チュートリアル : Microsoft Project の要件に基づく作業分割構造の作成
更新 : 2007 年 11 月
プロジェクト計画では、実行する作業のスコープを定義する必要があります。プロジェクト マネージャが使用するツールは、作業分割構造 (WBS) です。このチュートリアルでは、Team Foundation Server と Microsoft Project を使用した WBS の一般的な作成方法を紹介します。
このチュートリアルは、特定の開発方式に基づいていません。ただし、MSF for Agile Software Development プロセス テンプレートのサービス品質要求、およびタスクという作業項目の種類を使用します。このチュートリアルで使用するアプローチは、どの組織の作業項目の種類やプロセスにも適応するはずです。
このチュートリアルでは次のタスクを行います。
Team Foundation Server を使用して要件を作成する。
Team Foundation Server を使用してタスクを作成する。
Microsoft Project を使用してタスクを作成する。
タスクと要件をリンクさせる。
Microsoft Office Project 2003 のタスクから作業分割構造を作成する。
前提条件
このチュートリアルを行うには、以下の条件を満たしている必要があります。
Microsoft Project がインストール済みである必要があります。
MSF for Agile Software Development プロセス テンプレートを使用したチーム プロジェクトが作成されていること。
メモ : 学習用のチーム プロジェクトを作成してください。実際のプロジェクト用に作成されたチーム プロジェクトを使用しないでください。
チーム プロジェクトの Contributor セキュリティ グループのメンバであること。
オプションの実習を行うには、Microsoft Visio がインストールされている必要があります。
必要なアクセス許可
このチュートリアルを実行するには、Contributors グループのメンバであるか、または [このノードの作業項目を表示します] および [このノードの作業項目を編集します] のアクセス許可が [許可] に設定されている必要があります。詳細については、「Team Foundation Server のアクセス許可」を参照してください。
シナリオ
このチュートリアルのシナリオは、Adventure Works チーム プロジェクトの例がベースになっています。Adventure Works は自社製品の注文用に Web インターフェイスをセットアップするプロジェクトを開始しようとしています。顧客要件には、顧客が注文を作成した後に注文の状態をチェックできることが含まれます。プロジェクト計画を実現可能にするために、この作業のスコープを作業分割構造に十分なレベルまで詳細に定義する必要があります。
Adventure Works では以下のアプローチを使用します。プロジェクト マネージャは WBS を作成する必要があり、チームの協力を得てこれを行います。チームのあるメンバはデータベースのエキスパートであり、新しい要件をサポートするにはデータベースに何が必要かについて詳細な情報を提供します。このメンバは Team Foundation Server を使用して、自分の作業の詳細を入力します。
プロジェクト マネージャは他のチーム メンバと協力し、Web インターフェイスの完成に必要な追加の作業を定義します。次に、プロジェクト マネージャはそれらの詳細情報を Microsoft Project を使って入力します。
最後に、プロジェクト マネージャはプロジェクト計画の文書で使用する WBS を Microsoft Visio で作成します。
このチュートリアルでは、タスクと WBS を作成するために各役割の手順を実行します。このチュートリアルを完了したとき、以下のタスクとサブタスクが、ガント チャートおよび WBS に作成されています。
注文ストレージ サブシステム
注文テーブル
注文ストアド プロシージャ
注文 Web インターフェイス
注文検索 Web サービス
クライアント注文ビュー
要件の確認
最初に、ビジネス アナリストが Team Foundation Server で要件を作成します。要件のタイトルは、「ユーザーが注文状況を参照できることが必要」です。また、この要件を満たすために実行すべき作業をチームで決定します。
Team Foundation Server で要件を入力するには
Visual Studio を起動します。チーム エクスプローラが表示されることを確認します。[表示] メニューの [チーム エクスプローラ] をクリックします。
チーム プロジェクトのノードを展開し、[作業項目] ノードを右クリックし、[作業項目の追加] をポイントして、[サービス品質要求] をクリックします。
[タイトル] フィールドに、「ユーザーが注文状況を参照できることが必要」と入力します。
