ツールボックス: IT プロフェッショナル向けの新製品

今月紹介するツールは、サーバーの可用性の監視と報告、複数のシステム間のキーボード入力とマウス入力のシームレスな切り替え、および帯域幅の測定に役立ちます。

Greg Steen

up.time

サーバーの稼働時間 (uptime) は、インフラストラクチャの信頼性とサービス性を割り出す普遍的な指標です。一方、ダウンタイムは、直接的にであれ間接的にであれ、利益の損失につながります。

このことを考えると、サーバーを監視して可用性を報告することは、IT プロフェッショナルの必須任務だと言っても過言ではありません。この作業に役立つツールに、Uptime Software Inc. から提供されている up.time があります。このツールでは、幅広いシステム、サービス、およびネットワーク装置のパフォーマンスと可用性に関するレポートを提供します。また、Windows Server だけではなく、複数の種類の Unix や Linux も監視できます。

Web アプリケーションと IIS、Apache、WebSphere、Tomcat などのサーバーを監視することも可能です。Oracle、MySQL、Sybase、Microsoft SQL Server などのデータベース サーバーと Microsoft Exchange Server やその他の電子メール サービスなどのアプリケーションを監視するエージェントもあります。DNS、FTP、簡易ネットワーク管理プロトコル (SNMP)、LDAP、SSH、ネットワーク ファイル サーバー (NFS) などの汎用サービスも監視できます。さらに、記憶域ネットワーク (SAN) を監視することも可能です。

インストーラーを使用してインストールが完了したら、システムを追加し、サービス モニターを構成し、サービスのしきい値の警告を追加することで、インフラストラクチャを監視するように up.time を構成する必要があります。up.time では複数のユーザーと役割がサポートされるので、さまざまなスタッフの配置に合わせてアプリケーションを調整できます。また、Active Directory と統合されるので、現在使用しているグループとユーザーの構造を認証と承認に使用することができます。

構成と監視はすべて、PHP ベースの up.time の Web ポータルで行います。IP アドレスの範囲やドメイン名に基づいた自動検出サービスを使用して、個々のシステムや複数のシステムを追加できます。up.time エージェント、Net-SNMP バージョン 2 か 3、または Windows Management Instrumentation (WMI) を使用して、システムを監視できます。大規模な組織では、監視するシステム、アプリケーション、およびデバイスをグループ化できます。また、ビューを追加し、頻繁に参照する論理クラスターにすばやくアクセスすることも可能です。さらに、up.time を使用してサービス レベル アグリーメント (SLA) に役立てることもできます。つまり、監視する期間と 1 日、1 週間、または 1 か月あたりの監視対象の割合に基づいて SLA を定義できます。

優れた監視ツールには、優れたレポート機能が必要です。up.time には、レポート生成のための構成およびカスタマイズ可能なスケジュール オプションが多数用意されており、すばやく問題を確認できるグラフィカルなダッシュボードもあります。障害と機能停止、パフォーマンスの履歴、総合的な可用性、および傾向についてのレポートもあります。レポートには、CPU 使用率、ディスク I/O、ネットワーク帯域幅の使用率、メモリ、ページングの統計などの詳細情報が含まれています。大規模な組織にとってのもう 1 つのすばらしい機能は、上位 X 番目までを報告する "top X" という種類のレポートが数多く用意されていることです。このレポートにより、問題のあるアプリケーションやシステムをすばやく特定できます。

サーバーとサービスだけでなく、仮想環境の監視にも up.time を使用することができます。たとえば、VMware ESX Server と AIX LPAR では、密度と容量のレポート、ワークロードのレポート、および動作の分析が可能です。レポートでは、使用可能な割合、使用中の割合、メモリ スワップの使用量、ディスク バスのリセットなどの指標が提供されます。

未加工の統計データを保存する月数を定義する、アーカイブ機能も組み込まれています。データを保存するリポジトリとしては、MySQL、Oracle、または Microsoft SQL Server を使用できます。up.time は Microsoft Windows に加えて Linux と Unix にもインストールできます (ただし、使いやすいグラフィカル インストーラーが提供されるのは Windows だけです)。また、up.time は、構成済みですぐに使用できる、ダウンロード可能なアプライアンスとしても利用可能です。

up.time のライセンスは、インストールする監視サーバーごとに入手する必要があります。Uptime Software Inc. の Web サイトから、30 日間の無償評価版が利用できます。複数のプラットフォームに対応した監視ソリューションが必要な場合は、up.time をご検討ください。

