チュートリアル : WPF デザイナでの簡単な WPF アプリケーションの作成
更新 : 2007 年 11 月
このチュートリアルでは、WPF デザイナで簡単な WPF (Windows Presentation Foundation) アプリケーションを作成する方法を示します。
このチュートリアルでは次のタスクを行います。
プロジェクトを作成する。
レイアウトを作成する。
レイアウトにコントロールを追加する。
レイアウト関連のプロパティを設定する。
データ ソースを作成する。
データ ソースに接続する。
コントロールのプロパティをバインドする。
ファイル システムを検索できる簡単なアプリケーションを作成します。アプリケーションのユーザー インターフェイスは、XAML (Extensible Application Markup Language) で実装します。詳細については、「XAML」を参照してください。最終的なアプリケーションを次の図に示します。
メモ : |
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使用している設定またはエディションによっては、ヘルプの記載と異なるダイアログ ボックスやメニュー コマンドが表示される場合があります。設定を変更するには、[ツール] メニューの [設定のインポートとエクスポート] をクリックします。詳細については、「Visual Studio の設定」を参照してください。 |
必要条件
このチュートリアルを完了するには、次のコンポーネントが必要です。
- Visual Studio 2008。
プロジェクトの作成
最初にアプリケーションのプロジェクトを作成します。
プロジェクトを作成するには
Visual Basic または Visual C# で FolderExplorer という名前の新しい WPF アプリケーション プロジェクトを作成します。詳細については、「方法 : 新しい WPF アプリケーション プロジェクトを作成する」を参照してください。
WPF デザイナで Window1.xaml が開きます。
デザイン ビューでウィンドウを選択します。詳細については、「方法 : デザイン画面上で要素を選択して移動する」を参照してください。
[プロパティ] ウィンドウで、Title プロパティの値を Folder Explorer に設定します。
レイアウトの作成
レイアウトは、アプリケーションのメイン ウィンドウでのコントロールの配置を定義します。ここでは、アプリケーションのコントロールが含まれるレイアウト要素を作成する方法を示します。
レイアウトを作成するには
ウィンドウ上のルート Grid コントロールを選択します。
グリッドに 2 つ目の行を追加します。詳細については、「方法 : グリッドに行と列を追加する」を参照してください。
グリッドに 2 つ目の列を追加します。
レイアウトへのコントロールの追加
レイアウトを定義したら、ここにコントロールを配置できます。[ツールボックス] で、配置するコントロールをクリックし、デザイン サーフェイスにドラッグします。
レイアウトにコントロールを追加するには
[ツールボックス] から、TreeView コントロールをグリッドの最初のセルにドラッグします。必要に応じてコントロールのサイズを変更します。
[ツールボックス] から、ListView コントロールを、グリッドの最初の行と 2 つ目の列を占めるセルにドラッグします。必要に応じてコントロールのサイズを変更します。
[ツールボックス] から、ListView コントロールを、グリッドの 2 つ目の行と 2 つ目の列を占めるセルにドラッグします。必要に応じてコントロールのサイズを変更します。
レイアウト関連のプロパティの設定
ここでは、コントロールのレイアウト関連のプロパティを設定する方法を示します。各コントロールのプロパティを設定したら、レイアウトは最終的なアプリケーションの図とほぼ同じになります。
レイアウト関連のプロパティを設定するには
TreeView コントロールを選択します。
以下に示すように、[プロパティ] ウィンドウで、次のプロパティを設定します。
プロパティ
値
Grid.ColumnSpan
1
Grid.RowSpan
2
Height
Auto
HorizontalAlignment
Stretch
Margin
0,0,0,0
VerticalAlignment
Stretch
Width
Auto
TreeView コントロールは、最初のグリッド列に収まり、2 つのグリッド行を占めるサイズになります。
両方の ListView コントロールを選択します。
以下に示すように、[プロパティ] ウィンドウで、次のプロパティを設定します。
プロパティ
値
Grid.ColumnSpan
1
Grid.RowSpan
1
Height
Auto
HorizontalAlignment
Stretch
Margin
0,0,0,0
VerticalAlignment
Stretch
Width
Auto
ListView コントロールは、各グリッド セルに収まるサイズになります。
[ドキュメント アウトライン] ウィンドウで、グリッドの ColumnDefinitions ノードを展開します。詳細については、「WPF ドキュメントの要素階層内の移動」を参照してください。
最初の ColumnDefinition 項目を選択します。
[プロパティ] ウィンドウで、Width プロパティを * に設定します。
[ドキュメント アウトライン] ウィンドウで、2 番目の ColumnDefinition を選択します。
[プロパティ] ウィンドウで、Width プロパティを 2* に設定します。
列のサイズが変更され、1 番目の列はウィンドウ幅の 3 分の 1、2 番目の列はウィンドウ幅の 3 分の 2 を占めます。
[ドキュメント アウトライン] ウィンドウで、グリッドの RowDefinitions ノードを展開します。
最初の RowDefinition 項目を選択します。
[プロパティ] ウィンドウで、Height プロパティを * に設定します。
[ドキュメント アウトライン] ウィンドウで、2 番目の RowDefinition を選択します。
[プロパティ] ウィンドウで、Height プロパティを * に設定します。
行のサイズが変更され、各行がウィンドウの高さの半分を占めます。
プロジェクトをビルドして実行します。
ウィンドウのサイズを変更して、TreeView コントロールおよび ListView コントロールのサイズが動的に変わることを確認します。
