方法: プロファイラーのコマンド ラインを使用して .NET Framework サービスをインストルメントし、メモリ データを収集する
ここでは、Visual Studio プロファイリング ツールのコマンド ライン ツールを使用して .NET Framework サービスをインストルメントし、メモリ使用量データを収集する方法について説明します。メモリ割り当てデータを収集することも、メモリ割り当てデータとオブジェクト有効期間データの両方を収集することもできます。
[!メモ]
Windows 8 のセキュリティは強化された機能および Windows Server 2012 は、Visual Studio のプロファイラーがこれらのプラットフォームのデータを収集する方法に大きな変更されました。Windows ストア apps は、新しいコレクション手法が必要です。「Windows 8 および Windows Server 2012 アプリケーションのプロファイリング」を参照してください。
[!メモ]
コンピューターの起動後にサービスを再起動できない場合、インストルメンテーション メソッドを使用してサービスをプロファイリングすることはできません。このようなサービスが起動されるのは、オペレーティング システムの起動時です。
プロファイリング ツールのコマンド ライン ツールは、Visual Studio インストール ディレクトリの \Team Tools\Performance Tools サブディレクトリにあります。64 ビット コンピューター上では、64 ビット バージョンのツールと 32 ビット バージョンのツールの両方を使用できます。プロファイラーのコマンド ライン ツールを使用するには、コマンド プロンプト ウィンドウの PATH 環境変数にツールのパスを追加するか、コマンド自体にそれを追加します。詳細については、「プロファイル ツールのコマンド ライン ツールへのパスの指定」を参照してください。
プロファイル セッションの開始
.NET Framework サービスからパフォーマンス データを収集するには、VSPerfCLREnv.cmd ツールを使用して適切な環境変数を初期化し、VSInstr.exe ツールを使用してサービス バイナリ ファイルのインストルメントされたコピーを作成します。
サービスをホストするコンピューターをプロファイリング用に構成するには再起動が必要です。サービス コントロール マネージャーからサービスを手動で起動することも必要です。その後、プロファイラーを起動し、.NET Framework サービスを起動します。
インストルメントされたコンポーネントを実行すると、メモリ データがデータ ファイルに自動的に収集されます。プロファイル セッション中にデータ収集を一時停止および再開できます。
プロファイル セッションを終了するには、サービスを終了し、プロファイラーを明示的に終了します。ほとんどの場合、セッションの最後にプロファイル環境変数を消去することをお勧めします。
.NET Framework サービスのプロファイリングを開始するには
コマンド プロンプト ウィンドウを開きます。
VSInstr ツールを使用して、サービス バイナリのインストルメントされたバージョンを生成します。
サービス コントロール マネージャーを使用して、元のバイナリをインストルメントされたバージョンに置き換えます。サービスの [スタートアップの種類] が [手動] に設定されていることを確認します。
プロファイル環境変数を初期化します。Type:
VSPerfClrEnv {/globaltracegc |/globaltracegclife}
/globaltracegc および /globaltracegclife を使用すると、メモリの割り当てデータとオブジェクトの有効期間データを収集できます。
オプション
説明
/globaltracegc
メモリの割り当てデータのみを収集します。
/globaltracegclife
メモリの割り当ておよびオブジェクトの有効期間データを収集します。
コンピューターを再起動します。
コマンド プロンプト ウィンドウを開きます。
プロファイラーを起動します。Type:
VSPerfCmd /start:trace /output**:**OutputFile [Options]
/start: contention オプションによってプロファイラーが初期化されます。
/start を使用する場合は **/output:**OutputFile オプションを指定する必要があります。OutputFile には、プロファイル データ (.vsp) ファイルの名前と場所を指定します。
/start:sample オプションを使用する場合は、次のうちいずれかのオプションを指定できます。
[!メモ]
/user オプションと /crosssession オプションは、通常、サービスで必要です。
オプション
説明
/user:[Domain\]UserName
