作業項目とワークフロー (CMMI)
チームは、作業項目を使用して、製品とその機能の開発を追跡、監視、および報告できます。 作業項目は、作業の定義、割り当て、優先度、および状態を記録するためにチーム メンバーが Visual Studio Team Foundation Server で作成するデータベース レコードです。 MSF for CMMI Process Improvement v5.0 のプロセス テンプレートでは、要件、タスク、変更要求、バグ、懸案事項、リスク、レビュー、テスト ケース、および共有ステップという 9 種類の作業項目が定義されます。 テスト ケースと共有ステップは、特に テスト ランナーおよび Microsoft テスト マネージャー で使用されます。
このトピックの内容
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作業項目を作成するには、チーム エクスプローラーでチーム プロジェクトを開いて、[作業項目] を右クリックし、作成する作業項目の種類をクリックします。 |
個々の作業項目を定義して、それらを共通データベースと測度ウェアハウスに格納することで、プロジェクトの状態に関するさまざまな事項をいつでも確認することができます。 作業項目、作業項目間のリンク、およびファイル添付はすべて、次の図に示すように、作業項目を追跡するために Team Foundation データベースに格納されます。
要件、タスク、およびその他の作業項目の定義
作業項目フォームでは、作業項目の情報を指定および更新できます。 このセクションのトピックでは、各作業項目フォーム内での操作について詳細に説明します。
タスク |
関連するコンテンツ |
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機能要件と運用要件を定義し、追跡する。 チームは、要件を作成して、製品で顧客の問題を解決する必要がある方法をキャプチャし、追跡します。 チームは要件を使用して、シナリオとサービスの品質、安全性、セキュリティ、機能、運用、およびユーザー インターフェイスの基準を表すことができます。 要件のワークフロー状態は、提案済み、アクティブ、解決済み、終了の順に遷移します。 |
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変更の要求を追跡し、承認する。 チームは変更要求を使用して、製品またはベースラインの一部に対する、提案された変更を追跡できます。 チーム メンバーは、構成管理システム内の作業生産物に対して変更が提案された場合、変更要求を作成する必要があります。 変更制御委員会は、提案された変更を検討してから承認または拒否します。 委員会によって変更要求が承認された場合、チームはタスクを生成して変更を実装します。 変更要求のワークフロー状態は、提案済み、アクティブ、解決済み、終了の順に遷移します。 |
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作業を追跡して、見通しを立てる。 チームはタスクを作成して、要件またはその他の作業区分の実装に費やす必要がある作業時間を追跡します。 タスクは、1 ~ 2 日以内に完了できる作業の単位を表している必要があります。 大きいタスクを小さいサブタスクに分割することもできます。 タスクを作成して作業を追跡することで、コードの開発、テストの設計と実行、バグの解決、および回帰テストの実行を行うことができます。 さらに、タスクを作成すると、チームで実行する必要がある全般的な作業をサポートすることもできます。 各タスクの作業時間を追跡することで、チームはプロジェクトで到達した進行状況を理解できます。 タスクのワークフロー状態は、提案済み、アクティブ、解決済み、終了の順に遷移します。 残存作業レポートおよびバーンダウンと書き込みレート レポートを使用すると、チームの進行状況を監視し、作業の流れにおける問題を識別して、チームの書き込みレートを判断できます。 |
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バグを開いて追跡する。 バグ作業項目を作成して、コード障害を追跡できます。 バグを作成すると、チームの他のメンバーが問題の影響をすべて理解できるような方法で障害を正確に報告できます。 バグには、予期しない動作を引き起こしたステップを記述し、他のメンバーがその動作を再現できるようにすることで、テスト結果に問題が明確に示されるようにしてください。 記述の明快さと完全さは、多くの場合バグを修正できるかどうかに影響を与えます。 バグのワークフロー状態は、提案済み、アクティブ、解決済み、終了の順に遷移します。 バグの状態レポートを使用すると、チームによるバグの解決と終了の進行状況を追跡できます。 |
