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OLE DB Driver for SQL Server の高可用性、ディザスター リカバリーに関するサポート

適用対象: SQL Server Azure SQL データベース Azure SQL Managed Instance Azure Synapse Analytics Analytics Platform System (PDW)

OLE DB ドライバーのダウンロード

この記事では、OLE DB Driver for SQL Server での Always On 可用性グループ のサポートについて説明します。 Always On 可用性グループの詳細については、「可用性グループ リスナー、クライアント接続、およびアプリケーションのフェールオーバー (SQL Server)」、「可用性グループの作成と構成 (SQL Server)」、「フェールオーバー クラスタリングと Always On 可用性グループ (SQL Server)」、および「アクティブなセカンダリ: 読み取り可能なセカンダリ レプリカ (Always On 可用性グループ)」を参照してください。

接続文字列で、特定の可用性グループの可用性グループ リスナーを指定できます。 フェールオーバーする可用性グループ内のデータベースに OLE DB Driver for SQL Server アプリケーションが接続されている場合、元の接続が切断されるため、フェールオーバー後にアプリケーションが動作を継続するには新しい接続を開く必要があります。

可用性グループ リスナーに接続しておらず、ホスト名に複数の IP アドレスが関連付けられている場合、OLE DB Driver for SQL Server では DNS エントリに関連付けられているすべての IP アドレスが順次繰り返し処理されます。 DNS サーバーが最初に返した IP アドレスがネットワーク インターフェイス カード (NIC) にバインドされていない場合、この処理に時間がかかる可能性があります。 可用性グループ リスナーに接続している場合、OLE DB Driver for SQL Server では同時にすべての IP アドレスとの間で接続の確立が試行されます。接続試行が成功した場合、ドライバーでは未解決の試行がすべて破棄されます。

Note

接続タイムアウト値を大きくし、接続再試行ロジックを実装することにより、アプリケーションが可用性グループに接続する確立が高まります。 また、可用性グループのフェールオーバーにより接続が失敗する可能性があるため、接続再試行ロジックを実装して、再接続されるまで、失敗した接続の再接続を試行する必要があります。

MultiSubnetFailover を使用した接続

SQL Server Always On 可用性グループ リスナーまたは SQL Server フェールオーバー クラスター インスタンスに接続する際には、必ず MultiSubnetFailover=Yes を指定してください。 MultiSubnetFailover を使用することで、SQL Server のすべての Always On 可用性グループおよびフェールオーバー クラスター インスタンスに対して高速フェールオーバーが有効化され、単一サブネットおよびマルチサブネットの AlwaysOn トポロジにおけるフェールオーバー時間が大幅に短縮されます。 マルチサブネット フェールオーバーの際には、クライアントは複数の接続を並列で試行します。 サブネットのフェールオーバー時に、OLE DB Driver for SQL Server によって TCP 接続が再試行されます。

MultiSubnetFailover 接続プロパティを指定すると、アプリケーションが可用性グループまたはフェールオーバー クラスター インスタンスに配置され、OLE DB Driver for SQL Server ではすべての IP アドレスに対して接続を試行することで、プライマリ SQL Server インスタンス上のデータベースに接続が試行されます。 接続に対して MultiSubnetFailover=Yes を指定した場合、オペレーティング システムの既定の TCP 再送信間隔より短い間隔で、クライアントにより TCP 接続が再試行されます。 これにより、Always On 可用性グループまたはフェールオーバー クラスター インスタンスのフェールオーバー後、再接続されるまでの時間を短縮することができます。単一サブネットとマルチサブネットの可用性グループ インスタンスおよびフェールオーバー クラスター インスタンスに適用することができます。

接続文字列キーワードの詳細については、「OLE DB Driver for SQL Server での接続文字列キーワードの使用」を参照してください。

可用性グループ リスナーまたはフェールオーバー クラスター インスタンス以外に接続するときに MultiSubnetFailover=Yes を指定するとパフォーマンスが低下する可能性があるため、このような指定はサポートされていません。

可用性グループまたはフェールオーバー クラスター インスタンス内のサーバーに接続する際には、次のガイドラインに従います。

  • 単一サブネットまたはマルチサブネットに接続する場合に MultiSubnetFailover 接続プロパティを使用すると、パフォーマンスを向上させることができます。

  • 可用性グループに接続するには、接続文字列でサーバーとして、可用性グループの可用性グループ リスナーを指定します。

  • 64 個を超える数の IP アドレスが構成された SQL Server インスタンスに接続すると、接続エラーが発生します。

  • MultiSubnetFailover 接続プロパティを使用するアプリケーションの動作は、認証の種類 (SQL Server 認証、Kerberos 認証、または Windows 認証) の影響を受けません。

