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Office ソリューションのアップグレードと移行

旧バージョンの Visual Studio で作成された Microsoft Office プロジェクトがある場合、Visual Studio 2010 で使用するには、そのプロジェクトをアップグレードする必要があります。 Microsoft Office プロジェクトをアップグレードするには、Microsoft Office 開発ツールが含まれているバージョンの Visual Studio 2010 で開きます。 アップグレード プロセスの詳細については、「方法: Office ソリューションをアップグレードする」を参照してください。 Microsoft Office 開発ツールを含む Visual Studio 2010 のバージョンの詳細については、「Office ソリューションを開発できるようにコンピューターを構成する」を参照してください。

Microsoft Office プロジェクトをアップグレードすると、Visual Studio によってプロジェクトにいくつかの変更が加えられます。 変更の一部は、開発用コンピューターにインストールした .NET Framework および Microsoft Office のバージョンと、プロジェクトがドキュメント レベル プロジェクトとアプリケーション レベル プロジェクトのどちらであるかに依存します。

Office プロジェクトのターゲット フレームワークは、.NET Framework 3.5 から .NET Framework 4 に、またはその逆にいつでも変更できます。 詳細については、「方法: 特定の .NET Framework のバージョンまたはプロファイルを対象として指定する」を参照してください。 ターゲット フレームワークを変更した場合は、再ターゲットされたソリューションを実行するために、開発用コンピューターとエンド ユーザーのコンピューターでいくつかの追加の手順が必要になることがあります。また、特定の機能を使用するプロジェクトはコンパイルされなくなります。 詳細については、「.NET Framework 4 への Office ソリューションの移行」を参照してください。

注意

Visual Studio 2010 では、以前のバージョンの Visual Studio を使用して作成した InfoPath フォーム テンプレート プロジェクトはアップグレードできません。 これらのプロジェクトの種類は、Visual Studio 2010 ではサポートされていません。

サポートされているプロジェクト アップグレード バージョン

次のいずれかのバージョンの Visual Studio Tools for Office を使用して作成した Office プロジェクトをアップグレードできます。

  • Microsoft Visual Studio 2005 Tools for the Microsoft Office System.

  • Microsoft Visual Studio 2005 Tools for the 2007 Microsoft Office System (VSTO 2005 SE).

  • Microsoft Visual Studio Tools for the Microsoft Office System (Version 3.0). このバージョンの Visual Studio Tools for Office は、Visual Studio 2008 に付属していました。

Visual Studio 2010 では、Visual Studio Tools for Office Version 2003 を使用して作成した Microsoft Office プロジェクトのアップグレードはサポートされていません。 Visual Studio 2010 でこれらのいずれかのプロジェクトの開発を続けるには、新しい Office プロジェクトを作成し、手動で新しいプロジェクトにコードを移植します。

注意

Visual Studio Tools for Office は、以前のバージョンの Visual Studio の Microsoft Office 開発ツールの名前です。

アップグレードされたプロジェクトに対する変更

Microsoft Office プロジェクトをアップグレードするとき、Visual Studio はプロジェクトに次の変更を加えます。

  • プロジェクトが対象とする Visual Studio Tools for Office ランタイムのバージョンを Visual Studio 2010 Tools for Office Runtime に更新します。

    Visual Studio Tools for Office ランタイムの詳細については、「Visual Studio Tools for Office Runtime の概要」を参照してください。

  • 必要に応じて、プロジェクトが対象とする .NET Framework のバージョンを更新します。

  • プロジェクトのアセンブリ参照を更新します。

  • 元のプロジェクトが旧バージョンの Microsoft Office を対象としていた場合は、開発用コンピューターにインストールされている Microsoft Office のバージョン (Microsoft Office 2010 または 2007 Microsoft Office system) を対象とするようにプロジェクトを変更します。 どのバージョンの Microsoft Office もインストールされていない場合、アップグレードされたプロジェクトの対象は 2007 Microsoft Office system になります。

対象の .NET Framework

Visual Studio 2010 で Visual Studio Tools for Office プロジェクトをアップグレードするとき、Visual Studio は、次の場合に対象の .NET Framework を変更します。

  • 元のプロジェクトが .NET Framework 2.0 を対象としている場合。 この場合、開発用コンピューターに .NET Framework 3.5 と .NET Framework 4 の両方がインストールされていると、Visual Studio は .NET Framework 3.5 を対象とするようにプロジェクトを変更します。 .NET Framework 4 だけがインストールされている場合は、.NET Framework 4 を対象とするようにプロジェクトを変更します。

  • プロジェクトが .NET Framework 3.5 を対象としていて、開発用コンピューターに .NET Framework 4 だけがインストールされている場合。 この場合、Visual Studio は、.NET Framework 4 を対象とするようにプロジェクトを変更します。

プロジェクトが既に .NET Framework 3.5 を対象としていて、開発用コンピューターに .NET Framework 3.5 もインストールされている場合は、アップグレードされたプロジェクトのターゲット フレームワークは更新されません。

注意

Visual Studio によってターゲット フレームワークが .NET Framework 4 に変更された場合は、再ターゲットされたソリューションを実行するために、開発用コンピューターとエンド ユーザーのコンピューターでいくつかの追加の手順が必要になることがあります。また、特定の機能を使用するプロジェクトはコンパイルされなくなります。 詳細については、「.NET Framework 4 への Office ソリューションの移行」を参照してください。

アップグレードされたプロジェクトでのターゲット フレームワークの変更を次の表にまとめます。

元のプロジェクトのターゲット フレームワーク

開発用コンピューターのフレームワーク バージョン

アップグレードされたプロジェクトのターゲット フレームワーク

.NET Framework 2.0

.NET Framework 3.5

.NET Framework 3.5

および

.NET Framework 4

.NET Framework 3.5

メモメモ
元のプロジェクトが .NET Framework 3.5 Client Profile を対象としている場合、アップグレードされたプロジェクトの対象は .NET Framework 3.5 になります。

