPUT 句

他のステートメントで UPDATE を使用する

ストアド プロシージャ • TRY…CATCH

基本構文

このセクションの例では、最低限必要な構文を使用して UPDATE ステートメントの基本機能を示します。

A. 単純な UPDATE ステートメントを使用する

次の例では、Person.Address テーブルのすべての行の単一の列を更新します。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Person.Address
SET ModifiedDate = GETDATE();

B. 複数の列を更新する

次の例では、SalesPerson テーブルのすべての行の Bonus 列、CommissionPct 列、および SalesQuota 列の値を更新します。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Sales.SalesPerson
SET Bonus = 6000, CommissionPct = .10, SalesQuota = NULL;
GO

更新する行を制限する

このセクションの例では、UPDATE ステートメントの影響を受ける行の数を制限するために使用できる方法を示します。

A. WHERE 句を使用する

次の例では、WHERE 句を使用して更新する行を指定します。 このステートメントは、Color 列に "Red" の既存の値があり、Name 列に "Road-250" で始まる値があるすべての行に対して Production.Product テーブルの Color 列の値を更新します。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Production.Product
SET Color = N'Metallic Red'
WHERE Name LIKE N'Road-250%' AND Color = N'Red';
GO

B. TOP 句を使用する

次の例では、TOP 句を使用して UPDATE ステートメントで変更される行の数を制限できます。 UPDATE ステートメントで TOP (n) 句を使用した場合、ランダムに選択される n 行に対して更新操作が実行されます。 次の例では、Employee テーブル内のランダムな 10 個の行について、VacationHours 列を 25% 増しに更新します。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE TOP (10) HumanResources.Employee
SET VacationHours = VacationHours * 1.25 ;
GO

TOP を使用して、意味のある日時順に更新を適用する必要がある場合は、サブセレクト ステートメントに ORDER BY を含めて TOP を使用する必要があります。 次の例では、採用日の古い従業員上位 10 人の休暇時間を更新します。

UPDATE HumanResources.Employee
SET VacationHours = VacationHours + 8
FROM (SELECT TOP 10 EmployeeID FROM HumanResources.Employee
     ORDER BY HireDate ASC) AS th
WHERE HumanResources.Employee.EmployeeID = th.EmployeeID;
GO

C. WITH common_table_expression 句を使用する

次の例は、ManagerID12 に直接または間接的にレポートする従業員すべての VacationHours の値を 25% 増しに更新します。 共通テーブル式は、ManagerID12 に直接レポートする従業員、その従業員に報告する従業員というように、従業員の階層リストを返します。 共通テーブル式が返した行のみが変更されます。 再帰共通テーブル式の詳細については、「共通テーブル式を使用する再帰クエリ」を参照してください。

USE AdventureWorks;
GO
WITH DirectReports(EmployeeID, NewVacationHours, EmployeeLevel)
AS
(SELECT e.EmployeeID, e.VacationHours, 1
  FROM HumanResources.Employee AS e
  WHERE e.ManagerID = 12
  UNION ALL
  SELECT e.EmployeeID, e.VacationHours, EmployeeLevel + 1
  FROM HumanResources.Employee as e
  JOIN DirectReports AS d ON e.ManagerID = d.EmployeeID
)
UPDATE HumanResources.Employee
SET VacationHours = VacationHours * 1.25
FROM HumanResources.Employee AS e
JOIN DirectReports AS d ON e.EmployeeID = d.EmployeeID;
GO

D. WHERE CURRENT OF 句を使用する

次の例では WHERE CURRENT OF 句を使用して、カーソルが配置されている行のみを更新します。 テーブルを結合して作成されたカーソルの場合は、UPDATE ステートメントで指定した table_name のみが変更されます。 この場合、カーソルに関連する他のテーブルには影響ありません。

USE AdventureWorks;
GO
DECLARE complex_cursor CURSOR FOR
    SELECT a.EmployeeID
    FROM HumanResources.EmployeePayHistory AS a
    WHERE RateChangeDate <> 
         (SELECT MAX(RateChangeDate)
          FROM HumanResources.EmployeePayHistory AS b
          WHERE a.EmployeeID = b.EmployeeID) ;
OPEN complex_cursor;
FETCH FROM complex_cursor;
UPDATE HumanResources.EmployeePayHistory
SET PayFrequency = 2 
WHERE CURRENT OF complex_cursor;
CLOSE complex_cursor;
DEALLOCATE complex_cursor;
GO

