Xamarin.Forms アプリ パフォーマンスの改善
Evolve 2016: Xamarin.Forms でアプリのパフォーマンスを最適化する
アプリケーションのパフォーマンス低下は、さまざまな挙動で現れます。 たとえば、アプリケーションが応答しなかったり、スクロールが遅くなったり、デバイス電池の寿命が縮まったりすることがあります。 ただし、パフォーマンスを最適化するには、効率的なコードを実装するだけでは済みません。 アプリケーション パフォーマンスに関わるユーザー エクスペリエンスも考慮する必要があります。 たとえば、操作の実行によって、ユーザーが他の操作を実行できない状況にならないようにすることで、ユーザー エクスペリエンスを改善できます。
Xamarin.Forms アプリケーションのパフォーマンスとユーザーの体感パフォーマンスを高めるための方法は数多くあります。 これらの手法をすべて使用することで、CPU で実行される作業量や、アプリケーションで消費されるメモリ量を大幅に減らすことができます。
Note
この記事を読む前に、まず、「Cross-Platform Performance」 (クロスプラットフォーム パフォーマンス) をお読みください。Xamarin プラットフォームを使用してビルドされたアプリケーションのメモリ使用量とパフォーマンスを改善するための、プラットフォーム固有ではない手法について説明されています。
XAML コンパイラを有効にする
XAML は任意で、XAML コンパイラ (XAMLC) を利用し、中間言語 (IL) に直接コンパイルできます。 XAMLC にはさまざまな長所があります。
- XAML のコンパイル時チェックを実行し、エラーがあればユーザーに知らせます。
- XAML 要素の読み込みとインスタンス化の時間を短縮します。
- .xaml ファイルが含まれていないので、最終アセンブリのファイル サイズを低減できます。
XAMLC は、新しい Xamarin.Forms ソリューションでは既定で有効になっています。 ただし、旧版のソリューションであれば、有効にしなければならない場合があります。 詳しくは、「Compiling XAML」 (XAML のコンパイル) を参照してください。
コンパイル済みのバインドを使用する
コンパイル済みのバインドでは、リフレクションを利用する実行時ではなく、コンパイル時にバインド式を解決することで、Xamarin.Forms アプリケーションでのデータ バインディングのパフォーマンスが向上します。 バインド式をコンパイルすると、通常、従来のバインドの 8 から 20 倍の速さでバインドを解決するコンパイル済みのコードが生成されます。 詳しくは、「コンパイル済みのバインディング」を参照してください。
不要なバインドを減らす
簡単に静的に設定できるコンテンツにはバインドを利用しないでください。 バインドする必要のないデータをバインドすることには何の利点もありません。バインドはコスト効果が高くありません。 たとえば、Button.Text = "Accept"
を設定すると、値が "Accept" のビューモデル プロパティ string
に Button.Text
をバインドするより、オーバーヘッドが少なくなります。
高速レンダラーを使用する
高速レンダラーは、結果として生じるネイティブのコントロール階層をフラット化することで、Android 上の Xamarin.Forms コントロールの増加を抑制し、レンダリング コストを削減します。 この操作では作成されるオブジェクトが少ないので、結果として、ビジュアル ツリーの複雑さが軽減され、メモリの使用量も少なくなり、パフォーマンスをさらに向上させることができます。
Xamarin.Forms 4.0 以降では、FormsAppCompatActivity
を対象とするすべてのアプリケーションで、既定で高速レンダラーが使用されます。 詳細については、「Fast Renderers (高速レンダラー)」をご覧ください。
Android でスタートアップ トレースを有効にする
Android の事前 (AOT) コンパイルでは、より大きな APK の作成を犠牲にすることで、ジャスト イン タイム (JIT) アプリケーションの起動オーバーヘッドとメモリ使用量が最小限に抑えられます。 別の方法としては、スタートアップ トレースの使用があります。この場合、従来の AOT コンパイルとは違い、Android APK のサイズと起動時間との折り合いになります。
アプリケーションの大部分を可能な限りアンマネージド コードにコンパイルする代わりに、スタートアップ トレースでは、空の Xamarin.Forms アプリケーションでアプリケーション スタートアップの最も負荷がかかる部分を表すマネージド メソッドのセットのみをコンパイルします。 この方法では、従来の AOT コンパイルとは異なり、APK のサイズが縮小されますが、起動が同様に改善されます。
レイアウト圧縮を有効にする
レイアウト圧縮は、ページのレンダリング パフォーマンスを向上させるために、指定したレイアウトをビジュアル ツリーから削除します。 この操作によって得られるパフォーマンスのメリットは、ページの複雑さ、使用しているオペレーティング システムのバージョン、このアプリケーションが実行されているデバイスによって異なります。 ただし、パフォーマンスが最も大きく向上するのは、古いデバイスの場合です。 詳細については、「Layout Compression (レイアウト圧縮)」をご覧ください。