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進捗を妨げる障害を定義および管理する。 懸案事項の作業項目を作成することで、プロジェクトに対して既知のまたは潜在的な問題または障害を定義できます。 懸案事項は、具体的なアクションが必要な場合、懸案事項を軽減するために実行する必要のある 1 つ以上のタスクに変換される場合があります。 たとえば、技術的な懸案事項にはアーキテクチャのプロトタイピング作業が必要な場合があります。 チームでは、常に各メンバーが懸案事項を認識するように促して、チームの成功を脅かす懸案事項に関する情報ができるだけ多く提供されるようにする必要があります。 チームの個々のメンバーには、仮説や議論の余地がある見方を正直に表現することに対して罰せられることを恐れずに、懸案事項を認識するよう力づけてください。 懸案事項を管理するために積極的な環境を作って維持するチームは、消極的な環境を維持するチームよりも混乱や衝突が比較的少なく、早期に速やかに問題を識別して解決できます。 リスクのワークフロー状態は、提案済み、アクティブ、解決済み、終了の順に遷移します。 懸案事項ブックを使用すると、懸案事項を校閲し、順位を付け、管理することができます。 |
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プロジェクトの成功に影響するリスクを識別および軽減する。 チームでは、リスク作業項目を使用して、プロジェクトに否定的な成果をもたらす可能性のあるイベントや条件を文書化できます。 プロジェクト管理の重大な側面は、プロジェクトのリスクを識別して管理することです。 リスク作業項目には、軽減とコンティンジェンシー計画を記録し、開発作業へのリスクの潜在的影響を追跡するための固有のフィールドが用意されています。 リスクのワークフロー状態は、提案済み、アクティブ、解決済み、終了の順に遷移します。 |
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コード レビューで決定された詳細および決定事項を取り込む。 チームは、レビュー作業項目を使用してデザイン レビューまたはコード レビューの結果を文書化できます。 レビュー作業項目には、名前の正確性、コードの関連性、拡張性、コードの複雑性、アルゴリズムの複雑性、およびコード セキュリティの区分において、デザインまたはコードがどのように標準を満たしているかについて、詳細な情報を記録するための固有のフィールドがあります。 レビュー作業項目では、チームが製品の品質をサポートするために実行した決定と作業の記録が保持されます。 レビューのワークフロー状態は、アクティブ、解決済み、終了の順に遷移します。 |
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アプリケーションをテストする。 チームは、テスト ケースを使用して、ユーザー ストーリーのテストをサポートするテストを定義します。 実行するアクションおよび検証ステップのシーケンスを指定する手動テスト ケースを定義する、または自動ファイルを参照する自動テスト ケースを指定することができます。
メモ
テスト ケースを作成して定義する際の推奨クライアントは テスト マネージャー です。このツールを使用すると、プロジェクトの全種類のテスト基準に対処するテスト スイートとテスト構成を作成することもできます。テスト構成では、テスト ケースとテスト スイートの実行に使用するソフトウェア環境を指定します。詳細については、「アプリケーションのテスト」を参照してください。
テスト ケースのワークフロー状態は、デザイン、準備完了、終了の順に遷移します。 テスト ケース準備レポートを使用すると、チームによるテスト ケースの定義の進行状況を判断できます。 |
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共有ステップを定義する。 チームは、共有ステップを使用して、手動テスト ケースの定義と保守を効率化します。 共有ステップでは、テスト ケースの一部として実行するアクションおよび検証ステップのシーケンスを定義します。 多くのテストでは、複数のテスト ケースを実行する場合、ステップを同じシーケンスで実行する必要があります。 共有ステップを作成することで、ステップのシーケンスを一度定義しておき、それを多数のテスト ケースに挿入できます。
重要
共有ステップを作成して定義する際の推奨クライアントは テスト マネージャー です。これらの種類の作業項目は、チーム エクスプローラーと Team System Web Access を使用して表示できます。ただし、Team System Web Access を使用して特定のフィールドを変更する、または更新することはできません。
共有ステップのワークフロー状態は、アクティブから終了へと遷移します。 |
要件、タスク、またはその他の作業項目の種類の作成
作業項目は、Team System Web Access またはチーム エクスプローラーを開き、このセクションの手順に従うことで作成できます。 作業項目を作成した後は、スプリントが進行するにしたがって詳細をいつでも変更および追加できます。
要件、タスク、またはその他の作業項目の種類を作成するには
Team System Web Access またはチーム エクスプローラーのどちらかを開き、作業項目を作成するチーム プロジェクトを含むチーム プロジェクト コレクションに接続します。
