マイクロソフト セキュリティ情報 MS13-092 - 重要
Hyper-V の脆弱性により、特権が昇格される (2893986)
公開日: 2013年11月13日
バージョン: 1.0
概説
概要
このセキュリティ更新プログラムは非公開で報告された Microsoft Windows に存在する 1 件の脆弱性を解決します。攻撃者が、実行中の既存の仮想マシンからハイパーバイザーへのハイパーコールで特別に細工された関数パラメーターを渡した場合、この脆弱性により特権の昇格が起こる可能性があります。さらに、攻撃者が既存の実行中の仮想マシンからハイパーバイザーへのハイパーコールで特別に細工された関数パラメーターを渡した場合、この脆弱性により Hyper-V ホストのサービス拒否が起こる可能性があります。
このセキュリティ更新プログラムは、Windows 8 for x64-based Systems および Windows Server 2012について、深刻度「重要」と評価されています。詳細については、このセクションのサブセクション「影響を受けるソフトウェアおよび影響を受けないソフトウェア」を参照してください。
このセキュリティ更新プログラムは、Hyper-V にユーザー入力を正しくサニタイズさせることにより、この脆弱性を解決します。この脆弱性に関する詳細については、次の「脆弱性の情報」のセクションの特定の脆弱性に関するサブセクション「よく寄せられる質問 (FAQ)」を参照してください。
推奨する対応策: ほとんどのお客様は自動更新を有効にしていて、このセキュリティ更新プログラムが自動的にダウンロードおよびインストールされるため、特別な措置を講じる必要はありません。自動更新を有効にしていない場合、この更新プログラムを手動で確認し、インストールする必要があります。自動更新の具体的な構成オプションの詳細については、サポート技術情報 294871 を参照してください。
管理者およびエンタープライズのインストール、またはこのセキュリティ更新プログラムを手動でインストールしたいエンドユーザーは、更新プログラムの管理ソフトウェアまたは Microsoft Update サービスで更新プログラムを確認して、この更新プログラムをできる限り早期に適用することを推奨します。
このセキュリティ情報の後半の「検出および展開ツールとガイダンス」を参照してください。
サポート技術情報
サポート技術情報 | 2893986 |
---|---|
ファイルに関する情報 | あり |
SHA1/SHA2 ハッシュ | あり |
既知の問題 | なし |
影響を受けるソフトウェアおよび影響を受けないソフトウェア
ここに記載されているソフトウェアをテストし、影響を受けるバージョンまたはエディションを確認しました。その他のバージョンまたはエディションはサポート ライフサイクルが終了したか、または影響を受けません。ご使用中のソフトウェアのバージョンまたはエディションのサポート ライフサイクルを確認するには、マイクロソフト サポート ライフサイクルの Web サイトを参照してください。
影響を受けるソフトウェア
オペレーティング システム | 最も深刻な脆弱性の影響 | 総合的な深刻度 | 置き換えられる更新プログラム |
---|---|---|---|
Windows 8 | |||
[Windows 8 for x64-based Systems](https://www.microsoft.com/download/ja-jp/details.aspx?familyid=1da60176-fb56-425b-bfd6-38102d189c83) (Pro および Enterprise Edition のみ) (2893986) | 特権の昇格 | 重要 | なし |
Windows Server 2012 | |||
[Windows Server 2012](https://www.microsoft.com/download/ja-jp/details.aspx?familyid=b5e3b4f7-47e5-405d-8f30-8f837ee23f5a) (Standard Edition、Datacenter Edition、および Hyper-V Server 2012 のみ) (2893986) | 特権の昇格 | 重要 | なし |
Server Core インストール オプション | |||
[Windows Server 2012](https://www.microsoft.com/download/ja-jp/details.aspx?familyid=b5e3b4f7-47e5-405d-8f30-8f837ee23f5a) (Server Core インストール) (2893986) | 特権の昇格 | 重要 | なし |
影響を受けないソフトウェア
オペレーティング システム |
---|
Windows XP Service Pack 3 |
Windows XP Professional x64 Edition Service Pack 2 |
Windows Server 2003 Service Pack 2 |
Windows Server 2003 x64 Edition Service Pack 2 |