適切なレイアウトを選択する
複数の子を表示できるが、子が 1 つしかないレイアウトは不経済です。 たとえば、次のコード例では、StackLayout
と 1 つの子を確認できます。
<ContentPage xmlns="http://xamarin.com/schemas/2014/forms"
xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2009/xaml"
x:Class="DisplayImage.HomePage">
<StackLayout>
<Image Source="waterfront.jpg" />
</StackLayout>
</ContentPage>
これは無駄です。StackLayout
要素は次のコード例のように削除してください。
<ContentPage xmlns="http://xamarin.com/schemas/2014/forms"
xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2009/xaml"
x:Class="DisplayImage.HomePage">
<Image Source="waterfront.jpg" />
</ContentPage>
また、他のレイアウトを組み合わせて特定のレイアウトの外観を再現することはお控えください。不要なレイアウト計算が実行されます。 たとえば、Grid
インスタンスを組み合わせて、StackLayout
レイアウトを再現しないでください。 次のコード例は、この悪い見本です。
<ContentPage xmlns="http://xamarin.com/schemas/2014/forms"
xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2009/xaml"
x:Class="Details.HomePage"
Padding="0,20,0,0">
<StackLayout>
<StackLayout Orientation="Horizontal">
<Label Text="Name:" />
<Entry Placeholder="Enter your name" />
</StackLayout>
<StackLayout Orientation="Horizontal">
<Label Text="Age:" />
<Entry Placeholder="Enter your age" />
</StackLayout>
<StackLayout Orientation="Horizontal">
<Label Text="Occupation:" />
<Entry Placeholder="Enter your occupation" />
</StackLayout>
<StackLayout Orientation="Horizontal">
<Label Text="Address:" />
<Entry Placeholder="Enter your address" />
</StackLayout>
</StackLayout>
</ContentPage>
不要なレイアウト計算が行われるため、不経済です。 代わりに、次のコード例のように、Grid
を利用すれば望ましいレイアウトを実現できます。
<ContentPage xmlns="http://xamarin.com/schemas/2014/forms"
xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2009/xaml"
x:Class="Details.HomePage"
Padding="0,20,0,0">
<Grid>
<Grid.ColumnDefinitions>
<ColumnDefinition Width="100" />
<ColumnDefinition Width="*" />
</Grid.ColumnDefinitions>
<Grid.RowDefinitions>
<RowDefinition Height="30" />
<RowDefinition Height="30" />
<RowDefinition Height="30" />
<RowDefinition Height="30" />
</Grid.RowDefinitions>
<Label Text="Name:" />
<Entry Grid.Column="1" Placeholder="Enter your name" />
<Label Grid.Row="1" Text="Age:" />
<Entry Grid.Row="1" Grid.Column="1" Placeholder="Enter your age" />
<Label Grid.Row="2" Text="Occupation:" />
<Entry Grid.Row="2" Grid.Column="1" Placeholder="Enter your occupation" />
<Label Grid.Row="3" Text="Address:" />
