Office UI のカスタマイズ

[アーティクル]
08/09/2011

Visual Studio の Office 開発ツールを使用すると、Microsoft Office アプリケーションのユーザーインターフェイス (UI) をプログラムでカスタマイズできます。リボンやカスタム作業ウィンドウなど一部の UI 機能については、対応する API およびデザイナーが Visual Studio に用意されており、これを使用して機能をカスタマイズできます。その他の UI (Backstage ビューやショートカットメニューなど) については、API またはデザイナーが Visual Studio に用意されていません。しかし、これらの機能も、Office アプリケーションに用意されている API および XML 機能拡張オプションを使用してカスタマイズできます。

UI 機能の比較

Microsoft Office プロジェクトでカスタマイズできる主な UI 機能の比較を次の表に示します。

機能	サポートされているプロジェクトの種類	サポートされている Microsoft Office アプリケーション
操作ウィンドウ	ドキュメントレベルのカスタマイズ	Excel 2007 および Excel 2010 Word 2007 および Word 2010
カスタム作業ウィンドウ	アプリケーションレベルのアドイン	Excel 2007 および Excel 2010 InfoPath 2007 および InfoPath 2010 Outlook 2007 および Outlook 2010 PowerPoint 2007 および PowerPoint 2010 Word 2007 および Word 2010
カスタムリボン UI	ドキュメントレベルのカスタマイズアプリケーションレベルのアドイン	Excel 2007 および Excel 2010 InfoPath 2010 Outlook 2007 および Outlook 2010 PowerPoint 2007 および PowerPoint 2010 Project 2010 Word 2007 および Word 2010 Visio 2010
Backstage ビュー	ドキュメントレベルのカスタマイズアプリケーションレベルのアドイン	Excel 2010 InfoPath 2010 Outlook 2010 PowerPoint 2010 Project 2010 Word 2010 Visio 2010
Outlook フォーム領域	アプリケーションレベルのアドイン	Outlook 2007 および Outlook 2010
ドキュメントのコントロール	ドキュメントレベルのカスタマイズアプリケーションレベルのアドイン	Excel 2007 および Excel 2010 Word 2007 および Word 2010
スマートタグ	ドキュメントレベルのカスタマイズアプリケーションレベルのアドイン	Excel 2007 Word 2007
ショートカットメニュー	ドキュメントレベルのカスタマイズアプリケーションレベルのアドイン	Excel 2007 および Excel 2010 InfoPath 2007 および InfoPath 2010 Outlook 2007 および Outlook 2010 PowerPoint 2007 および PowerPoint 2010 Project 2007 および Project 2010 Word 2007 および Word 2010 Visio 2007 および Visio 2010
メニューとツールバー	アプリケーションレベルのアドイン	InfoPath 2007 Outlook 2007 (エクスプローラーのウィンドウ) Project 2007 Visio 2007

操作ウィンドウとカスタム作業ウィンドウ

作業ウィンドウとは、Microsoft Office アプリケーションウィンドウのいずれかの端に通常ドッキングされているユーザーインターフェイスパネルです。ほとんどすべての Microsoft Office アプリケーションには、作業ウィンドウが組み込まれています。作業ウィンドウの例として、Word のヘルプ作業ウィンドウがあります。

Visual Studio の Office 開発ツールには、作業ウィンドウをカスタマイズするための次の 2 種類の方法が用意されています。

操作ウィンドウは、ドキュメントレベルのカスタマイズに追加できます。既定では、操作ウィンドウはアプリケーションの右側、つまり文書の右端に表示されますが、文書の左、上、または下に表示することもできます。
アプリケーションレベルのアドインにカスタム作業ウィンドウを追加できます。ユーザーは、カスタム作業ウィンドウをアプリケーションウィンドウの別の端にドッキングしたり、ウィンドウ上の任意の場所にドラッグしたりできます。

操作ウィンドウおよびカスタム作業ウィンドウは、データ入力などのユーザーの作業を支援するさまざまなコントロールをホストすることにより、機能を追加します。ツールバーに比べ、操作ウィンドウやカスタム作業ウィンドウにはテキストとコントロールを格納する大きな領域があります。

操作ウィンドウの詳細については、「操作ウィンドウの概要」を参照してください。カスタム作業ウィンドウの詳細については、「カスタム作業ウィンドウの概要」を参照してください。

カスタムリボン UI

リボン UI をカスタマイズして、Office のアプリケーションに追加する機能を公開できます。リボンとは、関連するコマンドを見つけやすいように、コントロールの形式で整理するための手段です。独自のリボンタブやリボングループを作成して、ソリューションに追加する機能にユーザーがアクセスできるようにすることができます。以前のバージョンの Microsoft Office system で、メニューやツールバーを使用してアクセスしていたほとんどの機能には、このリボンを使用してアクセスできます。

詳細については、「リボンの概要」を参照してください。

Backstage ビュー

Microsoft Office 2010 アプリケーションでは、[ファイル] タブをクリックすると Backstage ビューが開きます。 Backstage ビューは、ファイルレベルの作業と操作を組み合わせた UI で、2007 Microsoft Office system の Microsoft Office ボタンと同様の機能を果たします。 Backstage ビューは、XML を使用して高度に拡張できます。