Synergy

おそらく、皆さんは、ご自分のデスクの近くに複数台のコンピューターを置いて、複数のタスクに追われているのではないかと思います。このようなときに、システム間でキーボードとマウスの操作を切り替えなければならないのは非常に面倒です。そこで、Synergy プロジェクトから提供されている Synergy のような、ソフトウェア ベースのキーボード/ビデオ/マウス (KVM) ツールがたいへん役に立ちます。Synergy は無償のオープン ソース アプリケーションで、1 台のマウスとキーボードを異なるコンピューターに接続された複数のモニターで簡単に使用できるようになります。

Synergy は複数のプラットフォームに対応しています。Windows デスクトップと Linux サーバー間、または Mac と Windows Server 間でマウスとキーボードの操作を切り替えられます。キーボードとマウスの信号を物理的に他のコンピューターに切り替える必要のあった従来の KVM と違い、Synergy を使用すると、1 台のマウスとキーボードを使用して、複数のコンピューター間を行き来できます。

使用する各コンピューターに Synergy をインストールします。キーボードとマウスが物理的に接続された 1 台はサーバーとして、他のコンピューターはクライアントとして使用します。マウスを現在のコンピューターのモニターと別のコンピューターのモニターの境界に移動すると、Synergy はマウスの動きとキー操作を移動先のコンピューターにネットワーク経由で転送します。アプリケーションの設定で既定のポートを構成できます。

Synergy では認証や暗号化が一切行われないので、クライアントのモニター名を把握していれば、どのコンピューターからでも別のコンピューターのモニターに接続できます。サーバーとクライアント間で転送されるデータはすべて暗号化されないため、キーストローク ロガーの被害を受ける可能性が高くなります。ですが、このツールを信頼できない環境で使用する場合に、システムを保護する方法はあります。標準的でそれほど難しくない SSH 経由のポート フォワーディングを行い、OpenSSH などの SSH サーバーとの接続を暗号化することでキー操作を保護できます。コンピューターに複数の NIC が搭載されている場合は、Synergy を特定のネットワーク インターフェイスにバインドするか、Synergy 専用のプライベート ワイヤード (有線) ネットワークをセットアップすることもできます。

Synergy は Windows システムのサービスとして (または Linux システムのデーモンとして) 動作します。コンピューターの起動時に、自動的にクライアントまたはサーバーを起動して、継続した通信を確保することができます。サーバーでは、複数のモニターを使用するときにモニターのレイアウトを選択するのと同じように、Synergy コンピューターのレイアウトを構成できます。

ショートカット キーを定義して、特定のモニターへの切り替え、特定の方向で次のモニターに切り替え、または特定のコンピューターにカーソルを固定することもできます。複数のキーボードの間を行き来している場合は、無償のオープン ソースアプリケーションである Synergy をご検討ください。このツールを使用すると、時間とデスク スペースを節約できます。

Iperf

ネットワークは、期待どおりのパフォーマンスを発揮していますか。他のコンピューターにファイルをコピーするのに、通常以上に時間がかかっていませんか。ネットワークをアップグレードしたばかりで、転送速度を確認する必要はありませんか。このような問題を調査して解決するのに役立つツールの 1 つが、無償で利用できるシンプルなオープン ソース アプリケーションの Iperf です。

Iperf は、エンドポイント間の TCP とユーザー データグラム プロトコル (UDP) 通信の最大帯域幅を測定するのに役立ちます。この "古いけれど役に立つ" コマンド ライン ユーティリティは、*nix ポートです。Windows で実行するには、ソースを自分でコンパイルするか、コンパイル済みのバージョンを見つける必要があります (コンパイル済みのバージョンは多数提供されています)。

Iperf は、サーバー/クライアント構成で設定されています。サーバーでは、指定されたポートで、Iperf クライアントからの TCP や UDP トラフィックについて、クライアントをリッスンします。実行を開始すると、サーバーとクライアント間で数多くのテスト ボリュームを転送し、それぞれのパスの最大帯域幅をレポートします。

テスト ポートの他にも多くの構成オプションがあります。TCP ではなく UDP の帯域幅のテスト、双方向テストの実行、およびファイル ソースや stdin からのテスト データの読み込みを選択することもできます。さらに、複数の並列クライアント スレッドを実行したり、TCP ウィンドウとセグメント サイズを定義したり、IPv6 ドメインを使用したりすることも可能です。

レポートの作成に関しては、CSV ファイルに出力をダンプしたり、レポートの形式を定義したり (Mbps、KB など)、帯域幅レポートの作成間隔 (秒単位) を定義したりすることが可能です。Iperf は、しばらく更新されていませんが、環境のボトルネックを見つけるには今でも非常に役に立ちます。

Greg Steen

Greg Steen は技術プロフェッショナルであり、企業家でもあります。また、新製品のファンであるとも言えます。より簡単な操作、品質保証、および開発に役立つ IT プロフェッショナルのための新しいツールを日夜追い求めています。

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