IT 管理: 不況の時代に IT プロフェッショナルとして生き残るためのヒント
この絶えず変化するテクノロジとビジネスの世界で IT 管理者を務めることは、それだけでも十分に困難です。先行き不透明な経済も加われば、とんでもない危険に足を突っ込むことになります。このコラムでは、このような世界で生き残るための方法を紹介します。
Romi Mahajan
この 10 年間、IT 管理者は "コストを削減し"、"管理を効率化する" ように勧告を受けてきました。IT 管理者は、ビジネスから利益をひねり出す他の無数の手段の影響を受けてきました。これらはすべて、厳格な IT 管理と職場に新しい技術を導入することの危険性から、表現できないほどバランスが複雑になったと同時に起きたことです。
しかも、IT と利用するユーザーは自分たちの権利を声高に主張してきました。ビジネス ユーザーは、すべてのシステムに毎日いつでも簡単にアクセスできることを要求しています。これは、あれば便利なサービスではなく、"権利" だと考えられています。そこに長く広範囲にわたる不況が加われば、見たこともない状況に直面することになります。
では、この不況時代にできる限り最高の IT 管理者になるにはどうすればいいのでしょうか。その方法について、哲学的な観点と実用的な観点の両方から考えてみましょう。哲学的な観点で、力を入れるべき主な課題は次の 4 つです。
1. 価値の自己認識
IT 管理者は、チームのメンバーにメンバー自身の価値を十分に認識させる必要があります。IT プロフェッショナルは、「何と言うか、IT の仕事をしています」と抽象的な言い方をすることがよくあります。これは、自ら進んで牢屋に入り、鍵を投げ捨てるのに等しい行為です。厳しい時代には、IT プロフェッショナルは自分が持っている価値を明確に把握する必要があります。会社が再び活気を取り戻すために自分ができる仕事を誇りに思う必要があります。
2. バリュー チェーンにおける役割の理解
企業が好調な状態を維持するには、顧客を満足させて、新しい製品やサービスを絶えず生み出すために、しっかりした社内体制を築いている必要があります。IT は、他の部門と同じくらい企業の基礎体力と風土の基盤を形成するうえで重要なものです。IT の成功、応答性、および正確性によって、1 日の仕事の成否が左右されることもあります。
3. スキルの代替可能性
CEO は常日ごろから IT 管理者に、IT プロフェッショナルは配置替えや交換が可能だという意見を述べるでしょう。また、IT プロフェッショナルは、だれでも同じ一枚岩のようなものだとも主張するでしょう。実際、IT スキルは代替可能ではありません。IT 管理者は、このことを明確に認識して、IT プロフェッショナルに伝える必要があります。IT に関する専門技能は、長年にわたる学習、試行、およびパターンの認識の結果として培われるものです。
4. 芸術としての IT
すべての有意義な努力に共通することですが、IT の管理には芸術の域に達している部分があります。また、次の点にも留意してください。IT プロフェッショナルを解雇して別の人材に置き換えると、企業は潜在的な知識を失い、複雑な知識の蓄積を決まりきった機械的な作業に置き換えることになります。不況時には管理の最悪の部分が明るみに出るので、自分のチームがいつもピカソの絵画のように芸術的な仕事をしていることを経営陣に理解してもらいましょう。
それでは、このような課題にどのように対処するのでしょうか。哲学的な観点から認識する必要がある 4 つの領域を挙げました。実用的な観点で、IT プロフェッショナルが脚光を浴び続けるために必要な主な行動は次の 4 つです。
1. 成果を語る
コスト削減が叫ばれる時代でもチームの価値と名誉ある地位が正当に評価されるようにする最良の方法は、ビジネス中心の文化に理解される方法で、自分自身の価値を伝えることです。収益を生み出している業務で、あなたのチームがどれほど役に立っているかを明らかにします。シングル サインオンや迅速なプロビジョニングなどの IT の新機軸によって、企業のコストと時間をどれほど節約できているかを明らかにします。また、IT によってどのようにビジネスが可能になっているかを指摘します。
2. IT が実現した比較優位の例を挙げる
IT には資金が必要ですが、その資金は "コスト" ではなく投資です。この点を、企業の経営陣に余すところなく伝えます。実際、うまく機能してビジネス プロセスと結び付いている IT は、競争上の優位性をもたらします。競争上の優位性がもたらされたときに、IT は帳簿の "投資" 側から "コスト" 側に移動できます。顧客関係管理 (CRM) システムは、この点を説明する良い例です。CRM システムは、企業と顧客の考えの微妙なバランスを理解するためにリアルタイムで動作する機能を提供します。この IT の成果物は、一流企業と落ちこぼれ企業を差別化する要因として考えられるようになりつつあります。
3. チームの各メンバーに個性を与える
チーム全体に価値があることを示すには、各メンバーに特有の価値、役割、および個性があることを強調する必要があります。IT プロフェッショナルは、区別が付かない 1 つの集団、つまり前述のような一枚岩として考えられがちです。このような誤った解釈がされていると、CEO や CFO は簡単に「IT プロフェッショナルを 20% 削減しなさい」と言います。CEO や CFO は、この発言を実行に移すと、コストが削減されるだけでなく、特定の分野の価値も削減されることは理解していない場合があります。このため、経験談を語って競争上の優位性を説明する際には、各チーム メンバーの魅力が十分に伝わるようにメンバーを紹介します。
4. 成果を上げる
この行動は簡単そうに思えますが、実際は予想よりも複雑です。具体的には、新技術の学習や革新を引き起こす新しい手段の探求にチームの時間を使う必要があるということです。既に余裕がないスケジュールを考えれると、この行動は負担になることもあるでしょうが、これは人員削減という最終手段に対する最高の保険です。
不況は疑心暗鬼を招き、疑心暗鬼は視野を狭くします。チームの視野が狭くならないようにするのは、IT 管理者である皆さんの責任です。このコラムで紹介したいくつかの基本方針に従うと、チームを企業の中心的な位置に容易に押し上げられるようになるはずです。
Romi Mahajan (romi.mahajan@ascentium.com) は、KKM グループの代表取締役です。KKM に加わる前は、Ascentium Corporation のマーケティング最高責任者でした。Romi はテクノロジとメディア回路に関する著名な講演者で、さまざまな諮問機関の委員を務め、また、年間 12 個以上の業界イベントで講演を行っています。