ツールボックス
IT プロフェッショナル向けの新製品
Greg Steen
今月のコラムでは、Eraser でディスクのデータを完全に削除する方法、SQL Backup Pro でバックアップを効率化する方法、および MindManager でプロジェクトを計画したりアイデアをまとめたりする方法を紹介します。
機密情報を完全に削除する
Eraser
eraser.heidi.ie (英語)
Windows システムでファイルを削除するとき、ディスク上にあるファイルのデータを瞬時に削除できるというのは、IT プロフェッショナルには周知のことです。ですが、実際に行われている処理は、単にファイル名の先頭の文字が削除され、クラスターが空き領域としてマークされるだけです。この機能は、パフォーマンスの面では優れています。ですが、だれかが物理的にドライブにアクセスしたり、別のユーザー アカウントを使用してドライブにアクセスしたりすると、ディスク上にある機密情報が取得される可能性があるという気掛かりな点が残ります。
ディスクのデータを完全に削除することを検討している場合や、米国の国防総省による規定や医療保険の携行性と責任に関する法律 (HIPAA) などを遵守するためにデータを完全に削除する必要がある場合は、その処理を確実に実行するツールが必要になります。Eraser は、その処理を実行するツールの 1 つです。
Eraser は、無償で利用できるオープン ソースのツールで、GNU General Public License 下でリリースされています。また、オープン ソースなので、削除したファイルが得体の知れない Web サービスに送信されたりすることなく、ツールで適切な処理が行われていることを確信できます。
Eraser をインストールすると、スタート メニュー以外にも、システム トレイ アイコンや Internet Explorer の拡張コンテキスト メニューからアプリケーションを起動できるようになります。コンテキスト メニューには、操作対象のファイルやディレクトリを安全に削除または移動するオプションが用意されています (ファイルを移動した場合も、ファイルを削除した場合と同じように、ファイル システムにファイルの内容が残る場合があります)。
Eraser は、タスク ベースのアプリケーションなので、オンデマンドで使用するタスクや定期的に使用するタスクを作成できます。たとえば、ディスクの未使用の領域にあるすべてのデータを完全に削除するタスクを設定できます。このようなタスクは、システムに必要なファイルだけが存在しているようにする場合に便利です。また、FTP ディレクトリなど特定のものを保護する場合は、指定したフォルダーにあるファイルを削除するタスクを設定して、サブフォルダーの内容も削除するかどうかを選択できます。このオプションを使用すると、ファイルの内容ではなくフォルダー自体を保護することも可能です。このオプションは、FTP サイトやスワップ領域を保護する際に便利です。完全な名前またはワイルドカード名で指定できる個々のファイルや一連のファイルを削除するタスクも作成できます。この場合も、個々のワイルドカードを使用して指定したファイルの場所にあるサブフォルダーの内容も削除するかどうかを選択することが可能です。
また、時間のかかるタスク (2 TB の未使用の領域について 37 回データを上書きしてデータを消去する場合など) では、タスクの完了後にシステムを再起動またはシャットダウンしたり、休止状態にしたりすることができます。タスクは、毎日、特定の日、またはシステムを再起動するたびに実行するように設定することが可能です。また、各タスクには、個別に削除アルゴリズムのオプションを設定できます。組み込みのオプションには、35 回の上書きを行う Gutmann 方式、米国の国防総省が規定した削除基準である 5220.22-M の 2 つのバージョン、擬似乱数によるデータの上書き、最初と最後の 2 KB のみ削除、および 7 回の上書きを行う Schneier 方式があります。付属のアルゴリズムに加えて独自の上書きパターンを定義して、上書きの回数を設定できるだけでなく、どのバイト パターン (定義済み、または擬似乱数) がディスクに書き込まれる必要があるか、データの上書きはその都度ランダムに行われる必要があるかどうかを設定できます。
Eraser には、統計レポートとエラー レポート、またはログ ファイルを生成する必要があるかどうか、ロックされているファイルをどのように処理するか、既定でコンテキスト メニューにどのショートカットを表示するか、既定でどの削除法を使用する必要があるか、および Windows の起動時にスケジューラを起動するかどうかを指定する基本設定があります。
