WinFX から .NET Framework 3.0 への名前変更について
要約 : WinFX の名称を .NET Framework 3.0 に変更します。
名前の変更によるWindows Vista および.NET Framework 自体の技術的な変更、およびリリース スケジュールの変更はありません。
解説 :
今回の名前変更は、特に開発者やユーザーからの強い要望に応えるために決定されました。
.NET Framework のリリースから 5 年が経過しようとしていますが、.NET Framework は開発・実行基盤として広く認知され、世界中の数多くのアプリケーションで利用されています。
さらにWindows Vista のリリースにあわせ、アプリケーションの可能性をさらに引き出すための基盤としてWinFX をリリースします。しかしWinFX は .NET Framework を置き換えるものではなく、.NET Framework を補完するものです。実際に WinFX はコア機能として .NET Framework を使用しています。しかし、.NET Framework からWinFX への流れは、開発者に連続性のない不自然な流れを思わせ、かつ WinFX と .NET Framework という2つの名前が存在することによって混乱を招く可能性がありました。
そこで、次世代フレームワークとしての位置づけをわかりやすく、かつ .NET Framework の継続を明確に示すために、WinFX の名称を .NET Framework 3.0 に変更することにしました。
ただし、この名前変更の影響によって、WinFX として提供を予定していたテクノロジに対する機能仕様やランタイムのリリース スケジュールの変更はありません。
同様に、名前変更の影響による Windows Vista の技術仕様およびリリース スケジュールの変更はありません。
.NET Framework 3.0 はWindows Vista に含まれます。
また、Windows Vista のリリースと同時に Windows XP, Windows Server 2003 向けの .NET Framework 3.0 ランタイムの提供を行います。
また、これまでコードネーム "InfoCard" と呼ばれていたテクノロジは、Windows CardSpace (WCS) と名前が変更されます。
技術的な補足 :
技術的な観点で言えば、WinFX の構成と .NET Framework 3.0 の構成はまったく同一です。(図 1)
つまり、.NET Framework 3.0 は、
.NET Framework 2.0 (ASP.NET, ADO.NET, 基本クラス ライブラリ, Common Language Runtime (CLR) など)
WinFX でリリースを予定していた新しいテクノロジ (WPF, WCF, WF, WCF (*1)) より構成されます。
(*1) 略称
WPF : Windows Presentation Foundation
WCF : Windows Communication Foundation
WF : Windows Workflow Foundation
WCS : Windows CardSpace (コードネーム "InfoCard")
図 1 : WinFX と .NET Framework 3.0 の構成の対比