モニターおよびルール
発行: 2016年6月
適用対象: System Center 2012 R2 Operations Manager,System Center 2012 - Operations Manager,System Center 2012 SP1 - Operations Manager
モニターとルールはどちらも Operations Manager でヘルスを測定し、エラーを検出するための基本要素ですが、機能は多少異なります。 モニターはオブジェクトの状態を示し、ルールはアラートを作成して、分析やレポート作成用のデータを収集します。 個々のモニターとルールは、それぞれの機能の実行時に使用するデータのソースと、そのデータの評価に使用するロジックで構成されています。
モニターとルールの機能は異なりますが、どちらも共通のデータ ソースを使ってデータを評価します。 たとえば、モニターはパフォーマンス カウンターを使って特定のオブジェクトの状態を示しますが、 ルールも同じパフォーマンス カウンターにアクセスして分析やレポート作成用の値を保存する場合があります。
モニター
モニターは、管理オブジェクトの特定の側面のヘルスを測定します。 次の表に示すとおり、モニターには 3 種類あります。
ヘルス状態
どの種類のモニターにも 2 つか 3 つのヘルス状態があります。 各モニターは、任意の時点で、それらのいずれか 1 つの状態にあります。 モニターがエージェントによって読み込まれると、まず正常な状態から始まり、 その後は他の状態の条件に一致する状況が検出されたときだけその状態に変化します。
特定のオブジェクトの全体のヘルスは、各モニターのヘルスから決定されます。 つまり、オブジェクトを直接監視するモニターと、依存関係モニターを介してそのオブジェクトにロールアップする他のオブジェクトを監視するモニター、それらの他のオブジェクトを監視する依存関係モニターなどを組み合わせて、総合的に決定されます。 この階層構造は、オペレーション コンソールのヘルス エクスプローラーにグラフィックで表示されます。 ヘルスをどのようにロールアップするかを決めるポリシーは、集合モニターと依存関係モニターの構成時に定義します。
モニターの作成時には、各ヘルス状態の条件を指定する必要があります。 指定した条件のいずれかが満たされると、モニターはその条件に該当する状態に変化します。 特定の時点であてはまる条件が 1 つのみになるように、各条件は他と重複しない設定にする必要があります。 モニターが警告または重大な状態になったときにアラートを生成するように設定することもできます。 また、正常な状態に変化した時点で、前に生成されたアラートが自動的に解決されるように設定できます。
モニターの種類
モニター |
説明 |
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ユニット モニター |
アプリケーションの特定の側面を測定します。 たとえば、アプリケーションのパフォーマンスを測定するパフォーマンス カウンターをチェックしたり、代理トランザクションを実行するスクリプトを実行したり、エラーが発生しているイベントを監視したりします。 クラスには通常、アプリケーションの異なる機能をテストし、異なる問題を監視するためのユニット モニターを複数指定します。 |
依存関係モニター |
異なるクラス間でヘルスをロールアップします。 これにより、アプリケーションの正常動作に必要なオブジェクトのヘルスによってあるオブジェクトのヘルスが左右される、依存関係を作ることができます。 |
集合モニター |
似通った複数のモニターの総合的なヘルス状態を示します。 通常、ユニット モニターと依存関係モニターは、特定の集合モニターの下位に構成されます。 集合モニターを使えば、特定のクラスを対象とする多数の異なるモニターの全体像を確認できるだけでなく、そのクラスのカテゴリ別のヘルス状態を確認できます。 |
[!メモ]
単独で「モニター」という場合は、通常ユニット モニターを指します。 その他のモニターを指す場合は、「集合モニター」、「依存関係モニター」と、省略せずに表記しています。
次の図は、Windows Server クラスのヘルス エクスプローラーの例です。 異なる種類のモニターを使うことで全体のヘルス状態を掌握できることがわかります。
ヘルス エクスプローラーの例
ルール
ルールは、監視するオブジェクトのヘルス状態には反映されません。 次に、ルールの種類とその機能を示します。
モニター |
説明 |
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アラート ルール |
アラート ルールは、特定のイベントが検出されたときにアラートを生成します。 これらのイベントの種類については、「データ ソース」を参照してください。 アラート ルールはヘルス状態には反映されません。 |
収集ルール |
