次の方法で共有

Office ソリューションのアップグレードと移行

  • [アーティクル]

更新 : 2007 年 11 月

プロジェクトを Visual Studio Tools for Office Version 2003 および Microsoft Visual Studio 2005 Tools for the Microsoft Office System から Visual Studio Tools for the Office System 3.0 にアップグレードするには、Visual Studio 変換ウィザードを使用します。Microsoft Office ソリューションをアップグレードするには、Visual Studio Tools for the Office System 3.0 がインストールされている Visual Studio でソリューションを開きます。Visual Studio 変換ウィザードが表示されます。指示に従ってアップグレード処理を完了してください。詳細については、「方法 : Visual Studio Tools for Office ソリューションをアップグレードする」を参照してください。

このウィザードを実行しても、作成したコードは変更されません。Outlook 2003 アドイン プロジェクトをアップグレードする場合は、コードの手動での更新が必要になることがあります。詳細については、「Outlook プロジェクト」を参照してください。

アセンブリ参照

Visual Studio 変換ウィザードでは、プロジェクト ファイルと共に、ソリューションのメイン Microsoft Office アプリケーションのプライマリ相互運用機能アセンブリへの参照もアップグレードされます。さらに、依存アセンブリの新バージョンまたは更新バージョンへの参照も追加されます。ただし、元のプロジェクトを作成した後で手動で追加したアセンブリの新バージョンまたは更新バージョンへの参照は追加されません。

たとえば、ヘルパー メソッド アセンブリと PowerPoint プライマリ相互運用機能アセンブリへの参照が含まれる Word 2003 アドイン プロジェクトをアップグレードすると、Visual Studio 変換ウィザードにより、Word プライマリ相互運用機能アセンブリおよびヘルパー メソッド アセンブリへの参照は正しく更新されます。ただし、PowerPoint プライマリ相互運用機能アセンブリへの参照は手動で更新する必要があります。

バージョンのアップグレード

2007 Microsoft Office system がインストールされている場合、Visual Studio 変換ウィザードを実行すると、既定では Microsoft Office 2003 プロジェクトが 2007 Microsoft Office system プロジェクトにアップグレードされます。ただし、ドキュメント レベルのカスタマイズとアプリケーション レベルのアドインではアップグレードの手順が異なります。

ドキュメント レベルのカスタマイズ プロジェクト

ドキュメント レベルのカスタマイズをアップグレードする場合は、ウィザードによるプロジェクト バージョンのアップグレードを回避することはできません。これは、ドキュメント レベルのカスタマイズを開くと表示されるデザイナが現在インストールされている Office のバージョンを使用するためです。プロジェクトは、インストールされている Office のバージョンと一致する場合のみデザイナで開くことができます。

ドキュメント レベルのカスタマイズ プロジェクトをアップグレードするためには、適切な Office アプリケーションがインストールされている必要があります。たとえば、コンピュータに Word 2003 または Word 2007 がインストールされていれば、Word 2003 のドキュメント レベルのカスタマイズ プロジェクトをアップグレードできます。

2007 Microsoft Office system がインストールされている場合、Visual Studio 変換ウィザードでは、ドキュメントをオープン XML 形式に変換するかどうかを指定する必要があります。元の形式を使用する特別な理由がある場合を除き、ドキュメントの形式を変換してください。ドキュメント形式の詳細については、「新しいファイル名拡張子および Open XML 形式入門」を参照してください。

Microsoft Office 2003 がインストールされている場合にプロジェクトをアップグレードすると、そのプロジェクトでは対象とするバージョンとして引き続き Microsoft Office 2003 を使用でき、ドキュメントの形式は変換されません。

Visual Studio Tools for Office Version 2003 を使用して作成したドキュメント レベルのプロジェクトをアップグレードする場合は、一部のアップグレード手順を手動で行う必要があります。詳細については、「Visual Studio Tools for Office Version 2003 のアップグレード」を参照してください。

アプリケーション レベルのアドイン プロジェクト

2007 Microsoft Office system がインストールされていて、Visual Studio 変換ウィザードでバージョン 2003 のアドイン プロジェクトをバージョン 2007 にアップグレードしない場合は、Office 2003 プロジェクトが変換されないように既定の動作を変更できます。Office の 2007 リリースは Office 2003 アドインをホストできるため、Microsoft Office 2003 をインストールしていなくても、Office 2003 アドイン プロジェクトを開発、コンパイル、テストすることができます。[プロジェクトのアップグレード] オプション ページで [インストールされている Office のバージョンに常にアップグレードする] オプションをオフにします。詳細については、「[プロジェクトのアップグレード] ([オプション] ダイアログ ボックス)」を参照してください。

