マイクロソフト セキュリティ情報 MS13-102 - 重要
LRPC クライアントの脆弱性により、特権が昇格される (2898715)
公開日: 2013年12月11日
バージョン: 1.0
概説
概要
このセキュリティ更新プログラムは非公開で報告された Microsoft Windows に存在する 1 件の脆弱性を解決します。この脆弱性があると、攻撃者が LRPC サーバーを偽装して、特別に細工した LPC ポート メッセージを LRPC クライアントに送信した場合に、特権の昇格が起こる可能性があります。攻撃者がこの脆弱性を悪用した場合、プログラムのインストール、データの表示、変更、削除、または完全な管理者権限を持つ新たなアカウントの作成が行われる可能性があります。この脆弱性が悪用されるには、有効な資格情報を所有し、ローカルでログオンできることが攻撃者にとっての必要条件となります。
このセキュリティ更新プログラムは Windows XP および Windows Server 2003 のすべてのサポートされているエディションについて、深刻度「重要」と評価されています。詳細情報については、このセクションの「影響を受けるソフトウェアおよび影響を受けないソフトウェア」のサブセクションを参照してください。
このセキュリティ更新プログラムは、LRPC メッセージを検証することにより、この脆弱性を解決します。この脆弱性に関する詳細については、次の「脆弱性の情報」のセクションの特定の脆弱性に関するサブセクション「よく寄せられる質問 (FAQ)」を参照してください。
推奨する対応策: ほとんどのお客様は自動更新を有効にしていて、このセキュリティ更新プログラムが自動的にダウンロードおよびインストールされるため、特別な措置を講じる必要はありません。自動更新を有効にしていない場合、この更新プログラムを手動で確認し、インストールする必要があります。自動更新の具体的な構成オプションの詳細については、サポート技術情報 294871 を参照してください。
管理者およびエンタープライズのインストール、またはこのセキュリティ更新プログラムを手動でインストールしたいエンドユーザーは、更新プログラムの管理ソフトウェアまたは Microsoft Update サービスで更新プログラムを確認して、この更新プログラムをできる限り早期に適用することを推奨します。
このセキュリティ情報の後半の「検出および展開ツールとガイダンス」を参照してください。
サポート技術情報
サポート技術情報 | 2898715 |
---|---|
ファイルに関する情報 | あり |
SHA1/SHA2 ハッシュ | あり |
既知の問題 | なし |
影響を受けるソフトウェアおよび影響を受けないソフトウェア
ここに記載されているソフトウェアをテストし、影響を受けるバージョンまたはエディションを確認しました。その他のバージョンまたはエディションはサポート ライフサイクルが終了したか、または影響を受けません。ご使用中のソフトウェアのバージョンまたはエディションのサポート ライフサイクルを確認するには、マイクロソフト サポート ライフサイクルの Web サイトを参照してください。
影響を受けるソフトウェア
オペレーティング システム | 最も深刻な脆弱性の影響 | 総合的な深刻度 | 置き換えられる更新プログラム |
---|---|---|---|
Windows XP | |||
[Windows XP Service Pack 3](https://www.microsoft.com/download/ja-jp/details.aspx?familyid=eaaac2ea-6a47-40c3-8ebc-541d055eb1eb) (2898715) | 特権の昇格 | 重要 | [MS13-062](https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=309337) の 2849470 |
[Windows XP Professional x64 Edition Service Pack 2](https://www.microsoft.com/download/ja-jp/details.aspx?familyid=60b887bd-6eba-4483-9cab-3637843bb500) (2898715) | 特権の昇格 | 重要 | [MS13-062](https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=309337) の 2849470 |
Windows Server 2003 | |||
[Windows Server 2003 Service Pack 2](https://www.microsoft.com/download/ja-jp/details.aspx?familyid=05303983-dd76-4045-aeda-392e5264a2d5) (2898715) | 特権の昇格 | 重要 | [MS13-062](https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=309337) の 2849470 |
[Windows Server 2003 x64 Edition Service Pack 2](https://www.microsoft.com/download/ja-jp/details.aspx?familyid=60893f6c-56a1-4617-9030-6e5f16447941) (2898715) | 特権の昇格 | 重要 | [MS13-062](https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=309337) の 2849470 |
[Windows Server 2003 with SP2 for Itanium-based Systems](https://www.microsoft.com/download/ja-jp/details.aspx?familyid=a3b09e98-cddd-44b2-a893-2032c33c17ca) (2898715) | 特権の昇格 | 重要 | [MS13-062](https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=309337) の 2849470 |
影響を受けないソフトウェア
オペレーティング システム |
---|
Windows Vista Service Pack 2 |
Windows Vista x64 Edition Service Pack 2 |
Windows Server 2008 for 32-bit Systems Service Pack 2 |
Windows Server 2008 for x64-based Systems Service Pack 2 |
Windows Server 2008 for Itanium-based Systems Service Pack 2 |
Windows 7 for 32-bit Systems Service Pack 1 |
Windows 7 for x64-based Systems Service Pack 1 |
Windows Server 2008 R2 for x64-based Systems Service Pack 1 |
Windows Server 2008 R2 for Itanium-based Systems Service Pack 1 |
Windows 8 for 32-bit Systems |
Windows 8 for x64-based Systems |
Windows 8.1 for 32-bit Systems |
Windows 8.1 for x64-based Systems |
Windows Server 2012 |
Windows Server 2012 R2 |
Windows RT |
Windows RT 8.1 |
更新プログラムに関する FAQ
このセキュリティ情報で説明しているソフトウェアの旧バージョンを使用しています。どうすればよいですか?