列の値を設定する

このセクションの例では、計算値、サブクエリ、および DEFAULT 値を使用した列の更新を示します。

A. 計算値を指定する

次の例では、UPDATE ステートメント内で計算値を使用します。 この例では、Product テーブルのすべての行の ListPrice 列の値を倍にします。

USE AdventureWorks ;
GO
UPDATE Production.Product
SET ListPrice = ListPrice * 2;
GO

B. 複合演算子を指定する

次の例では、変数 @NewPrice を使用し、赤い自転車の現在の価格を取得して 10 を追加することで、すべての赤い自転車の価格を増加させます。

USE AdventureWorks;
GO
DECLARE @NewPrice int = 10;
UPDATE Production.Product
SET ListPrice += @NewPrice
WHERE Color = N'Red';
GO

次の例では複合演算子 += を使用して、10 ~ 12 の ScrapReasonID を含む行の列 Name の既存の値にデータ ' - tool malfunction' を追加します。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Production.ScrapReason 
SET Name += ' - tool malfunction'
WHERE ScrapReasonID BETWEEN 10 and 12;

C. SET 句にサブクエリを指定する

次の例では SET 句でサブクエリを使用して、列の更新に使用する値を決定します。 サブクエリが返すことのできる値はスカラー値 (1 行あたり 1 つの値) のみです。 この例では、SalesOrderHeader テーブルの最新の売上高を反映するように SalesPerson テーブルの SalesYTD 列を変更します。 サブクエリにより、UPDATE ステートメント内で各販売員の売上高が集計されます。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Sales.SalesPerson
SET SalesYTD = SalesYTD + 
    (SELECT SUM(so.SubTotal) 
     FROM Sales.SalesOrderHeader AS so
     WHERE so.OrderDate = (SELECT MAX(OrderDate)
                           FROM Sales.SalesOrderHeader AS so2
                           WHERE so2.SalesPersonID = 
                                 so.SalesPersonID)
     AND Sales.SalesPerson.SalesPersonID = so.SalesPersonID
     GROUP BY so.SalesPersonID);
GO

D. DEFAULT 値を使用して行を更新する

次の例では、20.00 を超える CostRate 値を含むすべての行の CostRate 列をその既定値 (0.00) に設定します。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Production.Location
SET CostRate = DEFAULT
WHERE CostRate > 20.00;

標準的なテーブル以外の対象オブジェクトを指定する

このセクションの例では、ビュー、テーブルの別名、またはテーブル変数を指定して行を更新する方法を示します。

A. ビューを対象になるオブジェクトとして指定する

次の例では、ビューを対象になるオブジェクトとして指定してテーブルの行を更新します。 ビューの定義は複数のテーブルを参照しますが、UPDATE ステートメントは基になるテーブルのうちの 1 つのみの列を参照するので成功します。 UPDATE ステートメントは、両方のテーブルの列が指定された場合、失敗します。 詳細については、「ビューを使用したデータ変更」を参照してください。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Person.vStateProvinceCountryRegion
SET CountryRegionName = 'United States of America'
WHERE CountryRegionName = 'United States';

B. テーブルの別名を対象になるオブジェクトとして指定する

次の例では、テーブル Production.ScrapReason の行を更新します。 FROM 句で ScrapReason に割り当てられているテーブルの別名は、UPDATE 句で対象になるオブジェクトとして指定されています。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE sr
SET sr.Name += ' - tool malfunction'
FROM Production.ScrapReason AS sr
JOIN Production.WorkOrder AS wo 
     ON sr.ScrapReasonID = wo.ScrapReasonID
     AND wo.ScrappedQty > 300;

C. テーブル変数を対象になるオブジェクトとして指定する

次の例では、テーブル変数内の行を更新します。

USE AdventureWorks;
GO
-- Create the table variable.
DECLARE @MyTableVar table(
    EmpID int NOT NULL,
    NewVacationHours int,
    ModifiedDate datetime);

-- Populate the table variable with employee ID values from HumanResources.Employee.
INSERT INTO @MyTableVar (EmpID)
    SELECT EmployeeID FROM HumanResources.Employee;

-- Update columns in the table variable.
UPDATE @MyTableVar
SET NewVacationHours = e.VacationHours + 20,
    ModifiedDate = GETDATE()
FROM HumanResources.Employee AS e 
WHERE e.EmployeeID = EmpID;