<Entry Grid.Row="3" Grid.Column="1" Placeholder="Enter your address" />
</Grid>
</ContentPage>
レイアウトのパフォーマンスを最適化する
可能な限り最高のレイアウト パフォーマンスを得るために、次のガイドラインに従ってください。
Margin
プロパティの値を指定して、レイアウト階層の深さを減らし、ビューのネストが少ないレイアウトを生成できるようにします。 詳細については「Margin と Padding」を参照してください。Grid
を使用するときは、Auto
サイズに設定する行と列を可能な限り減らしてください。 自動サイズ調整された行または列はそれぞれ、レイアウト エンジンに追加のレイアウト計算を実行させることになります。 その代わりに可能であれば、固定サイズの行と列を使用してください。 あるいは、親のツリーがこのレイアウト ガイドラインに従うのであれば、GridUnitType.Star
列挙値を利用し、比率によって領域を占めるように行と列を設定します。- 必要でない限り、レイアウトの
VerticalOptions
と ´´HorizontalOptions
プロパティは設定しないでください。 既定値のLayoutOptions.Fill
とLayoutOptions.FillAndExpand
で、レイアウトの最適化が最大になります。 このプロパティの変更にはコストがあり、メモリを消費します。これは、既定値を再設定した場合でも同じです。 - 可能であれば、
RelativeLayout
は使用しないでください。 CPU で相当な量の作業を実行しなければならなくなります。 AbsoluteLayout
を使用するときは、可能な限り、AbsoluteLayout.AutoSize
プロパティを使用しないでください。StackLayout
を使用するときは、LayoutOptions.Expands
に設定する子を 1 つだけにしてください。 このプロパティにより、指定された子は、StackLayout
がそれに与えられる最大の領域を占有します。このような計算を複数回実行することは無駄です。Layout
クラスのメソッドの呼び出しは避けてください。負荷のかかるレイアウト計算が実行されていまいます。 望ましいレイアウト動作は、TranslationX
プロパティとTranslationY
プロパティを設定することで得られる場合が多いです。 あるいは、Layout<View>
クラスをサブクラスにして望ましいレイアウト動作を得ます。Label
インスタンスは不必要に更新しないでください。ラベルのサイズを変更すると、画面レイアウト全体が再計算されることがあります。- 必要でない限り、
Label.VerticalTextAlignment
プロパティは設定しないでください。 - 可能であれば、
Label
インスタンスのLineBreakMode
をNoWrap
に設定してください。
非同期プログラミングを使用する
非同期プログラミングを使用することにより、アプリケーション全体の応答性を向上させ、多くの場合はパフォーマンスのボトルネックを回避することができます。 .NET では、非同期操作に推奨されるデザイン パターンは、タスクベースの非同期パターン (TAP) です。 ただし、TAP を不適切に使用すると、アプリケーションのパフォーマンスが低下する可能性があります。 そのため、TAP を使用するときは、次のガイドラインに従う必要があります。
基礎
TaskStatus
列挙型によって表されるタスクのライフサイクルを理解します。 詳しくは、「TaskStatus の意味」および「タスクの状態」をご覧ください。一連の非同期操作を
await
で個別に待機するのではなく、Task.WhenAll
メソッドを使用して、複数の非同期操作が完了するのを非同期に待機します。 詳しくは、「Task.WhenAll」をご覧ください。複数の非同期操作の 1 つが完了するのを非同期に待つには、
Task.WhenAny
メソッドを使用します。 詳しくは、「Task.WhenAny」をご覧ください。指定した時間の後で終了する
Task
オブジェクトを生成するには、Task.Delay
メソッドを使用します。 これは、データをポーリングする場合や、ユーザー入力の処理を事前に定義された時間だけ遅延する場合などのシナリオに役立ちます。 詳しくは、「Task.Delay」をご覧ください。スレッド プールで大量の同期 CPU 操作を実行するには、
Task.Run
メソッドを使用します。 このメソッドはTaskFactory.StartNew
メソッドのショートカットであり、最適な引数が設定されています。 詳しくは、「Task.Run」をご覧ください。非同期コンストラクターを作成しないようにします。 すべての初期化を正しく
await
するには、代わりに、ライフサイクル イベントまたは個別の初期化ロジックを使用します。 詳しくは、blog.stephencleary.com の「非同期コンストラクター」をご覧ください。アプリケーションの起動時に非同期操作が完了するのを待たないようにするには、レイジー タスク パターンを使用します。 詳しくは、「AsyncLazy」をご覧ください。
