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SharePoint 2013 と SQL Server 2012 SP1 による PowerPivot のデータ更新 (Analysis Services)

SharePoint Server 2013 の Excel Services では、PowerPivot データ モデルのデータ更新に新しいアーキテクチャを使用しています。 この新しいアーキテクチャでは、主要なコンポーネントとして Excel Services を使用して、SharePoint モードで実行されている SQL Server 2012 Service Pack 1 (SP1)Analysis Services のインスタンスでデータ モデルを読み込んで更新します。 Analysis Services サーバーは、SharePoint ファームの外部で実行されます。

以前に使用されていたデータ更新のアーキテクチャは、PowerPivot System サービスのみを使用して、SharePoint モードの Analysis Services インスタンスでデータ モデルを読み込んで更新していました。 Analysis Services インスタンスは、PowerPivot アプリケーション サーバーでローカルに実行されていました。 新しいアーキテクチャには、ドキュメント ライブラリのブック アイテムのメタデータとしてスケジュール情報を管理する新しい方法も導入されています。

SharePoint 2013 の Excel Services の新しいアーキテクチャでは、対話型のデータ更新定期データ更新の両方がサポートされています。

このトピックの内容

  • 対話型のデータ更新

  • ブックのデータ接続と対話型のデータ更新による Windows 認証

  • 定期データ更新

  • SharePoint 2013 の更新のアーキテクチャ

  • 認証に関するその他の注意点

  • 詳細情報

背景情報

SharePoint Server 2013 の Excel Services は、Excel 2013 ブックのデータ更新を管理し、SharePoint モードで実行されている SQL Server 2012 SP1  Analysis Services サーバーでデータ モデル処理をトリガーします。 Excel 2010 ブックの場合、Excel Services はブックおよびデータ モデルの読み込みと保存も管理します。 ただし、Excel Services は PowerPivot System サービスを使用して処理コマンドをデータ モデルに送信します。 次の表は、データ更新の処理コマンドを送信するコンポーネントをブックのバージョンごとにまとめたものです。 想定した環境は、SharePoint モードで実行されている SQL Server 2012 SP1 分析サーバーを使用するように構成された SharePoint 2013 ファームです。

Excel 2013 ブック

Excel 2010 ブック

データ更新をトリガーする

インタラクティブ: Authenticated User

定期: PowerPivot System サービス

PowerPivot System サービス

コンテンツ データベースからブックを読み込む

SharePoint 2013 の Excel Services

SharePoint 2013 の Excel Services

Analysis Services インスタンスでデータ モデルを読み込む

SharePoint 2013 の Excel Services

SharePoint 2013 の Excel Services

Analysis Services インスタンスに処理コマンドを送信する

SharePoint 2013 の Excel Services

PowerPivot System サービス

ブック データを更新する

SharePoint 2013 の Excel Services

SharePoint 2013 の Excel Services

コンテンツ データベースにブックとデータ モデルを保存する

インタラクティブ: 該当なし

定期: SharePoint 2013 の Excel Services

SharePoint 2013 の Excel Services

  

次の表は、SharePoint モードで実行されている SQL Server 2012 SP1 分析サーバーを使用するように構成された SharePoint 2013 ファームでサポートされている更新機能をまとめたものです。

ブックの作成環境

定期データ更新

対話型の更新

2008 R2 PowerPivot for Excel

サポートされていません。 ブックをアップグレードしてください (*)

サポートされていません。 ブックをアップグレードしてください (*)

2012 PowerPivot for Excel

サポートされています。

サポートされていません。 ブックをアップグレードしてください (*)

Excel 2013

サポートされています。

サポートされています。

(*) ブックのアップグレードの詳細については、「ブックのアップグレードと定期データ更新 (SQL Server 2012 SP1)」を参照してください。

  

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対話型のデータ更新

対話型、つまり手動によるデータ更新では、SharePoint Server 2013 の Excel Services の新しいアーキテクチャが使用されます。 対話型の更新では、元のデータ ソースのデータでデータ モデルを更新できるようになりました。 対話型のデータ更新は、Analysis Services サーバーに登録して Excel Services アプリケーションを構成すると使用できるようになり、SharePoint モードで実行されます。 詳細については、「Excel Services のデータ モデルの設定を管理する (SharePoint Server 2013)」(https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/jj219780.aspx) を参照してください。

注意

対話型のデータ更新は、Excel 2013 で作成されたブックでのみ使用できます。 Excel 2010 ブックを更新しようとすると、Excel Services に "PowerPivot 操作に失敗しました: 古いバージョンの Excel でブックが作成されているため、ファイルがアップグレードされるまで PowerPivot を更新できません" のようなエラー メッセージが表示されます。 ブックのアップグレードの詳細については、「ブックのアップグレードと定期データ更新 (SQL Server 2012 SP1)」を参照してください。