データ ソースの作成
FolderExplorer アプリケーションのデータ ソースは Folder という名前のクラスです。このクラスは、シンプルなモデルのファイル システムを提供します。各 Folder インスタンスが SubFolders コレクションと Files コレクションを持ちます。
データ ソースを作成するには
Folder という名前の新しいクラスを FolderExplorer プロジェクトに追加します。詳細については、「方法 : 新しいプロジェクト項目を追加する」を参照してください。
この Folder ソース コード ファイルの内容を次のコードに置き換えます。
Imports System Imports System.IO Imports System.Linq Imports System.Collections.Generic Imports System.Collections.ObjectModel Imports System.Text Public Class Folder Private _folder As DirectoryInfo Private _subFolders As ObservableCollection(Of Folder) Private _files As ObservableCollection(Of FileInfo) Public Sub New() Me.FullPath = "c:\" End Sub 'New Public ReadOnly Property Name() As String Get Return Me._folder.Name End Get End Property Public Property FullPath() As String Get Return Me._folder.FullName End Get Set If Directory.Exists(value) Then Me._folder = New DirectoryInfo(value) Else Throw New ArgumentException("must exist", "fullPath") End If End Set End Property ReadOnly Property Files() As ObservableCollection(Of FileInfo) Get If Me._files Is Nothing Then Me._files = New ObservableCollection(Of FileInfo) Dim fi As FileInfo() = Me._folder.GetFiles() Dim i As Integer For i = 0 To fi.Length - 1 Me._files.Add(fi(i)) Next i End If Return Me._files End Get End Property ReadOnly Property SubFolders() As ObservableCollection(Of Folder) Get If Me._subFolders Is Nothing Then Try Me._subFolders = New ObservableCollection(Of Folder) Dim di As DirectoryInfo() = Me._folder.GetDirectories() Dim i As Integer For i = 0 To di.Length - 1 Dim newFolder As New Folder() newFolder.FullPath = di(i).FullName Me._subFolders.Add(newFolder) Next i Catch ex As Exception System.Diagnostics.Trace.WriteLine(ex.Message) End Try End If Return Me._subFolders End Get End Property End Class
using System; using System.IO; using System.Linq; using System.Collections.Generic; using System.Collections.ObjectModel; using System.Text; namespace FolderExplorer { public class Folder { private DirectoryInfo _folder; private ObservableCollection<Folder> _subFolders; private ObservableCollection<FileInfo> _files; public Folder() { this.FullPath = @"c:\"; } public string Name { get { return this._folder.Name; } } public string FullPath { get { return this._folder.FullName; } set { if (Directory.Exists(value)) { this._folder = new DirectoryInfo(value); } else { throw new ArgumentException("must exist", "fullPath"); } } } public ObservableCollection<FileInfo> Files { get { if (this._files == null) { this._files = new ObservableCollection<FileInfo>(); FileInfo[] fi = this._folder.GetFiles(); for (int i = 0; i < fi.Length; i++) { this._files.Add(fi[i]); } } return this._files; } } public ObservableCollection<Folder> SubFolders { get { if (this._subFolders == null) { this._subFolders = new ObservableCollection<Folder>(); DirectoryInfo[] di = this._folder.GetDirectories(); for (int i = 0; i < di.Length; i++) { Folder newFolder = new Folder(); newFolder.FullPath = di[i].FullName; this._subFolders.Add(newFolder); } } return this._subFolders; } } } }