-- Display the results of the UPDATE statement.
SELECT EmpID, NewVacationHours, ModifiedDate FROM @MyTableVar
ORDER BY EmpID;
GO

他のテーブルのデータに基づいてデータを更新する

このセクションの例では、あるテーブルの行を別のテーブルの情報に基づいて更新する方法を示します。

A. 別のテーブルの情報を使用して UPDATE ステートメントを実行する

次の例では、SalesOrderHeader テーブルの最新の売上高を反映するように SalesPerson テーブルの SalesYTD 列を変更します。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Sales.SalesPerson
SET SalesYTD = SalesYTD + SubTotal
FROM Sales.SalesPerson AS sp
JOIN Sales.SalesOrderHeader AS so
    ON sp.SalesPersonID = so.SalesPersonID
    AND so.OrderDate = (SELECT MAX(OrderDate)
                        FROM Sales.SalesOrderHeader 
                        WHERE SalesPersonID = 
                              sp.SalesPersonID);
GO

前の例では、特定の日付の指定された営業部員の売り上げは 1 つのみ記録され、更新が最新であるということを前提にしています。 指定された営業部員に対し、同じ日に 2 つ以上の売り上げが記録される場合は、前の例は正しく動作しません。 この場合、エラーなしで実行されますが、実際に同じ日に登録された売り上げ件数に関係なく、1 つの売り上げのみを使用して SalesYTD の値が更新されます。 これは、1 つの UPDATE ステートメントで同じ行を 2 回更新しないためです。

同じ日に、指定した販売員の売り上げが複数記録されるような場合は、次の例のように、UPDATE ステートメントの中で各販売員ごとにすべての売り上げを集計する必要があります。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Sales.SalesPerson
SET SalesYTD = SalesYTD + 
    (SELECT SUM(so.SubTotal) 
     FROM Sales.SalesOrderHeader AS so
     WHERE so.OrderDate = (SELECT MAX(OrderDate)
                           FROM Sales.SalesOrderHeader AS so2
                           WHERE so2.SalesPersonID = 
                                 so.SalesPersonID)
     AND Sales.SalesPerson.SalesPersonID = so.SalesPersonID
     GROUP BY so.SalesPersonID);
GO

リモート テーブルの行を更新する

このセクションの例では、リンク サーバーまたは行セット関数を使用してリモート テーブルを参照することで、対象になるリモート テーブルの行を更新方法を示します。

A. リンク サーバーを使用してリモート テーブルのデータを更新する

次の例では、リモート サーバーのテーブルを更新します。 sp_addlinkedserver を使用してリモート データ ソースへのリンクを作成した後、 server.catalog.schema.object という形式の 4 部構成のオブジェクト名の一部として、リンク サーバー名 MyLinkServer を指定します。 @datasrc の有効なサーバー名を指定する必要があることに注意してください。

USE master;
GO
-- Create a link to the remote data source. 
-- Specify a valid server name for @datasrc as 'server_name' or 'server_name\instance_name'.

EXEC sp_addlinkedserver @server = N'MyLinkServer',
    @srvproduct = N' ',
    @provider = N'SQLNCLI10', 
    @datasrc = N'<server name>',
    @catalog = N'AdventureWorks';
GO
USE AdventureWorks;
GO
-- Specify the remote data source using a four-part name 
-- in the form linked_server.catalog.schema.object.

UPDATE MyLinkServer.AdventureWorks.HumanResources.Department
SET GroupName = N'Public Relations'
WHERE DepartmentID = 4;

B. OPENQUERY 関数を使用してリモート テーブルのデータを更新する

次の例では、OPENQUERY 行セット関数を指定してリモート テーブルの行を更新します。 この例では、前の例で作成したリンク サーバー名を使用します。

UPDATE OPENQUERY (MyLinkServer, 'SELECT GroupName FROM HumanResources.Department WHERE DepartmentID = 4') 
SET GroupName = 'Sales and Marketing';

C. OPENDATASOURCE 関数を使用してリモート テーブルのデータを更新する

次の例では、OPENDATASOURCE 行セット関数を指定してリモート テーブルに行を挿入します。 server_name または server_name\instance_name の形式で、データ ソースの有効なサーバー名を指定します。 Ad Hoc Distributed Queries に対して SQL Server のインスタンスを構成する必要が生じる場合があります。 詳細については、「Ad Hoc Distributed Queries オプション」を参照してください。

