データ処理拡張機能の概要

Reporting Services のデータ処理拡張機能を使用することによって、データ ソースに接続し、データを取得できます。 データ処理拡張機能は、データ ソースとデータセット間のブリッジとしても機能します。 Reporting Services のデータ処理拡張機能は、Microsoft.NET Framework データ プロバイダー インターフェイスのサブセットに倣っています。

次の表は、Reporting Services が備えているデータ処理拡張機能を示しています。

データ処理拡張機能 説明
SQL Server 向けデータ処理拡張機能 .NET Framework Data Provider for SQL Server を使用して SQL Server データベース エンジンと接続し、データを取得します。
OLE DB 向けデータ処理拡張機能 .NET Framework Data Provider for OLE DB を使用します。 この拡張機能を使用して、レポート サーバーは、OLE DB プロバイダーを持つすべてのデータ ソースをクエリできます。
Oracle 向けデータ処理拡張機能 .NET Framework Data Provider for Oracle を使用します。 この拡張機能を使用して、レポート サーバーは、Oracle クライアント接続ソフトウェアをとおして Oracle データ ソースにアクセスできます。
ODBC 向けデータ処理拡張機能 .NET Framework Data Provider for ODBC を使用します。 この拡張機能を使用すると、レポート サーバーは ODBC ドライバーがある任意のデータベース内のデータにアクセスできます。

SSRS データ処理 API を使用して、カスタム データ処理をレポート サーバーに追加できます。

注意

Reporting Services には、.NET Framework のデータ プロバイダーに対するサポートが組み込まれています。 既に完全なデータ プロバイダーを実装している場合は、Reporting Services データ処理拡張機能を実装する必要がありません。 ただし、セキュリティで保護された接続の資格情報やサーバー側の集計など、Reporting Services 2005 に固有の機能を含むようにデータ プロバイダーの拡張を検討してください。

Reporting Services が備えている各データ処理拡張機能は、共通するインターフェイスのセットを使用します。 これらの共通インターフェイスにより、各拡張機能で同等の機能が実装されます。

独自のデータ ソース用のデータ処理拡張機能を開発することも、インターフェイスを使用して、一般的なデータベース インフラストラクチャにデータ処理の別のレイヤーを追加することもできます。 カスタム データ処理拡張機能を配置して、組織の既存レポート サーバーにデータをシームレスに統合できます。 ユーザーに提供するカスタム レポート スイートの一部として使用することもできます。

Screenshot of the Reporting Services data processing extension architecture.
Reporting Services データ処理拡張機能のアーキテクチャ

カスタム Reporting Services データ処理拡張機能を実装する利点は、次のとおりです。

  • データ アクセス アーキテクチャを簡便化します。多くの場合、メンテナンスがしやすくなり、パフォーマンスが向上します。

  • 拡張機能固有の機能をユーザーに直接提示できます。

  • Reporting Services 内のデータ ソースにユーザーが直接アクセスするための固有のインターフェイスです。

データ拡張プロセス フロー

カスタム データ拡張機能を開発する前に、レポート サーバーがデータ拡張機能を使用してどのようにデータを処理するか理解しておく必要があります。 レポート サーバーによって呼び出されるコンストラクターとメソッドも理解してください。

Screenshot of the step-by-step process flow of a data extension that is called by the report server.

この図は、次の順序によるイベントを示しています。

  1. レポート サーバーは、接続オブジェクトを作成し、レポートに関連付けられた接続文字列と資格情報を渡します。

  2. レポートのコマンド テキストを使用して、コマンド オブジェクトを作成します。 このプロセスでは、データ処理拡張機能に、コマンド テキストを解析し、コマンドのパラメーターを作成するコードが含まれる場合があります。

  3. コマンド オブジェクトとパラメーターを処理した後、データ リーダーを生成します。データ リーダーによって、結果セットが返され、レポート サーバーがレポート データをレポート レイアウトに関連付けることができます。

開発者の要件

Reporting Services データ処理拡張機能を開発するための要件は次のとおりです。

  • レポート デザイナーまたはレポート サーバーがインストールされた配置用コンピューター

  • Microsoft Visual Studio 2005 以降、または Microsoft .NET Framework ソフトウェア開発キット (SDK) がインストールされている開発用コンピューター。

  • Reporting Services の機能についてよく理解していること

  • MicrosoftADO.NET アーキテクチャ、.NET Framework データ プロバイダー、ADO.NET DataSet オブジェクト、および共通する ADO.NET インターフェイスについてよく理解していること。

  • Microsoft Visual C# や MicrosoftVisual Basic .NET など、.NET Framework 言語による開発経験があること。