Windows Server 2003 with SP2 for Itanium-based Systems |
Windows Vista Service Pack 2 |
Windows Vista x64 Edition Service Pack 2 |
Windows Server 2008 for 32-bit Systems Service Pack 2 |
Windows Server 2008 for x64-based Systems Service Pack 2 |
Windows Server 2008 for Itanium-based Systems Service Pack 2 |
Windows 7 for 32-bit Systems Service Pack 1 |
Windows 7 for x64-based Systems Service Pack 1 |
Windows Server 2008 R2 for x64-based Systems Service Pack 1 |
Windows Server 2008 R2 for Itanium-based Systems Service Pack 1 |
Windows 8 for 32-bit Systems |
Windows 8.1 for 32-bit Systems |
Windows 8.1 for x64-based Systems |
Windows Server 2012 R2 |
Windows RT |
Windows RT 8.1 |
Server Core インストール オプション |
Windows Server 2008 for 32-bit Systems Service Pack 2 (Server Core インストール) |
Windows Server 2008 for x64-based Systems Service Pack 2 (Server Core インストール) |
Windows Server 2008 R2 for x64-based Systems Service Pack 1 (Server Core インストール) |
Windows Server 2012 R2 (Server Core インストール) |
更新プログラムに関する FAQ
Hyper-V を有効にしていません。この更新プログラムをインストールすることはできますか? いいえ。この更新プログラムは Hyper-V を有効にしている影響を受けるオペレーティング システムのみにインストール可能です。Hyper-V を有効にしていないシステムは、この脆弱性の影響を受けません。
この更新プログラムは、Hyper-V を有効にしていなくても、提供されますか? しかし、Hyper-V が有効にされている場合のみ、この更新プログラムは自動更新で提供されます。これは、影響を受けるオペレーティング システムが Server Core インストール オプションを使用してインストールされているかどうかに関わらず該当するものです。
この更新プログラムは、Hyper-V のゲスト仮想マシンに適用する必要がありますか? いいえ。この更新プログラムは、Hyper-V のゲスト マシンに適用してはなりません。適用できるのは、Hyper-V を有効にしているサーバーのみです。この更新プログラムは、Hyper-V サーバー システムにのみ自動更新で提供されます。ゲスト仮想マシンには提供されません。
Hyper-V とは何ですか?
Hyper-V は、Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2、Windows 8、Windows Server 2012、Windows Server 2012 R2、および Windows 8.1 の主要機能であるハイパーバイザー ベースのテクノロジです。スケーラブルで信頼性と可用性が高い仮想化プラットフォームを提供します。この種の環境は、仮想マシンを作成して管理できる (1 台の物理コンピューターで複数のオペレーティング システムを実行し、それらのオペレーティング システムを互いに分離できる) ため、便利です。
Hyper-V サーバーとは何ですか? これもこの脆弱性の影響を受けますか? Microsoft Hyper-V サーバーは、スタンドアロンの製品で、信頼できる最適化された仮想化ソリューションを提供するため、組織がサーバー利用を向上し、費用が削減できます。Hyper-V サーバーは、専用のスタンドアロン製品で、Windows Hypervisor、Windows Server ドライバー モデルおよび仮想化コンポーネントのみを含むため、省スペースおよび最低限の経費を提供します。
Microsoft Hyper-V Server 2012 は、この脆弱性の影響を受けます。このセキュリティ情報で説明している脆弱性から保護するには、Hyper-V サーバーに更新プログラムを適用する必要があります。自動更新を有効にしているお客様は、この更新プログラムがインストール向けに自動的に提供されます。
このセキュリティ情報で説明しているソフトウェアの旧バージョンを使用しています。どうすればよいですか?