UPDATE OPENQUERY (MyLinkServer, 'SELECT GroupName FROM HumanResources.Department WHERE DepartmentID = 4') 
SET GroupName = 'Sales and Marketing';

ラージ オブジェクト データ型を更新する

このセクションの例では、ラージ オブジェクト (LOB) データ型を使用して定義されている列の値を更新する方法を示します。

A. UPDATE を .WRITE と共に使用して、nvarchar(max) 列のデータを変更する

次の例では、.WRITE 句を使用して、Production.Document テーブルの nvarchar(max) 型の DocumentSummary 列の値を部分的に更新します。 置換する語、既存データ内で置換される語の開始位置 (オフセット)、置換する文字数 (長さ) を指定することにより、components という語が、features という語で置換されます。 またこの例では、OUTPUT 句を使用して、DocumentSummary 列の前イメージと後イメージを @MyTableVar テーブル変数に返します。

USE AdventureWorks;
GO
DECLARE @MyTableVar table (
    DocumentID int NOT NULL,
    SummaryBefore nvarchar(max),
    SummaryAfter nvarchar(max));
UPDATE Production.Document
SET DocumentSummary .WRITE (N'features',28,10)
OUTPUT inserted.DocumentID,
       deleted.DocumentSummary, 
       inserted.DocumentSummary 
    INTO @MyTableVar
WHERE DocumentID = 3 ;
SELECT DocumentID, SummaryBefore, SummaryAfter 
FROM @MyTableVar;
GO

B. UPDATE を .WRITE と共に使用し、nvarchar(max) 列のデータを追加および削除する

次の例は、現在値に NULL が設定されている nvarchar(max) 列のデータを追加および削除します。 .WRITE 句を使用して NULL 列を変更することはできないため、まず列に一時的なデータを設定します。 次に .WRITE 句を使用して、このデータを正しいデータで置換します。 その後の例では、列の値の最後にデータを追加し、列からデータを削除 (切り捨て) し、最後に列から部分的なデータを削除します。 SELECT ステートメントは、各 UPDATE ステートメントで生成されたデータ変更を表示します。

USE AdventureWorks;
GO
-- Replacing NULL value with temporary data.
UPDATE Production.Document
SET DocumentSummary = N'Replacing NULL value'
WHERE DocumentID = 1;
GO

SELECT DocumentSummary 
FROM Production.Document
WHERE DocumentID = 1;
GO
-- Replacing temporary data with the correct data. Setting @Length to NULL 
-- truncates all existing data from the @Offset position.
UPDATE Production.Document
SET DocumentSummary .WRITE(N'Carefully inspect and maintain the tires and crank arms.',0,NULL)
WHERE DocumentID = 1;
GO

SELECT DocumentSummary 
FROM Production.Document
WHERE DocumentID = 1;
GO

-- Appending additional data to the end of the column by setting 
-- @Offset to NULL.
UPDATE Production.Document
SET DocumentSummary .WRITE (N' Appending data to the end of the column.', NULL, 0)
WHERE DocumentID = 1;
GO

SELECT DocumentSummary 
FROM Production.Document
WHERE DocumentID = 1;
GO

-- Removing all data from @Offset to the end of the existing value by 
-- setting expression to NULL. 
UPDATE Production.Document
SET DocumentSummary .WRITE (NULL, 56, 0)
WHERE DocumentID = 1;
GO

SELECT DocumentSummary 
FROM Production.Document
WHERE DocumentID = 1;
GO

-- Removing partial data beginning at position 9 and ending at 
-- position 21.
UPDATE Production.Document
SET DocumentSummary .WRITE ('',9, 12)
WHERE DocumentID = 1;
GO

SELECT DocumentSummary 
FROM Production.Document
WHERE DocumentID = 1;
GO

C. UPDATE を OPENROWSET と共に使用し、varbinary(max) 列を変更する

次の例では、varbinary(max) 列に格納されている既存のイメージを、新しいイメージで置換します。 OPENROWSET 関数を BULK オプションと共に使用し、列にイメージを読み込みます。 この例では、Tires.jpg という名前のファイルが指定されたファイル パスに存在することを前提としています。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Production.ProductPhoto
SET ThumbNailPhoto = (
    SELECT *
    FROM OPENROWSET(BULK 'c:\Tires.jpg', SINGLE_BLOB) AS x )
WHERE ProductPhotoID = 1;
GO