このセキュリティ情報の一覧の影響を受けるソフトウェアのテストを行い、影響を受けるリリースを確認しました。その他のリリースは、サポート ライフサイクルが終了しました。製品のライフサイクルに関する詳細については、マイクロソフト サポート ライフサイクルの Web サイトを参照してください。
今後、脆弱性の影響を受けないようにするため、旧リリースのソフトウェアを使用しているお客様は、サポート対象のリリースに移行することを強く推奨します。使用するソフトウェアのサポート ライフサイクルを確認するには、サービスパック ライフサイクル ポリシーを参照してください。これらのソフトウェアのリリースのサービス パックの詳細については、サービスパック ライフサイクル ポリシーを参照してください。
以前のソフトウェアに関するカスタム サポートが必要なお客様は、担当営業、またはマイクロソフト アカウント チームの担当者、担当テクニカル アカウント マネージャー (TAM)、またはカスタム サポート オプションのマイクロソフト パートナー担当者までご連絡ください。プレミア契約をお持ちでないお客様は、マイクロソフト サポート契約センター (営業時間 9:30-12:00 13:00-19:00 土日祝祭日を除く TEL:0120-17-0196 FAX:03-5388-8253) までお問い合わせください。連絡先の情報は、Microsoft Worldwide Information Web サイトの Contact Information のプルダウン リストから国を選択し、[Go] ボタンをクリックすると、連絡先の電話番号が表示されます。お問い合わせの際、お住まいの地域のプレミア サポート営業担当にご連絡ください。詳細については、マイクロソフト サポート ライフサイクル ポリシー FAQ を参照してください。
脆弱性の情報
深刻度および脆弱性識別番号
次の深刻度の評価は、脆弱性の影響が最も深刻な場合を想定しています。深刻度の評価およびセキュリティ上の影響に関連して、このセキュリティ情報の公開から 30 日間でこの脆弱性が悪用される可能性に関する情報については、12 月のセキュリティ情報の概要の Exploitability Index (悪用可能性指標) を参照してください。詳細については、Microsoft Exploitability Index (悪用可能性指標) を参照してください。
影響を受けるソフトウェア | LRPC クライアントのバッファー オーバーランの脆弱性 - CVE-2013-3878 | 総合的な深刻度 |
---|---|---|
Windows XP | ||
Windows XP Service Pack 3 (2898715) | 重要 特権の昇格 | 重要 |
Windows XP Professional x64 Edition Service Pack 2 (2898715) | 重要 特権の昇格 | 重要 |
Windows Server 2003 | ||
Windows Server 2003 Service Pack 2 (2898715) | 重要 特権の昇格 | 重要 |
Windows Server 2003 x64 Edition Service Pack 2 (2898715) | 重要 特権の昇格 | 重要 |
Windows Server 2003 with SP2 for Itanium-based Systems (2898715) | 重要 特権の昇格 | 重要 |
LRPC クライアントのバッファー オーバーランの脆弱性 - CVE-2013-3878
Microsoft ローカル リモート プロシージャ コール (LRPC) に特権昇格の脆弱性が存在します。攻撃者が LRPC サーバーを偽装し、特別に細工した LPC ポート メッセージを使用すると、LRPC クライアント上でスタックベースのバッファー オーバーフロー状態が発生します。LRPC は内部で Microsoft ローカル プロシージャ コール (LPC) を使用します。そのため実質的に、適切に実装されていない場合は、すべての LPC コンシューマーがこの脆弱性の影響を受ける可能性があります。攻撃者がこの脆弱性を悪用した場合、プログラムのインストール、データの表示、変更、削除、または完全な管理者権限を持つ新たなアカウントの作成が行われる可能性があります。
Common Vulnerabilities and Exposures のリストの標準のエントリとしてこの脆弱性を確認するには、CVE-2013-3878 を参照してください。
問題を緩和する要素
緩和する要素は、既定の状態における設定、一般的な構成または最善策を示し、脆弱性悪用の深刻度が下がる場合があります。お客様の状況で、次の「緩和する要素」が役立つ場合があります。
- この脆弱性が悪用されるには、有効な資格情報を所有し、ローカルでログオンできることが攻撃者にとっての必要条件となります。
回避策
マイクロソフトは、この脆弱性の回避策を確認していません。
よく寄せられる質問
この脆弱性により、どのようなことが起こる可能性がありますか?