このセキュリティ情報の一覧の影響を受けるソフトウェアのテストを行い、影響を受けるリリースを確認しました。その他のリリースは、サポート ライフサイクルが終了しました。製品のライフサイクルに関する詳細については、マイクロソフト サポート ライフサイクルの Web サイトを参照してください。
今後、脆弱性の影響を受けないようにするため、旧リリースのソフトウェアを使用しているお客様は、サポート対象のリリースに移行することを強く推奨します。使用するソフトウェアのサポート ライフサイクルを確認するには、サービスパック ライフサイクル ポリシーを参照してください。これらのソフトウェアのリリースのサービス パックの詳細については、サービスパック ライフサイクル ポリシーを参照してください。
以前のソフトウェアに関するカスタム サポートが必要なお客様は、担当営業、またはマイクロソフト アカウント チームの担当者、担当テクニカル アカウント マネージャー (TAM)、またはカスタム サポート オプションのマイクロソフト パートナー担当者までご連絡ください。プレミア契約をお持ちでないお客様は、マイクロソフト サポート契約センター (営業時間 9:30-12:00 13:00-19:00 土日祝祭日を除く TEL:0120-17-0196 FAX:03-5388-8253) までお問い合わせください。連絡先の情報は、Microsoft Worldwide Information Web サイトの Contact Information のプルダウン リストから国を選択し、[Go] ボタンをクリックすると、連絡先の電話番号が表示されます。お問い合わせの際、お住まいの地域のプレミア サポート営業担当にご連絡ください。詳細については、マイクロソフト サポート ライフサイクル ポリシー FAQ を参照してください。
脆弱性の情報
深刻度および脆弱性識別番号
次の深刻度の評価は、脆弱性の影響が最も深刻な場合を想定しています。深刻度の評価およびセキュリティ上の影響に関連して、このセキュリティ情報の公開から 30 日間でこの脆弱性が悪用される可能性に関する情報については、11 月のセキュリティ情報の概要の Exploitability Index (悪用可能性指標) を参照してください。詳細については、Microsoft Exploitability Index (悪用可能性指標) を参照してください。
影響を受けるソフトウェア | アドレス破損の脆弱性 - CVE-2013-3898 | 総合的な深刻度 |
---|---|---|
Windows 8 | ||
Windows 8 for x64-based Systems (2893986) | 重要 特権の昇格 | 重要 |
Windows Server 2012 | ||
Windows Server 2012 (2893986) | 重要 特権の昇格 | 重要 |
Server Core インストール オプション | ||
Windows Server 2012 (Server Core インストール) (2893986) | 重要 特権の昇格 | 重要 |
アドレス破損の脆弱性 - CVE-2013-3898
Windows 8 と Windows Server 2012 の Hyper-V には、特権の昇格の脆弱性が存在します。攻撃者がこの脆弱性を悪用した場合、共有 Hyper-V ホスト上の別の仮想マシン (VM) で任意のコードをシステムとして実行する可能性があります。攻撃者は、Hyper-V ホストでコードを実行することはできず、同じホスト上のゲスト VM でのみ実行できます。この脆弱性により、同じプラットフォーム上の Hyper-V でサービス拒否が発生し、攻撃者が Hyper-V ホストに応答を停止させたり、再起動したりできるようになる可能性もあります。
Common Vulnerabilities and Exposures のリストの標準のエントリとしてこの脆弱性を確認するには、CVE-2013-3898 を参照してください。
問題を緩和する要素
マイクロソフトは、この脆弱性の問題を緩和する要素を確認していません。
回避策
マイクロソフトは、この脆弱性の回避策を確認していません。
よく寄せられる質問
この脆弱性により、どのようなことが起こる可能性がありますか?
これは、特権の昇格の脆弱性であり、サービス拒否を引き起こすためにも使用される可能性があります。
何が原因で起こりますか?
この脆弱性は、データ構造の値が正しく検証されず、無効なアドレスのメモリ アドレスを使用できるようになると発生します。
攻撃者が Hyper-V ホストを制御できるようになる可能性はありますか? いいえ。Hyper-V ホストは、特権の昇格の脆弱性の影響を受けません。
脆弱性の影響を受けるのはゲスト VM だけですか? いいえ。特権の昇格の脆弱性の影響を受けるのはゲスト VM だけですが、Hyper-V ホストは、実行中のゲスト VM のいずれかから行われるサービス拒否攻撃の脆弱性の影響を受けます。さらに、そのホスト上にある他のすべての VM がサービス拒否の影響を受けて、サーバーを再起動しないと利用できなくなる可能性もあります。
攻撃者は、この脆弱性を悪用して何を行う可能性がありますか?
攻撃者がこの脆弱性を悪用した場合、Hyper-V ホストがクラッシュした後、ゲスト VM もクラッシュする可能性があります。さらに、攻撃者が別の VM でコードを実行する可能性もあります。これは、ターゲット VM が、攻撃者によって操作されている VM と同じホスト上にないと実行できません。
攻撃者はこの 脆弱性をどのように悪用する可能性がありますか?
