マイクロソフト セキュリティ情報 MS16-119 - 緊急
Microsoft Edge 用の累積的なセキュリティ更新プログラム (3192890)
公開日: 2016 年 10 月 12 日
バージョン: 1.0
概要
このセキュリティ更新プログラムは、Microsoft Edge の脆弱性を解決します。最も深刻な脆弱性が悪用された場合、ユーザーが特別に細工された Web ページを Microsoft Edge を使用して表示すると、リモートでコードが実行される可能性があります。攻撃者によりこの脆弱性が悪用された場合、攻撃者が現在のユーザーと同じユーザー権限を取得する可能性があります。コンピューターでのユーザー権限が低い設定のアカウントを持つユーザーは、管理者ユーザー権限を持つユーザーよりもこの脆弱性による影響が少ないと考えられます。
このセキュリティ更新プログラムは、Windows 10 の Microsoft Edge について、深刻度が「緊急」と評価されています。詳細については、「影響を受けるソフトウェア」のセクションを参照してください。
この更新プログラムは次の方法で脆弱性を解決します。
- Microsoft Edge と特定の関数でのメモリ内のオブジェクトの処理方法を変更する
- Chakra JavaScript スクリプト エンジンがメモリ内のオブジェクトを処理する方法を変更する
- Microsoft Edge に返される情報を制限する
- Microsoft ブラウザーが資格情報をメモリに格納する方法を変更する
- Microsoft ブラウザーが名前空間境界を処理する方法を修正する
- Microsoft Edge Content Security Policy によってドキュメントを検証する方法を修正する
この脆弱性の詳細については、「脆弱性の情報」を参照してください。
この更新プログラムの詳細については、マイクロソフト サポート技術情報 3192890 を参照してください。
影響を受けるソフトウェア
次のソフトウェア バージョンまたはエディションが影響を受けます。一覧にないバージョンまたはエディションは、サポート ライフサイクルが終了しているか、この脆弱性の影響を受けません。ご使用中のソフトウェアのバージョンまたはエディションのサポート ライフサイクルを確認するには、Microsoft サポート ライフサイクルの Web サイトを参照してください。
**オペレーティング システム** | **コンポーネント** | **最も深刻な脆弱性の影響** | **総合的な深刻度** | **置き換えられる更新プログラム** |
**Microsoft Edge** | ||||
[Windows 10 for 32-bit Systems](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3192440)[1] (3192440) | Microsoft Edge | リモートでコードが実行される | 緊急 | [3185611](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3185611) |
[Windows 10 for x64-based Systems](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3192440)[1] (3192440) | Microsoft Edge | リモートでコードが実行される | 緊急 | [3185611](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3185611) |
[Windows 10 Version 1511 for 32-bit Systems](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3192441)[1] (3192441) | Microsoft Edge | リモートでコードが実行される | 緊急 | [3185614](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3185614) |
[Windows 10 Version 1511 for x64-based Systems](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3192441)[1] (3192441) | Microsoft Edge | リモートでコードが実行される | 緊急 | [3185614](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3185614) |
[Windows 10 Version 1607 for 32-bit Systems](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3194798)[1] (3194798) | Microsoft Edge | リモートでコードが実行される | 緊急 | [3189866](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3189866) |
[Windows 10 Version 1607 for x64-based Systems](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3194798)[1] (3194798) | Microsoft Edge | リモートでコードが実行される | 緊急 | [3189866](https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/3189866) |
注: このセキュリティ情報で説明している脆弱性は、Windows Server 2016 Technical Preview 5 に影響を及ぼします。この脆弱性からシステムを保護するために、このオペレーティング システムを実行している場合は、Windows Update から入手できる最新の更新プログラムを適用することをお勧めします。
深刻度および脆弱性識別番号
次の深刻度の評価は、脆弱性の影響が最も深刻な場合を想定しています。深刻度の評価およびセキュリティ上の影響に関連して、このセキュリティ情報の公開から 30 日以内にこの脆弱性が悪用される可能性に関する情報については、10 月のセキュリティ情報の概要の Exploitability Index (悪用可能性指標) を参照してください。
深刻度の評価および影響の表で、「緊急」、「重要」、および「警告」という値が明記されている場合、それらは深刻度の評価を示します。詳細については、セキュリティ情報の深刻度評価システムを参照してください。表内で使用される次のキーで示される省略形は、最も大きな影響があることを示しています。
省略形 | 最も大きな影響 |
RCE | リモートでコードが実行される |
EoP | 特権の昇格 |
ID | 情報漏えい |
SFB | セキュリティ機能のバイパス |
**脆弱性の深刻度の評価および影響** | ||
**CVE 番号** | **脆弱性のタイトル** | **Microsoft Edge** |
[CVE-2016-3267](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-3267) | Microsoft ブラウザーの情報漏えいの脆弱性 | Windows クライアント: **警告/ID** Windows サーバー: **注意/ID** |
[CVE-2016-3331](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-3331) | Microsoft ブラウザーのメモリ破損の脆弱性 | Windows クライアント: **緊急/RCE** Windows サーバー: **警告/RCE** (Win 10 1607 は影響を受けません) |