これは、特権の昇格の脆弱性です。
何が原因で起こりますか?
この脆弱性は、LPC クライアントと LPC サーバーの間でポート メッセージの交換中にスタックベースのバッファー オーバーフロー状態が起こることが原因で生じます。
この脆弱性による影響を受けるコンポーネントは何ですか?
この脆弱性の影響を受けるコンポーネントは、Microsoft リモート プロシージャ コール (RPC) のコンポーネントであるローカル RPC (LRPC) です。LRPC は、内部で Microsoft ローカル プロセス間通信 (LPC) を使用します。適切に実装されていない場合、すべての LPC コンシューマーがこの脆弱性の影響を受ける可能性があります。
LPC とは何ですか?
ローカル プロセス間通信 (LPC) は、Microsoft Windows のプロセス間通信 (IPC) サービスです。このサービスにより、スレッドやプロセスが互いに通信することができます。クライアント プロセスとサーバー プロセスが同じシステム上に存在する場合、LPC を使用できます。Windows Vista 以降、LPC の使用は廃止され、非同期 LPC (ALPC) と呼ばれる新しいメカニズムに置き換えられています。マイクロソフトは、LPC/ALPC を直接使用することを推奨しません。代わりに、サポートされているフレームワークであり、内部で LPC/ALPC を使用する LRPC をアプリケーションで使用するようにしてください。
RPC とは何ですか?
リモート プロシージャ コール (RPC) は、データ交換、および別のプロセス内に存在する機能の実行を可能にするプロセス間通信 (IPC) メカニズムです。このプロセスは、同じコンピューター上、ローカル エリア ネットワーク (LAN) 上、またはインターネット上のどこにあってもかまいません。マイクロソフトの RPC メカニズムは、名前付きパイプ、NetBIOS または Windsock など、その他の IPC メカニズムを使用してクライアントとサーバー間の通信を確立します。RPC で、必要不可欠なプログラムの論理および関連するプロシージャー コードは異なるコンピューターに存在することができます。これは分散アプリケーションにとって重要です。詳細については、TechNet の記事「What Is RPC?」(英語情報) を参照してください。
LRPC とは何ですか?
ローカル RPC (LRPC) は、データ交換、および同じコンピューター上に存在する別のプロセスにある機能の実行を可能にする、プロセス間通信 (IPC) メカニズムです。LRPC は Microsoft RPC のコンポーネントです。LRPC では、2 つのプロセス間でメッセージを受け渡すためのトランスポート メカニズムとして、内部で LPC を使用します。
攻撃者は、この脆弱性を悪用して何を行う可能性がありますか?
攻撃者がこの脆弱性を悪用した場合、ローカル システムで特権が昇格される可能性があります。また、プログラムのインストール、データの表示、変更、削除を行ったり、完全な管理者権限を持つ新たなアカウントを作成したりする可能性があります。
攻撃者はこの脆弱性をどのように悪用する可能性がありますか?
有効な資格情報を使用してローカルでログオンできる攻撃者は、特別に細工した LPC ポート メッセージを LRPC クライアントに送信する特別に細工した LRPC サーバーを実行することで、この脆弱性を悪用する可能性があります。メッセージのサイズが定義された上限を超える場合、その結果生じるメモリ破損状態により、ローカル システムで攻撃者の特権が昇格される可能性があります。
主にどのようなコンピューターがこの脆弱性による危険にさらされますか?
主に、ワークステーションおよびターミナル サーバーが、この脆弱性による危険にさらされます。サーバーは、十分な管理者のアクセス権限を所有していないユーザーが、サーバーにログオンし、プログラムを実行する権限を得た場合にこの脆弱性による危険にさらされる可能性が高くなります。しかし、最善策では、これを許可しないことを強く推奨しています。
この更新プログラムはどのように問題を修正しますか?