TAP が使用されていない既存の非同期操作に対しては、
TaskCompletionSource<T>
オブジェクトを作成することによってタスク ラッパーを作成します。 これらのオブジェクトによりTask
の利点がプログラミングで得られ、関連付けられたTask
の有効期間と完了を制御できるようになります。 詳しくは、「TaskCompletionSource の性質」をご覧ください。非同期操作の結果を処理する必要がない場合は、待機された
Task
オブジェクトを返す代わりに、Task
オブジェクトを返します。 これは、実行されるコンテキストの切り替えが少ないため、パフォーマンスが向上します。使用可能になった時点でデータを処理する場合や、相互に非同期的に通信する必要がある複数の操作がある場合は、タスク並列ライブラリ (TPL) データフロー ライブラリを使用します。 詳しくは、「データフロー (タスク並列ライブラリ)」をご覧ください。
UI
使用可能な場合は、API の非同期バージョンを呼び出します。 これにより、UI スレッドの非ブロック状態が保たれ、アプリケーションのユーザー エクスペリエンスの向上に役立ちます。
例外がスローされるのを防ぐために、UI スレッドでの非同期操作からのデータを使用して UI 要素を更新します。 ただし、
ListView.ItemsSource
プロパティに対する更新は、UI スレッドに自動的にマーシャリングされます。 コードが UI スレッドで実行されているかどうかを判断する方法については、「Xamarin.Essentials: MainThread」を参照してください。重要
データ バインディングによって更新されるコントロール プロパティは、UI スレッドに自動的にマーシャリングされます。
エラー処理
- 非同期例外処理について学習します。 非同期に実行されているコードによってスローされたハンドルされない例外は、特定の状況を除き、呼び出し元のスレッドに反映されます。 詳しくは、「例外処理 (タスク並列ライブラリ)」をご覧ください。
async void
メソッドを作成せず、代わりにasync Task
メソッドを作成します。 これにより、エラー処理、構成可能性、およびテストの容易性が向上します。 このガイドラインに対する例外は非同期イベント ハンドラーであり、その場合はvoid
を返す必要があります。 詳しくは、「async void を避ける」をご覧ください。Task.Wait
、Task.Result
、またはGetAwaiter().GetResult
メソッドを呼び出すことによって、ブロックと非同期コードを混在させないでください。デッドロックが発生する可能性があります。 ただし、このガイドラインに違反する必要がある場合は、GetAwaiter().GetResult
メソッドを呼び出すことをお勧めします。この方法では、タスクの例外が保持されます。 詳しくは、「すべて非同期にする」および「.NET 4.5 でのタスク例外処理」をご覧ください。- 可能な限り
ConfigureAwait
メソッドを使用して、コンテキスト フリーのコードを作成します。 コンテキスト フリーのコードは、モバイル アプリケーションでのパフォーマンスが優れており、部分的に非同期のコードベースを使用するときのデッドロックを回避するのに役立つ手法です。 詳しくは、「コンテキストを構成する」をご覧ください。 - 前の非同期操作によってスローされた例外の処理や、開始前または実行中の継続のキャンセルなどの機能には、"継続タスク" を使用します。 詳しくは、「継続タスクを使用したタスクの連結」をご覧ください。
ICommand
から非同期操作を呼び出すときは、ICommand
の非同期の実装を使用します。 これにより、非同期コマンド ロジック内のすべての例外を処理できます。 詳細については、「非同期プログラミング: 非同期 MVVM アプリケーションのパターン: コマンド」をご覧ください。
依存関係挿入コンテナーを慎重に選択する
依存関係挿入コンテナーにより、モバイル アプリケーションに追加のパフォーマンス制約が導入されます。 コンテナーで型を登録し、解決すると、パフォーマンス コストが発生します。特に、アプリのページ ナビゲーションごとに依存関係が再構築される場合には、各型を作成するために、コンテナーでリフレクションが使用されるからです。 依存関係が多いか深い場合、作成コストが大幅に増加する可能性があります。 また、通常、アプリケーションの起動中に発生する型の登録は、使用されるコンテナーによっては、起動時間に顕著な影響を与える可能性があります。
代替手段としては、ファクトリを使用して手動実装することで、依存関係挿入の性能を上げることができます。
シェル アプリケーションを作成する
Xamarin.Forms シェル アプリケーションでは、ポップアップとタブに基づいて、厳格なナビゲーション エクスペリエンスを提供しています。 アプリケーション ユーザー エクスペリエンスをシェルで実装できる場合、そうすることが推奨されます。 シェル アプリケーションは、芳しくない起動体験を避ける目的で役立ちます。"TabbedPage" を使用するアプリケーションで発生するようにアプリケーションの起動時ではなく、ナビゲーションに対する応答で必要に応じてページが作成されるためです。 詳細は、「Xamarin.Forms シェル」を参照してください。
