ダウンロード専用アーティクルを使用したマージ レプリケーションのパフォーマンス最適化
適用対象: SQL Server
マージ レプリケーションには、異なるアプリケーション ニーズに対応する 2 種類のアーティクルが用意されています。 アプリケーションでの必要に応じて、パブリケーションにはこれら 2 種類のアーティクルを 1 つ以上格納できます。
標準アーティクル
ダウンロード専用アーティクル
ダウンロード専用アーティクルは、パフォーマンス面で標準アーティクルよりも優れています。必要に応じて、ダウンロード専用アーティクルを使用するようにしてください。
Note
ダウンロード専用アーティクルを使用するためには、90RTM 以上の互換性レベルが必要になります。
標準アーティクル
標準アーティクルは既定のアーティクルであり、強力な競合検出および競合解決機能など、マージ レプリケーションに必要なすべての機能を備えています。 標準アーティクルは、複数のサブスクライバーによって更新されるテーブルに適しています。また、ストアド プロシージャやビューなどのテーブル以外のオブジェクトは、常に標準アーティクルとしてパブリッシュされます。
ダウンロード専用アーティクル
ダウンロード専用アーティクルは、製品カタログに格納される一連のアーティクルなど、サブスクライバーで更新されないデータを処理するアプリケーション向けに設計されています。 通常の場合、製品カタログはサブスクライバーではなくパブリッシャーで更新されます。 ダウンロード専用アーティクルはサブスクライバーで更新されないため、追跡メタデータがサブスクライバーに送信されることはありません。 これによってサブスクライバーの記憶域が節約されると共に、特に低速なネットワーク接続ではパフォーマンスの向上にもつながります。
ダウンロード専用アーティクルはクライアント サブスクリプションと併用されます。アーティクルがダウンロード専用に作成されている場合、クライアント サブスクリプションを使用するサブスクライバーでは、このアーティクルに対して行の挿入、更新、および削除を行うことができません。 サーバー サブスクリプションを使用するパブリッシャーおよびサブスクライバー (通常は、他のサブスクライバーにデータを再パブリッシュするサブスクライバー) では、行の挿入、更新、および削除を行うことができます。 クライアント サブスクリプションの詳細については、「パブリケーションのサブスクライブ」を参照してください。
アーティクルがダウンロード専用になるように指定するには、「Specify Merge Replication properties」(マージ レプリケーションのプロパティを指定する) を参照してください。
アプリケーションに応じた各種アーティクルの使い分け
アプリケーションの要件を理解することにより、柔軟性の最大化とパフォーマンスの最適化の間でアプリケーションを調整できます。 たとえば、パブリッシャーとサブスクライバーの両方で多数の競合と変更が発生するアプリケーションでは、標準アーティクルから構成されるパブリケーションを使用します。 セールス フォース オートメーションなど一部のアプリケーションでは、競合の可能性のあるアーティクルと、それ以外にダウンロード専用に指定できる参照テーブル用のアーティクルが使用されることがあります。 POS システムやフィールド フォース オートメーションなどのデータ入力アプリケーションでは、競合を排除するように厳密にデータがパーティション分割されている場合が多く、あるサブスクライバーから他のサブスクライバーにデータが送信されることは決してありません。 このような状況では、重複しないパーティション、ダウンロード専用アーティクル、および事前計算済みパーティションを組み合わせて使用することで、パフォーマンスとスケーラビリティを最大化することができます。 重複しないパーティションおよび事前計算済みパーティションの詳細については、「 パラメータ化された行フィルタ」を参照してください。
参照
マージ レプリケーションのアーティクル オプション
条件付き削除の追跡によるマージ レプリケーション パフォーマンスの最適化