収集ルールは、イベントまたはパフォーマンス データを Operations Manager データベースとデータ ウェアハウスに収集します。 アラートの作成やヘルス状態の測定は行いません。 収集ルールで使用できるデータ ソースについては、「データ ソース」を参照してください。 データは、作成する収集ルールの種類によって、イベントまたはパフォーマンス データに変換されます。 ウィザードによっては、データ ソースの特定の情報を、収集するデータのプロパティとして指定する必要があります。 |
コマンド ルール |
コマンド ルールは、スケジュールどおりにスクリプトまたはコマンドを実行します。 アラートの作成やデータの収集は行いません。 |
モニターとルールの使い分け
Operations Manager のユニット モニターとルールはよく似ています。 どちらもエージェントで実行されるワークフローであり、特定の条件が満たされたときにアラートを生成でき、これらの状況の検出に同様のデータ ソース セットを使用します。 そのため、特定の状況の監視用にアラートとルールのどちらを作成するべきか判断がつきにくい場合があります。
状況に応じてどちらを作成するかは、次の基準に従って判断します。
次の場合は、モニターを作成します。
オブジェクトのヘルスに反映させる場合。 モニターは、アラートを生成するだけでなく、監視オブジェクトのヘルス状態にも反映されます。 その結果が状態ビューと可用性レポートに表示されます。
エラーの状況が解除された時点で自動的にアラートを解決する場合。 ルールから生成されたアラートを自動的に解決することはできません。これは、ルールでは問題が解決されたかどうかを認識できないためです。 モニターの場合は、正常な状態の条件が満たされた時点で問題が解決されたと認識するため、アラートを自動的に解決できます。
パフォーマンスのしきい値に基づいてアラートを生成する場合。 パフォーマンスのしきい値に基づいてアラートを生成するルールはありません。 モニターではパフォーマンス カウンターの条件にしきい値を設定できるので、この場合はモニターを使用します。
ルールでは処理できない複雑なロジックを使用する状況の場合。 オペレーション コンソールには、モニターのヘルス状態を設定するためのオプションが多数ありますが、ルールの設定オプションには単純なものしかありません。 ルールで複雑なロジックを使用する必要があり、モニターのヘルス状態を検出する方法がない場合は、手動リセットまたはタイマー リセットを使用してモニターを作成します。 詳細については、「イベント モニターのリセット」をご覧ください。
[!メモ]
adb418d7-95ab-4e33-8ced-34a934016aa3#VMPD を使用すると、オペレーション コンソールでモニター用のロジックを使ってカスタムのルールを作成できます。
次の場合は、ルールを作成します。
分析およびレポート作成用にパフォーマンス カウンターまたはイベントを収集する場合。 モニターでは、ヘルス状態が変わるときしかこれらの情報が収集されません。 これらの情報を収集する場合は、収集ルールを作成します。
パフォーマンス カウンターを収集し、ヘルス状態にそのカウンターのしきい値を設定する必要がある場合は、同じパフォーマンス カウンターを使ってルールとモニターの両方を作成します。
オブジェクトのヘルス状態に反映されないアラートを生成する場合。
モニターとルールに関するトピック
モニターとルールに関する説明は、次のトピックにもあります。
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データ ソースの概念と、モニターとルールで使用可能なデータ ソースの種類について説明します。
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モニターとルールの種類に応じて式を作成する方法を説明します。
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モニターとルールによって生成されるアラートを構成する方法を説明します。
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異なる種類のイベントを使用するモニターとルールについて説明します。また、オペレーション コンソールのウィザードを使ってそれらのモニターとルールを作成する手順も説明します。
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パフォーマンスを収集、監視するモニターとルールについて説明します。また、オペレーション コンソールのウィザードを使ってそれらのモニターとルールを作成する手順も説明します。
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監視スクリプトの書き方と、スクリプトを使ってモニターとルールを作成する方法を説明します。
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あるオブジェクトのヘルスが別のオブジェクトのヘルスによって左右されるモニターについて説明します。
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特定の種類のオブジェクトに関する他のモニターのヘルスを統合するモニターについて説明します。