詳細については、「Team Foundation Server 上のチーム プロジェクトへの接続およびアクセス」を参照してください。
次のいずれかの操作を実行します。
Team System Web Access で、ナビゲーション ペインのクイック起動領域を見つけ、[新しい作業項目] の矢印をクリックします。 [作業項目の種類] メニューで、作成する作業項目の種類をクリックします。
チーム エクスプローラーで、[チーム] メニューを開いて [作業項目の追加] をポイントし、作業項目の種類をクリックします。
指定した種類の作業項目フォームが開きます。
フォームの下部のタブごとに、フォームの上部のフィールドを定義して、必要な作業項目の種類を指定します。
詳細については、このトピックで前述した「ユーザー ストーリー、タスク、およびその他の作業項目の定義」を参照してください。
作業項目ツール バーの [作業項目の保存] をクリックします。
注意
作業項目を保存すると、作業項目ツール バーの下のタイトルに識別子が表示されます。
多数の要件、タスク、またはその他の作業項目の一括作成
Office Excel を使用することで、要件に自動的にリンクされた複数のタスクをすばやく定義できます。 また、Office Excel を使用すると、要件、タスク、および懸案事項をすばやく定義できます。 詳細については、次のトピックを参照してください。
別の作業項目に自動的にリンクされる作業項目の作成
既存の要件またはその他の作業項目に自動的にリンクされる作業項目を作成できます。 このアクションは、開いている作業項目フォームから、または作業項目クエリの結果リストから実行できます。
既存の作業項目にリンクされた作業項目を作成するには
Team System Web Access またはチーム エクスプローラーのどちらかを開き、リンクされた作業項目を定義するチーム プロジェクトを含むプロジェクト コレクションに接続します。
[作業項目を開く] チーム クエリを右クリックし、[開く] をクリックします。
次のどれかの操作を実行します。
Team System Web Access で、新しい作業項目のリンク先として指定する既存の作業項目の隣の矢印をクリックし、[リンクされた新しい作業項目の追加] をクリックします。
チーム エクスプローラーで、新しい作業項目のリンク先として指定する既存の作業項目の隣の矢印を右クリックし、[リンクされた新しい作業項目の追加] をクリックします。
[リンクされた新しい作業項目の追加] ダイアログ ボックスが開きます。
次のフィールドを定義します。
[リンクの種類] ボックスで、作成する作業項目間の関係に対応するリンクの種類をクリックします。
要件からタスクへのリンクを設定するには、[子] をクリックします。
変更要求へのリンクを設定するには、[影響元] をクリックします。
テスト ケースへのリンクを設定するには、[テスト担当者] をクリックします。
その他の種類の作業項目へのリンクを設定するには、[関連] または追跡する関係を表すその他の種類のリンクをクリックします。
[作業項目の種類] ボックスで、作成する作業項目の種類をクリックします。
[タイトル] に、追跡する要件、タスク、またはその他の作業項目の種類を示す名前を入力します。
(省略可能) [コメント] に、追加情報を入力します。
[OK] をクリックします。
作業項目フォームが開き、指定した情報が表示されます。
作業項目の種類と必要に応じて、残りのフィールドを定義します。
詳細については、このトピックで前述した「要件、タスク、およびその他の作業項目の定義」を参照してください。
[作業項目の保存] をクリックします。
Test and Lab Manager を使用したテスト ケースおよびテスト計画の作成
テスト マネージャー を使用すると、テスト ケースだけでなく、プロジェクトのテストをサポートするテスト スイートとテスト構成を作成することもできます。 テスト構成を使用して、テスト ケースとテスト スイートの実行に使用するソフトウェア環境を定義できます。
テスト計画、テスト スイート、およびテスト構成
テスト計画で複数のテスト ケースをテスト スイートの階層構造にまとめて、テスト ケースをグループ化できます。 テスト スイートを作成することで、一連のテスト ケースをグループとして実行できます。 テスト マネージャー を使用してテスト ケース、テスト スイート、およびテスト計画を定義する方法の詳細については、「アプリケーションのテスト」を参照してください。
テスト ランナーと Test and Lab Manager を使用したバグの作成と追跡
テスト マネージャー を使用することで、コード障害が検出された特定のテスト ステップに加えて、実行したテスト ケースおよびテスト環境に関する情報が自動的に追加されるバグを送信できます。 テスト マネージャー を使用して作成したバグでは、バグを検出した場合、そのバグは実行していたテスト ケースに自動的にリンクされます。
バグは次の方法で作成できます。
テスト ランナーを使用してテストを実行しているときに、テスト マネージャー からテスト結果を参照するか、バグを参照する
Team System Web Access またはチーム エクスプローラーから