  

対話型の更新の要点

  • 対話型のデータ更新では、現在のユーザー セッションにあるデータのみが更新されます。 データは、SharePoint コンテンツ データベースにある元のブック アイテムには自動的に保存されません。

  • **資格情報:**対話型のデータ更新では、データ ソースに接続する場合、現在ログインしているユーザーの ID を資格情報として使用するか、または保存された資格情報を使用できます。 使用される資格情報は、外部データ ソースへのブックの接続用に定義された Excel Services の認証設定によって異なります。

  • サポートされるブック: Excel 2013 で作成されたブック。

データを更新するには

  • 手順に沿った図を参照してください。
  1. SharePoint ドキュメント ライブラリで、PowerPivot ブックをブラウザーで開きます。

  2. ブラウザー ウィンドウで [データ] メニューをクリックしたら、[選択した接続の更新] または [すべての接続の更新] をクリックします。

  3. Excel Services が PowerPivot データベースを読み込んで処理し、そのクエリを実行して、Excel ブックのキャッシュを更新します。

  4. 注: 更新されたブックは、元のドキュメント ライブラリには自動的に保存されません。

対話型のデータ更新

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ブックのデータ接続と対話型のデータ更新による Windows 認証

Excel Services は、ユーザー アカウントを借用するようサーバーに指示するプロセス コマンドを Analysis Services サーバーに送信します。 Analysis Services サービス アカウントで、ユーザーの権限借用委任プロセスを実行するのに十分なシステム権限を取得するには、ローカル サーバーに [オペレーティング システムの一部として機能] 権限が必要です。 また、Analysis Services サーバーでは、ユーザーの資格情報をデータ ソースに委任できる必要があります。 クエリの結果は Excel Services に送信されます。

一般的なユーザーの操作: 顧客が PowerPivot モデルを含む Excel 2013 ブックで [すべての接続の更新] を選択すると、次のようなエラー メッセージが表示されます。

  • 外部データの更新に失敗しました: ブックのデータ モデルでの作業中にエラーが発生しました。 再試行してください。 このブックの 1 つ以上のデータ接続を更新できません。

使用しているデータ プロバイダーによっては、ULS ログに次のようなメッセージが表示されます。

SQL Native Client の場合

  • 外部接続の作成またはクエリの実行を行うことができませんでした。 プロバイダー メッセージ: ID '20102481-39c8-4d21-bf63-68f583ad22bb' を参照するアウト オブ ライン オブジェクト 'DataSource' は指定されていますが、使用されていません。OLE DB または ODBC エラー: SQL Server への接続の確立中に、ネットワーク関連のエラーまたはインスタンス固有のエラーが発生しました。 サーバーが見つからないか、アクセスできません。 インスタンス名が正しいことと、SQL Server がリモート接続を許可するように構成されていることを確認してください。 詳細については、SQL Server オンライン ブックを参照してください。; 08001; SSL プロバイダー: 要求されたセキュリティ パッケージがありません ; 08001; クライアントの接続が確立できません; 08001; クライアントでは暗号化をサポートしていません。; 08001。、ConnectionName: ThisWorkbookDataModel、ブック: book1.xlsx。

Microsoft OLE DB Provider for SQL Server の場合

  • 外部接続の作成またはクエリの実行を行うことができませんでした。 プロバイダー メッセージ: ID '6e711bfa-b62f-4879-a177-c5dd61d9c242' を参照するアウト オブ ライン オブジェクト 'DataSource' は指定されていますが、使用されていません。 OLE DB または ODBC エラー。 、ConnectionName: ThisWorkbookDataModel、ブック: OLEDB Provider.xlsx。

.NET Framework Data Provider for SQL Server の場合

  • 外部接続の作成またはクエリの実行を行うことができませんでした。 プロバイダー メッセージ: ID 'f5fb916c-3eac-4d07-a542-531524c0d44a' を参照するアウト オブ ライン オブジェクト 'DataSource' は指定されていますが、使用されていません。高レベル リレーショナル エンジンでエラーが発生しました。 IDbConnection マネージ インターフェイスの使用中に、次の例外が発生しました:ファイルまたはアセンブリ 'System.Transactions, Version=4.0.0.0, Culture=neutral, PublicKeyToken=b77a5c561934e089'、またはその依存関係の 1 つが読み込めませんでした。 必要な偽装レベルが指定されなかったか、または指定された偽装レベルが無効です。 (HRESULT からの例外:0x80070542)。、ConnectionName: ThisWorkbookDataModel、ブック: NETProvider.xlsx。