Visual Studio 変換ウィザードでは、アドイン プロジェクトに以前のバージョンの Office との互換性を持たせることはできません。そのため、Office 2003 をインストールしていて、バージョン 2007 のアドイン プロジェクトをアップグレードした場合、プロジェクトはアップグレードの完了後もバージョン 2007 のアドイン プロジェクトのままです。このプロジェクトを開き、アドインを開発し、コードをコンパイルできます。ただし、Office 2003 はバージョン 2007 のアドインをホストしないため、開発したアドインをテストすることはできません。

アプリケーション レベルのアドイン プロジェクトをアップグレードする場合は、Microsoft Office がインストールされている必要はありません。

Outlook プロジェクト

Outlook 2003 アドイン プロジェクトをアップグレードする場合は、ホスト項目クラスの名前を更新し、Microsoft.Office.Interop.Outlook.Application オブジェクトへの参照を更新する必要があります。

k2xkefex.alert_note(ja-jp,VS.90).gifメモ :

Microsoft Visual Studio 2005 Tools for the 2007 Microsoft Office System (VSTO 2005 SE) プロジェクト テンプレートを使用して作成したプロジェクトを更新する必要はありません。

ホスト項目クラス名

Visual Studio 変換ウィザードでは、ホスト項目クラスの名前は更新されません。ホスト項目クラス名は ThisApplication のままです。この名前を変更する必要はありません。ただし、Visual Studio Tools for the Office System 3.0 ヘルプ ドキュメントのコード例ではホスト項目クラス名として ThisAddIn を使用しています。コードのテストを容易にするために、コードをコピーしてプロジェクトに貼り付ける場合は、ホスト項目クラス名を ThisAddIn に変更し、この名前の変更をプロジェクト全体にリファクタリングできます。C# プロジェクトのコードをリファクタリングする方法の詳細については、「方法 : 識別子の名前を変更する」を参照してください。Visual Basic プロジェクトのコードをリファクタリングする方法の詳細については、「方法 : 識別子の名前を変更する」を参照してください。

アプリケーション オブジェクトへの参照

Visual Studio 変換ウィザードでは、コードは変更されません。そのため、次のいずれかの手法を使用するすべてのコードを Microsoft.Office.Interop.Outlook.Application オブジェクトにアクセスするように手動で変更する必要があります。

  • ThisApplication クラス内の this キーワード (C# の場合) または Me キーワード (Visual Basic の場合)

  • ThisApplication クラスの外側のコード内の Globals.ThisApplication オブジェクト

たとえば、ThisApplication クラスに次のコードが含まれている場合は、次のように変更する必要があります。

Me.ActiveExplorer()

this.ActiveExplorer();

アップグレードしたプロジェクトでは、上記のコードの代わりに次のコードを使用します。

Me.Application.ActiveExplorer()

This.Application.ActiveExplorer();

Microsoft Visual Studio 2005 Tools for the Microsoft Office System プロジェクト内の ThisApplication ホスト項目クラスは、Microsoft.Office.Tools.Outlook.Application クラスを直接継承します。これに対し、Visual Studio Tools for the Office System 3.0 プロジェクト内の ThisAddIn ホスト項目クラスは、Microsoft.Office.Tools.Outlook.Application を継承しません。代わりに、このホスト項目クラスの Application プロパティを使用して、アクティブなアプリケーション オブジェクトを参照します。

Microsoft Office の 2007 バージョンへのアップグレード

Visual Studio Tools for Office プロジェクトをアップグレードした後で、Microsoft Office の 2007 バージョンにアップグレードすると、次にプロジェクトを開いたときに Visual Studio 変換ウィザードが表示されます。

Office 2003 がインストールされているときにアップグレードしなかった Office 2007 バージョン用のアドイン プロジェクトを実行でき、Visual Studio で F5 キーまたは Ctrl + F5 キーを押してテストできます。

参照

処理手順

方法 : Visual Studio Tools for Office ソリューションをアップグレードする

概念

Visual Studio Tools for Office Version 2003 のアップグレード

参照

[プロジェクトのアップグレード] ([オプション] ダイアログ ボックス)