[型] フィールドの [その他] を選択します。
[ファイル] メニューの [新しいサービス品質要求の保存] をクリックします。
Team Foundation でのタスクの作成
チームのデータベース エキスパートが、作業の詳細を入力するようにプロジェクト マネージャに依頼されました。このエキスパートは Team Foundation Server で作業することを希望しているため、データベースで必要な作業を記述するタスクを作成します。作成するタスクは「注文テーブル」と「注文ストアド プロシージャ」です。
Team Foundation Server でタスクを作成するには
Visual Studio を起動します。チーム エクスプローラが表示されることを確認します。[表示] メニューの [チーム エクスプローラ] をクリックします。
チーム プロジェクトのノードを展開し、[作業項目] ノードを右クリックし、[作業項目の追加] をポイントして、[タスク] をクリックします。
[タイトル] フィールドに「注文テーブル」と入力します。
[作業分野] フィールドの [開発] をクリックします。
[詳細] タブをクリックします。
[残存作業 (時間)] フィールドに「30」と入力します。
チーム プロジェクトのノードを展開し、[作業項目] ノードを右クリックし、[作業項目の追加] をポイントして、[タスク] をクリックします。
[タイトル] フィールドに「注文ストアド プロシージャ」と入力します。
[作業分野] フィールドの [開発] をクリックします。
[詳細] タブをクリックします。
[残存作業 (時間)] フィールドに「60」と入力します。
[ファイル] メニューの [すべてを保存] をクリックします。
Microsoft Project へのタスクのインポート
プロジェクト マネージャが Microsoft Project でプロジェクト計画を作成する準備ができました。プロジェクト計画を作成した後、作成済みのすべてのタスクを Team Foundation Server からインポートする必要があります。
Microsoft Project へタスクをインポートするには
Microsoft Project を開きます。
[チーム] メニューの [チーム プロジェクトの選択] をクリックします。
[Team Foundation Server に接続] ダイアログ ボックスで、Team Foundation Server とチーム プロジェクトを選択して [OK] をクリックします。
[チーム] メニューの [作業項目の取得] をクリックします。
[作業項目の取得] ダイアログ ボックスの [保存されたクエリ] フィールドで、[すべてのタスク] クエリをクリックします。
[検索] をクリックします。
先ほど作成した 2 つの注文タスクを除き、クエリ結果にあるすべてのタスクをクリックしてオフにします。一覧に含まれるタスクの数が多い場合は、[すべてを選択解除] を使用できます。
メモ : チーム プロジェクトを作成した直後には、特にセットアップ関連のタスクが一覧に多数表示されます。説明を簡単にするために、このチュートリアルでは、注文の要件を満たすのに必要なタスクだけをインポートします。
[OK] をクリックします。タスクがプロジェクト計画に表示されます。
[挿入] メニューの [新しいタスク] をクリックします。
新しいタスクに、「注文ストレージ サブシステム」というタイトルを入力します。
[発行および更新] フィールドを [いいえ] に設定します。
次に、このタスクを 2 つの注文タスクのサマリー タスクにします。サマリー タスクを Team Foundation Server に発行しないようにすれば、誤ってサマリー タスクで割り当てや作業を行うのを防ぐことができます。チームの情報はサマリー タスクにまとめられるので、チームはサブタスクに対してのみ作業したり報告したりするのが理想的です。
[書式設定] ツール バーの [インデント] をクリックして、[注文ストレージ サブシステム] タスクの下にある [注文テーブル] と [注文ストアド プロシージャ] のタスクをインデントします。
プロジェクト計画を保存します。
Microsoft Project でのタスクの作成と発行
プロジェクト マネージャは次に、チームとの作業ミーティングで文書化された追加タスクを作成することにしました。これらのタスクは、注文状況のクエリおよび表示をサポートする Web サービスの作成作業を表します。
実行すべきタスクが 2 つ特定されました。まず、注文情報のクエリをサポートするために、注文検索 Web サービスを作成する必要があります。また、データを表示するための、Web ページを使用したクライアント ビューの作成も必要です。これら 2 つのタスクを合わせて、「注文 Web インターフェイス」という大きな単位の作業を作成し、それをサマリー タスクにします。
Microsoft Project でタスクを作成するには
プロジェクト計画を開きます。