構成手順の概要 ローカル サーバーで [オペレーティング システムの一部として機能] 権限を構成するには

  1. SharePoint モードで実行されている Analysis Services サーバーで、[オペレーティング システムの一部として機能] 権限に Analysis Services のサービス アカウントを追加します。

    1. "secpol.msc" を実行します。

    2. [ローカル セキュリティ ポリシー][ローカル ポリシー][ユーザー権利の割り当て] の順にクリックします。

    3. サービス アカウントを追加します。

  2. Excel Services を再開し、Analysis Services サーバーを再起動します。

  3. Excel Services サービス アカウントまたは Claims to Windows Token Service (C2WTS) から Analysis Services インスタンスへの委任は必要ありません。 したがって、Excel Services または C2WTS から PowerPivot AS サービスへの KCD の構成は必要ありません。 注: バックエンド データ ソースが Analysis Services インスタンスと同じサーバーにある場合、委任は必要ありません。

SSAS の対話型更新の Windows 認証

詳細については、「オペレーティング システムの一部として機能」(https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/cc784323(WS.10).aspx) を参照してください。

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定期データ更新

定期データ更新の要点

  • SharePoint アドイン用の PowerPivot の配置が必要です。 詳細については、「PowerPivot for SharePoint アドインのインストールまたはアンインストール」を参照してください。

  • ユーザーはブックの更新スケジュールを構成します。 予定の時間になると、PowerPivot System サービスから Excel Services に対し次の要求が送信されます。

    • PowerPivot データベースを読み込んで処理する。

    • ブックを更新する。

    • 元のコンテンツ データベースにブックを保存する。

  • **資格情報:**保存された資格情報を使用します。 現在のユーザーの ID は使用しません。

  • サポートされるブック: Excel 2010 用 SQL Server 2012 PowerPivot アドインまたは Excel 2013 を使用して作成されたブック。 SQL Server 2008 R2 PowerPivot アドインを使用して Excel 2010 で作成されたブックはサポートされていません。 SQL Server 2012 PowerPivot 以上の形式でブックをアップグレードしてください。 ブックのアップグレードの詳細については、「ブックのアップグレードと定期データ更新 (SQL Server 2012 SP1)」を参照してください。

  

[データ更新の管理] ページを表示するには

  • 手順に沿った図を参照してください。
  1. SharePoint ドキュメント ライブラリで、PowerPivot ブックの [開くメニュー] (...) をクリックします。

  2. 2 番目の [開くメニュー] をクリックし、[PowerPivot データ更新の管理] をクリックします。

  3. [データ更新の管理] ページで [有効化] をクリックし、更新のスケジュールを構成します。

  4. 指定の時間になると、PowerPivot System サービスから Excel Services に次の要求が送信されます。

    • PowerPivot データ モデルを読み込んで処理する。

    • ブックを更新する。

    • 元のコンテンツ データベースにブックを保存する。

[データ更新の管理] コンテキスト メニュー

  

ヒントヒント

SharePoint Online からのブックの更新については、「埋め込み PowerPivot モデルを使用した SharePoint Online からの Excel ブックの更新 (ホワイト ペーパー)」(https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/jj992650.aspx) を参照してください。

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SharePoint 2013 の定期データ更新のアーキテクチャ

次の図は、SharePoint 2013 および SQL Server 2012 SP1 のデータ更新のアーキテクチャをまとめたものです。

SQL Server 2012 SP1 データ更新のアーキテクチャ

説明

(1)

Analysis Services エンジン

SharePoint で実行されている SQL Server 2012 SP1 Analysis Services サーバー。 サーバーは SharePoint ファームの外部で実行されます。

(2)

ユーザー インターフェイス

ユーザー インターフェイスは 2 ページで構成されています。 スケジュールを定義するページと、更新履歴を表示するページです。 これらのページでは PowerPivot サービス アプリケーション データベースに直接アクセスしませんが、PowerPivot System サービスを使用してデータベースにアクセスします。

(3)

PowerPivot System サービス

サービスは、SharePoint アドイン用の PowerPivot の配置時にインストールされます。

サービスは次の目的に使用されます。

  • このサービスは、Excel 2013 ブックのデータ更新の Excel Services API を呼び出す更新スケジュール エンジンをホストします。 Excel 2010 ブックの場合、サービスはデータ モデル処理を直接実行しますが、データ モデルの読み込みとブックの更新には Excel Services を引き続き使用します。