  • loginTimeout の値を増やすことで、フェールオーバー時間に対応し、アプリケーションの接続試行回数を減らすことができます。

  • 分散トランザクションはサポートされません。

読み取り専用のルーティングが無効である場合、次の状況では可用性グループのセカンダリ レプリカの場所には接続できません。

  1. セカンダリ レプリカの場所が、接続を許可するように構成されていない。

  2. アプリケーションに ApplicationIntent=ReadWrite (後述します) が使用されているが、セカンダリ レプリカの場所が読み取り専用アクセスとして構成されている。

プライマリ レプリカが読み取り専用ワークロードを拒否するように構成されているとき、接続文字列に ApplicationIntent=ReadOnly が含まれていると、接続は失敗します。

データベース ミラーリングの使用からマルチサブネット クラスターの使用へのアップグレード

接続文字列に MultiSubnetFailover および Failover_Partner の接続キーワードが存在する場合、接続エラーが発生します。 また、MultiSubnetFailover が使用されているとき、SQL Server から、データベース ミラーリング ペアに属していることを示すフェールオーバー パートナー応答が返された場合にも、エラーが発生します。

現在、データベース ミラーリングを使用している OLE DB Driver for SQL Server アプリケーションをマルチサブネットのシナリオにアップグレードする場合、Failover_Partner 接続プロパティを削除して MultiSubnetFailover に置き換え、それを Yes に設定し、接続文字列内のサーバー名を可用性グループ リスナーの名前に置き換えます。 接続文字列で Failover_Partner および MultiSubnetFailover=Yes が使用されている場合、ドライバーでエラーが発生します。 ただし、接続文字列に Failover_PartnerMultiSubnetFailover=No (または ApplicationIntent=ReadWrite) が使用されている場合、アプリケーションはデータベース ミラーリングを使用します。

ドライバーは、可用性グループのプライマリ データベースでデータベース ミラーリングが使用されている場合、および可用性グループ リスナーではなくプライマリ データベースに接続する接続文字列内で MultiSubnetFailover=Yes が使用されている場合、エラーを返します。

アプリケーションの意図を指定する

接続文字列内にキーワード ApplicationIntent を指定できます。 割り当て可能な値は ReadWrite (既定値) または ReadOnly です。

ApplicationIntent=ReadOnly を設定すると、接続時にクライアントによって読み取りワークロードが要求されます。 サーバーでは、接続時と USE データベース ステートメントの実行時にこの意図が適用されます。

ApplicationIntent キーワードは、従来型の読み取り専用データベースに対しては動作しません。

ReadOnly のターゲット

接続で ReadOnly が選択された場合、その接続は、データベースに存在する可能性のある次の特別な構成のいずれかに割り当てられます。

  • Always On。 データベースでは、対象の可用性グループ データベースのワークロードの読み取りを許可または禁止できます。 この選択は、PRIMARY_ROLE および SECONDARY_ROLE Transact-SQL ステートメントの ALLOW_CONNECTIONS 句を使用して制御できます。

  • geo レプリケーション

  • 読み取りスケールアウト

これらの特別なターゲットがいずれも使用できない場合は、通常のデータベースから読み取られます。

ApplicationIntent キーワードを使用すると、"読み取り専用ルーティング" が有効になります。

読み取り専用ルーティング

読み取り専用ルーティングは、データベースの読み取り専用レプリカの可用性を実現する機能です。 読み取り専用ルーティングを有効にするには、次のすべてを適用します。

  • Always On 可用性グループ リスナーに接続する必要があります。

  • ApplicationIntent 接続文字列キーワードを ReadOnly に設定する必要があります。

  • データベース管理者は、読み取り専用ルーティングを有効にするように可用性グループを構成する必要があります。

複数の接続でそれぞれに読み取り専用ルーティングが使用されている場合、すべてが同じ読み取り専用レプリカに接続されるとは限りません。 データベースの同期変更またはサーバーのルーティング構成の変更は、異なる読み取り専用のレプリカに対するクライアントの接続につながることがあります。

Server 接続文字列キーワードに可用性グループ リスナーを渡さ "ない" ことにより、すべての読み取り専用要求が同じ読み取り専用レプリカに接続されるようにすることができます。 代わりに、読み取り専用のインスタンスの名前を指定します。

読み取り専用ルーティングには、プライマリへの接続よりも時間がかかることがあります。 これは、読み取り専用ルーティングではまずプライマリに接続し、次に使用できる最善の読み取り可能なセカンダリを検索するためです。 このような複数のステップがあるため、login タイムアウトを少なくとも 30 秒に増やす必要があります。