タスク一覧の一番下に、新しいタスクを作成します。[挿入] メニューの [新しいタスク] をクリックします。
新しいタスクに、「注文 Web インターフェイス」というタイトルを入力します。
メモ : このタスクはトップレベルのタスクにして、既存のどのタスクの下位にも置かないようにします。
[発行および更新] フィールドを [いいえ] に設定します。
この手順の最後に、このタスクはサマリー タスクになります。サマリー タスクを Team Foundation Server に発行しないようにすれば、誤ってサマリー タスクで割り当てや作業を行うのを防ぐことができます。チームの情報はサマリー タスクにまとめられるので、チームはサブタスクに対してのみ作業したり報告したりするのが理想的です。
[挿入] メニューの [新しいタスク] をクリックします。
新しいタスクに、「注文検索 Web サービス」というタイトルを入力します。
継続時間に 3 日を入力します。
[作業項目の種類] フィールドを [タスク] に設定します。
[挿入] メニューの [新しいタスク] をクリックします。
新しいタスクに、「クライアント注文ビュー」というタイトルを入力します。
継続時間に 2 日を入力します。
[作業項目の種類] フィールドを [タスク] に設定します。
[書式設定] ツール バーの [インデント] をクリックして、[注文 Web インターフェイス] タスクの下にある [注文検索 Web サービス] と [クライアント注文ビュー] の各タスクをインデントします。
[チーム] メニューの [変更の発行] をクリックします。新しいタスクが Team Foundation Server の作業項目データベースに発行されます。
プロジェクト計画を保存します。
要件とタスクのリンク
プロジェクト マネージャは、タスクが要件を満たしていく過程をだれでもトラッキングできるように、タスクを要件にリンクさせます。
タスクを要件にリンクさせるには
プロジェクト計画を開きます。
[注文検索 Web サービス] タスクをクリックします。
[チーム] メニューの [リンクと添付ファイル] をクリックします。
[作業項目リンクと添付ファイルの表示および編集] ダイアログ ボックスで、[追加] をクリックします。
[リンクの追加] ダイアログ ボックスで、[参照] をクリックします。
[関連作業項目の選択] ダイアログ ボックスの [次を含むタイトル] をクリックし、「ユーザーが注文状況を参照できることが必要」というタイトルを入力します。
[検索] をクリックします。先ほど入力したサービス品質要求が一覧に表示されます。
[ユーザーが注文状況を参照できることが必要] のサービス品質要求をクリックし、[OK] をクリックします。
[リンクの追加] ダイアログ ボックスに、「この要件をサポートするタスク」というコメントを入力して [OK] をクリックします。
[作業項目リンクと添付ファイルの表示および編集] ダイアログ ボックスで、[保存] をクリックします。
[閉じる] をクリックします。
リンクは Team Foundation Server に保存されるため、変更を発行する必要はありません。
(オプション) Microsoft Visio での作業分割構造の作成
Microsoft Office Project 2003 には、タスクを Microsoft Visio の作業分割構造に変換できるウィザードがあります。これはオプションの手順であり、Microsoft Visio および Microsoft Office Project 2003 が必要です。
メモ : |
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Visio WBS グラフ ウィザードは、Microsoft Office Project 2007 から削除されました。 |
Microsoft Visio で作業分割構造を作成するには
[分析] ツール バーの [Visio WBS チャート ウィザード] をクリックし、[ウィザードの起動] をクリックします。
Visio WBS チャート ウィザードのステップ 1 で、[次へ] をクリックします。
ステップ 2 で [すべてのタスク] をクリックし、[次へ] をクリックします。
ステップ 3 で [完了] をクリックします。
タスクの作業分割構造チャートである Microsoft Visio 図面が作成されます。
チームのメンバや主要な利害関係者と一緒に作業分割構造を検証し、スコープが正しいことを確認します。また、計画を達成するために、作業が十分なレベルまで詳細に定義されていることも確認してください。
プロジェクトの進行中に、チームのメンバは Team Foundation Server を使用して作業の状態を更新できます。Microsoft Project を使ってプロジェクト計画を変更し、変更内容を Team Foundation Server に発行することができます。
参照
処理手順
方法 : プロジェクト ポータルのプロセス ガイダンスにアクセスする