ListView の代わりに CollectionView を使用する
CollectionView
は、さまざまなレイアウト仕様を使用してデータを一覧表示するためのビューです。 ListView
の柔軟で高性能な代替となります。 詳細は、「Xamarin.Forms CollectionView」を参照してください。
ListView パフォーマンスを最適化する
ListView
を使用する場合、最適化が必要なさまざまなユーザー エクスペリエンスがあります。
- 初期化 – コントロールが作成されたときに始まり、項目が画面に表示されたときに終わる時間間隔。
- スクロール – 一覧をスクロール表示し、UI がタッチ ジェスチャに遅れないようにする機能。
- 項目の追加、削除、選択の相互作用。
ListView
コントロールは、アプリケーションがデータとセルのテンプレートを提供することを要求します。 その提供方法は、コントロールのパフォーマンスを大きな影響を与えます。 詳しくは、「ListView のパフォーマンス」を参照してください。
イメージ リソースを最適化する
画像リソースを表示すると、アプリケーションのメモリの占有領域が大幅に増える場合があります。 そのため、必要な場合にのみ作成し、アプリケーションで不要になったらすぐに解放する必要があります。 たとえば、アプリケーションがストリームからデータを読み込み、イメージを表示する場合、必要なときだけストリームが作成されるようにします。また、不要になったら、ストリームを解放するようにします。 これは、ページが作成されたときや Page.Appearing
イベントが発生したときにストリームを作成し、Page.Disappearing
イベントが発生したときにストリームを解放することで達成されます。
ImageSource.FromUri
メソッドで表示するためにイメージをダウンロードするとき、UriImageSource.CachingEnabled
プロパティを true
に設定することで、ダウンロードしたイメージがキャッシュに保存されます。 詳細については、「イメージの処理」を参照してください。
詳細については、「イメージ リソースを最適化する」を参照してください。
ビジュアル ツリーのサイズを減らす
ページ上の要素の数を減らすと、ページのレンダリングが速くなります。 これは主に 2 つの手法で達成できます。 最初の手法は、表示されない要素を隠すことです。 各要素の IsVisible
プロパティは、要素をビジュアル ツリーに含めるかどうかを決定します。 そのため、ある要素が他の要素の後ろに隠れているために見えない場合、その要素を取り除くか、その IsVisible
プロパティを false
に設定します。
2 番目の手法は、不要な要素を取り除くことです。 たとえば、次のコード例では、複数の Label
オブジェクトが含まれるページ レイアウトを確認できます。
<StackLayout>
<StackLayout Padding="20,20,0,0">
<Label Text="Hello" />
</StackLayout>
<StackLayout Padding="20,20,0,0">
<Label Text="Welcome to the App!" />
</StackLayout>
<StackLayout Padding="20,20,0,0">
<Label Text="Downloading Data..." />
</StackLayout>
</StackLayout>
要素の数を減らして同じページ レイアウトを維持できます。次のコード例をご覧ください。
<StackLayout Padding="20,35,20,20" Spacing="25">
<Label Text="Hello" />
<Label Text="Welcome to the App!" />
<Label Text="Downloading Data..." />
</StackLayout>
アプリケーション リソース ディクショナリのサイズを減らす
アプリケーション全体で使用されるリソースは、重複を回避するために、アプリケーションのリソース ディクショナリに保存してください。 アプリケーション全体で解析しなければならない XAML の量を減らすことができます。 次のコード例では、HeadingLabelStyle
リソースを確認できます。このリソースはアプリケーション全体で使用されるため、アプリケーションのリソース ディクショナリに定義されています。
<Application xmlns="http://xamarin.com/schemas/2014/forms"
xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2009/xaml"
x:Class="Resources.App">
<Application.Resources>
<ResourceDictionary>
<Style x:Key="HeadingLabelStyle" TargetType="Label">
<Setter Property="HorizontalOptions" Value="Center" />
<Setter Property="FontSize" Value="Large" />