OLE DB (OLE DB)

OLE DB Driver for SQL Server では、ApplicationIntentMultiSubnetFailover の両方のキーワードがサポートされています。

OLE DB Driver for SQL Server で Always On 可用性グループ をサポートするために、次の 2 つの OLE DB 接続文字列キーワードが追加されました。

  • ApplicationIntent
  • MultiSubnetFailover

OLE DB Driver for SQL Server での接続文字列キーワードについて詳しくは、「OLE DB Driver for SQL Server での接続文字列キーワードの使用」をご覧ください。

アプリケーションの目的

対応する接続プロパティは次のとおりです。

  • SSPROP_INIT_APPLICATIONINTENT

  • DBPROP_INIT_PROVIDERSTRING

OLE DB Driver for SQL Server アプリケーションでは、次のいずれかのメソッドを使用して、アプリケーション インテントを指定できます。

  • IDBInitialize::Initialize
    IDBInitialize::Initialize は、あらかじめ構成された一連のプロパティを使用して、データ ソースを初期化し、データ ソース オブジェクトを作成します。 アプリケーション インテントは、プロバイダーのプロパティとして指定するか、拡張プロパティ文字列の一部として指定します。

  • IDataInitialize::GetDataSource
    IDataInitialize::GetDataSourceApplication Intent キーワードを格納できる入力接続文字列を受け取ります。

  • IDBProperties::SetProperties
    ApplicationIntent プロパティ値を設定するには、IDBProperties::SetProperties を呼び出して、"ReadWrite" または "ReadOnly" の値で SSPROP_INIT_APPLICATIONINTENT プロパティを渡すか、または "ApplicationIntent=ReadOnly" または "ApplicationIntent=ReadWrite" を含む値で DBPROP_INIT_PROVIDERSTRING プロパティを渡します。

アプリケーション インテントは、 [データ リンク プロパティ] ダイアログ ボックスの [すべて] タブの [アプリケーション インテントのプロパティ] フィールドで指定できます。

暗黙的な接続が確立された場合、その接続には、親の接続のアプリケーション インテント設定が使用されます。 同様に、同じデータ ソースから作成されたセッションはいずれも、そのデータ ソースのアプリケーション インテント設定を継承します。

MultiSubnetFailover

対応する接続プロパティは次のとおりです。

  • SSPROP_INIT_MULTISUBNETFAILOVER

  • DBPROP_INIT_PROVIDERSTRING

OLE DB Driver for SQL Server アプリケーションでは、次のいずれかのメソッドを使用して MultiSubnetFailover オプションを設定できます。

  • IDBInitialize::Initialize
    IDBInitialize::Initialize は、あらかじめ構成された一連のプロパティを使用して、データ ソースを初期化し、データ ソース オブジェクトを作成します。 アプリケーション インテントは、プロバイダーのプロパティとして指定するか、拡張プロパティ文字列の一部として指定します。

  • IDataInitialize::GetDataSource
    IDataInitialize::GetDataSourceMultiSubnetFailover キーワードを格納できる入力接続文字列を受け取ります。

  • IDBProperties::SetProperties
    MultiSubnetFailover プロパティ値を設定するには、値が VARIANT_TRUE または VARIANT_FALSESSPROP_INIT_MULTISUBNETFAILOVER プロパティを渡すか、"MultiSubnetFailover=Yes" または "MultiSubnetFailover=No" が値に含まれている DBPROP_INIT_PROVIDERSTRING プロパティを渡して、IDBProperties::SetProperties を呼び出します。

DBPROP rgPropMultisubnet;

rgPropMultisubnet.dwPropertyID = SSPROP_INIT_MULTISUBNETFAILOVER;
rgPropMultisubnet.dwOptions = DBPROPOPTIONS_REQUIRED;
rgPropMultisubnet.dwStatus = DBPROPSTATUS_OK;
rgPropMultisubnet.colid = DB_NULLID;
V_VT(&(rgPropMultisubnet.vValue)) = VT_BOOL;
V_BOOL(&(rgPropMultisubnet.vValue)) = VARIANT_TRUE;

DBPROPSET PropSet;

PropSet.rgProperties = &rgPropMultisubnet;
PropSet.cProperties = 1;
PropSet.guidPropertySet = DBPROPSET_SQLSERVERDBINIT;
IDBProperties* pIDBProperties = NULL;
hr = pIDBInitialize->QueryInterface(IID_IDBProperties, (void **)&pIDBProperties);
pIDBProperties->SetProperties(1, &PropSet);

参照

OLE DB Driver for SQL Server の機能
OLE DB Driver for SQL Server での接続文字列キーワードの使用