したがって、法令を遵守するためにサポートが必要な場合や古い削除したつもりの機密情報を保護して盗み見されないようにする場合は、Eraser の使用を検討することをお勧めします。
Eraser
SQL Server のバックアップを効率化する
SQL Server Backup Pro
red-gate.com/products/SQL_Backup/index_v2.htm (英語)
システムのメンテナンス タスクは、通常のビジネス アクティビティのワークフローに影響を及ぼさないように、エンド ユーザーから見えないようにするのが理想的です。しかし、企業が海外展開を進めるにつれ、サーバーがより多くのタイム ゾーンに配置されます。そして、システム管理ウィンドウと、エンド ユーザーによるアクティビティの重複や衝突が起こるのを回避するのがさらに難しくなります。Microsoft SQL Server のバックアップ ウィンドウへの影響を最小限に抑えるには、管理の速度、回復性、サイズ、セキュリティ、転送、および一元化が重要になります。
Red Gate Software Ltd. 社の SQL Backup Pro は、このすべての要素に役立つ管理ツールの 1 つです。SQL Server Management Studio にも、データベースのバックアップを設定するウィザードが用意されていますが、SQL Backup Pro では、一元管理できる UI において、圧縮、暗号化、および "ネットワークの復元" 機能をバックアップと統合しています。また、すべてのインフラストラクチャの管理ウィンドウ (過去、現在、未来) が視覚化されています。
アプリケーションをインストールしたら、管理している SQL Server を、サーバーが配置されている場所のタイム ゾーンに基づいてグループ化します。サーバーに接続すると、SQL Backup Pro によって管理エージェントがホストにインストールされます。エージェントがインストールされたら、バックアップ タスクを設定します。バックアップ タスクの設定にはウィザードを使用します。まず、実行するバックアップの種類 (完全バックアップ、差分バックアップ、トランザクション ログ バックアップ、ファイル グループ バックアップ、またはファイル バックアップ) を選択し、バックアップするデータベースを選択します。次に、スケジュールを設定します (バックアップは、1 時間ごと、1 日ごと、1 週間ごと、または 1 か月ごとに行うように間隔を指定できます)。バックアップの保存先、バックアップに付けるファイル名のパターン、保存するバックアップの数を選択します。また、バックアップを 1 つのファイルにダンプするか、複数のファイルに分散するか、SQL Server から他のネットワークの場所にコピーするかどうかも選択します。
それから、タスクの暗号化、圧縮、検証、および最適化の設定を選択します。SQL Backup Pro では、4 つの異なる圧縮レベルを選択して、サイズと速度のバランスを取ることができます (このオプションは、バックアップを圧縮することを選択した場合にのみ使用できます)。個々のデータベースがどのように圧縮されるかを判断するには、Compression Analyzer を使用すると、各圧縮レベルの時間とサイズの正確な概算を確認できます。暗号化は、128 または 256 ビット キーの高度暗号化標準 (AES) を設定することができ、パスワード キーがあるデータ ファイルは Rijndael で暗号化されます (パスワード キーは、バックアップの安全性に大きく影響するので、強力なパスワードを設定することをお勧めします)。
バックアップを最適な状態で行うため、データベースのバックアップに使用する同時スレッド数を選択できます。ここでは、CPU およびディスク I/O の影響と、増加するスレッドの速度とのバランスを取ります。また、ここでも、再試行の回数とエラーが発生してから再試行するまでの待機時間を選択して、"ネットワークの復元機能" を設定することが可能です。最後に、バックアップを検証するツールを使用するかどうか選択できます。
もちろん、バックアップ履歴のどの時点からでもデータベースは復元できます。SQL Backup Pro では、標準のバックアップ タスクで圧縮、暗号化、およびスレッドに関するオプションが用意されているだけでなく、配布元と配布先の SQL Server データベースを指定できる、トランザクション ログの配布機能もあります。また、電子メールによる通知機能も組み込まれており、バックアップ、ログの配布、および復元のタスクについての最新情報を把握できます。
