XML ファイルの処理 (C# プログラミング ガイド)

更新 : 2007 年 11 月

コンパイラは、ドキュメントを生成するためにタグ付けされたコードの構成体ごとに、ID 文字列を生成します。コードにタグを付ける方法については、「ドキュメント コメントとして推奨されるタグ」を参照してください。ID 文字列によって、構成体は一意に識別されます。XML ファイルを処理するプログラムは、ID 文字列を使用して、ドキュメントの適用対象となる .NET Framework メタデータ/リフレクション項目を識別できます。

XML ファイルは、コードの階層的表現ではなく、要素ごとに生成された ID のあるフラットなリストです。

コンパイラは、次の規則に基づいて ID 文字列を生成します。

  • 空白は含めません。

  • ID 文字列の最初の部分には、単一の文字とコロンで識別されるメンバの種類を示します。使用されるメンバ型は次のとおりです。

    文字

    説明

    N

    名前空間

    名前空間にはドキュメント コメントを追加できませんが、サポートされている場合は、ドキュメント コメントへの cref 参照を作成できます。

    T

    型 : class、interface、struct、enum、delegate

    F

    フィールド

    P

    プロパティ (インデクサまたはその他のインデックス付きプロパティを含む)

    M

    メソッド (コンストラクタ、演算子などの特殊なメソッドを含む)

    E

    イベント

    !

    エラー文字列

    エラーに続く文字列で、エラーの内容を示します。C# コンパイラは、解決できないリンクについてのエラー情報を生成します。

  • 文字列の 2 番目の部分は、項目の完全限定名です。名前は、名前空間のルートから始まります。項目の名前、項目が含まれている型、および名前空間は、ピリオドで区切られます。名前自体にピリオドがある場合、名前のピリオドはハッシュ記号 ('#') に置き換えられます。項目の名前にはハッシュ記号がないことが前提です。たとえば、String コンストラクタの完全限定名は、"System.String.#ctor" になります。

  • プロパティおよびメソッドについては、メソッドに引数がある場合は、引数のリストをかっこで囲み、メソッドに続けて指定します。引数がない場合は、かっこはありません。引数の区切り文字には、コンマを使用します。各引数のエンコードは、次に示す .NET Framework のシグネチャでの引数のエンコーディング方法にそのまま従います。

    • 基本型。通常の型 (ELEMENT_TYPE_CLASS または ELEMENT_TYPE_VALUETYPE) は、型の完全限定名で表されます。

    • ELEMENT_TYPE_I4、ELEMENT_TYPE_OBJECT、ELEMENT_TYPE_STRING、ELEMENT_TYPE_TYPEDBYREF、ELEMENT_TYPE_VOID など、組み込みの型は、対応する完全な型の完全限定名で表されます。たとえば、System.Int32 や System.TypedReference です。

    • ELEMENT_TYPE_PTR は、修飾される型に続けて '*' と表されます。

    • ELEMENT_TYPE_BYREF は、修飾される型に続けて '@' と表されます。

    • ELEMENT_TYPE_PINNED は、修飾される型に続けて '^' と表されます。C# コンパイラでは生成されません。

    • ELEMENT_TYPE_CMOD_REQ は、修飾される型に続けて "|" と修飾子クラスの完全限定名で表されます。C# コンパイラでは生成されません。

    • ELEMENT_TYPE_CMOD_OPT は、修飾される型に続けて '!' と修飾子クラスの完全限定名で表されます。

    • ELEMENT_TYPE_SZARRAY は、配列の要素型に続けて "[]" と表されます。

    • ELEMENT_TYPE_GENERICARRAY は、配列の要素型に続けて "[?]" と表されます。C# コンパイラでは生成されません。

    • ELEMENT_TYPE_ARRAY は、[lowerbound:size,lowerbound:size] の形式で表されます。ここで、コンマの個数はランク -1 個であり、各次元の下限とサイズは明らかな場合は、10 進数で表されます。下限またはサイズを、指定しない場合は省略します。特定の次元で下限およびサイズが省略されている場合は、その次元の ':' も省略されます。たとえば、ある 2 次元配列の下限が 1 で、サイズの指定がない場合は、[1:,1:] と表されます。

    • ELEMENT_TYPE_FNPTR は、"=FUNC:type(signature)" と表されます。ここで、type は戻り値の型であり、signature はメソッドの引数です。引数がない場合は、かっこが省略されます。C# コンパイラでは生成されません。

    次に示すシグネチャ コンポーネントは、オーバーロードされるメソッドの区別には使用されることがないため、表されません。

    • 呼び出し規約

    • 戻り値の型

    • ELEMENT_TYPE_SENTINEL

  • 変換演算子 (op_Implicit および op_Explicit) だけは、上記のエンコードと同様に、メソッドの戻り値が '~' としてエンコードされ、それに続けて戻り値の型が表されます。

  • ジェネリック型では、型の名前の後に、バック チック (`)、ジェネリック型パラメータの数を示す数値が順に続きます。この例を次に示します。

    <member name="T:SampleClass`2"> は、public class SampleClass<T, U> として定義されている型のタグです。

    パラメータとしてジェネリック型を受け取るメソッドでは、ジェネリック型パラメータは、バック チック付きの数値 (`0、`1 など) として指定されます。各数値は、型のジェネリック パラメータに対する、インデックス番号が 0 から始まる配列表記を表しています。

クラスおよびそのメンバの ID 文字列が生成される例を次に示します。

///
///
namespace N  // "N:N"
{
    ///
    ///
    public unsafe class X    // "T:N.X"
    {
        public X(){}
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "M:N.X.#ctor"


        /// <param name="i"></param>
        public X(int i){}
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "M:N.X.#ctor(System.Int32)"


        ~X(){}
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "M:N.X.Finalize", destructor's representation in metadata


        public string q;
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "F:N.X.q"


        /// <returns></returns>
        public const double PI = 3.14;
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "F:N.X.PI"


        /// <param name="s"></param>
        /// <param name="y"></param>
        /// <param name="z"></param>
        /// <returns></returns>
        public int f(){return 1;}
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "M:N.X.f"


        /// <param name="array1"></param>
        /// <param name="array"></param>
        /// <returns></returns>
        public int bb(string s, ref int y, void * z){return 1;}
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "M:N.X.bb(System.String,System.Int32@,=System.Void*)"


        /// <param name="x"></param>
        /// <param name="xx"></param>
        /// <returns></returns>
        public int gg(short[] array1, int[,] array){return 0;} 
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "M:N.X.gg(System.Int16[], System.Int32[0:,0:])"


        public static X operator+(X x, X xx){return x;}
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "M:N.X.op_Addition(N.X,N.X)"


        public int prop {get{return 1;} set{}}
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "P:N.X.prop"


        public event D d;
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "E:N.X.d"


        public int this[string s]{get{return 1;}}
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "P:N.X.Item(System.String)"


        public class Nested{}
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "T:N.X.Nested"


        public delegate void D(int i);
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "T:N.X.D"


        /// <param name="x"></param>
        /// <returns></returns>
        public static explicit operator int(X x){return 1;} 
        //----------------------------
        // The result of the above is:
        // "M:N.X.op_Explicit(N.X)~System.Int32"
    }
}

参照

処理手順

XML ドキュメントのサンプル

概念

C# プログラミング ガイド

参照

/doc (ドキュメント コメントの処理) (C# コンパイラ オプション)

XML ドキュメント コメント (C# プログラミング ガイド)