ソース VM 上で管理者特権を持つ認証された攻撃者が、ホスト ハイパーバイザーへのハイパーコールで特別に細工された関数パラメーターを渡すことによりこの脆弱性を悪用する可能性があります。
主にどのようなコンピューターがこの脆弱性による危険にさらされますか?
主に、Hyper-V が有効になった影響を受けるシステムが、この脆弱性による危険にさらされます。
この更新プログラムはどのように問題を修正しますか?
この更新プログラムは、Hyper-V にユーザー入力を正しくサニタイズさせることにより、この脆弱性を解決します。
このセキュリティ情報のリリース時に、この脆弱性は一般に公開されていたのですか?
いいえ。マイクロソフトは協調的な脆弱性の公開を通して、この脆弱性に関する情報を受けました。
このセキュリティ情報のリリース時に、マイクロソフトはこの脆弱性が悪用されたという報告を受けていましたか?
いいえ。マイクロソフトは、このセキュリティ情報が最初に公開された際に、この脆弱性が一般で悪用され、お客様が攻撃されていたことを示す情報を受けていませんでした。
更新プログラムに関する情報
検出および展開ツールとガイダンス
管理者がセキュリティ更新プログラムを展開するときに役立つリソースがいくつかあります。
- Microsoft Baseline Security Analyzer (MBSA) を使用して、管理者はローカル システムとリモート システムの不足しているセキュリティ更新プログラムと一般的な誤ったセキュリティ構成をスキャンできます。
- Windows Server Update Services (WSUS)、Systems Management Server (SMS)、および System Center Configuration Manager は、管理者がセキュリティ更新プログラムを配布するときに役に立ちます。
- Application Compatibility Toolkit に含まれている Update Compatibility Evaluator コンポーネントは、インストールされているアプリケーションに対する Windows の更新プログラムのテストおよび確認を効率化する手助けをします。
利用可能なこれらのツールおよび他のツールの詳細については、「セキュリティ ツール」を参照してください。
セキュリティ更新プログラムの展開
影響を受けるソフトウェア
影響を受けるソフトウェア用の特定のセキュリティ更新プログラムについては、該当リンクの情報を参照してください。
Windows 8 (すべてのエディション)
参照表
次の表では、このソフトウェア用のセキュリティ更新プログラムの情報を記載しています。
セキュリティ更新プログラムのファイル名 | サポートされている x64-based エディションの Windows 8 (Pro および Enterprise Edition のみ): Windows8-RT-KB2893986-x64.msu |
インストール スイッチ | サポート技術情報 934307 を参照してください。 |
再起動の必要性 | はい。セキュリティ更新プログラムを適用してから、コンピューターを再起動する必要があります。 |
削除に関する 情報 | WUSA によってインストールされた更新プログラムをアンインストールするためには、/Uninstall セットアップ スイッチを使用するか、[コントロールパネル]、[システムとセキュリティ]、[WindowsUpdate]、[インストールされた更新プログラム]の順にクリックし、更新プログラムの一覧から選択します。 |
ファイルに関する 情報 | サポート技術情報 2893986 を参照してください。 |
レジストリ キーの 確認 | 注: この更新プログラムが存在しているかどうかを検証するためのレジストリ キーはありません。 |
セキュリティ更新プログラムのファイル名 | サポートされるエディションの Windows Server 2012 (Standard Edition、Datacenter Edition、および Hyper-V Server 2012 のみ): Windows8-RT-KB2893986-x64.msu |
インストール スイッチ | サポート技術情報 934307 を参照してください。 |
再起動の 必要性 | はい。セキュリティ更新プログラムを適用してから、コンピューターを再起動する必要があります。 |
削除に関する 情報 | WUSA によってインストールされた更新プログラムをアンインストールするためには、/Uninstall セットアップ スイッチを使用するか、[コントロールパネル]、[システムとセキュリティ]、[WindowsUpdate]、[インストールされた更新プログラム]の順にクリックし、更新プログラムの一覧から選択します。 |
ファイルに関する情報 | サポート技術情報 2893986 を参照してください。 |
レジストリ キーの 確認 | 注: この更新プログラムが存在しているかどうかを検証するためのレジストリ キーはありません。 |