SQL Backup Pro に付属している SQL Object Level Recovery Pro というツールを使用すると、個々のアイテムを取得して Backup Pro がインストールされているサーバーに復元することができます。このツールは、トラブルシューティングを行う際に便利です。たとえば、データベース全体を復元しなくても、ある時点の特定のテーブルの状態を確認することができます。監査に使用できる、個々のサーバーのバックアップ履歴を表示する単純なレポート生成ツールもあります。
SQL Backup Pro は、1 サーバー ライセンスが 795 ドルで、10 パックまとめて購入すると 1 サーバー ライセンスは 600 ドルです。Red Gate Software 社が提供している他の SQL Server ツール (SQL Compare、SQL Prompt、SQL Response など) の購入も検討している場合、割引が適用されるセット販売のパッケージを購入することをお勧めします。
SQL Backup Pro
アイデアやメモをまとめてプロジェクトを計画する
MindManager
mindjet.com/products/mindmanager/default.aspx
会議でメモを取ったり、実装の計画を図表にしたり、大規模なプロジェクトの局面について考えたりするには、リアルタイムのセッションの詳細を網羅して把握することが必要です。そのためには、ドキュメントを編集する直線しか描けないアプリケーションでは不十分です。
もちろん、確実に信頼できる、鉛筆や紙も使えることは使えますが、元に戻す機能とやり直す機能のあるアプリケーションほど寛容ではなく、手書きのメモでは、同僚にアーカイブを残したり、転送したり、コピーしたりすることが簡単ではありません。
アイデアや会議のメモをまとめたり、プロジェクトを計画したりするのに使用できるツールの 1 つが、Mindjet LLC 社の MindManager です。MindManager を使用すると、タスク、画像、アイコン、およびコネクタをドラッグ アンド ドロップして、UI のワークスペースで、アイデアをすばやく図表にして配置を変えたりすることができます。図表は、最も重要なトピックから始まっています。(テキスト エディターでは直線しか描けませんが) MindManager ではレイアウトは直線的ではなくても良いため、会議やブレインストーミング セッションで生まれるように、トピック、考慮事項、および詳細を追加して、ユーザーがアイデアを広げることができます。
MindManager には、さまざまなショートカット キーが用意されているので、アプリケーションに慣れていくにつれて、アイデアが生まれる速度についていきながら図表を作成できるようになります。また、トピック、考慮事項、詳細を追加し終えたら、組み込みの書式設定、スペルチェック、およびレビューの設定を使用して、図表を完成することができます。また、UI から、図表を Microsoft Office Outlook の予定、仕事、連絡先、メモと関連付けることもできます。MindManager には、グループにアイデアを転送するためのエクスポートのオプションもいくつかあり、Microsoft Office Word、Microsoft Office PowerPoint、Outlook (図表で定義したタスクを使用します)、HTML、画像、PDF などの形式でエクスポートできます。お使いのテキスト エディターが不便であったり、鉛筆や紙を使うのをやめて環境保護 (森林伐採) に貢献する場合は、アイデアをまとめるのに MindManager を使用することをお勧めします。
MindManager の新規ライセンスは 349 ドルで、ツールを効果的に使用するための、無償の Web ベースのトレーニングが含まれています。チームでご使用の場合は、Mindjet Connect というツールを使用すると、MindManager を介してオンラインで共同作業をすることができます。このツールを使用するには、ユーザー 1 人につき毎月 10 ドルの使用料がかかります。
MindManager
免責: このコラムで示した意見は著者の意見であり、マイクロソフトの意見を反映しているとは限りません。価格はこのコラムの執筆時点のものであり、変更される可能性があります。
ツールボックスにご意見、ご要望をお送りください: このコラムで取り上げてほしいお勧めのツールやユーティリティがございましたら筆者 tntools@microsoft.com (英語のみ) までご連絡ください。
Greg Steen は、技術プロフェッショナルであり、起業家でもあります。また、新製品のファンとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。