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ユーティリティ スポットライト: Windows XP から Windows 7 に移行する

ユーザー状態移行ツールを使用すると、ユーザーのファイルや設定を復元できるので Windows 7 への移行が簡略化されます。

Lance Whitney

Windows XP から Windows 7 にアップグレードするときには、ユーザーのファイルと設定を移行する必要があります。ユーザー状態移行ツール (USMT) は、ユーザーのファイルと設定を移行するのに役立ちます。

USMT では、Windows XP コンピューターでユーザー アカウント (ユーザーのファイルと設定を含む) をキャプチャします。その後、キャプチャしたデータは、Windows 7 を実行している新しいコンピューターまたは同じコンピューターに転送できます。USMT では、ドキュメント、電子メール、デスクトップの設定、および Internet Explorer のお気に入りを移行しますが、マイクロソフトおよびサードパーティ製のアプリケーションの特定の設定も転送できます。

USMT は、Windows 7 用 Windows 転送ツールの類似ツールですが、USMT には、詳細なオプションが用意されており、設定をカスタマイズできます。また、Windows 転送ツールより簡単に操作を自動化できます。USMT を使用すると、Windows XP コンピューターのユーザー ファイルと設定は、MIG という拡張子の圧縮ファイルに転送されます。このファイルは、ネットワーク共有に格納して、新しい Windows 7 環境に適用します。

直行便

最新版の USMT (バージョン 4.0) は、Windows XP から Windows 7 にユーザーのファイルと設定を移行することを目的に設計されています (このバージョン間では直接アップグレードがサポートされていません)。ですが、Windows XP から Windows Vista への移行や Windows Vista から Windows 7 への移行にも使用できます。

32 ビット OS から 64 ビット OS にユーザーのファイルと設定を転送することも可能です。2 台のコンピューター間の移行に対応できるだけでなく、Windows XP を削除して、Windows 7 をインストールする場合は、同じコンピューターにファイルや設定を移行することもできます。同じコンピューターに設定を移行する場合、バージョン 4.0 では、ユーザーのフォルダーを同じ状態で維持するハードリンク オプションが使用できます。このオプションでは、単純に新しい OS からフォルダーと設定をリンクします。

USMT は、Windows 自動インストール キット (WAIK) に収録されているユーティリティです。USMT 以外にも、WAIK には Windows の構成と展開に役立つ、さまざまなツールが収録されています。

USMT を使用するには、Windows XP を実行しているテスト用のコンピューターに最新版の WAIK をダウンロードしてインストールします。WAIK は、Microsoft ダウンロード センターからダウンロードできます。インストール ファイル (KB3AIK_EN.iso) は ISO ファイル形式なので、CD-ROM に焼くか、仮想ドライブ ユーティリティを使用して、ISO ファイルから直接インストールする必要があります。

WAIK は、簡単にインストールできます。前提条件は、Windows XP コンピューターに Microsoft .NET Framework 2.0 以降と Microsoft XML Core Service 6.0 がインストールされていることです。WAIK をインストールすると、C:\Program Files\Windows AIK\Tools\USMT\x86 に 32 ビット版の USMT ファイルがあることを確認できます。マイクロソフトでは、テスト用のコンピューターからネットワーク共有に USMT フォルダー全体をコピーすることを推奨しています。このようにすると、ネットワーク共有から各コンピューターにフォルダーをコピーできるので、すべてのコンピューターに WIAK をインストールしなければならない状況を回避できます。

直接コマンド

USMT は、コマンド ライン ユーティリティなので、コマンド プロンプトでローカルの USMT\x86 フォルダーに移動する必要があります。コンピューター上に存在する全ユーザー アカウントのファイルと設定を転送するには、scanstate コマンドに続けて、必要な構成オプションを指定します。「scanstate /?」というコマンドを実行すると、利用可能なすべてのオプションを確認できます。