Office Excel から (複数のバグを同時に送信する場合に便利です)
テスト マネージャー を使用してバグと修正を送信、追跡、および検証する方法の詳細については、次の表の関連するコンテンツを参照してください。
タスク |
関連するコンテンツ |
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バグを作成する。 アドホック テスト時に発生するアプリケーションの予期しない動作に対して、すぐにバグを作成できます。 |
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診断データを収集してデバッグをサポートする。 テスト ランナーを使用ことで、マネージ コードで記述されたアプリケーションで診断トレース データを収集できます。後で開発者が Intellitrace でデータを使用してエラーを特定できます。 |
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記録されたアクション ログ ファイルを作成してバグに追加する。 手動テストを実行するとき、アクションをテキストとしてログ ファイルに記録できます。 このファイルは、手動テストの実行時に作成したどのバグにも自動的に追加できます。 |
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バグと記録されたアクション ログ ファイルからテスト ケースを作成する。 アクション ログを使用して、バグまたはテスト結果から手動テスト ケースを作成できます。 この方法により、すべてのステップを入力しなくてもテスト ケースを作成できます。 |
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テスト結果に基づいてバグの状態を検証および更新する。 テスト ケースに基づいてバグを送信した場合、Microsoft テスト マネージャー の [担当バグ] ボックスからバグを直接検証できます。 この方法を実行するには、テスト結果がそのテスト ケースに関連付けられている必要があります。 テストを簡単に再実行し、その結果に基づいてバグの状態を変更して、バグに対するコメントを追加できます。 |
自分に割り当てられた作業項目の表示
チーム メンバーは、担当作業項目チーム クエリを開くか、担当のダッシュボードにアクセスすることで、自分に割り当てられた作業項目をすぐに見つけることができます。 詳細については、次のトピックを参照してください。
作業項目の種類と関連タスクのカスタマイズ
タスク |
関連するコンテンツ |
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すべての作業項目の種類の情報を追跡するために使用するフィールドについて学習する。 作業項目を追跡するためのデータベースには、作業項目フォームに表示されないフィールドのデータが格納されます。 これらの作業項目フィールド、特定のフィールドでの制約、どのフィールドが報告されてインデックス化されるかについて学習できます。 |
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作業項目の各種類を使用してデータを追跡する方法を追加、削除、またはカスタマイズする。 要件を満たすために、既存の作業項目の種類をカスタマイズする、または新しい種類を作成することができます。 作業項目の各種類は、チーム プロジェクトにインポートされる XML 定義ファイルに対応しています。 |
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作業項目の追跡に使用されるオブジェクトをカスタマイズして、プロジェクトの追跡の要件をサポートする。 チームで進行状況を追跡するために使用するデータ フィールド、ワークフロー、および作業項目フォームをカスタマイズできます。 作業項目の追跡に使用されるオブジェクトをカスタマイズするには、XML ファイルを変更し、それをプロジェクト コレクションをホストするサーバーにインポートします。 |
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ワークフローを制御する状態または遷移を追加、削除、または変更する。 ワークフローは、その初期状態、有効な状態、それらの状態間の有効な遷移、およびこれらの遷移を実行できるアクセス許可を持つユーザーまたはグループを定義することによって制御できます。 作業項目の種類の WORKFLOW セクションによって、作業項目の追跡方法が制御されます。 |
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作業項目の種類に対応するフォームを変更およびカスタマイズする。 作業項目の種類の定義の FORM セクションを使用して、作業項目の種類でのユーザー インターフェイス要素の表示方法を制御できます。 作業項目の各種類に対し、1 つのフォームのみを対応付ける必要があります。 タブ、フィールド、およびグループをすべて含めた、フォーム全体を定義できます。 |