.NET Framework 2.0

.NET Framework 3.5

.NET Framework 4

.NET Framework 4

メモメモ
元のプロジェクトが .NET Framework 3.5 Client Profile を対象としている場合、アップグレードされたプロジェクトの対象は .NET Framework 4 Client Profile になります。

Office プロジェクトで .NET Framework 4 を対象とすると、.NET Framework 3.5 を対象とする場合には使用できない特定の機能を使用できます。 詳細については、「Office ソリューションのデザインと作成」を参照してください。

アセンブリ参照

Visual Studio は、プロジェクト内の次のアセンブリ参照をアップグレードします。

  • Microsoft Office プライマリ相互運用機能アセンブリ。

  • Visual Studio Tools for Office Runtime のアセンブリ。 これらのアセンブリの詳細については、「Visual Studio Tools for Office Runtime の概要」を参照してください。

  • 依存アセンブリの新バージョンまたは更新バージョン。

Visual Studio は、元のプロジェクトの作成後に追加されたアセンブリの新バージョンまたは更新バージョンへの参照は追加しません。 たとえば、PowerPoint 2003 プライマリ相互運用機能アセンブリも参照する Word 2003 アドイン プロジェクトをアップグレードすると、Visual Studio により、アップグレードされたプロジェクトは Word 2007 または Word 2010 のプライマリ相互運用機能アセンブリを参照するように変更されます。 ただし、PowerPoint プライマリ相互運用機能アセンブリへの参照は手動で更新する必要があります。

Microsoft Office 2003 プロジェクトのアップグレード

既定では、Microsoft Office 2003 を対象とするプロジェクトをアップグレードするとき、開発用コンピューターに Microsoft Office 2010 または 2007 Microsoft Office system がインストールされていると、インストールされている Microsoft Office バージョンを対象とするように Visual Studio によってプロジェクトが変更されます。 この動作は、[プロジェクトのアップグレード] オプション ページの [インストールされている Office のバージョンに常にアップグレードする] チェック ボックスで制御します。 このチェック ボックスがオフの場合、Visual Studio は Microsoft Office 2010 または 2007 Microsoft Office system を対象とするようにプロジェクトを変更しないため、プロジェクトのオープン、デバッグ、または実行ができない可能性があります。 このオプションの詳細については、「[プロジェクトのアップグレード] ([オプション] ダイアログ ボックス)」を参照してください。

Microsoft Office 2003 を対象とするドキュメント レベルのカスタマイズおよびアプリケーション レベルのアドインをアップグレードする際には、追加の考慮事項がいくつかあります。

ドキュメント レベルのプロジェクト

Microsoft Office 2003 のドキュメント レベル プロジェクトをアップグレードするには、適切な Microsoft Office 2010 または 2007 Microsoft Office system アプリケーションが開発用コンピューターにインストールされている必要があります。 たとえば、Word 2003 プロジェクトをアップグレードするには、その前に Word 2007 または Word 2010 をコンピューターにインストールする必要があります。

ドキュメントがバイナリ形式で保存されるドキュメント レベル プロジェクトをアップグレードする場合は、ドキュメントを Open XML 形式に変換するか、ドキュメントをバイナリ形式のままにするかを決定する必要があります。 元の形式を使用する特別な理由がある場合を除き、Open XML を選択してください。 Open XML の詳細については、「新しいファイル名拡張子および Open XML 形式入門」を参照してください。

プロジェクトのドキュメントに Windows フォーム コントロールが含まれている場合は、プロジェクトをアップグレードする前に、Visual Studio 2005 Tools for Office Second Edition Runtime がインストールされている必要もあります。 プロジェクトをアップグレードする前に、このバージョンのランタイムが開発用コンピューターにインストールされていない場合、アップグレード後のプロジェクトでコンパイル エラーまたは実行時エラーが発生することがあります。 Visual Studio 2005 Tools for Office Second Edition Runtime は、他の Office ソリューションで使用されていない場合、プロジェクトのアップグレードが完了した後に開発用コンピューターからアンインストールできます。 このバージョンのランタイムは、Microsoft ダウンロード センターの「Microsoft Visual Studio 2005 Tools for Office Second Edition Runtime (build 8.0.50727.940) (x86)」から再頒布可能パッケージとしてダウンロードできます。

アプリケーション レベルのプロジェクト

元のプロジェクトのソリューション ファイルに、アプリケーション レベルのアドインをインストールするように構成されたセットアップ プロジェクトが含まれている場合、Visual Studio はそのセットアップ プロジェクトを Visual Studio 2010 プロジェクトにアップグレードします。ただし、それ以外にプロジェクトに対する変更は行われません。 引き続き Windows インストーラー ファイルを使用してアドインを配置するには、.NET Framework 4、.NET Framework 3.5、Visual Studio 2010 Tools for Office Runtime、および必要な場合はアドインで参照されているプライマリ相互運用機能アセンブリなど、新しい必須コンポーネントをインストールするようにセットアップ プロジェクトを変更する必要があります。 詳細については、「Windows インストーラーを使用した Office ソリューションの配置」を参照してください。

ClickOnce を使用してアドインを配置する場合は、セットアップ プロジェクトを完全に削除できます。 ClickOnce を使用したアドインの配置の詳細については、「Office ソリューションの配置」を参照してください。

参照

処理手順

方法: Office ソリューションをアップグレードする

参照

[プロジェクトのアップグレード] ([オプション] ダイアログ ボックス)

その他の技術情報

.NET Framework 4 への Office ソリューションの移行