MIG ファイルを保存する場所 (ネットワーク共有など) も指定する必要があります。scanstate コマンドで使用する、2 つの既定の構成ファイル (MigApp.xml と MigDocs.xml) も指定できます。これらのファイルには、既定の設定が含まれていますが、ご使用の環境に合わせて設定は調整できます。

また、/o スイッチを指定して、以前に保存した MIG ファイルを上書きすることもできます。/c オプションを指定すると、エラーが発生しても致命的なものでなければ、scanstate コマンドの実行を継続するように強制できます。既定では、USMT フォルダーにログ ファイルが生成されますが、別の場所を指定することもできます。

この例では、「scanstate \\<サーバー>\<共有>\<フォルダー> /o /c /i:migapp.xml /i:migdocs.xml」というコマンドを実行します。scanstate コマンドでは、指定した場所にある USMT フォルダーの USMT.MIG ファイルに必要なファイルと設定をキャプチャします (図 1 参照)。

USMT の scanstate コマンドは、すべてのファイルと設定をキャプチャします

図 1 USMT の scanstate コマンドは、すべてのファイルと設定をキャプチャします

すべての必要なアプリケーションも含めて Windows 7 をインストールして設定を構成したら、MIG ファイルを適用して、キャプチャしたファイルと設定を読み込みます。ネットワーク共有から Windows 7 を実行しているコンピューターに USMT フォルダーをコピーすることも、ネットワーク共有から直接コマンドを実行することもできます。どちらの場合も、管理者特権で実行しているコマンド プロンプトを使用して USMT\x86 フォルダー (64 ビット版の Windows 7 を使用している場合は、USMT\AMD64 フォルダー) に移動する必要があります。

MIG ファイルを読み込むには、loadstate コマンドを使用します。「loadstate /?」というコマンドを実行すると、利用可能なすべてのオプションを確認できます。scanstate コマンドと同様に、MIG ファイルの場所を指定する必要があります。また、/c オプションを追加して、エラーが発生しても致命的なものでなければ、コマンドの実行を継続するように強制できます。

scanstate コマンドの実行時に指定した 2 つの XML ファイルを指定します。最後に、/lac および /lae という 2 つのオプションを使用します。これらのオプションでは、Windows XP コンピューターに存在していて Windows 7 コンピューターに存在しないローカル アカウントを作成して有効にするよう USMT に指示します。つまり、この例では、コマンドは次のようになります。

loadstate \\server\usershare /c /lac /lae /i:migapp.xml /i:migdocs.xml

このコマンドを実行すると、USMT により、MIG ファイルにキャプチャされているファイルと設定が適用されます (図 2 参照)。移行が完了したら、Windows 7 コンピューターをチェックして、すべての必要なファイルと設定が転送されていることを確認します。

MIG ファイルに格納されているファイルと設定は新しいコンピューターに適用されます

図 2 MIG ファイルに格納されているファイルと設定は新しいコンピューターに適用されます

この処理は、必要なオプションを指定して scanstate コマンドと loadstate コマンドを各クライアントで実行するバッチ ファイルや他の種類のスクリプトを作成して自動化できます。これらのスクリプトは、各コンピューターで設定を構成する前と後に実行します。

マイクロソフトでは、USMT を使用して、バッチ ファイルを設定する方法を紹介した役に立つオンライン ビデオを提供しています。また、TechNet ライブラリでは、USMT に関する詳細なユーザー ガイドも提供されています。

USMT は、Windows を移行するときにユーザーのファイルと設定を効率的に転送できる便利なユーティリティです。Windows 7 に移行する場合は、ぜひ、このユーティリティの使用を検討してみてください。

Lance Whitney

Lance Whitney は、ライターであり、IT コンサルタントであり、ソフトウェア トレーナーでもあります。Windows のワークステーションおよびサーバーをカスタマイズすることに数えきれないほどの時間を費やしてきました。元々はジャーナリストでしたが、1990 年代前半に IT 業界への転向を実現しました。

 

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