ASP.NET ワーカー プロセスを所有するアカウントのドメインおよびユーザー名を指定します。このオプションは、ログオンしているユーザーとは別のユーザーがプロセスを実行している場合に指定する必要があります。プロセスの所有者は、Windows タスク マネージャーの [プロセス] タブの [ユーザー名] 列に表示されます。
他のログオン セッションにおけるプロセスのプロファイリングを有効にします。このオプションは、ASP.NET アプリケーションが別のセッションで実行されている場合に必要です。セッション ID は、Windows タスク マネージャーの [プロセス] タブの [セッション ID] 列に表示されます。/crosssession の省略形として、/CS を指定することができます。
/waitstart[:Interval]
プロファイラーがエラーを返すまでプロファイラーの初期化を待機する秒数を指定します。Interval を指定しなかった場合、プロファイラーは無期限に待機します。既定では、/start が直ちに返されます。
データ収集を一時停止してプロファイラーを起動するには、/globaloff オプションを /start コマンド ラインに追加します。プロファイリングを再開するには、/globalon を使用します。
/counter:Config
Config で指定されたプロセッサのパフォーマンス カウンターから情報を収集します。カウンター情報は、プロファイル イベントが発生するたびに、収集されたデータに追加されます。
/wincounter:WinCounterPath
プロファイリング実行中に収集する Windows パフォーマンス カウンターを指定します。
/automark:Interval
/wincounter と共にのみ使用します。Windows パフォーマンス カウンター収集イベントの間隔をミリ秒単位で指定します。既定値は 500 ミリ秒です。
/events:Config
プロファイリング実行中に収集する ETW (Event Tracing for Windows) イベントを指定します。ETW イベントは独立した (.etl) ファイルに収集されます。
起動の必要なサービスがあれば起動します。
プロファイラーをサービスにアタッチします。Type:
**VSPerfCmd /attach:**PID|ProcessName
- サービスのプロセス ID またはプロセス名を指定します。Windows タスク マネージャーで、実行中のすべてのプロセスのプロセス ID と名前を参照できます。
データ収集の制御
サービスの実行中は、VSPerfCmd.exe のオプションを使用してファイルへのデータ書き込みを開始および停止することにより、データ収集を制御できます。データ収集を制御することにより、アプリケーションの起動や終了など、プログラム実行の特定の部分についてのデータ収集を行うことができます。
データ収集を開始および停止するには
次に示す VSPerfCmd のオプションの組み合わせにより、データ収集を開始および停止します。個別のコマンド ラインで各オプションを指定します。データ収集のオンとオフは複数回切り替えることができます。
オプション
説明
すべてのプロセスのデータ収集を開始 (/globalon) または停止 (/globaloff) します。
/processon:PID/processoff:PID
プロセス ID (PID) で指定されたプロセスのデータ収集を開始 (/processon) または停止 (/processoff) します。
/threadon:TID/threadoff:TID
スレッド ID (TID) で指定されたスレッドのデータ収集を開始 (/threadon) または停止 (/threadoff) します。
VSPerfCmd.exe/mark オプションを使用して、データ ファイルにプロファイル マークを挿入することもできます。/mark コマンドは、ID、タイムスタンプ、およびオプションでユーザー定義の文字列を追加します。マークは、プロファイラー レポートおよびデータ ビューでデータをフィルター処理するために使用できます。
プロファイル セッションの終了
プロファイル セッションを終了するには、インストルメントされたコンポーネントを実行しているアプリケーションを終了し、VSPerfCmd /shutdown オプションを開始してプロファイラーをオフにした後、プロファイル データ ファイルを閉じます。VSPerfClrEnv /globaloff コマンドで、プロファイル環境変数を消去します。
プロファイル セッションを終了するには
サービス コントロール マネージャーからサービスを停止します。
プロファイラーをシャットダウンします。Type:
VSPerfCmd /shutdown
すべてのプロファイリングを完了したら、プロファイル環境変数を消去します。Type:
VSPerfClrEnv /globaloff
インストルメントされたモジュールを元のモジュールに置き換えます。必要に応じて、サービスの [スタートアップの種類] を再構成します。
コンピューターを再起動します。