■ アップグレードレポートとアップグレードコメント
- アップグレードレポート
- アップグレードに関する情報の一覧
- 重大度レベルとオンラインヘルプへのリンク
- アップグレードコメント
- コード内に挿入
- 重大度レベルとオンラインヘルプへのリンク
- タスクリストに表示
Visual Basic 6.0 のグラフィック関連の標準コントロール (Line コントロールや Shape コントロール) は、Visual Basic .NET では使えません。これらのコントロールは、できる限り他のコントロールに置き換えられますが、適切にアップグレードできない場合は、赤色のラベルになって警告されます。
たとえば、Line コントロールを利用している場合、アップグレードウィザードでアップグレードすると、垂直/水平線は、幅/高さが 0 の Label コントロールに置き換わります。また、斜めの Line コントロールは、同じ幅と高さを持つ赤色のラベルに変わります (図 10)。
そして、このとき、アップグレードレポート (_UpgradeReport.htm) がプロジェクトに追加されます (図 11) 。アップグレードレポートには、アップグレードに関する全般的な情報や、アップグレードされたもの、されなかったものとその重大度レベル、さらに、適切にアップグレードするためになにをすればよいのか?などのアドバイスが提示されます。また、ここに表示されるオンラインヘルプへのリンクをクリックして、より詳細なヘルプを表示することもできます。
これらのサポートにより、スムーズにコードを編集することができます。
図 10:Line コントロールは Label コントロールに
コード中に、次のようなアップグレードコメントが挿入される場合もあります。コメントには、重大度レベルや、アドバイス、オンラインヘルプへのリンク情報が含まれます。
'UPGRADE_ISSUE: Line プロパティ Line1.BorderWidth はランタイムでサポートされません。詳細については、ms-help://MS.MSDNVS.1041/vbcon/html/vbup2066.htm をクリックしてください。 |
アップグレードコメントの重大度レベルは 4 通りあります。以下にそれらコメントを重大度の高い順に示します。「」 内は、アップグレードレポート上に表示されるタイトルです。
【UPGRADE_ISSUE】 「コンパイルエラー」
- 修正が必要であり、このままではコンパイルエラーになるような致命的なコード
(例) LSet x = y
【UPGRADE_TODO】 「ToDo」
- 仕上げが必要なコード
(例) API にマーシャリングする属性を追加する必要があるコード
【UPGRADE_WARNING】「実行時の警告」
- 必要に応じて、コードを変更するとよいコード
(例) 「Dim a(10 to 20) As String」 が 「Dim a(20) As String」 に変更されたとき (このままでは、無駄が生じそうだというとき)
【UPGRADE_NOTE】
- 変更が必要かどうかを検討すべきコード (レポートには表示されない)
(例) レガシー機能を利用していたが適切に対応するものにアップグレードできたとき
タスクリストで 「コメントを表示する」 に設定すると上記のコメントがタスクリストに表示されます。
なお、デザインエラーのように、アップグレードレポートにのみ表示され、コメントとしては追加されないものもあります。
以上のようなさまざまなツールが、Visual Basic 6.0 から Visual Basic .NET へのスムーズな移行作業をサポートしてくれます。
図 11:アップグレードレポートがプロジェクトに追加される