D. UPDATE を使用して FILESTREAM データを変更する

次の例では、UPDATE ステートメントを使用してファイル システム ファイルのデータを変更します。 この方法を使用してファイルに対して大量のデータのストリーミングを行うことはお勧めできません。 適切な Win32 インターフェイスを使用してください。 ファイル レコード内の任意のテキストを、Xray 1 というテキストに置換する例を次に示します。 詳細については、「FILESTREAM の概要」を参照してください。

UPDATE Archive.dbo.Records
SET [Chart] = CAST('Xray 1' as varbinary(max))
WHERE [SerialNumber] = 2;

ユーザー定義型を更新する

次の例では、CLR ユーザー定義型 (UDT) の列の値を変更します。 ここでは 3 種類の方法を示します。 ユーザー定義列の詳細については、「CLR ユーザー定義型」を参照してください。

A. システム データ型を使用する

ユーザー定義型がその型からの暗黙的または明示的な変換をサポートしている場合は、SQL Server システムデータ型に値を指定することで、UDT を更新できます。 次の例は、文字列からの明示的な変換によって、ユーザー定義型 Point の列の値を更新する方法を示します。

UPDATE dbo.Cities
SET Location = CONVERT(Point, '12.3:46.2')
WHERE Name = 'Anchorage';

B. メソッドを呼び出す

mutator のマークが付いている、ユーザー定義型のメソッドを呼び出すことで、UDT を更新できます。 次の例では、Point 型の SetXY というミューテーター メソッドを呼び出します。 これにより、その型のインスタンスの状態が更新されます。

UPDATE dbo.Cities
SET Location.SetXY(23.5, 23.5)
WHERE Name = 'Anchorage';

C. プロパティまたはデータ メンバーの値を変更する

ユーザー定義型の登録済みプロパティまたはパブリック データ メンバーの値を変更することで、UDT を更新できます。 値を指定する式は、プロパティの型に暗黙的に変換できる必要があります。 次の例では、ユーザー定義型 Point のプロパティ X の値を変更します。

UPDATE dbo.Cities
SET Location.X = 23.5
WHERE Name = 'Anchorage';

ヒントを使用してクエリ オプティマイザーの既定の動作をオーバーライドする

このセクションの例では、テーブル ヒントとクエリ ヒントを使用して、UPDATE ステートメントを処理する際のクエリ オプティマイザーの既定の動作を一時的に無効にする方法を示します。

注記注意

通常、SQL Server クエリ オプティマイザーでは、クエリの最適な実行プランが選択されるため、ヒントは、経験を積んだ開発者やデータベース管理者が最後の手段としてのみ使用することをお勧めします。

A. テーブル ヒントを指定する

次の例では、テーブル ヒント TABLOCK を指定します。 このヒントは、テーブル Production.Product に対して共有ロックを使用することと、このロックを UPDATE ステートメントの終了まで保持することを指定します。

USE AdventureWorks;
GO
UPDATE Production.Product
WITH (TABLOCK)
SET ListPrice = ListPrice * 1.10
WHERE ProductNumber LIKE 'BK-%';
GO

B. クエリ ヒントを指定する

次の例では、UPDATE ステートメントで クエリ ヒントOPTIMIZE FOR (@variable) を指定します。 このヒントは、クエリをコンパイルおよび最適化するときにローカル変数に対して特定の値を使用するように、クエリ オプティマイザーに指示します。 この値はクエリを最適化する過程でのみ使用され、クエリの実行時には使用されません。

USE AdventureWorks;
GO
CREATE PROCEDURE Production.uspProductUpdate
@Product nvarchar(25)
AS
SET NOCOUNT ON;
UPDATE Production.Product
SET ListPrice = ListPrice * 1.10
WHERE ProductNumber LIKE @Product
OPTION (OPTIMIZE FOR (@Product = 'BK-%') );
GO
-- Execute the stored procedure 
EXEC Production.uspProductUpdate 'BK-%';

UPDATE ステートメントの結果をキャプチャする

このセクションの例では、OUTPUT 句を使用して、UPDATE ステートメントの影響を受ける各行の情報やこれらの行に基づく式を返す方法を示します。 これらの結果は、確認メッセージ、アーカイブ化、その他のアプリケーション要件で使用するために、処理アプリケーションに返すことができます。

