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組み込みオブジェクト

Microsoft JScript では、11 個の組み込みオブジェクトが用意されています。Array、Boolean、Date、Function、Global、Math、Number、Object、RegExp、Error、および String です。それぞれの組み込みオブジェクトは、メソッドおよびプロパティと関連します。メソッドとプロパティの詳細については、「ランゲージ リファレンス」を参照してください。オブジェクトに関しては、このセクションで説明します。

Array オブジェクト

配列の添字は、オブジェクトのプロパティとして扱われ、数値インデックスによって参照されます。Array に追加される名前付きのプロパティは、配列要素と異なり、数値によるインデックス付けはされません。

新しい配列を作成する場合は、new 演算子と Array() コンストラクタを使用します。次に例を示します。

var theMonths = new Array(12);
theMonths[0] = "1 月";
theMonths[1] = "2 月";
theMonths[2] = "3 月";
theMonths[3] = "4 月";
theMonths[4] = "5 月";
theMonths[5] = "6 月";
theMonths[6] = "7 月";
theMonths[7] = "8 月";
theMonths[8] = "9 月";
theMonths[9] = "10 月";
theMonths[10] = "11 月";
theMonths[11] = "12 月";

Array キーワードを使用して配列を作成すると、JScript ではエントリ数を記録する length プロパティが指定されます。数値を指定しないと長さは 0 に設定され、配列にはエントリが含まれません。数値を指定すると、長さはその数値に設定されます。複数のパラメータを指定すると、パラメータは配列のエントリとして使用されます。また、パラメータの数が length プロパティに割り当てられます。以下に、その例を示します。この例は、上記の例と同じ内容です。

var theMonths = new Array("1 月", "2 月", "3 月", "4 月", "5 月", "6 月", 
"7 月", "8 月", "9 月", "10 月", "11 月", "12 月");

Array キーワードで作成した配列に要素を追加すると、自動的に length プロパティの値が変更されます。JScript の配列のインデックスは、常に 1 ではなく 0 から開始されます。そのため、length プロパティは、常に配列の最大数より 1 だけ大きい数値になります。

String オブジェクト

JScript では、文字列および数値をオブジェクトのように扱えます。string オブジェクトには、文字列内で使用できる組み込みメソッドが用意されています。substring メソッドはこのような組み込みメソッドの 1 つで、文字列の一部を返します。引数として 2 つの数値を指定します。

aString = "0123456789";
var aChunk = aString.substring(4, 7);  // aChunk を "456".に設定します。
var aNotherChunk = aString.substring(7, 4);  // aNotherChunk に "456" を設定します。
// 上記の例で作成した配列を使用します。
firstLetter = theMonths[5].substring(0,1);  // 変数 firstLetter に "J" を設定します。

String オブジェクトのもう 1 つのプロパティは、length プロパティです。このプロパティには、文字列内の文字数が含まれます (空の文字列の場合は 0)。これは、計算でそのまま使用できる数値です。

var howLong = "Hello World".length  // 変数 howLong に 11 を設定します。

Math オブジェクト

Math オブジェクトには、あらかじめ定義されたプロパティとメソッドがあります。プロパティは特定の数値です。これらの特定の数値の 1 つに、π (約 3.14159...) があります。これは、Math.PI プロパティです。次に例を示します。

// 変数 radius は、宣言され、数値が入力されます。
var circleArea = Math.PI * radius * radius;  //Math と PI には大文字を使用してください。

Math オブジェクトの組み込みメソッドの 1 つに、累乗メソッド pow があります。これは、数値を指定した回数だけ乗算します。次の例では、π と累乗の両方を使用しています。

// これは、指定された半径の球の体積を計算します。
volume = (4/3)*(Math.PI*Math.pow(radius,3));

Date オブジェクト

Date オブジェクトは、現在のシステムの日付を取得したり、日付の差を計算するなど、任意の日付や時間を表すオブジェクトとして使用します。このオブジェクトには、あらかじめ定義されたプロパティとメソッドがあります。通常、Date オブジェクトは、日付の曜日、年月日、時刻、分および秒を表します。この情報は、グリニッジ標準時 (GMT) を基準にしており、1970 年 1 月 1 日 00:00:00.00 からの経過したミリ秒の数値を基に算出されます (本来は、GMT よりも世界標準時によって発信されるシグナルを参照して定められる世界協定時刻 (UTC) という用語を使用することが望ましいと考えられています)。JScript では、紀元前 250,000 年から西暦 255,000 年までの日付を扱うことができます。

新しい Date オブジェクトを作成するには、new 演算子を使用します。次の例では、現在の年、経過日数、および残日数を計算しています。

/*
この例では、上記の例で定義された月の名前の配列を使用します。
最初のステートメントは、"Day Month Date 00:00:00 Year" 形式の
変数 thisIsToday に今日の日付を代入します。
*/
var thisIsToday = new Date();

var toDay = new Date();  // 今日の日付を取得します。

// 年、月、日を取り出します。
var thisYear = toDay.getFullYear();
var thisMonth = theMonths[toDay.getMonth()];
var thisDay = thisMonth  + " " + toDay.getDate() + ", " + thisYear;

Number オブジェクト

Microsoft JScript では、Math オブジェクトで使用できる π のような特殊な数値を表すプロパティの他に、Number オブジェクトで使用できるプロパティが数種類あります。

プロパティ 説明
MAX_VALUE 表現できる最も大きい値。約 1.79E+308。負でも正でも可 (システムごとに変更される値です)。
MIN_VALUE 表現できる最も小さい値。約 2.22E-308。負でも正でも可 (システムごとに変更される値です)。
NaN 特殊な非数値 (not a number)。
POSITIVE_INFINITY 表現できる最も大きい正の値 (Number.MAX_VALUE) よりも大きい値は、自動的にこの値に変換されます。infinity と表示されます。
NEGATIVE_INFINITY 表現できる最も小さい負の値 (-Number.MAX_VALUE) よりも小さい値は、自動的にこの値に変換されます。-infinity と表示されます。

Number.NaN は、"非数" として定義される特殊なプロパティです。たとえば、0 で除算を行った場合に NaN が返されます。数値として解釈できない文字列を解釈しようとした場合にも、Number.NaN が返されます。NaN は、すべての数値との比較、および自分自身との比較処理においても、常に等しくないと評価されます。NaN の結果を評価するには、Number.NaN と比較するのではなく、isNaN() 関数を使用します。