[CVE-2016-3382](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-3382) | スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 |
Windows クライアント:
**緊急/RCE**
Windows サーバー: |
[CVE-2016-3386](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-3386) | スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 | Windows クライアント: **緊急/RCE** Windows サーバー: **警告/RCE** |
[CVE-2016-3387](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-3387) | Microsoft ブラウザーの特権の昇格の脆弱性 | Windows クライアント: **重要/EoP** Windows サーバー: **注意/EoP** |
[CVE-2016-3388](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-3388) | Microsoft ブラウザーの特権の昇格の脆弱性 | Windows クライアント: **重要/EoP** Windows サーバー: **注意/EoP** |
[CVE-2016-3389](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-3389) | スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 |
Windows クライアント:
**緊急/RCE**
Windows サーバー: |
[CVE-2016-3390](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-3390) | スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 | Windows クライアント: **緊急/RCE** Windows サーバー: **警告/RCE** |
[CVE-2016-3391](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-3391) | Microsoft ブラウザーの情報漏えいの脆弱性 | Windows クライアント: **警告/ID** Windows サーバー: **注意/ID** |
[CVE-2016-3392](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-3392) | Microsoft Edge のセキュリティ機能のバイパス | Windows クライアント: **警告/SFB** Windows サーバー: **注意/SFB** |
[CVE-2016-7189](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-7189) | スクリプト エンジンのリモートでコードが実行される脆弱性 | Windows クライアント: **緊急/RCE** Windows サーバー: **警告/RCE** |
[CVE-2016-7190](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-7190) | スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 |
Windows クライアント:
**緊急/RCE**
Windows サーバー: |
[CVE-2016-7194](https://www.cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=cve-2016-7194) | スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 |
Windows クライアント:
**緊急/RCE**
Windows サーバー: |
脆弱性の情報
Microsoft Edge のメモリ破損の脆弱性 - CVE-2016-3331
Microsoft Edge がメモリ内のオブジェクトを処理する方法に、リモートでコードが実行される脆弱性が存在します。この脆弱性を利用すると、攻撃者が現在のユーザーのコンテキストで任意のコードを実行するような方法で、メモリを破損できる可能性があります。
Web ベースの攻撃シナリオでは、攻撃者は Microsoft Edge を介してこの脆弱性を悪用することを目的として特別に細工した Web サイトをホストし、その Web サイトを表示するようにユーザーを誘導する可能性があります。また、攻撃者は侵害された Web サイトおよびユーザーが提供したコンテンツや広告を受け入れる、またはホストする Web サイトを利用する可能性があります。これらの Web サイトには、この脆弱性を悪用する可能性のある特別に細工されたコンテンツが含まれている場合があります。
このセキュリティ更新プログラムは、Microsoft Edge がメモリ内のオブジェクトを処理する方法を変更することにより、この脆弱性を解決します。
次の表に、Common Vulnerabilities and Exposures リストの脆弱性の標準エントリへのリンクを示します。
脆弱性のタイトル | CVE 番号 | 一般に公開 | 悪用 |
Microsoft ブラウザーのメモリ破損の脆弱性 | CVE-2016-3331 | なし | なし |
脆弱性のタイトル | CVE 番号 | 一般に公開 | 悪用 |
スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 | CVE-2016-3382 | なし | なし |
スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 | CVE-2016-3386 | なし | なし |
スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 | CVE-2016-3389 | なし | なし |
スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 | CVE-2016-3390 | なし | なし |
スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 | CVE-2016-7190 | なし | なし |
スクリプト エンジンのメモリ破損の脆弱性 | CVE-2016-7194 | なし | なし |
脆弱性のタイトル | CVE 番号 | 一般に公開 | 悪用 |
Microsoft ブラウザーの情報漏えいの脆弱性 | CVE-2016-3267 | なし | なし |
脆弱性のタイトル | CVE 番号 | 一般に公開 | 悪用 |
Microsoft ブラウザーの情報漏えいの脆弱性 | CVE-2016-3391 | なし | なし |
脆弱性のタイトル | CVE 番号 | 一般に公開 | 悪用 |
スクリプト エンジンのリモートでコードが実行される脆弱性 | CVE-2016-7189 | なし | なし |
脆弱性のタイトル | CVE 番号 | 一般に公開 | 悪用 |
Microsoft ブラウザーの特権の昇格の脆弱性 | CVE-2016-3388 | なし | なし |
Microsoft ブラウザーの特権の昇格の脆弱性 | CVE-2016-3387 | なし | なし |
脆弱性のタイトル | CVE 番号 | 一般に公開 | 悪用 |
Microsoftブラウザーのセキュリティ機能のバイパスの脆弱性 | CVE-2016-3392 | なし | なし |