A. UPDATE ステートメントを OUTPUT 句と共に使用する

次の例では、Employee テーブルの最初の 10 行の列 VacationHours を 25% 増しに更新し、列 ModifiedDate の値を現在の日付に設定します。 OUTPUT 句は、UPDATE を適用する前の deleted.VacationHours 列の VacationHours の値と、inserted.VacationHours 列の更新後の値を @MyTableVar テーブル変数に返します。

後続の 2 つの SELECT ステートメントは、@MyTableVar 内の値と、Employee テーブルでの更新操作の結果を返します。 OUTPUT 句を使用した例については、「OUTPUT 句 (Transact-SQL)」を参照してください。

USE AdventureWorks;
GO
DECLARE @MyTableVar table(
    EmpID int NOT NULL,
    OldVacationHours int,
    NewVacationHours int,
    ModifiedDate datetime);
UPDATE TOP (10) HumanResources.Employee
SET VacationHours = VacationHours * 1.25,
    ModifiedDate = GETDATE() 
OUTPUT inserted.EmployeeID,
       deleted.VacationHours,
       inserted.VacationHours,
       inserted.ModifiedDate
INTO @MyTableVar;

--Display the result set of the table variable.
SELECT EmpID, OldVacationHours, NewVacationHours, ModifiedDate
FROM @MyTableVar;
GO

--Display the result set of the table.
SELECT TOP (10) EmployeeID, VacationHours, ModifiedDate
FROM HumanResources.Employee;
GO

他のステートメントで UPDATE を使用する

このセクションの例では、他のステートメントで UPDATE を使用する方法を示します。

A. UPDATE をストアド プロシージャで使用する

次の例では、UPDATE ステートメントをストアド プロシージャで使用しています。 プロシージャは 1 つの入力パラメーター @NewHours と 1 つの出力パラメーター @RowCount を受け取ります。 @NewHours パラメーター値を UPDATE ステートメントで使用して、HumanResources.Employee テーブルの VacationHours 列を更新します。 @RowCount 出力パラメーターは、影響を受けた行数をローカル変数に返すために使用されます。 VacationHours に設定する値は、SET 句で CASE 式を使用して条件に応じて決定しています。 従業員が時給 (SalariedFlag = 0) の場合、VacationHours は @NewHours で指定された値に現在の時間数を加算した値に設定されます。それ以外の場合は、VacationHours は @NewHours で指定された値に設定されます。

USE AdventureWorks;
GO
CREATE PROCEDURE HumanResources.Update_VacationHours
@NewHours smallint,
@RowCount int OUTPUT
AS 
SET NOCOUNT ON;
UPDATE HumanResources.Employee
SET VacationHours = 
    ( CASE
         WHEN SalariedFlag = 0 THEN VacationHours + @NewHours
         ELSE @NewHours
       END
    )
WHERE CurrentFlag = 1;
SET @RowCount = @@ROWCOUNT;
GO

-- Execute the stored procedure and return the number of rows updated to the variable @RowCount
DECLARE @RowCount int;
EXECUTE HumanResources.Update_VacationHours 40, @RowCount OUTPUT;
SELECT @RowCount AS RowCount;

B. UPDATE を TRY…CATCH ブロックで使用する

次の例では、TRY…CATCH ブロックで UPDATE ステートメントを使用して、更新操作中に発生する場合のある実行エラーを処理します。 詳細については、「Transact-SQL での TRY...CATCH の使用」を参照してください。

USE AdventureWorks;
GO
BEGIN TRANSACTION;

BEGIN TRY
    -- Intentionally generate a constraint violation error.
    UPDATE HumanResources.Department
    SET Name = N'MyNewName'
    WHERE DepartmentID BETWEEN 1 AND 2;
END TRY
BEGIN CATCH
    SELECT 
        ERROR_NUMBER() AS ErrorNumber
        ,ERROR_SEVERITY() AS ErrorSeverity
        ,ERROR_STATE() AS ErrorState
        ,ERROR_PROCEDURE() AS ErrorProcedure
        ,ERROR_LINE() AS ErrorLine
        ,ERROR_MESSAGE() AS ErrorMessage;

    IF @@TRANCOUNT > 0
        ROLLBACK TRANSACTION;
END CATCH;

IF @@TRANCOUNT > 0
    COMMIT TRANSACTION;
GO

変更履歴

変更内容

更新する対象となるテーブルを指定する方法として、table_alias を構文に追加しました。

UPDATE ステートメントの対象としての共通テーブル式の使用について、「制限事項と制約事項」の情報を追加しました。