<Setter Property="TextColor" Value="Red" />
</Style>
</ResourceDictionary>
</Application.Resources>
</Application>
ただし、あるページに固有の XAML は、アプリケーションのリソース ディクショナリに含めるべきではありません。アプリのリソースは、ページが必要とするときではなく、アプリケーションの起動時に解析されるためです。 リソースが起動ページではないページで使用される場合、そのページのリソース ディクショナリに置いてください。これにより、アプリケーションの起動時に解析される XAML が減ります。 次のコード例では、HeadingLabelStyle
リソースを確認できます。このリソースは 1 つのページだけに存在するので、ページのリソース ディクショナリに定義されています。
<ContentPage xmlns="http://xamarin.com/schemas/2014/forms"
xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2009/xaml"
x:Class="Test.HomePage"
Padding="0,20,0,0">
<ContentPage.Resources>
<ResourceDictionary>
<Style x:Key="HeadingLabelStyle" TargetType="Label">
<Setter Property="HorizontalOptions" Value="Center" />
<Setter Property="FontSize" Value="Large" />
<Setter Property="TextColor" Value="Red" />
</Style>
</ResourceDictionary>
</ContentPage.Resources>
...
</ContentPage>
アプリケーション リソースについて詳しくは、「XAML スタイル」を参照してください。
カスタム レンダラー パターンを使用する
ほとんどの Xamarin.Forms レンダラー クラスは OnElementChanged
メソッドを公開します。このメソッドは、該当するネイティブ コントロールをレンダリングするために、Xamarin.Forms カスタム コントロールの作成時に呼び出されます。 呼び出し後、各プラットフォーム プロジェクトのカスタム レンダラー クラスにより、ネイティブ コントロールをインスタンス化し、カスタマイズするために、このメソッドがオーバーライドされます。 SetNativeControl
メソッドはネイティブ コントロールのインスタンス化に使用されます。このメソッドはまた、コントロール参照を Control
プロパティに割り当てます。
ただし、一部の状況では、OnElementChanged
メソッドが複数回呼び出されることがあります。 そのため、パフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるメモリ リークを防ぐため、新しいネイティブ コントロールをインスタンス化するときには慎重に行う必要があります。 カスタム レンダラーで新しいネイティブ コントロールをインスタンス化するときに使用する手法を次のコード例に示します。
protected override void OnElementChanged (ElementChangedEventArgs<NativeListView> e)
{
base.OnElementChanged (e);
if (e.OldElement != null)
{
// Unsubscribe from event handlers and cleanup any resources
}
if (e.NewElement != null)
{
if (Control == null)
{
// Instantiate the native control with the SetNativeControl method
}
// Configure the control and subscribe to event handlers
}
}
新しいネイティブ コントロールは、Control
プロパティが null
のとき、1 回だけインスタンス化します。 さらに、カスタム レンダラーが新しい Xamarin.Forms 要素に関連付けられるときにのみ、コントロールを作成および構成し、イベント ハンドラーを登録する必要があります。 同様に、レンダラーが関連付けられている要素が変わるときにのみ、サブスクライブしていたイベント ハンドラーを登録解除します。 この手法を採用すると、カスタム レンダラーが効率的に実行され、メモリ リークが発生しません。
重要
SetNativeControl
メソッドは、e.NewElement
プロパティが null
ではなく、Control
プロパティが null
の場合にのみ呼び出します。
カスタム レンダラーに関する詳細については、「Customizing Controls on Each Platform」 (各プラットフォームのコントロールをカスタマイズする) を参照してください。