この更新プログラムは、LRPC メッセージを検証することにより、この脆弱性を解決します。
このセキュリティ情報のリリース時に、この脆弱性は一般に公開されていたのですか?
いいえ。マイクロソフトは協調的な脆弱性の公開を通して、この脆弱性に関する情報を受けました。
このセキュリティ情報のリリース時に、マイクロソフトはこの脆弱性が悪用されたという報告を受けていましたか?
いいえ。マイクロソフトは、このセキュリティ情報が最初に公開された際に、この脆弱性が一般で悪用され、お客様が攻撃されていたことを示す情報を受けていませんでした。
更新プログラムに関する情報
検出および展開ツールとガイダンス
管理者がセキュリティ更新プログラムを展開するときに役立つリソースがいくつかあります。
- Microsoft Baseline Security Analyzer (MBSA) を使用して、管理者はローカル システムとリモート システムの不足しているセキュリティ更新プログラムと一般的な誤ったセキュリティ構成をスキャンできます。
- Windows Server Update Services (WSUS)、Systems Management Server (SMS)、および System Center Configuration Manager は、管理者がセキュリティ更新プログラムを配布するときに役に立ちます。
- Application Compatibility Toolkit に含まれている Update Compatibility Evaluator コンポーネントは、インストールされているアプリケーションに対する Windows の更新プログラムのテストおよび確認を効率化する手助けをします。
利用可能なこれらのツールおよび他のツールの詳細については、「セキュリティ ツール」を参照してください。
セキュリティ更新プログラムの展開
影響を受けるソフトウェア
影響を受けるソフトウェア用の特定のセキュリティ更新プログラムについては、該当リンクの情報を参照してください。
Windows XP (すべてのエディション)
参照表
次の表では、このソフトウェア用のセキュリティ更新プログラムの情報を記載しています。
セキュリティ更新プログラムのファイル名 | すべてのサポートされている 32 ビット版の Windows XP: WindowsXP-KB2898715-x86-JPN.exe |
すべてのサポートされている x64-based エディションの Windows XP Professional WindowsServer2003.WindowsXP-KB2898715-x64-JPN.exe |
|
インストール スイッチ | サポート技術情報 262841 を参照してください。 |
更新ログ ファイル | KB2898715.log |
再起動の必要性 | はい。セキュリティ更新プログラムを適用してから、コンピューターを再起動する必要があります。 |
削除に関する 情報 | [コントロール パネル] の [プログラムの追加と削除]または %Windir%\\$NTUninstallKB2898715$\Spuninst フォルダーの Spuninst.exe ユーティリティを使用します。 |
ファイルに関する 情報 | サポート技術情報 2898715 を参照してください。 |
レジストリ キーの 確認 | すべてのサポートされている 32 ビット版の Windows XP: HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP\SP4\KB2898715\Filelist |
すべてのサポートされている x64-based エディションの Windows XP: HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows XP Version 2003\SP3\KB2898715\Filelist |
注 Windows XP Professional x64 Edition のサポートされるバージョンの更新プログラムは、Windows Server 2003 x64 Edition のサポートされるバージョンにも適用されます。
Windows Server 2003 (すべてのエディション)
参照表
次の表では、このソフトウェア用のセキュリティ更新プログラムの情報を記載しています。
セキュリティ更新プログラムのファイル名 | すべてのサポートされている 32 ビット版の Windows Server 2003: WindowsServer2003-KB2898715-x86-JPN.exe |
すべてのサポートされている x64-based エディションの Windows Server 2003: WindowsServer2003.WindowsXP-KB2898715-x64-JPN.exe |
|
すべてのサポートされている Itanium-based エディションの Windows Server 2003: WindowsServer2003-KB2898715-ia64-JPN.exe |
|
インストール スイッチ | サポート技術情報 262841 を参照してください。 |
更新ログ ファイル | KB2898715.log |
再起動の必要性 | はい。セキュリティ更新プログラムを適用してから、コンピューターを再起動する必要があります。 |
削除に関する 情報 | [コントロール パネル] の [プログラムの追加と削除]または %Windir%\\$NTUninstallKB2898715$\Spuninst フォルダーの Spuninst.exe ユーティリティを使用します。 |
ファイルに関する 情報 | サポート技術情報 2898715 を参照してください。 |
レジストリ キーの 確認 | HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Updates\Windows Server 2003\SP3\KB2898715\Filelist |