データ ソースへの接続
WPF コントロールは、データ バインディングによりデータ ソースと接続します。ここでは、ObjectDataProvider を宣言し、バインドする方法を示します。
データ ソースに接続するには
WPF デザイナで Window1.xaml を開きます。
XAML ビューで、別の xmlns 割り当てにより、次の XAML を <Window> タグに挿入します。詳細については、「方法 : 名前空間を XAML にインポートする」を参照してください。
xmlns:my="clr-namespace:FolderExplorer"
次の XAML を開始 <Window> タグの後で開始 <Grid> タグの前に挿入します。
<Window.Resources> <ObjectDataProvider x:Key="RootFolderDataProvider" > <ObjectDataProvider.ObjectInstance> <my:Folder FullPath="c:\"/> </ObjectDataProvider.ObjectInstance> </ObjectDataProvider> <HierarchicalDataTemplate DataType = "{x:Type my:Folder}" ItemsSource = "{Binding Path=SubFolders}"> <TextBlock Text="{Binding Path=Name}" /> </HierarchicalDataTemplate> </Window.Resources>
<Window.Resources> <ObjectDataProvider x:Key="RootFolderDataProvider" > <ObjectDataProvider.ObjectInstance> <my:Folder FullPath="c:\"/> </ObjectDataProvider.ObjectInstance> </ObjectDataProvider> <HierarchicalDataTemplate DataType = "{x:Type my:Folder}" ItemsSource = "{Binding Path=SubFolders}"> <TextBlock Text="{Binding Path=Name}" /> </HierarchicalDataTemplate> </Window.Resources>
<TreeView> タグを次の XAML に置き換えます。
<TreeView Grid.ColumnSpan="1" Grid.RowSpan="2" Margin="0,0,0,0" Name="treeView1" > <TreeViewItem ItemsSource="{Binding Path=SubFolders, Source={StaticResource RootFolderDataProvider}}" Header="Folders" /> </TreeView>
<TreeView Grid.ColumnSpan="1" Grid.RowSpan="2" Margin="0,0,0,0" Name="treeView1" > <TreeViewItem ItemsSource="{Binding Path=SubFolders, Source={StaticResource RootFolderDataProvider}}" Header="Folders" /> </TreeView>
コントロールのプロパティのバインディング
コントロールのプロパティを別のコントロールにバインドして、自動プロパティ更新を有効にします。
コントロールのプロパティをバインドするには
XAML ビューで、両方の <ListView> タグを次の XAML に置き換えます。
<ListView Name="listView1" ItemsSource="{Binding Path=SelectedItem.SubFolders, ElementName=treeView1, Mode=OneWay}" Grid.Column="1" Grid.RowSpan="1" /> <ListView Name="listView2" ItemsSource="{Binding Path=SelectedItem.Files, ElementName=treeView1, Mode=OneWay}" Grid.Column="1" Grid.Row="1" />
<ListView Name="listView1" ItemsSource="{Binding Path=SelectedItem.SubFolders, ElementName=treeView1, Mode=OneWay}" Grid.Column="1" Grid.RowSpan="1" /> <ListView Name="listView2" ItemsSource="{Binding Path=SelectedItem.Files, ElementName=treeView1, Mode=OneWay}" Grid.Column="1" Grid.Row="1" />
プロジェクトをビルドして実行します。
Folders アイテムを展開し、ルート フォルダを開きます。サブフォルダをクリックし、2 つの ListView コントロールの内容を確認してみてください。サブフォルダは上の ListView コントロールに表示され、ファイルは下の ListView コントロールに表示されます。
次の手順
現在、FolderExplorer アプリケーションが既定のスタイルで表示されています。独自のスタイルを適用して、アプリケーションの外観と動作を変更できます。
Visual Studio には、WPF アプリケーションをデバッグするためのツールが数多く用意されています。詳細については、「チュートリアル : デザイン時の WPF カスタム コントロールのデバッグ」を参照してください。
参照
処理手順
チュートリアル : デザイン時の WPF カスタム コントロールのデバッグ
概念
分割ビュー : WPF デザイン サーフェイスと XAML を同時に表示する