  • このサービスには、システム サービスと通信するコンポーネントのメソッド (ユーザー インターフェイスのページなど) が用意されています。

  • PowerPivot Web サービスを経由して受信するブックへの外部アクセス要求をデータ ソースとして管理します。

  • タイマー ジョブと構成ページの定期データ更新要求の管理。 サービスは、サービス アプリケーション データベースの内外でのデータの読み取り要求と、Excel Services を使用したデータ更新のトリガーの要求を管理します。

  • 使用状況の処理と関連するタイマー ジョブ。

(4)

Excel Calculation Services

データ モデルの読み込みを管理します。

(5)

Secure Store Service

ブックの認証設定が [認証されているユーザー アカウントを使用する] または [なし] に構成されている場合は、Secure Store 対象アプリケーション ID に格納されている資格情報がデータ更新に使用されます。 詳細については、このトピックの「認証に関する注意点」セクションを参照してください。

(6)

PowerPivot データ更新タイマー ジョブ

PowerPivot System サービスに対し、データ モデルを更新する場合は Excel Services に接続するように指示します。

  

Analysis Services には、SharePoint モードの Analysis Services サーバーがデータ ソースにアクセスできるように、適切なデータ プロバイダーとクライアント ライブラリが必要になります。

注意

現在、PowerPivot System サービスでは PowerPivot モデルの読み込みと保存を行わないため、アプリケーション サーバーでのモデルのキャッシュに関する設定のほとんどは SharePoint 2013 ファームに適用されません。

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データ更新ログ データ

使用状況データ: PowerPivot 管理ダッシュボードにデータ更新の使用状況データを表示できます。 使用状況データを表示するには、次の手順に従います。

  1. SharePoint サーバーの全体管理の [アプリケーションの全般設定] グループで [PowerPivot 管理ダッシュボード] をクリックします。

  2. ダッシュボードの下部に表示される [データ更新 - 最近の利用状況][データ更新 - 最近のエラー] を参照してください。

  3. 使用状況データの詳細と使用状況データを有効にする方法については、「PowerPivot 管理ダッシュボードと使用状況データ」を参照してください。

診断ログ データ: データ更新に関連する SharePoint の診断ログ データを表示できます。 まず、SharePoint サーバー全体管理の [監視] ページで、[PowerPivot サービス] の診断ログの構成を確認します。 ログの記録対象となる "重要度の最も低いイベント" のログのレベルを上げる必要があります。 たとえば、値を一時的に [詳細] に設定して、データ更新操作を再実行します。

ログ エントリには次のものがあります。

  • [PowerPivot サービス][エリア]

  • [データ更新] のカテゴリ。

[診断ログの構成] を確認します。 詳細については、「SharePoint ログ ファイルと診断ログの構成と表示 (PowerPivot for SharePoint)」を参照してください。

認証に関するその他の注意点

Excel 2013 の [Excel Services の認証設定] ダイアログ ボックスの設定によって、Excel Services および Analysis Services がデータ更新に使用する Windows ID が決まります。

  • 認証されているユーザーのアカウントを使用する: Excel Services は現在ログオンしているユーザーの ID でデータ更新を実行します。

  • 保存されているアカウントを使用する: SharePoint の Secure Store Service アプリケーションの ID を前提とします。これは、Excel Services でユーザー名とパスワードを取得してデータ更新認証を認証するのに使用されます。

  • なし: Excel Services の [無人サービス アカウント] が使用されます。 サービス アカウントは、Secure Store プロキシに関連付けられます。 [外部データ] セクションの [Excel Services アプリケーションの設定] ページの設定を構成します。

認証の設定のダイアログを開くには

  1. Excel 2013 の [データ] タブをクリックします。

  2. リボンで [接続] をクリックします。

  3. [ブックの接続] ダイアログで、接続を選択して [プロパティ] をクリックします。

  4. [接続プロパティ] ダイアログで、[定義][認証の設定] の順にクリックします。

Excel Services の認証設定

  

データ更新認証と資格情報の利用状況の詳細については、ブログ記事「SharePoint 2013 での PowerPivot データの更新」を参照してください。

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詳細情報

PowerPivot データ更新のトラブルシューティング (https://social.technet.microsoft.com/wiki/contents/articles/3870.troubleshooting-powerpivot-data-refresh.aspx)

SharePoint 2013 の Excel Services (https://msdn.microsoft.com/ja-jp/library/sharepoint/jj164076(v=office.15))

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関連項目

タスク

SharePoint 2013 に対応する SharePoint モードの Analysis Services サーバーのインストール (SQL Server 2012 SP1)

概念

ブックのアップグレードと定期データ更新 (SQL Server 2012 SP1)