Visual Studio には、Backstage ビューをカスタマイズするためのデザイナーまたは API が用意されていません。しかし、Offce プロジェクトにリボン (XML) アイテムを追加すると、リボンの XML ファイルに XML を追加して、Backstage ビューをカスタマイズできます。 リボン (XML) アイテムの詳細については、「リボン XML」を参照してください。

Backstage ビューのカスタマイズ方法の詳細については、「Introduction to the Office 2010 Backstage View for Developers (開発者向け Office 2010 Backstage ビューの概要)」および「Customizing the Office 2010 Backstage View for Developers (Office 2010 Backstage ビューをカスタマイズする (開発者向け))」を参照してください。

Outlook フォーム領域

カスタム機能を標準の Microsoft Office Outlook フォームに追加するには、フォーム領域を使用します。追加のフィールドやコントロールで既存のフォームを拡張したフォーム領域を作成できます。 Visual Studio の Office 開発ツールを使用して新しいフォーム領域を作成する場合、フォーム領域では Windows フォームコントロールのみを使用できます。 Outlook でデザインしたフォーム領域をインポートした場合は、ネイティブの Outlook コントロールのみを使用できます。

Outlook UI の異なる領域を占有するフォーム領域を作成できます。たとえば、隣接するフォーム領域は、フォームの最初のページの一番下に表示され、隣接する各フォーム領域は折りたたむことができます。また、個別のフォーム領域を追加することもできます。このフォーム領域は完全なフォームページとして追加され、既存の標準フォームまたはカスタムフォーム上に表示できます。

詳細については、「Outlook フォーム領域の作成」を参照してください。

ドキュメントのコントロール

Word 文書や Excel ワークシートにはさまざまなコントロールを追加できます。たとえば、ユーザーが標準形式の日付を入力できるよう文書に日付選択コントロールを追加したり、データベースにデータを送信するためのボタンをワークシートに配置したりします。

Excel と Word のドキュメントレベルプロジェクトを開発するとき、Visual Studio デザイナーを使用してデザイン時にプロジェクト内の文書またはブックに Windows フォームコントロールを追加したり、実行時にこれらのコントロールをプログラムで追加したりできます。 Excel や Word のアプリケーションレベルのプロジェクトを開発する場合、実行時に任意の開いている文書やブックにコントロールをプログラムで追加できます。

詳細については、「ホスト項目とホストコントロールの概要」および「Office ドキュメントでの Windows フォームコントロールの概要」を参照してください。

スマートタグ

スマートタグとは、付随するタイプ情報を持つ文字列です。指定の基準に一致する文字列がドキュメントに存在すると認識され、ユーザーはそのタイプの文字列に対応するアクションを実行できます。たとえば、株式銘柄記号を認識するスマートタグを作成するとします。ユーザーが大文字で 4 文字の文字列を入力した場合に、インターネットで株価を参照するなど株式に関連するアクションの一覧を表示するように設定できます。

Visual Studio の Office 開発ツールを使用すると、ドキュメントレベルのカスタマイズで Word 文書および Excel ブックに迅速にスマートタグを追加できます。アプリケーションレベルのプロジェクトを使用して、スマートタグを任意の開いている文書またはブックに追加することもできます。

詳細については、「スマートタグの概要」を参照してください。

ショートカットメニュー

ショートカットメニューは、ドキュメントやアプリケーションウィンドウで右クリックしたときに表示されます。ユーザーがドキュメント、ブック、またはホストコントロールを右クリックした場合など、イベントが発生した後にショートカットメニューが表示されるように設定できます。ショートカットメニューには、さまざまなメニューコマンドやコントロールを追加できます。

ショートカットメニューを作成するには、次の 2 とおりの方法があります。

コマンドバーオブジェクトモデルを使用する方法。この方法は、Microsoft Office 2010 および 2007 Microsoft Office system で使用できます。詳細については、「方法: Word のショートカットメニューにコマンドを追加する」、「方法: Excel のショートカットメニューにコマンドを追加する」、および「チュートリアル : ブックマークのショートカットメニューの作成」を参照してください。
XML を使用する方法。この方法は、Microsoft Office 2010 でのみ使用できます。 Offce プロジェクトにリボン (XML) アイテムを追加すると、リボンの XML ファイルに XML を追加して、ショートカットメニューを作成できます。 XML を使用してショートカットメニューを作成する方法の詳細については、「Customizing Context Menus in Office 2010 (Office 2010 でコンテキストメニューをカスタマイズする)」を参照してください。

ツールバーとメニュー

2007 Microsoft Office system の一部のアプリケーションでは、主要なアプリケーション UI としてツールバーとメニューが使用されています。

Office ソリューションにツールバーを追加することにより、ユーザーがツールやその他の機能に簡単にアクセスできるようになります。ツールバーをカスタマイズするには、ボタンなどのコントロールを追加または削除します。また、ツールバーの位置やドッキングのプロパティをカスタマイズすることもできます。詳細については、「方法: Office ツールバーを作成する」、「方法 : カスタムアイコンをツールバーおよびメニュー項目に追加する」、および「方法 : Outlook セッション間でカスタムツールバーの位置情報を維持する」を参照してください。

Office のメニューバーにメニューを追加したり、そのメニュー用にカスタマイズしたキャプションを作成したりできます。新規または既存のメニューに対して、メニューコマンドを追加および削除できます。詳細については、「方法: Excel のショートカットメニューにコマンドを追加する」および「方法 : Outlook にカスタムメニューとメニュー項目を追加する」を参照してください。