Windows Installer Source Location Manager について
適用対象: System Center Configuration Manager 2007, System Center Configuration Manager 2007 R2, System Center Configuration Manager 2007 R3, System Center Configuration Manager 2007 SP1, System Center Configuration Manager 2007 SP2
Windows インストーラを使用してアプリケーションをインストールした場合、Windows インストーラ アプリケーションは新しいコンポーネントのインストール、アプリケーションの修復、またはアプリケーションの更新が必要になると、インストール時の元のパスに戻ろうとします。この元のパスを Windows インストーラのソースの場所といいます。Windows Installer Source Location Manager は、アプリケーションが Configuration Manager 2007 配布ポイントからインストールされていない場合でも、ソース ファイルの配布ポイントを自動的に検索できます。Windows Installer のソースの場所を有効にするには、Configuration Manager 2007 パッケージのプログラム プロパティにある[Windows インストーラ]タブを構成します。
重要
Windows Installer Source Location Manager は最大 1000 件の Windows インストーラ プログラムに対応できるよう設計されており、テストもその前提で行われています。[Windows インストーラ]タブを構成すると、すべてのクライアントのポリシー サイズが増加します。1000 件を超える Windows インストーラ プログラムを構成すると、クライアントのパフォーマンスが低下する場合があります。
Windows Installer Source Location Manager の活用シナリオ
問題シナリオ 1: あるユーザーが Microsoft Office を CD からインストールしました。ユーザーは最小インストールを選択しましたが、インストール後、インストール CD を取り外しました。音声認識ツールを初めて使用しようとしたときに、音声認識ツール ファイルを検出するために Microsoft Office CD を挿入するよう画面に指示が表示されました。ユーザーは Microsoft Office ファイルの場所がわからず、音声認識ツールのインストールを完了できませんでした。
問題シナリオ 2: あるユーザーが Microsoft Office を CD からインストールしました。Contoso 社は Configuration Manager 2007 を使用して Office のセキュリティの更新を管理しています。Windows インストーラでセキュリティの更新を適用しようとすると、元に CD 収録されているファイルを要求されました。ユーザーがファイルの場所を知っているとは限りません。このため、セキュリティの更新を適用できない場合があります。
問題シナリオ 3: Windows インストーラ製品のインストール場所としてネットワーク共有が使用されています。この共有から製品をコンピュータにインストールしてしばらくたったとき、共有をホストしているコンピュータが使用停止になったか、このコンピュータに障害が発生しました。このため、このコンピュータがネットワークから切断されてしまいました。Windows インストーラがこのサーバー コンピュータに再接続しようとしましたが失敗し、元のソース ファイルを指定するように要求するダイアログ ボックスが表示されます。
定義
次の用語は、Windows インストーラのソースの場所の管理に関連する用語です。
- Windows インストーラ
アプリケーションの作成と、簡略化およびプログラム化されたインストール作業を実現する Windows インストーラ技術。
- MSI
Microsoft インストーラの略。Windows インストーラと同じ意味です。
- 製品コード
Windows インストーラがバンドルされた各アプリケーションに固有の識別子。
- パッケージ コード
Windows インストーラがバンドルされた各アプリケーションに固有の識別子。一般的に、Windows インストーラがバンドルされた元のアプリケーションにマイナー リビジョンが作成された (言語にあわせた変更など) ことを表します。
- .MSI ファイル
Windows インストーラがバンドルされたアプリケーションに関連付けられたファイル拡張子。
- 製品ソースの更新マネージャ
Configuration Manager 2007 クライアント上で実行されるエージェント。Windows インストーラによるソース ファイルの検索場所となるネットワークの場所の一覧を更新します。
Windows Installer とのやり取り
Configuration Manager 2007 と Windows インストーラとの間で特定のやり取りが行われます。Windows インストーラのソースの場所の管理機能を使用する場合はこのやり取りを考慮する必要があります。
同一の製品コードを持つ製品の管理
Windows インストーラ ベースの製品のほとんどには、アプリケーションのバージョンごとに異なる製品コードがあります。場合によっては Windows インストーラ アプリケーション バンドルに同一の製品コードが付いていることもありますが、異なるパッケージ コードを設定することでバージョンを区別しています。この例として Microsoft Visio 2002 があります。Visio 2002 Professional ENU バージョンの元のリリースの製品コードは {90510409-6D54-11D4-BEE3-00C04F990354} です。一方、SR1 バージョンの製品コードも {90510409-6D54-11D4-BEE3-00C04F990354} です。管理者が、Windows インストーラのソースの場所を管理するために構成した Configuration Manager 2007 パッケージを 2 つの持っており、一方には元のバージョン、もう一方には SR1 バージョンがある場合、製品ソースの更新マネージャは、両方の製品の完全な配布ポイント リストを使用して (製品コードが両方とも同じであるため)、クライアントにあるソースの場所の一覧を更新します。Windows インストーラは、その後、特定のファイルを検索する場合に所定のリリースを照合するようになります。
異なるバージョンに同じ製品コードが設定されている製品がある場合は、Configuration Manager 2007 を使用して古いバージョンのアプリケーションをすべて更新してから、Windows インストーラのソースの場所を管理するためのパッケージに Windows インストーラ製品コードを追加する必要があります。
ソース一覧のレジストリ値
Windows インストーラには、データベースの一部としてソース ディレクトリの一覧が保存されています。この情報はレジストリで公開されます。特定のレジストリ ハイブ、およびソース一覧を含むキーは、インストールの種類 (管理されているかどうか) とインストール時に適用される関連特権 (昇格されているかどうか) によって異なります。ほとんどのソースの一覧は以下の場所にあります。
HKEY_CLASSES_ROOT\Installer\Products\<製品コード>\SourceList\Net
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Installer\Products\<製品コード>\SourceList\Net
すべてのユーザーを対象としたアプリケーションのインストール
[管理者権限で実行する]オプションを使用して、管理コンテキストで Windows インストーラ ファイルをインストールするように Configuration Manager 2007 プログラムを構成する場合は、MSDN https://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=103664 (英語) の説明に従って、コンピュータごとにインストールできるようにするオプションを使用してください。この処理を行わないと、ローカル システムのユーザーしかアプリケーションを実行できなくなります。たとえば、smstest.msi が Windows インストーラ アプリケーションの場合、次のコマンド ラインでこのアプリケーションを実行できます。
msiexec /I smstest.msi ALLUSERS=2
既存のネットワーク ソースの場所の削除
製品ソースの更新マネージャは Configuration Manager 2007 プログラムの配布ポイントのうち Windows インストーラ情報があるものすべてを検出し、これらの Windows インストーラ パッケージに対してネットワーク ソースのパスを追加します。ソースの場所がすでに保存されている場合 (プログラムが Configuration Manager 2007 配布ポイントではなくローカルで使用できるサーバーからインストールされている場合など)、製品ソースの更新マネージャは Configuration Manager 2007 配布ポイントの場所を既存のソースの場所に追加します。
この機能の内容とソースの場所の削除方法を完全に理解できるように、以下のシナリオを例としてあげます。
ユーザーが (Configuration Manager 2007 を使用せずに) \\server1\share から手動で Microsoft Office XP をインストールしました。
Windows インストーラは、最後に使用したソース レジストリ キーに \\server1\share を追加し、\\server1\share をインストール ソースとして保存しています。
ユーザーは、Office と Windows インストーラの修復を実行して \\server1\share にアクセスしてソース ファイルを取得します。
Configuration Manager 管理者が、Office XP を Configuration Manager 2007 に追加し、PROPLUS.MSI ファイルの Windows インストーラ情報を追加しました。
クライアントは更新を受け取り、\\smsserver\dpshare を Office XP のソースの一覧に追加します。
ネットワーク管理者が \\server1 の使用を停止しました。これで、クライアント コンピュータは \\server1\share フォルダにアクセスできなくなります。
セキュリティの更新が Office XP に適用されます。最初に \\server1\share が確認されますが見つかりません。Windows インストーラは次の場所に移り、\\smsserver\dpshare を使用して更新処理を完了します。\\smsserver\dpshare が、最後に使用されたソース レジストリの一覧に記録され、正式なインストール ソースになりました。
これ以降、セキュリティの更新や修復は、Office XP の \\smsserver\dpshare へのポインタから開始されます。
Windows Installer Source Location Manager の更新
複数のイベントが Configuration Manager 2007 クライアントで発生し、製品ソースの更新マネージャ エージェントによって 1 つまたは複数の Windows インストーラ製品のソースの場所が更新される可能性があります。
管理ポイントの変更 クライアントの常駐管理ポイントまたはプロキシ管理ポイントの変更時は常に、Windows インストーラ ソース一覧更新サイクル全体が実行されます。
ネットワークの変更 クライアントがネットワーク サブネットを変更すると、Windows インストーラ ソース一覧更新サイクルが実行されます。コンピュータに複数のネットワーク インターフェイス (ドッキング ステーション NIC、無線 PC カードなど) がある場合、サブネットのいずれかが同じままだと、Windows インストーラ ソース一覧の更新サイクルは実行されません。ダイアルアップ接続により社内ネットワークに接続するコンピュータでは、ネットワークの変更が発生します。他のネットワークに対して仮想プライベート ネットワーク (VPN) 接続を確立するコンピュータも同様です。クライアントのネットワーク サブネットが変更されても、その後同じサブネットに 8 時間とどまっている場合は、必ず Windows インストーラ ソース一覧更新サイクル全体が実行されます。
コントロール パネル項目の動作 Configuration Manager のコントロール パネルの項目には、[Windows インストーラ ソース一覧更新サイクル]操作があります。この操作を選択して[動作の開始]ボタンをクリックすると、製品ソースの更新マネージャが更新サイクル全体を実行します。
関連する Windows インストーラ情報によるプログラムの実行 クライアントにプログラムがインストールされていて、そのプログラムの Windows インストーラ情報 (製品コードとファイル名) が保存されている場合、製品ソースの更新マネージャはプログラムのインストール後にネットワークの場所を更新します。Configuration Manager 2007 によりインストールされた Windows インストーラ アプリケーションが 1 つだけの場合は、Windows インストーラ ソース一覧更新サイクルがそのアプリケーションに対してのみ実行されます。
API を介したプログラムの開始 VBScript を使用して Configuration Manager 2007 プログラムを実行し、Windows インストーラ ソース一覧更新サイクルを有効にすることができます。
ユーザーのログオンとログオフ ユーザーがコンピュータにログオンすると、製品ソースの更新マネージャは、Windows インストーラ製品のユーザー単位のインストールで使用する、そのユーザーのソース パスを更新します。ユーザーがログオフするとフラグが切り替わり、通常のどの更新サイクル トリガではコンピュータ単位のインストールのみを評価するようになります。
参照:
タスク
Windows インストーラ ソースの更新管理を構成する方法
概念
Product Source Update Manager による API ベースで開始するスクリプトの例
その他の情報については、「Configuration Manager 2007 Information and Support」 (Configuration Manager 2007 の情報とサポート) を参照してください。
ドキュメント チームに連絡するには、次のアドレスに電子メールを送信してください。 SMSdocs@microsoft.com.